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第41回 | 大人ライダー向けのバイク

HONDAモンキー125──俺たちのモンキーが帰ってきた

いま大人となったライダーの多くは、10代のころにホンダ『モンキー』に乗った経験があるはずだ。自分好みにカスタムしていた人もいることだろう。安価で気軽な『モンキー』はカスタムベースにしやすく、アフターパーツも豊富で、バイク&メカ好きの少年たちを育ててくれる素晴らしい教科書だった。その『モンキー』が生産販売を終了し、ファンを悲しませてから1年足らず。「俺たちのモンキー」が125ccとなって早くも復活することとなった。

デザインは往時のままに、ひと回り大きいサイズ感となった『モンキー125』

『モンキー』は、かつてホンダが運営していた遊園地の乗り物から誕生したレジャーバイクだ。当時のレジャーブームに後押しされるかたちで、まず1964年に輸出モデルとして製造され、1967年の国内販売時に初めて「モンキー」の愛称がつけられた。

初期モデルはサスペンションのないリジッドフレームで、タイヤ径はわずかに5インチ。まるでシートにタイヤとエンジンをつけたかのようなコンパクトさだった。

その後も進化と改良が重ねられ、さまざまな派生モデルが登場した。ホンダの歴史において『モンキー』は欠くことのできない存在であり、ヨーロッパの排ガス規制強化の影響によって2017年8月に生産販売を終了した際には、なんともいえない寂しさを感じたものだ。

しかし、東京モーターショー2017に125ccのコンセプトモデルを登場させてファンを驚かせると、その後、市販モデルとなる『モンキー125』が2018年7月から日本やヨーロッパで販売されることが正式発表された。

排気量が50ccから125ccとなったことで、サイズ感はひと回り以上大きくなった印象だ。しかし、往時を彷彿とさせるタンクやシートの形状、そしてポップなカラーリングなどはそのままとなっている。

「モンキーファンを裏切ってはいけない」というホンダの開発者の思い入れ

『モンキー125』は、贅沢にも前後のブレーキを油圧ディスクにし、フロントブレーキにはなんとABSの設定もある。フロントサスペンションは倒立式だ。見た目が旧モデルのフリクションダンパー式サスに似ているために採用したかどうかはわからないが、しっかり減衰力を得られるオイルダンパーとなった。

また、前後のフェンダーにスチールを採用し、メッキ仕上げにしたあたりにも、「モンキーファンを裏切ってはいけない」というホンダ側の強い思い入れがあったことがうかがえる(同じ125ccのホンダ『GROM』がベースになっているようだが…)。

最高出力は 6.9kW(9.4ps)/7000rpmで、最大トルクは11Nm(1.1kgm)5250rpm。タンデムも十分可能なパワーを得ているが、仕様は1人乗りだ。スタータもキックではなくセルのみとなっている。

もっとも目を引くのは細部の仕上げの美しさだ。ハンドルスイッチ、メーター類、ステアリングブラケット、配線の処理、マフラーエンドの形状などが現代のバイクのそれとなり、所有する満足感も格段に向上したといえる。

タイヤサイズが12インチ(F120/80-12、R130/80-12)と大きくなってしまったのは残念だが、これは全体のバランスから考えれば仕方ないところだろう。

原付一種よりも原付二種…市場ニーズに合わせた復活した「ニューモンキー」

じつは、東京モーターショー2017でコンセプトモデルとしてお披露目された当初、『モンキー125』はホンダ社内でも市販化を危ぶむ声が多かった。

おそらく、ショーでの反応や市場調査によって、販売すべきかどうかを推し測っていて、ホンダ側関係者も「50ccじゃないモンキーなんて」と、ファンから批判を受けるのを覚悟していたに違いない。

ところが、その予想に反して『モンキー125』の反応は上々だった。いや、拍手をもって迎えられたといっても言い過ぎではないかもしれない。

実際のところ、ヨーロッパの排ガス規制に対応するには高回転域を多用する小排気量ほど不利なわけで、それゆえの排気量アップだった。しかし、はからずも『モンキー125』は国内市場のニーズと合致していたようである。

ユーザーのニーズは現在、50cc未満の原付一種から125ccまでの原付二種に移りつつある。原付一種には30km/hの制限速度や二段階右折といったわずらわしさがあり、いまや原付二種でも保険は原付特約が使える。そうしたことから、販売実績も一種と二種が逆転する勢いなのだ。

『モンキー125』の価格は約39万円から約43万円、やや高いという印象も!?

カラーバリエーションは「パールネビュラレッド×ロスホワイト」と「バナナイエロー×ロスホワイト」の2色。ヨーロッパでは、これに「パールシャイニングブラック×ロスホワイト」を加えた3色が展開される。

価格は39万9600円。ABS装備車は3万2400円プラスの43万2000円となっている(いずれも税込み)。同クラスである『GROM』の35万1000円と比べると「少し高い」という印象だが、これは予想以上に開発費がかかってしまったということだろうか。

いずれにせよ、復活する「ニューモンキー」の発売が楽しみである。

Text by Koji Okamura
Photo by (C) Honda Motor Europe
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

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第69回 | 大人ライダー向けのバイク

ドゥカティ ディアベル1260──悪役感溢れるクルーザー

クルーザーとは、平坦で長い直線道路を巡航(クルーズ)することに重点をおいたオートバイのスタイルのことだ。ハーレーダビッドソンやインディアンをイメージするとわかりやすいだろう。広大な北米大陸で発達したことから、日本ではアメリカンバイクとも呼ばれている。それをイタリア流のセンスによって味つけしたのが、ドゥカティ『ディアベル』である。従来のクルーザーと一線を画す独創的なデザインをもつ『ディアベル』は、2011年にデビューするや世界中で大ヒット。そして今回、第二世代へと進化した。

クルーザーでも「走りはやっぱりドゥカティ」。ファンの期待に応えるキャラクター

2010年にEICMA(ミラノモーターサイクルショー)で発表された初代『Diavel(ディアベル)』は、斬新なデザインだけではなく、従来のドゥカティのイメージと異なるクルーザージャンルに挑戦したモデルとして話題を集めた。じつは、ドゥカティは2014年にフォルクスワーゲングループに属するアウディに買収され、その傘下となっている。レース由来のスポーツモデルというブランドのアイデンティティを脇に置き、経営戦略を優先した結果の新型車と見る者が多かったことも、注目された理由のひとつだったのだろう。

しかし、初代『ディアベル』は見た目以上にスポーティで、実際にライディングを味わった人々からは「やっぱり走りはドゥカティ」との評価を得ることが多い。そうしたユーザーの声は、期待どおりのキャラクターに仕上げられていることを証明するものだ。

その『ディアベル』が第二世代へと進化した。ドゥカティは3月に開催されたジュネーブモーターショーで2019年モデルの発表を行ったが、そこで専用スペースを与えられ、ショーのアイコンモデルとしてお披露目されたのが『ディアベル1260』だ。しかも、2014年のようなマイナーチェンジではなく、すべてを見直した2代目としての登場である。

低回転域でもパワフルな排気量1262ccの「テスタストレッタDVT」エンジンを搭載

アイコニックな外観は、シルエット自体に大きな変化はない。しかし、全体にボリュームアップしており、重量感も増していると感じる。トレリス(格子状)フレームもまったく新しくなり、ぱっと見た印象としては、よりヒール(悪役)感が演出されているようだ。短いシートエンドとスラッシュカットで跳ね上がるサイレンサーエンドは、リアまわりをすっきりとさせた。同時にマスが凝縮されているようで、鍛えられた筋肉を連想させる。

その細部への作り込みによる質感の高さが評価されたのか、『ディアベル1260』は第二世代であるにもかかわらず、ドイツの権威あるプロダクトデザイン賞「Red Dot Award 2019:Best of the Best(レッド・ドット・デザイン賞)」にも輝いているくらいだ。

エンジンは、初代から継承されてきた排気量1198ccの水冷L型ツインからスープアップされ、1262ccの強力な「テスタストレッタDVT」エンジンを搭載。それにより、最高出力は従来の152hp/9000rpmから159hp/9000rpmへ、最大トルクは12.5kgm/8000rpmから13.2kgm/7500rpmへとそれぞれ高められている。車体重量はドライウエイトで218kgもあるが、これだけのトルクがあれば低速域でも軽快に扱えるはずだ。

ドゥカティ自身も新エンジンについて、「息を呑む加速とスムーズな低回転域のパワー特性を備え、日常ユースにも長距離ツアーにも対応する」としている。そのパワーを受け止めるのは、『ディアベル』のトレードマークである極太のリアタイヤだ。クルマ並の240mmという超ワイドタイヤを装着し、ボッシュ製のコーナリングABSも標準装備された。

特別なコンポーネントを与えられたスポーティ仕様車『ディアベル1260 S』も設定

新型には標準仕様に加えてスポーティな「S」バージョンも設定された。こちらには、専用のシートとホイールが与えられるほか、ブレンボ製M50ラジアルマウント・モノブロック・ブレーキ・キャリパー、オーリンズ製サスペンションなどを装備。さらに、クラッチ操作をせずに変速できる「クイックシフトアップ&ダウンエボ」も標準装備される。

『ディアベル1260』は、すでに1月半ばからボローニャにあるドゥカティの本社工場で生産が始まっており、ヨーロッパでは3月から販売が開始された。日本での発売は7月ごろを予定している。4月13日には大阪で「Ducati Diavel Meeting」が開催されたが、なんとこのミーティングの参加者は現行『ディアベル』のオーナー限定だった。新型のオーナーになれば、こうした特別なイベントへの招待状がドゥカティから届くかもしれない。

Text by Koji Okamura
Photo by (C) Ducati Motor Holding S.p.A
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

動画はこちら
Ducati Diavel 1260 オフィシャル動画
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