editeur

検索
サービス終了のお知らせ
第10回 | MINIの最新車デザイン・性能情報をお届け

MINIがビッグマイチェン──初めて輸入車に乗る大人へ

MINIは、とにかくライナップが豊富だ。3ドア、5ドア、コンバーチブル、クラブマン、クロスオーバーの5タイプがあり、パワートレインも、ガソリン、ディーゼル、プラグインハイブリッドが存在する。なかでも、基幹モデルとされているのが、ハッチバックをベースにした『3ドア』『5ドア』『コンバーチブル』の3車種。現行モデルは2013年に発売された第三世代だが、先日、パワートレインを含めたビッグマイナーチェンジを果たした。

日本人にもっとも愛されている輸入車『MINI』がビッグなマイナーチェンジ

『ローバーミニ』がBMW傘下となり、『BMW MINI』へと生まれ変わってから16年の月日が流れた。40年以上の歴史を重ねた『ローバーミニ』が偉大だっただけに、当初は「ミニじゃない」といった声も少なくなかったと記憶している。しかし、『MINI』はセールスでもブランド構築でも、見事に成果を残した。

2017年の年間販売台数は約2万5000台。これは、2009年の2倍以上となる。『ローバーミニ』はとりわけ日本で高い人気を誇ったが、『MINI』も同じく日本人に愛された一台といっていいだろう。

それだけに、『MINI』のモデルチェンジは、それがマイナーチェンジでも注目を集める。今回はパワートレインも変更するビッグマイチェンなのでなおさらだろう。

変わらないことがいい…MINIにデザイン上のサプライズはあってはならない

そう煽ってはみたが、写真を見ただけでは、どこが変わったのかすぐにはわからないかもしれない。しかし、ファンにとっては「それがいい」のだ。

キープコンセプトの外観を貫くことで、『MINI』は誰がみても『MINI』だとひと目でわかる存在と成り得た。言い方を変えると、「これがMINI?」というサプライズはあってはならないのだ。

もちろん、今回も『MINI』のデザインアイコンである丸型ヘッドライト、六角形グリル、クローム・パーツといった要素はそのままだ。とはいえ、細部に目をこらせば思わずニヤリとする。

リアのコンビネーション・ライトは、ルーツであるイングランドを感じさせるユニオン・ジャックのデザイン。左右非対称なデザインとすることで、個性をより際立たせた。また、ロゴは最新のCI(コーポレートアイデンティティ)に基づく新作で、最近のトレンドに合わせて、立体的な形状からシャープで平面的なスタイルに変更された。

iPhoneで『MINI』を遠隔操作、つながる機能でユーザビリティがより向上!

内装も大きな変更はないが、機能面では進化が見られる。車載通信モジュールにより、ドライバー、クルマ、そして、それらを取り巻く周辺環境をITネットワークでつなぐ「MINIコネクテッド」を『MINI ONE』以外に標準搭載した。

「MINIコネクテッド」のおもな機能は、「MINIコネクテッド アプリ」「MINIオンライン」「MINIドライバー・サポート・デスク(オプション)」の4つ。

「MINIコネクテッド アプリ」は、iPhoneを利用して車両を遠隔操作できるサービスで、車外からドアをロック・アンロックしたり、半径1.5km圏内に駐車した車両の位置を地図上で確認したり、車外からベンチレーションを起動させたりすることが可能となっている。

「MINI オンライン」は、車載通信モジュールを利用して、車内のコントロール・ディスプレイから最新ニュースや天気予報をチェック・検索することができる。

「MINIドライバー・サポート・デスク(オプション)」は、車両の電話機能を活用してサポート・デスクに電話をし、24時間いつでも、さまざまな問い合わせが可能。これら以外では、オプションでiPhoneとクルマをつなげるカー・インフォテイメント機能「Apple CarPlay」の使用が可能となった。

ほかにも、エアバッグが展開するような深刻な事故が発生したとき、車両から自動的にSOSコールを発信したり、車両が自動的にすべての整備関連のCBSデータを指定されたMINI正規ディーラーに送信したりする機能も搭載している。

新型『MINI』は、2種類のパワートレインに4種類の新型ミッションを設定

走行性能でのトピックスは、新型トランスミッションの採用だ。ガソリンエンジン搭載車には、7速DCT(ダブル・クラッチ・トランスミッション)を、ハイスペックモデルの「ジョン・クーパー・ワークス」には8速スポーツATを搭載する。これらは、燃費性能の向上も図りつつ、よりダイレクトな走行を可能とした。

パワートレインは、1.5L直列3気筒ツインパワー・ターボと2.0L直列4気筒ツインパワー・ターボの2種類で、それぞれにガソリンとディーゼルを設定。トランスミッションとの組み合わせは以下の通りだ。

(1)1.5L直列3気筒ツインパワー・ターボ(ガソリン)×6速MT・7速DCT
(2)1.5L直列3気筒ツインパワー・ターボ(ディーゼル)×6速AT
(3)2.0L直列4気筒ツインパワー・ターボ(ガソリン)×6速MT・7速DCT
(4)2.0L直列4気筒ツインパワー・ターボ(ディーゼル)×6速AT
(5)2.0L直列4気筒ツインパワー・ターボ(ガソリン)×6速MT・8速スポーツAT

(1)はモデル名のみ、(2)はモデル名+D、(3)はモデル名+S、(4)はモデル名+SD、(5)は「ジョン・クーパー・ワークス」にのみ搭載されるといった法則がある。

新型『MINI』のラインナップは計14モデル、価格は238万円から523万円

発表されたモデル数は、『MINI 3ドア』が6モデル、『MINI5ドア』が5モデル、『MINIコンバーチブル』が3モデルの計14モデル。

『MINI 3ドア』は、「ONE」「クーパー」「クーパー D」「クーパーS」「クーパーSD」「ジョン・クーパー・ワークス」。『MINI 5ドア』は、「ONE」「クーパー」「クーパー D」「クーパーS」「クーパーSD」。『MINI コンバーチブル』は、「クーパー」「クーパーS」「クーパーSコンバーチブル」「ジョン・クーパー・ワークス コンバーチブル」といったライナップである。

すでに日本での発売は始まっており、価格は238万円(『MINI ONE 3ドア』)から523万円(『MINIジョン・クーパー・ワークス コンバーチブル』)まで。

特に3ドアの1.5Lガソリンモデルは300万円以下と、輸入車コンパクトカーのなかでは求めやすい価格帯だ。作りもBMW傘下ならではのプレミアム感があるので、コストパフォーマンスがいい一台といえる。『MINI』の熱心なファンはもちろんだが、初めての輸入車を検討している人におすすめしたい。

Text by Tsukasa Sasabayashi
Photo by (C) BMW AG
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

動画はこちら
MINI 3-Door and 5-Door Hatch オフィシャル動画
ピックアップ
第14回 | MINIの最新車デザイン・性能情報をお届け

Eクラシック ミニ──電動化された古き良き時代のMINI

いわゆる「クラシック ミニ」は英国を代表するミニマムカーである。1959年から2000年までオースチンやローバーといったブランドから販売され、現在の「BMW MINI」のルーツとなった。ボディサイズは、全長わずか3070mm、全高1400mm未満。これほど小さいのに大人4人が乗車することができたのだから、まさに画期的な小型車だ。その「クラシック ミニ」に電動モデルが登場。しかも、コンセプトモデルなどではなく、限定100台の市販車である。クラシカルなデザインと小さなボディもオリジナルのままだ。

英国の老舗エンジンメーカーが生産販売する「クラシック ミニ」初の量産電動モデル

生産終了してから19年が経過した「クラシック ミニ」を、現代にEV(電気自動車)として甦らせる。そんな計画が発表されたのは、今年2月に英国で開催されたロンドン・クラシックカー・ショーでのこと。製造と販売を行うのは、1971年に創業し、モータースポーツ用のエンジン設計などにかかわる英国企業のスウィンドン・パワートレイン社だ。

「EVなのだからベンチャー企業が作るに違いない」と考えるのは大間違い。英国南部のウィルトシャー州に本拠地をおくスウィンドン社は、英国ツーリングカー選手権やラリーに出場するレース車両にエンジンを供給する内燃機関のプロフェッショナル。そのエンジンメーカーが初めて手がける量産型EVが、今回の『Eクラシック ミニ』なのである。

「クラシック ミニ」の電動モデルはBMWも製作したことがあり、同社は現行型MINIにモーターを搭載したEVバージョンを計画している。しかし、100台というまとまった台数の電動「クラシック ミニ」が一般向けに販売されるのは、これが初めてのことだ。

EVパワートレインの最高出力は、オリジナルの「クラシック ミニ」のおよそ2倍

スウィンドン『Eクラシック ミニ』は、フルレストアした「クラシック ミニ」のボディに自社開発のEVパワートレインと蓄電容量24kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載する。モーターの最高出力は80kW(約109ps)。これはオリジナルモデルのおよそ2倍に相当する出力だ。それ加えて、EVの特性として低速から強力なトルクを発生する。

最高速度は80マイル(約128km/h)、0~100km/h加速は9.2秒。けっして速くはないが、遅くて困るほどでもない。とはいえ、エンジンを降ろしたことで車両重量は720kgに軽量化された。その結果、車両の前後バランスが良くなり、バッテリー搭載によって低重心化されたのでキビキビ走ることだろう。満充電からの航続可能距離は約200km。バッテリーの充電には4時間ほどかかるが、オプションで急速充電にも対応するという。

「クラシック ミニ」はミニマムカーなので荷室の狭さが弱点のひとつだったが、ガソリンタンクを排除したことでその点も少し改善された。容量は200Lに拡大している。

価格は約1128万円と高額! BMWも現行MINIの電動モデルを今年中に発表予定

インテリアはオリジナルモデルを受け継ぎ、極めてシンプルなデザインだ。とはいえ、パワーステアリング、パワーウインドウ、電動サンルーム、シートヒーター、充電用USBポートといったオリジナルになかったEVらしい装備を充実させている。Apple CarPlayやAndroid Autoに対応するインフォテインメント・システムはオプションだ。

ボディカラーは6色から選ぶことができ、標準でルーフの塗り分けも可能。価格は7万9000ポンド、邦貨換算で約1128万円とかなり高額だ。しかし、これはベース車両となる中古車をハンドメイドで修復することから生産を始めるため、やむを得ない部分もあるのだろう。なお、BMWも現行MINIのEVバージョンを今年中に発表する予定だ。

Text by Kenzo Maya
Photo by (C) Swind
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

ピックアップ

editeur

検索