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第50回 | BMWの最新車デザイン・性能情報をお届け

BMW X5──ミニバンとしても使えるラグジュアリーSUV

自動車の潮流がSUVにあるのは疑いようがない。その礎は今から18年前、ミレニアムに登場した一台のクロスオーバーから始まった。SAVを名乗る初代BMW『X5』の誕生である。それまでのBMWのどれにも似ていない力強いシルエット、しかし確実にBMWとわかるデザインは、のちに追随する多くのプレミアムSUVに影響を与えた。そのSUV人気の火付け役が4代目へと進化し、最新スペックをまとって登場した。

BMWは『X5』の投入によってまったく新しい自動車のカテゴリを切り拓いた

『X5』は、BMWにとって初となるクロスオーバーSUV。しかし、BMW自身はSUV(スポーツユーティリティビークル)ではなくSAV(スポーツアクティビティビークル)と呼び、BMWが作ったまったく新しいカテゴリのクルマだとしている。呼び名はどうであれ、いまやこのカテゴリにロールス・ロイスやランボルギーニまで進出しているのはご存じのとおりだ。

また、BMWのXシリーズも『X1』『X3』『X4』『X5』『X6』と拡充され、最近ではそのラインナップへ『X2』も加わった。同じSUVでも、サイズや装備なで差別化をはかり、よりオーナーのライフスタイルにマッチする一台を選ぶことが可能となっている。

5年ぶりにモデルチェンジされた新型『X5』は、エクステリアはキープコンセプト。薄くシャープなヘッドライトも先代モデルと同様だが、ボディはより大型化された。サイズは全長4922mm×全幅2004mm×全高1745mmと、現行モデルに比べて36mm長く、横は66mmワイドに、19mm高くなっている。

デジタルキー、コネクティビティ…より便利で快適性が向上した『X5』の室内

大きく変わったのはむしろ室内空間だ。新型『X5』は室内の快適性が大幅に向上し、車載コネクティビティなど新機能を充実させている。

リング状の加飾にアナログ表示されていたデジタルメーターは、12.3インチの液晶ディスプレイとなり、センターに配置されていた10.2インチのコントロールディスプレイも大型化。ヘッドアップディスプレイも大きくなった。

レザートリムは標準タイプのほかに、「BMWインディビジュアル メリノ」と呼ばれる4色のレザートリムを選ぶことが可能(オプション)。さらに、マッサージ機能付きのシート、室内の4ゾーンを独立で調整可能なエアコン、ヒーター付きアームレスト、「スカイラウンジ」ガラスルーフ、センターコンソールには冷却&加熱機能付きのカップホルダーと、贅沢な快適装備を備える。リアシートにはタッチスクリーン式の10.2インチディスプレイによるエンタテインメントシステム(オプション)を設定した。

ラゲッジは通常時で645L、後席を倒せば最大1860Lの大容量空間へと拡大。上下2分割のテールゲートによって荷物の乗せ降ろしも容易となったので、ちょっとした買物のときには上部ゲートのみを開けるといった使い方もできる。ちなみに、サード・ロー・シートを加えれば現行モデルと同様に7名が乗車することも可能。ラグジュアリーSUVでありながら、ミニバンのような利便性も兼ね備えるわけだ。

「BMWデジタルキー」が設定されたこともトピックだろう。「NFC」という近距離無線通信規格の技術により、スマートフォンから車両のロックとロック解除が可能となった。キーがなくても車両を動かすことができ、スマホを室内の専用トレイかワイヤレス充電器に置けばエンジンが始動する。「BMWデジタルキー」は最大5人が共有可能だ。

リモートサービス、リアルタイムの交通情報、コンシェルジュサービスなどによる「コネクテッド・パッケージ・プロフェッショナル」も設定された。オーナーは「コネクテッドドライブストア」を通じてさまざまなデジダルサービスをダウンロードできる。デバイスはスマートフォンだけではなく、Apple Watchなどのスマートウォッチ、Amazon Echoなどのスマートスピーカーでも利用可能だ。

新型『X5』のパワートレインは、ツインターボとディーゼルターボの4タイプ

パワートレインはガソリンエンジンとディーゼルエンジンをそれぞれ2タイプずつ設定した。

ガソリンは、3.0L直列6気筒ツインパワーターボの「xDrive40i」、最大出力462ps/650Nmを発揮し、250km/hのトップスピードを記録する4.4L V型8気筒ツインパワーターボの「xDrive50i」。ディーゼルは、高トルクで巨体をグイグイと引っ張る3.0L直列6気筒ツインパワーターボディーゼルの「xDrive30d」、そして、排気量こそ「30d」と同じ3.0Lだが、最大出力400ps/760Nmの大パワーを誇る「M50d」。トランスミッションには8速ステップトロニックを組み合わせる。こちらは全車共通だ。

スポーティさやラグジュアリーさのイメージが先行する『X5』だが、本格SUVであるだけに悪路走破性についても折り紙付きである。

悪路走破性は常時前輪駆動のxDriveが受け持ち、さらにオプションで「オフロードパッケージ」も用意された。これは、オフロードモードによる最適なペダルレスポンスを実現する出力特性のエンジン・トランスミッションプログラム、エアサスペンションによる減衰力・車高調整機能、デフロック、そして前後のアンダーガードといった本格的なクロスカントリー仕様だ。

なお、現行モデルに設定されているプラグインハイブリッドやハイブリッドモデルについては、今のところアナウンスされていない。とはいえ、今後なんらかの追加ラインナップがあると思われる。

タフなドライビングにも余裕で応え、7人乗りでミニバン的な使い方もできる

日本でのグレード展開は現時点では未定だが、ほかのXシリーズと同様に、大きく分けて「xLine(エックスライン)」と「M Sport package(Mスポーツパッケージ)」の2ラインとなる模様だ。

「xLine」はグリルやルーフレールなどの加飾パーツがアルミサテン仕上げ、標準で19インチホイールを装備する。「M Sport package」には、ブラック仕上げの加飾パーツ、さらに専用エアロパーツ装備の「Mエアロダイナミクス パッケージ」、専用のブレーキ・エキゾースト・サスペンション、20インチホイール(オプションで22インチも用意される)などのアイテムが装備される。

日本導入時期や価格は未定だが、イギリスでは「xDrive40i xLine」が852万円と発表されている。ボディが拡大され、装備も充実したことで、現行モデルから40万円ほどアップするようだ。

ラグジュアリーで、タフなドライビングに余裕で応えてくれ、そして7人乗りが選べてミニバン的な使い方もできる『X5』は、Xシリーズのトップモデルと呼ぶにふさわしい。SUVの礎を築いたモデルの新型車によって、SUV市場がますます賑やかになりそうだ。

Text by Taichi Akasaka
Photo by (C) BMW AG
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

動画はこちら
BMW X5 オフィシャル動画
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第62回 | BMWの最新車デザイン・性能情報をお届け

最上級で贅沢なオープン──BMW 8シリーズ カブリオレ

初夏になると、クルマのルーフを開けてオープンエアを愉しみたくなる。しかし、この新型オープンモデルが似合う場所は、蒸し暑い日本の夏ではなく、地中海やマイアミの高級リゾート地なのかもしれない。それほどまでに、贅沢でエレガントなのである。昨年、じつに20年ぶりとなる復活を遂げたBMW『8シリーズ』。このフラッグシップクーペに今回、カブリオレが追加された。「最上級」という言葉がふさわしいオープントップモデルだ。

クーペの美しさと運動性能、オープンモデルならではの開放感や優雅さを兼ね備える

ヨーロッパの人々は太陽を浴びることが大好きだ。ほとんどのラグジュアリークーペには、当然のようにオープントップモデルが設定されている。昨年6月、ル・マン24時間レースにおいて、およそ20年ぶりに復活したBMW『8シリーズ』が発表されたときから、多くの自動車ファンはカブリオレの登場を予感していたことだろう。そもそも、BMWには開発当初からオープンモデルをラインナップに追加する前提があったに違いない。

BMW『8シリーズ カブリオレ』は、『6シリーズ カブリオレ』の実質的な後継となるオープントップモデルである。むろん、ベースは最上級クーペの『8シリーズ クーペ』。低く伸びやかなシルエット、美しいルーフライン、艶麗なリヤフェンダーの造形が醸し出す優雅さ。そうした官能的な個性が際立つ『8シリーズ クーペ』の美しいデザインと運動性能をそのまま受け継ぎながら、オープンモデルならではの開放感や優雅さを備える。

エクステリアでは、リヤホイールへの力感を表現するボディサイドのキャラクターラインが目を引く。さらに、キドニーグリルやデッキを取り囲むモールディングなどにクローム加飾をアクセントとして採用。専用の20インチ・マルチスポークホイールの繊細なデザインと相まって、クーペ以上に洗練されたラグジュアリーさを強く感じさせる佇まいだ。

滑らかな流線形を描く電動式ソフトトップ。シフトノブはなんとクリスタル仕立て!

ルーフは電動式のソフトトップで、エレガントなボディ造形にふさわしく、滑らかな流線形を描くように丸みを帯びたデザインとなっている。ルーフを閉じた状態でも、上質さや優雅さはまったく損なわれない。ルーフは時速50km/h以下なら走行中でも約15秒で開閉することが可能だ。ルーフオープン時もラゲッジルームは250Lの容量を確保する。

室内は、エクステリアと見事に調和した高級感をまといつつ、前後方向への意識を強調するように設計されているのが特徴だ。具体的には、乗員の視線が自然と前方へ向かい、走りへの期待感を煽るようなデザインとなっている。また、高い操作性を確保するためにスイッチ類をグループ分けし、ドライビングを妨げないポジションにわかりやすく配置した。

注目は非常に高い透明度のクリスタルで作られたシフトノブ。クラフテッド・クリスタル・フィニッシュを採用し、なかから数字の「8」が浮かび上がる仕様となっている。シートはベンチレーション付きの上質なメリノレザー。アンビエント・ライトを標準装備しているので、ラグジュアリーオープンモデルであることを乗るたびに感じさせてくれるだろう。

『8シリーズ カブリオレ』の加速性能はピュアスポーツカー並。価格は1838万円

搭載されるパワーユニットは、『8シリーズ クーペ』と同様の4.4L V型8気筒ガソリンエンジン。最高出力530ps/5500-6000rpm、最大トルク750Nm/1800-4600rpmを発生し、8速スポーツAT(ステップトロニック付き)を組み合わせる。0-100km/h加速は「8」の名にふさわしく、3.9秒を実現。これはピュアスポーツカーに匹敵する動力性能だ。

なお、ドイツ本国やヨーロッパでは上記のエンジンを積む「M850i xDrive」のほかに、経済的な3.0L直列6気筒ターボディーゼルエンジンを搭載する「840d xDrive Mスポーツ」も選べるが、日本国内で販売されるのは現時点で「M850i xDrive」のみとなっている。

価格は『8シリーズ クーペ』より124万円アップとなる1838万円。高価なうえに、これだけのラグジュアリーオープンが似合うロケーションは国内ではなかなか見当たらない。とはいえ、オープンエアの季節だけに、所有欲を強く刺激するのはたしかだろう。

Text by Kenzo Maya
Photo by (C) BMW AG
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

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