堺市長選も終わり、党からも正式に発表があったので、やっとご報告が出来ます。

元アナが参院選出馬辞退=維新

3週間ほど前のことだったでしょうか。ネット上で50秒ほどの動画が出回りました。

「長谷川が部落差別を助長する発言をしている」

バカバカしい。
参院選まで半年を切って、細心の注意を払っている状態で、どこの誰がそんな馬鹿なことするんだか。しかも違法にアップロードされた動画で、違法で切り取られた動画。犯罪じゃん、そんなの(苦笑)。

最初は相手にしませんでしたが、党にも取材が来るようになり、馬場幹事長に呼ばれました。その時に初めて動画を見てみました。仰天しました。

なんだこれ。

僕はアナウンサーをしていました。17年半。毎日のようにニュースを伝えてきました。教育も受けてきています。

なんだこれは。

画面上の僕は「江戸時代には士農工商の下に人間以下に設定されたエタ・非人がいてね」「その人たちにも性欲がある」「犯罪のプロ集団」と嬉々として話していました。

なんなんだこれは。

しかもよく聞くと、そうとも言い切ってない。なんだか主語も述語もおかしなことになっていて、とてもじゃないですが、アナウンサーの喋りじゃあない。

切り取られて編集されている。

すぐに分かりました。確かにそんな学説を紹介しているシーンは記憶にありますが、そもそも僕の講演会は共産党の支持者も「妨害してやる」と宣言して6人で来た極左の運動員の方々もいました。
そんな人たちですら誰も問題視しなかったし、僕の講演で差別表現があったなんて70回近く行った講演会で一度も聞いたこともありませんでした。

細心の注意を払って話をしていたはずです。

しかも、これは2月の講演会の映像でした。
僕がそんなことを言っていたのが本当だとしたら、2月に問題になっているはずです。それくらいおかしな映像。何で3カ月もたって5月に問題になるのか。

覚悟を決めるしかありませんでした。
堺市長選の前。そして参院選のわずか2カ月前。
相当にしっかりと攻撃態勢が組まれていると理解するしかなかった。

案の定、僕はその当該講演会で、同録(同時録画のこと)を回していませんでした。すぐに証拠をもって100%の反論することもできませんでした。その時を狙われたのでしょう。

間の悪いことはもう一つありました。

僕らの世代は、小学校などで(僕は道徳の授業でした)江戸時代に暗い差別の歴史があった、と習いました。4段階の身分制度(士農工商)。そして、その下に被差別階級があった、と。

実は日本ではその歴史自体が、なかったのではないか、と。
その認識は間違っていたのではないか、と。
最新の歴史の教科書では、実はそんな歴史認識自体が間違っていた、というのが最新の学説となっており、子供たちの教科書から、その差別の歴史の記述自体が無くなっているのです。

僕はそれを知りませんでした。
僕は神話の時代の話でもするように「小学校時代に習いましたね」「差別の歴史があったってね」そう語っていたことは事実でした。

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馬場幹事長とすぐに相談しました。愕然としていてもしょうがありません。僕と馬場さん二人の共通認識が二点挙がりました。

①政治家である(目指す)以上は全てが『結果責任』=騒がれた段階でアウト
②今の最優先課題は堺市長選の勝利とする


①はみんなが気を付けていることです。今の日本の政治シーンには言論の自由は保障されない。馬場さんだって松井さんだって、言いたい事の10分の1も話せていない。単語を使った段階で負け。編集なんて誰でも出来る。同録をもって反論することもできない。

であれば今やらなければいけないのは②の最適解を求めること。そこを一番考えなきゃ。
維新が堺市長を取る。もう目の前まで来ている。絶対に負けてはいけない。
まさかの丸山さんの問題が大きく取り上げられてしまっていました。何があっても、これ以上の延焼を防ごう。

そもそも僕は、被差別部落の問題について無知でした。新しく教科書の記述も変わっていることも知らなかった。ここを突かれたのであれば僕のミス。僕が悪かったんです。
切り取りなんて反論は誰も聞いてはくれません。
それを言い始めたら、政治家の失言なんてなくなっちゃう。僕も切り取りをしてきました。そう。僕もしてきたことです。
「切り取られただけなんです~」なんてのは僕の言いたい事であって、そんなことはメディアが聞かなかった振りをすればいくらでも叩くネタには出来ます。

全面謝罪。

すぐに馬場さんや馬場事務所と相談し、全面謝罪する文章をアップしました。
その上で、とにかく黙る。
全面的に黙る。すべてのSNSをストップ。そうすれば、きっと2・3日で収まるでしょう。

馬場さんの作って下さった謝罪文は完璧でした。事実、何とか2・3日である程度の場を収めることが出来ました。

そしてもう一つ。
選挙は諦めるほかありません。

松井さんも記者会見で何度もおっしゃっていたことですが、この状態になって選挙に出たところで誰も話を聞いてくれないでしょう。勝負にはなりません。いや、なるかもしれませんが、そんなことに大切な仲間たちの労力を消費させてもしょうがありません。

選挙を辞退することは早々に決めましたが、ここで話が割れました。

僕は維新が僕を切った、という形をとるべきだと主張しました。
丸山さんの件もあります。維新は公認候補者を選択ミスもするけれど、毅然とした対処を取るのだ、と。そう見せる方がいいと思いました。

しかし。馬場幹事長が「長谷川さんが下りたという形にしましょう」と言い続けてくれました。「長谷川さんの将来がかかっている大事なポイントですので、これ以上長谷川さんが傷つかないようにしてください」と。

メディアの皆様にお願いがあります。
僕は党と僕の合意で参院選に出ないことにしましたが、維新が甘い態度を取ったという印象を持たれる書き方はやめていただきたい。
【維新が長谷川の公認を取り消した】と書いていただいて全く祖語はありません。そちらの方が実態に近いものです。


僕は今年の3月からだけで大阪の堺市に20回以上は入って、仲間たちと一緒にビラを撒き、走り、活動をしてきました。なので堺市長選が予想よりもはるかに難しい選挙であることは重々承知していました。なので、昨日の結果は涙が出るほどに嬉しいものでした。

堺の皆さん。もう大丈夫。
止まった時計は動きます。永藤英機はそれを託せるだけの男です。

僕は日本の闇は、メディアだと思っています。
何かいいことをしようとしても、メディアがとにかく一方的に叩く。世論を作り上げて集団リンチ。

それを一番強く思ったのが2013年くらいだったでしょうか。破竹の勢いで進む維新旋風を快く思わないメディアが一斉に行った、橋下徹氏への「慰安婦発言報道」でした。

とんでもない大誤報。

橋下氏はそう主張しましたが、僕の目から見て、あれはただの「ねつ造」でした。誤報なんてもんじゃアない。酷いものでした。言っていない言葉を作りあげ、反論を封じ、橋下徹を叩ければなんでもいい、という風潮でした。メディアの矜持も何もあったものではありませんでした。

2015年。

大阪で僕はニュースキャスターの仕事を始めることが出来ました。
当時の大阪のメディア。何があったか知りませんが…異常でした。反橋下。とにかく橋下を叩ければそれでいい。放送法4条は誰も守っていませんでした。

僕だけでも通常の放送をしよう。

テレビ大阪の「ニュースリアル」において、公平で公正な放送を出来たと今でも自信を持っています。あの当時、正常な放送をしているのは僕たちだけだったと思っています。

あれから4年。

大阪は大きく動き出しました。
奇跡のような改革が進みました。

僕は大阪のこの政治を、奇跡のような改革を大阪以外に広げたかった。全力で取り組めたと思います。日本中を走り回りました。週に2・3回以上のペースで講演を行い、維新の素晴らしさを伝え続けました。

全力でやれた自信があるので、残念ではありますが、後悔はありません。この気持ちにウソはありません。

「いつ頃(公認辞退の)発表しましょうかね…」
「長谷川さんの自由なタイミングでしてください」
「堺市長選が終わるまでは大人しくして、そのあとに党と一緒に足並みをそろえて発表するのでどうでしょう?」
「それは有り難いですが…長谷川さんはそれでいいんですか?」

最後まで馬場さんには慮って(おもんばかって)いただきました。日本維新の会にも、大阪維新の仲間たちにも、感謝しかありません。最後に迷惑をかけてしまって申し訳ありませんでした。どうか許してくださいね。迷惑をかけるつもりはなかったのです。慎重に話しもしていました。
でも甘かった。相手だって必死なんだから。



YouTubeの方に、先日の第三者委員会でも提出して報告した、僕の講演会の動画をアップしておきますね。明日にはアップできると思います。アナウンサーとして教育された人間が、どんな風に話すのか、良ければ見てみてください。

「差別は許されないことです」
「誤解しないでくださいね、被差別者の方々が犯罪をしていたって話なわけじゃあないですよ」

そうちゃんと話をしています。拡散された動画では切り取られていますけれどね。
これらは1月や2月に各地で行った講演会で、主催者の方が「記録用に」と保存しておいてくださった同録です。取り寄せるまでに10日ほどかかりましたが、実際に第三者委員会に提出した正式なものです。どれだけ切り取られたか、もしご興味があれば見ておいてください。これが反維新。デマでも編集でも何でもやってきます。それはきっと維新が戦っている集団だからでしょうね。そんな維新を僕は誇りに思います。


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さて、この本気論・本音論をはじめ、僕を応援し声援を送って下さった皆様。お伝えしなければいけない事があります。

僕のこの選挙…もともと政治への挑戦自体が、家族みんなの大反対の上でやったことなんです。「汚い世界」「家族を困らせないで欲しい」。なのでこの参院選への挑戦が、僕の政治へのラストチャンスとしっかりと約束をして挑戦させてもらっていたんです。

なので、悔いの無いように走り切りました。
でも縁がなかった。
これはもうしょうがない話です。僕の負けです。僕は政治家に縁がなかったと思う。しょうがないと思うんです。

なので、僕の夢への挑戦はこれでおしまいとなります。
メディアと戦いたかったですが、さすがに相手も強かった。アンチも必死でしたしね。


僕ね、メディアを何とかしないと日本って前に進まないように思うんです。
何かいいことをしようとすると徹底的に叩く。徹底的に足を引っ張る。
日本を改革する1丁目1番地はメディア改革だと思っています。一番強い相手ですけどね。そこから逃げてるうちは日本って前に進みづらいと思います。

いつの日か、日本人の多くの方がそれに気づき、5年後・10年後の日本が少しでも明るく光り輝ける日が来るように、心から祈っています。僕はその中心には緑の旗を背負った政治家たちがいると確信しています。
そんな素晴らしい元仲間たちの活躍を、これからは迷惑をかけないように遠くから見守ろうと思います。

維新のみんな。
維新に声援を送って下さる支援者の皆さん。

ネットなどでも大変な嫌われ者だった僕のことを、一時でも「仲間」と呼んでくれてありがとうございました。
皆さんにどれだけ支えられたか分からない。
本当に本当に感謝しています。

全ての皆様に心からの感謝を。
日本の5年後・10年後に希望を。

これが僕の本気の本音の思いです。
長きにわたり、ご愛読していただき、本当にありがとうございました!!
どうかお体に気を付けて。
笑顔で過ごしましょう!!!



長谷川豊