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第40回 | ポルシェの最新車デザイン・性能情報をお届け

ポルシェ マカン──唯一無二のSUVがさらに進化した

「ポルシェの孝行息子」。『マカン』はそう言っても過言のないクルマだ。『カイエン』の弟分として2014年に発売されたプレミアムコンパクトSUVは、全世界で累計35万台超を販売。ポルシェの総販売台数のうち、じつに約40%を占める中核車種へと成長した。そんな重要なポジションにある『マカン』が初のマイナーチェンジを実施し、上海で初お披露目となった。

累計販売台数約35万台を誇る『マカン』は、その3分の1を中国市場で販売

上海でアンベールされた『マカン』。これはポルシェが中国市場を重要視している表れだ。特に『マカン』は、その累計販売台数約35万台のうち、10万台以上を中国で販売している。世界中で人気となっている車種だが、とりわけ中国は注力すべき市場だ。

エクステリアの変更がアナウンスされているが、今回はマイナーチェンジなので大幅なものではない。フロントバンパーのデザインが刷新され、LEDのプロジェクター式ヘッドライトが採用されているが、注意深く見ないと気がつかないくらいだろう。

ちなみに、このライトは、走行状況に応じてヘッドライトの照射範囲を調節する「PDLS(ポルシェ・ダイナミック・ライト・システムプラス)」をオプション設定できる。

リアには、大きな変更が見られた。『パナメーラ』などの最新モデルと同じテイストを採用。テールのLEDライトが横一列につながり、ひと目で先代モデルとの違いを感じることができる。また、足回りではホイールのデザインが一新された。サイズは20インチ、または21インチを採用している。

ボディカラーには「マイアミ・ブルー」「マンバ・グリーン・メタリック」「ドロマイト・シルバー・メタリック」「クレヨン」などの新色を追加。インテリア・パッケージを組み合わせることで、これまで以上に自由なカスタマイズが可能になった。

新型『マカン』は、『911』の「GTスポーツステアリングホイール」も選べる

インテリアでは、ダッシュボードが刷新された。すぐに気がつくのは、センターコンソールに設置されたタッチスクリーンだ。

ほかのモデルと同じく、オンラインナビや音声認識を装備するPCM(ポルシェコミュニケーションマネジメント)に対応した10.9インチで、従来の7インチからサイズアップした。また、目を凝らすとそのディスプレイの下にエアベントがあり、先代モデルのディスプレイ横から位置が移ったことがわかる。

ステアリングは『911』でもお馴染みの「GTスポーツステアリングホイール」を採用。小径なのでスポーティなハンドリングが可能で、モードスイッチやスポーツレスポンスボタンも配置されている。

ゆったり走るのが『カイエン』なら、『マカン』はスポーティにキビキビと走る

ラグジュアリーでゆったりと走るのが『カイエン』なら、スポーティにキビキビと走るのが『マカン』だ。インドネシア語で「虎」を意味する車名の通り、その魅力はドライビングの愉しさにある。

走行性能はシャーシの調整や新開発タイヤの採用などによって高められているが、今回は最先端の走行支援技術が大きなポイントとなった。

アダプティブクルーズコントロールを含む新しい交通渋滞アシストは、60 km/hを上限に作動。前走車に追従して自動で加減速を行うだけでなく、渋滞時や低速走行時にはステアリング操作も支援してくれる。

BMW『X4』、アウディ『Q5』…ライバルに圧倒的なスポーティさで差をつける

エンジンライナップや価格などの詳細はまだアナウンスされていないが、上海で発表されたモデルは、まず中国市場でのみ提供される。しかし、そのほかのモデル、中国以外の市場も、2018年中には提供が開始されるという。

『マカン』と車格を同じくするプレミアムコンパクトSUVには、メルセデス・ベンツ『GLCクーペ』、BMW『X4』、アウディ『Q5』、ジャガー『F-PACF』と錚々たる面々が連なる。このなかで『マカン』は、圧倒的なスポーティさで差別化を図ろうとしている。

ライバルは多いが、ある意味、唯一無二のプレミアムコンパクトSUVである。

動画はこちら
The new Porsche Macan オフィシャル動画
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第53回 | ポルシェの最新車デザイン・性能情報をお届け

ポルシェ カイエンクーペ──SUVクーペに真打ちが参戦

世界の自動車市場を席巻するプレミアムSUVというジャンルは、2002年にポルシェ初のSUVとしてデビューした『カイエン』から始まった。スーパーカー並の性能を有するランボルギーニ『ウルス』やベントレー『ベンテイガ』も、『カイエン』の存在がなければ登場はもっと後だったかもしれない。その高級SUVの祖に、これまでクーペボディをもつ派生車種がラインナップされていなかったのが不思議なくらいだ。今年4月、ポルシェは上海で『カイエン クーペ』を初公開した。まさしく、満を持してのデビューである。

より低くスポーティなルックスになった『カイエン』。ライバルは『GLEクーペ』?

プレミアムSUV市場には、すでにいくつかのSUVクーペが存在する。メルセデス・ベンツなら『GLCクーペ』『GLEクーペ』、BMWなら『X4』『X6』。高級車ブランドがこぞってSUVに注力した結果、市場は多様化し、多くの選択肢をユーザーに用意することが求められるようになった。そうしたなかで、元祖プレミアムSUVである『カイエン』にクーペモデルが加わるのは必然。むしろもっと早く市場に投入してもよかったかもしれない。

『カイエン クーペ』はその名のとおり、ボディ後部にいくほど傾斜していく流麗なルーフラインをもったクーペルックのSUVだ。横から見ると、フロントウィンドウとAピラーが通常モデルよりも低く、寝かされていることがわかる。ルーフエンドには、クーペスタイルを強調するかのようにルーフスポイラーが装着された。ボディサイズは全長4931×全幅1983×全高1676mm。通常モデルと比べて全長が13mm長くなり、全高は20mm低くなった。さらに、新設計の後部ドアとフェンダーにより形状が変わったことで、全幅も18mmワイドになっている。全体として、より低くスポーティになった印象だ。

ルーフは2種類。固定式パノラマガラスルーフが標準で、カーボンルーフをオプションで選択できる。0.92m2のガラスルーフはかつてない開放感を乗員に与え、統合されたローラーブラインドが直射日光や寒さを防いでくれる。カーボンルーフは『911 GT3 RS』と同様に中央に窪みを持つ形状で、いかにもスポーティカーといった雰囲気を醸し出す。

『カイエンターボ クーペ』は最高出力550馬力。0~100km/h加速はなんと3.9秒

クーペ化にともなって室内空間にも変更が加えられた。標準モデルとの大きな違いは、後席がそれぞれ独立して2座になり、4つのスポーツシートを備えるようになったことだ(ベンチシートもオプションで選べる)。とりわけ前席は、インテグレーテッドヘッドレストと8ウェイ電動調節を備えたスポーツシートを採用し、優れた快適性とホールド性でドライバーをサポートする。また、全高は低くなったものの、リアシートの着座位置を標準モデルより30mm低くしたことで、後席のヘッドスペースも十分な広さを確保した。

ラゲッジルームの容量は通常時で625L。後席を畳めば最大1540Lまで拡大することが可能だ(『カイエンターボ クーペ』では通常時600L、最大で1510Lとなる)。

パワーユニットはグレード別に2種類のガソリンエンジンが用意された。『カイエン クーペ』は3.0L V型6気筒ターボエンジンを搭載し、最高出力は340ps(250kW)、最大トルクは450N・m。0~100km/h加速は5.9秒(オプションの「軽量パッケージ」)、最高速度は243km/hだ。『カイエンターボ クーペ』は4.0L V型8気筒ツインターボエンジンを搭載し、最高出力は550ps(404kW)、最大トルクは770N・m。こちらの動力性能はさらに強烈で、0~100km/h加速は3.9秒に短縮し、最高速度は286km/hに達する。

すでに日本国内で予約受注も開始。『ウルス』のエンジンを積む最強グレードも登場?

『カイエン クーペ』『カイエンターボ クーペ』ともに、すでに日本国内での予約受注を開始しているが、国内発売日はまだ未定。一方、ヨーロッパでは、この2台の中間グレードとなる『カイエンS クーペ』が5月15日に発表され、さらにランボルギーニ『ウルス』と同型のエンジンを搭載するハイパフォーマンスモデルが設定されるとの情報もある。実現すれば、最高出力640ps以上の最強モデルがシリーズに加わることになるだろう。

まさに、プレミアムSUVブームを牽引してきた『カイエン』による怒涛のニューモデル攻勢といった趣だ。高級SUV市場が今後ますます活性化していくのは間違いない。1000万円以上の高級SUVを買える裕福な人々にとっては、選択肢が広がるのではないか。

Text by Kenzo Maya
Photo by (C) Porsche AG.
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

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