クルマ好きの需要を取り込む『アクティブツアラー』と『グランツアラー』
『2シリーズ アクティブツアラー』『2シリーズ グランツアラー』の2台は、「2015-2016 インポート・カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞した日本でも高い人気を誇るクルマである。
『アクティブツアラー』は、BMWならではのダイナミックなスタイリングとスポーティな運動性能、広々とした室内と高い機能性・快適性とを融合したコンパクトミニバン。BMWは「SAT(スポーツ・アクティビティ・ツアラー)」と呼んでいる。一般的な機械式駐車場にも収まる全幅と全高、取り回しの良いコンパクトなボディサイズは、日本の道路事情にもピッタリだ。
『グランツアラー』は、『アクティブツアラー』をベースにした7人乗りの3列シートミニバン。『アクティブツアラー』と同じく、取り回しの良いコンパクトなボディサイズでありながら、広々とした室内が特徴だ。2列目シートは上位クラスに匹敵する広いニールームを実現。シートは40:20:40 の3 分割に倒すことができ、用途や乗車人数にあわせて居住性とラゲージルーム容量を自在に調節できる。こちらもBMWに言わせるとただのミニバンではなく、「MPV(コンパクト・マルチ・パーパス・ビークル)」と定義している。
いずれも「子育て世代で使い勝手の良いミニバンが必要だが、走りも諦めたくない」というクルマ好きの需要を取込み、ヒットモデルとなった。特に『グランツアラー』の場合、ほかのブランドからの乗り換えユーザーが7割を超えるといわれている。
BMWならではの上質で広い室内空間はそのままに、さらに快適性をアップ
そんな人気モデルの新型車だけに、マイナーチェンジとはいえ注目度は高い。
エクステリアは、『アクティブツアラー』『グランツアラー』ともにダイナミックなデザインを目指し、新デザインのキドニー・グリルと新しいヘキサゴナル・デザインのLEDヘッドライトを採用。フロントバンパーは、ワイドな印象を強調するために大型エアインテークを左右に配した新デザインとなった。とはいえ微調整レベルで、一見してわかるような大きな違いではない。
リアでは、リアバンパーが大型化された。90mm径に拡大したエキゾースト・テールパイプと相まって、スポーティさと存在感が増している。
インテリアもキープコンセプト。上質なデザインと広い空間はそのままに、フロントシートの座面を拡大することで座り心地を向上させた。装備面も先代モデルを継承している。「レーン・ディパーチャー・ウォーニング」や、衝突回避・被害軽減ブレーキを含むドライビング・アシストを全車に標準装備しており、ドライバーの安全走行をサポートする。
パワートレインはガソリン、ディーゼル、PHV。ラインナップは全10モデル
ライナップは多岐にわたる。パワートレインは、1.5L及び2.0Lのガソリンエンジン、2.0Lのディーゼルエンジン、プラグインハイブリッド(アクティブツアラーのみ設定)。駆動方式はFFと4WDで、それぞれの組み合わせによって、『アクティブツアラー』『グランツアラー』ともに10モデルが存在する。
ガソリン、ディーゼル、プラグインハイブリッドのそれぞれのスペックは次の通りだ。
1.5Lガソリンエンジンは、最高出力140ps(103kw)/4600rpm、最大トルク220Nm/1480-4200rpm、燃料消費率16.0km/L。2.0Lガソリンエンジンは、最高出力192ps(141kw)/5000pm、最大トルク280Nm/1350-4600rpm、燃料消費率15.5km/L。
2.0Lディーゼルエンジンは、最高出力150ps(110kw)/4000rpm、最大トルク330Nm/1750-2750rpm、燃料消費率22.2km/L。
プラグインハイブリッドは、最高出力136ps(100kw)/4400rpm、最大トルク220Nm/1250-4300rpmの1.5Lガソリンエンジン+モーターだ。エンジンとモーターを合わせた最高出力は65kW (224ps)、最大トルクは385Nm (39.3kgm)。燃料消費率は17.6km/L、充電電力使用時走行距離42.4km/Lとなっている。
トランスミッションは、ガソリンエンジン車にはダブルクラッチ式の7速ATを採用。スポーティな走りと高い燃費性能を実現させた。ディーゼルエンジンには8速AT、プラグインハイブリッドには6速ATが搭載されている。
『アクティブツアラー』は374万円から、『グランツアラー』は410万円から
ボディは両車ともにねじれ剛性が高く、低重心化、空力特性の向上などにより、FFでありながら俊敏なハンドリングを実現している。エンジン、ブレーキを制御する「パフォーマンス・コントロール」によって、安定したコーナリングも手に入れた。
また、快適な乗り心地をもたらす「コンフォート」、効率を重視した「ECO PRO」、ダイナミックな走りを味わえる「スポーツ」など、ボタンひとつで走行モードを切り替えられる「ドライビング・パフォーマンス・コントロール」も搭載。BMWといえば「駆け抜ける歓び」のキャッチコピーでおなじみだが、ミニバンながらその姿勢には1mmの妥協もない。
ミニバンには、走りを犠牲にして利便性を重視したクルマという印象があるかもしれない。『2シリーズ アクティブツアラー』『2シリーズ グランツアラー』は、そんな固定観念を覆す。
価格は税込みで、『アクティブツアラー』が374万円から、『グランツアラー』が410万円から。走りにこだわりながら使い勝手を重視する子育て世代は、検討する価値のある一台だろう。
Text by Tsukasa Sasabayashi
Photo by (C) BMW AG
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)