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第54回 | BMWの最新車デザイン・性能情報をお届け

走りを諦めない夫たちへ──BMW 2シリーズのミニバン

『2シリーズ アクティブツアラー』は、2014年にデビューしたコンパクトミニバンだ。BMWとして初めてFF(前輪駆動)を採用したことで話題となった。これをベースに、車体を拡張して7人乗りとしたのが、2015年デビューの『2シリーズ グランツアラー』である。こちらはBMW初の3列シートミニバンとして注目を集めた。デビュー以来、両車ともに装備の充実や特別仕様車の追加などはあったが、マイナーチェンジを受けるのは今回が初めてとなる。

クルマ好きの需要を取り込む『アクティブツアラー』と『グランツアラー』

『2シリーズ アクティブツアラー』『2シリーズ グランツアラー』の2台は、「2015-2016 インポート・カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞した日本でも高い人気を誇るクルマである。

『アクティブツアラー』は、BMWならではのダイナミックなスタイリングとスポーティな運動性能、広々とした室内と高い機能性・快適性とを融合したコンパクトミニバン。BMWは「SAT(スポーツ・アクティビティ・ツアラー)」と呼んでいる。一般的な機械式駐車場にも収まる全幅と全高、取り回しの良いコンパクトなボディサイズは、日本の道路事情にもピッタリだ。

『グランツアラー』は、『アクティブツアラー』をベースにした7人乗りの3列シートミニバン。『アクティブツアラー』と同じく、取り回しの良いコンパクトなボディサイズでありながら、広々とした室内が特徴だ。2列目シートは上位クラスに匹敵する広いニールームを実現。シートは40:20:40 の3 分割に倒すことができ、用途や乗車人数にあわせて居住性とラゲージルーム容量を自在に調節できる。こちらもBMWに言わせるとただのミニバンではなく、「MPV(コンパクト・マルチ・パーパス・ビークル)」と定義している。

いずれも「子育て世代で使い勝手の良いミニバンが必要だが、走りも諦めたくない」というクルマ好きの需要を取込み、ヒットモデルとなった。特に『グランツアラー』の場合、ほかのブランドからの乗り換えユーザーが7割を超えるといわれている。

BMWならではの上質で広い室内空間はそのままに、さらに快適性をアップ

そんな人気モデルの新型車だけに、マイナーチェンジとはいえ注目度は高い。

エクステリアは、『アクティブツアラー』『グランツアラー』ともにダイナミックなデザインを目指し、新デザインのキドニー・グリルと新しいヘキサゴナル・デザインのLEDヘッドライトを採用。フロントバンパーは、ワイドな印象を強調するために大型エアインテークを左右に配した新デザインとなった。とはいえ微調整レベルで、一見してわかるような大きな違いではない。

リアでは、リアバンパーが大型化された。90mm径に拡大したエキゾースト・テールパイプと相まって、スポーティさと存在感が増している。

インテリアもキープコンセプト。上質なデザインと広い空間はそのままに、フロントシートの座面を拡大することで座り心地を向上させた。装備面も先代モデルを継承している。「レーン・ディパーチャー・ウォーニング」や、衝突回避・被害軽減ブレーキを含むドライビング・アシストを全車に標準装備しており、ドライバーの安全走行をサポートする。

パワートレインはガソリン、ディーゼル、PHV。ラインナップは全10モデル

ライナップは多岐にわたる。パワートレインは、1.5L及び2.0Lのガソリンエンジン、2.0Lのディーゼルエンジン、プラグインハイブリッド(アクティブツアラーのみ設定)。駆動方式はFFと4WDで、それぞれの組み合わせによって、『アクティブツアラー』『グランツアラー』ともに10モデルが存在する。

ガソリン、ディーゼル、プラグインハイブリッドのそれぞれのスペックは次の通りだ。

1.5Lガソリンエンジンは、最高出力140ps(103kw)/4600rpm、最大トルク220Nm/1480-4200rpm、燃料消費率16.0km/L。2.0Lガソリンエンジンは、最高出力192ps(141kw)/5000pm、最大トルク280Nm/1350-4600rpm、燃料消費率15.5km/L。

2.0Lディーゼルエンジンは、最高出力150ps(110kw)/4000rpm、最大トルク330Nm/1750-2750rpm、燃料消費率22.2km/L。

プラグインハイブリッドは、最高出力136ps(100kw)/4400rpm、最大トルク220Nm/1250-4300rpmの1.5Lガソリンエンジン+モーターだ。エンジンとモーターを合わせた最高出力は65kW (224ps)、最大トルクは385Nm (39.3kgm)。燃料消費率は17.6km/L、充電電力使用時走行距離42.4km/Lとなっている。

トランスミッションは、ガソリンエンジン車にはダブルクラッチ式の7速ATを採用。スポーティな走りと高い燃費性能を実現させた。ディーゼルエンジンには8速AT、プラグインハイブリッドには6速ATが搭載されている。

『アクティブツアラー』は374万円から、『グランツアラー』は410万円から

ボディは両車ともにねじれ剛性が高く、低重心化、空力特性の向上などにより、FFでありながら俊敏なハンドリングを実現している。エンジン、ブレーキを制御する「パフォーマンス・コントロール」によって、安定したコーナリングも手に入れた。

また、快適な乗り心地をもたらす「コンフォート」、効率を重視した「ECO PRO」、ダイナミックな走りを味わえる「スポーツ」など、ボタンひとつで走行モードを切り替えられる「ドライビング・パフォーマンス・コントロール」も搭載。BMWといえば「駆け抜ける歓び」のキャッチコピーでおなじみだが、ミニバンながらその姿勢には1mmの妥協もない。

ミニバンには、走りを犠牲にして利便性を重視したクルマという印象があるかもしれない。『2シリーズ アクティブツアラー』『2シリーズ グランツアラー』は、そんな固定観念を覆す。

価格は税込みで、『アクティブツアラー』が374万円から、『グランツアラー』が410万円から。走りにこだわりながら使い勝手を重視する子育て世代は、検討する価値のある一台だろう。

Text by Tsukasa Sasabayashi
Photo by (C) BMW AG
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

動画はこちら
BMW 2 Series Active Tourer オフィシャル動画
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第62回 | BMWの最新車デザイン・性能情報をお届け

最上級で贅沢なオープン──BMW 8シリーズ カブリオレ

初夏になると、クルマのルーフを開けてオープンエアを愉しみたくなる。しかし、この新型オープンモデルが似合う場所は、蒸し暑い日本の夏ではなく、地中海やマイアミの高級リゾート地なのかもしれない。それほどまでに、贅沢でエレガントなのである。昨年、じつに20年ぶりとなる復活を遂げたBMW『8シリーズ』。このフラッグシップクーペに今回、カブリオレが追加された。「最上級」という言葉がふさわしいオープントップモデルだ。

クーペの美しさと運動性能、オープンモデルならではの開放感や優雅さを兼ね備える

ヨーロッパの人々は太陽を浴びることが大好きだ。ほとんどのラグジュアリークーペには、当然のようにオープントップモデルが設定されている。昨年6月、ル・マン24時間レースにおいて、およそ20年ぶりに復活したBMW『8シリーズ』が発表されたときから、多くの自動車ファンはカブリオレの登場を予感していたことだろう。そもそも、BMWには開発当初からオープンモデルをラインナップに追加する前提があったに違いない。

BMW『8シリーズ カブリオレ』は、『6シリーズ カブリオレ』の実質的な後継となるオープントップモデルである。むろん、ベースは最上級クーペの『8シリーズ クーペ』。低く伸びやかなシルエット、美しいルーフライン、艶麗なリヤフェンダーの造形が醸し出す優雅さ。そうした官能的な個性が際立つ『8シリーズ クーペ』の美しいデザインと運動性能をそのまま受け継ぎながら、オープンモデルならではの開放感や優雅さを備える。

エクステリアでは、リヤホイールへの力感を表現するボディサイドのキャラクターラインが目を引く。さらに、キドニーグリルやデッキを取り囲むモールディングなどにクローム加飾をアクセントとして採用。専用の20インチ・マルチスポークホイールの繊細なデザインと相まって、クーペ以上に洗練されたラグジュアリーさを強く感じさせる佇まいだ。

滑らかな流線形を描く電動式ソフトトップ。シフトノブはなんとクリスタル仕立て!

ルーフは電動式のソフトトップで、エレガントなボディ造形にふさわしく、滑らかな流線形を描くように丸みを帯びたデザインとなっている。ルーフを閉じた状態でも、上質さや優雅さはまったく損なわれない。ルーフは時速50km/h以下なら走行中でも約15秒で開閉することが可能だ。ルーフオープン時もラゲッジルームは250Lの容量を確保する。

室内は、エクステリアと見事に調和した高級感をまといつつ、前後方向への意識を強調するように設計されているのが特徴だ。具体的には、乗員の視線が自然と前方へ向かい、走りへの期待感を煽るようなデザインとなっている。また、高い操作性を確保するためにスイッチ類をグループ分けし、ドライビングを妨げないポジションにわかりやすく配置した。

注目は非常に高い透明度のクリスタルで作られたシフトノブ。クラフテッド・クリスタル・フィニッシュを採用し、なかから数字の「8」が浮かび上がる仕様となっている。シートはベンチレーション付きの上質なメリノレザー。アンビエント・ライトを標準装備しているので、ラグジュアリーオープンモデルであることを乗るたびに感じさせてくれるだろう。

『8シリーズ カブリオレ』の加速性能はピュアスポーツカー並。価格は1838万円

搭載されるパワーユニットは、『8シリーズ クーペ』と同様の4.4L V型8気筒ガソリンエンジン。最高出力530ps/5500-6000rpm、最大トルク750Nm/1800-4600rpmを発生し、8速スポーツAT(ステップトロニック付き)を組み合わせる。0-100km/h加速は「8」の名にふさわしく、3.9秒を実現。これはピュアスポーツカーに匹敵する動力性能だ。

なお、ドイツ本国やヨーロッパでは上記のエンジンを積む「M850i xDrive」のほかに、経済的な3.0L直列6気筒ターボディーゼルエンジンを搭載する「840d xDrive Mスポーツ」も選べるが、日本国内で販売されるのは現時点で「M850i xDrive」のみとなっている。

価格は『8シリーズ クーペ』より124万円アップとなる1838万円。高価なうえに、これだけのラグジュアリーオープンが似合うロケーションは国内ではなかなか見当たらない。とはいえ、オープンエアの季節だけに、所有欲を強く刺激するのはたしかだろう。

Text by Kenzo Maya
Photo by (C) BMW AG
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

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