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第40回 | 大人ライダー向けのバイク

不自由な旅を愉しもう──TRIUMPHスピードマスター

英国の名門ブランドであるTRIUMPH(トライアンフ)は、いま世界的に最も勢いのあるオートバイメーカーだろう。その人気を牽引しているのは古い時代のスタイルを現代的にアレンジしたモダンクラシックなモデル群。なかでも、2018年3月に販売を開始した『Bonneville Speedmaster(ボンネビル スピードマスター)』は、英国クラシックカスタムの頂点ともいえる最新モデルだ。ボンネビルの正統なDNAにボバースタイルのこだわりをミックスしたスタイリングで、これまでにない新しい存在感をバイク界に放っている。

走るなら高速道路よりも一般道…『スピードマスター』の特徴的なビーチバー

ボンネビルファミリーの最上位機種となる『スピードマスター』は、多くの特徴をもっている。外観で、まず目に飛び込んでくるのは、“スウェプトバックスタイル”と呼ばれるアップライトでワイドなビーチバー(ハンドル)だろう。

『スピードマスター』というモデル名とは対照的に、前寄りのフットレストや710mmの低めのシートによってリラックスしたライディングポジションを実現。低めのシート高による足つきの良さは、2人乗り時のふらつきにも即座に対応できるので、パートナーとのタンデムツーリングもストレスを感じることがなく、タンデムライダーも疲れないのだ。

高速道路よりも一般道、サービスエリアよりも道の駅。このビーチバーを見ると、『スピードマスター』が悠々と走る姿が鮮明に思い浮かんでくる。

外観は伝統的な英国クラシックカスタム、中身は最新の装備を持つ現代バイク

スタイリングは、単眼のヘッドライト、フロントフォークのブーツ、スポークホイールのタイヤ、そして美しい曲線で構成されたタンクなど、伝統的な英国クラシックカスタムの雰囲気を全身から醸し出している。

それでいて、じつは現代のバイクらしい高水準な装備とデジタルテクノロジーを秘めているのだ。

先進装備の一例を紹介すると、フルLEDのヘッドライト、「ロード」「レイン」の2つのライディングモード、安全装備のABS、切替え式トラクションコントロール、トルクアシストクラッチ、簡単操作のクルーズコントロール…という具合である。

これらは21世紀のバイクらしい装備といえるもので、テクノロジーの面でも抜かりはない。

ベテランライダーに最適!? 『スピードマスター』のトルクフルなエンジン

パワーユニットは、排気量1200ccの水冷SOHC並列2気筒エンジンで、270度クランクを採用する。これは、『ボンネビル 1200』のエンジンをボバー仕様の『スピードマスター』向けにトルクフルな味つけを施してチューンナップし、最大トルク106Nm/4000rpm、最高出力77ps/6100rpmというスペックに仕上げたものだ。

このトルクだが、『ボンネビル T120』と比較すると10%のアップ、先代の『スピードマスター(865cc、2015年モデル)』から42%アップという大幅な向上を果たしている。

トルクの太いバイクは、あらゆる速度域からでもアクセル操作で加速するので、街乗りで乗りやすく、2人乗りでも安定した走りができるため、ベテランライダーに好まれる傾向がある。

また、前述したように、ブレーキはABS仕様で、フロントブレーキはブレンボ製の310mm径ダブルディスクのツインピストン仕様だ。こうした安心の装備を搭載していることも強調しておきたい。

『スピードマスター』の価格は170.5万円、性能を考えればけっして高くない

ボディカラーは、「ジェットブラック」「クランベリーレッド×ジェットブラック」「フュージョンホワイト×ファントムブラック(ツインハンドペイントコーチライン付き)」の3つのバリエーション。

また、プレミアムVance & Hinesサイレンサー、スイングアームバッグ、パニアケース、ハイウェイペグ、エンジンバー、アジャスタブルツーリングスクリーンなど、130以上のカスタムアクセサリーのほか、より個性的なスタイルを求めるライダーのために、「ハイウェイ キット」と「マーベリック キット」の2つのインスピレーションキットも用意された。

価格は170万5000円(税込)。実質上のファクトリーカスタム&チューンが入念に施されていることを考えると、けっして高くはない内容だ。

『ボンネビル スピードマスター』に大切な人を乗せ、これまでのツーリングとはひと味違った“不自由を満喫する旅”に出かけるのは、きっと贅沢な時間になることだろう。

Text by Katsutoshi Miyamoto
Photo by (C) Triumph Motorcycles
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

動画はこちら
TRIUMPH Bonneville Speedmaster オフィシャル動画
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第69回 | 大人ライダー向けのバイク

ドゥカティ ディアベル1260──悪役感溢れるクルーザー

クルーザーとは、平坦で長い直線道路を巡航(クルーズ)することに重点をおいたオートバイのスタイルのことだ。ハーレーダビッドソンやインディアンをイメージするとわかりやすいだろう。広大な北米大陸で発達したことから、日本ではアメリカンバイクとも呼ばれている。それをイタリア流のセンスによって味つけしたのが、ドゥカティ『ディアベル』である。従来のクルーザーと一線を画す独創的なデザインをもつ『ディアベル』は、2011年にデビューするや世界中で大ヒット。そして今回、第二世代へと進化した。

クルーザーでも「走りはやっぱりドゥカティ」。ファンの期待に応えるキャラクター

2010年にEICMA(ミラノモーターサイクルショー)で発表された初代『Diavel(ディアベル)』は、斬新なデザインだけではなく、従来のドゥカティのイメージと異なるクルーザージャンルに挑戦したモデルとして話題を集めた。じつは、ドゥカティは2014年にフォルクスワーゲングループに属するアウディに買収され、その傘下となっている。レース由来のスポーツモデルというブランドのアイデンティティを脇に置き、経営戦略を優先した結果の新型車と見る者が多かったことも、注目された理由のひとつだったのだろう。

しかし、初代『ディアベル』は見た目以上にスポーティで、実際にライディングを味わった人々からは「やっぱり走りはドゥカティ」との評価を得ることが多い。そうしたユーザーの声は、期待どおりのキャラクターに仕上げられていることを証明するものだ。

その『ディアベル』が第二世代へと進化した。ドゥカティは3月に開催されたジュネーブモーターショーで2019年モデルの発表を行ったが、そこで専用スペースを与えられ、ショーのアイコンモデルとしてお披露目されたのが『ディアベル1260』だ。しかも、2014年のようなマイナーチェンジではなく、すべてを見直した2代目としての登場である。

低回転域でもパワフルな排気量1262ccの「テスタストレッタDVT」エンジンを搭載

アイコニックな外観は、シルエット自体に大きな変化はない。しかし、全体にボリュームアップしており、重量感も増していると感じる。トレリス(格子状)フレームもまったく新しくなり、ぱっと見た印象としては、よりヒール(悪役)感が演出されているようだ。短いシートエンドとスラッシュカットで跳ね上がるサイレンサーエンドは、リアまわりをすっきりとさせた。同時にマスが凝縮されているようで、鍛えられた筋肉を連想させる。

その細部への作り込みによる質感の高さが評価されたのか、『ディアベル1260』は第二世代であるにもかかわらず、ドイツの権威あるプロダクトデザイン賞「Red Dot Award 2019:Best of the Best(レッド・ドット・デザイン賞)」にも輝いているくらいだ。

エンジンは、初代から継承されてきた排気量1198ccの水冷L型ツインからスープアップされ、1262ccの強力な「テスタストレッタDVT」エンジンを搭載。それにより、最高出力は従来の152hp/9000rpmから159hp/9000rpmへ、最大トルクは12.5kgm/8000rpmから13.2kgm/7500rpmへとそれぞれ高められている。車体重量はドライウエイトで218kgもあるが、これだけのトルクがあれば低速域でも軽快に扱えるはずだ。

ドゥカティ自身も新エンジンについて、「息を呑む加速とスムーズな低回転域のパワー特性を備え、日常ユースにも長距離ツアーにも対応する」としている。そのパワーを受け止めるのは、『ディアベル』のトレードマークである極太のリアタイヤだ。クルマ並の240mmという超ワイドタイヤを装着し、ボッシュ製のコーナリングABSも標準装備された。

特別なコンポーネントを与えられたスポーティ仕様車『ディアベル1260 S』も設定

新型には標準仕様に加えてスポーティな「S」バージョンも設定された。こちらには、専用のシートとホイールが与えられるほか、ブレンボ製M50ラジアルマウント・モノブロック・ブレーキ・キャリパー、オーリンズ製サスペンションなどを装備。さらに、クラッチ操作をせずに変速できる「クイックシフトアップ&ダウンエボ」も標準装備される。

『ディアベル1260』は、すでに1月半ばからボローニャにあるドゥカティの本社工場で生産が始まっており、ヨーロッパでは3月から販売が開始された。日本での発売は7月ごろを予定している。4月13日には大阪で「Ducati Diavel Meeting」が開催されたが、なんとこのミーティングの参加者は現行『ディアベル』のオーナー限定だった。新型のオーナーになれば、こうした特別なイベントへの招待状がドゥカティから届くかもしれない。

Text by Koji Okamura
Photo by (C) Ducati Motor Holding S.p.A
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

動画はこちら
Ducati Diavel 1260 オフィシャル動画
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