走るなら高速道路よりも一般道…『スピードマスター』の特徴的なビーチバー
ボンネビルファミリーの最上位機種となる『スピードマスター』は、多くの特徴をもっている。外観で、まず目に飛び込んでくるのは、“スウェプトバックスタイル”と呼ばれるアップライトでワイドなビーチバー(ハンドル)だろう。
『スピードマスター』というモデル名とは対照的に、前寄りのフットレストや710mmの低めのシートによってリラックスしたライディングポジションを実現。低めのシート高による足つきの良さは、2人乗り時のふらつきにも即座に対応できるので、パートナーとのタンデムツーリングもストレスを感じることがなく、タンデムライダーも疲れないのだ。
高速道路よりも一般道、サービスエリアよりも道の駅。このビーチバーを見ると、『スピードマスター』が悠々と走る姿が鮮明に思い浮かんでくる。
外観は伝統的な英国クラシックカスタム、中身は最新の装備を持つ現代バイク
スタイリングは、単眼のヘッドライト、フロントフォークのブーツ、スポークホイールのタイヤ、そして美しい曲線で構成されたタンクなど、伝統的な英国クラシックカスタムの雰囲気を全身から醸し出している。
それでいて、じつは現代のバイクらしい高水準な装備とデジタルテクノロジーを秘めているのだ。
先進装備の一例を紹介すると、フルLEDのヘッドライト、「ロード」「レイン」の2つのライディングモード、安全装備のABS、切替え式トラクションコントロール、トルクアシストクラッチ、簡単操作のクルーズコントロール…という具合である。
これらは21世紀のバイクらしい装備といえるもので、テクノロジーの面でも抜かりはない。
ベテランライダーに最適!? 『スピードマスター』のトルクフルなエンジン
パワーユニットは、排気量1200ccの水冷SOHC並列2気筒エンジンで、270度クランクを採用する。これは、『ボンネビル 1200』のエンジンをボバー仕様の『スピードマスター』向けにトルクフルな味つけを施してチューンナップし、最大トルク106Nm/4000rpm、最高出力77ps/6100rpmというスペックに仕上げたものだ。
このトルクだが、『ボンネビル T120』と比較すると10%のアップ、先代の『スピードマスター(865cc、2015年モデル)』から42%アップという大幅な向上を果たしている。
トルクの太いバイクは、あらゆる速度域からでもアクセル操作で加速するので、街乗りで乗りやすく、2人乗りでも安定した走りができるため、ベテランライダーに好まれる傾向がある。
また、前述したように、ブレーキはABS仕様で、フロントブレーキはブレンボ製の310mm径ダブルディスクのツインピストン仕様だ。こうした安心の装備を搭載していることも強調しておきたい。
『スピードマスター』の価格は170.5万円、性能を考えればけっして高くない
ボディカラーは、「ジェットブラック」「クランベリーレッド×ジェットブラック」「フュージョンホワイト×ファントムブラック(ツインハンドペイントコーチライン付き)」の3つのバリエーション。
また、プレミアムVance & Hinesサイレンサー、スイングアームバッグ、パニアケース、ハイウェイペグ、エンジンバー、アジャスタブルツーリングスクリーンなど、130以上のカスタムアクセサリーのほか、より個性的なスタイルを求めるライダーのために、「ハイウェイ キット」と「マーベリック キット」の2つのインスピレーションキットも用意された。
価格は170万5000円(税込)。実質上のファクトリーカスタム&チューンが入念に施されていることを考えると、けっして高くはない内容だ。
『ボンネビル スピードマスター』に大切な人を乗せ、これまでのツーリングとはひと味違った“不自由を満喫する旅”に出かけるのは、きっと贅沢な時間になることだろう。
Text by Katsutoshi Miyamoto
Photo by (C) Triumph Motorcycles
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)