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第37回 | ポルシェの最新車デザイン・性能情報をお届け

カイエンE-ハイブリッド──ポルシェは電動化に本気だ

ラグジュアリーSUVブームの火つけ役であり、牽引役でもあるポルシェ『カイエン』。ラグジュアリーSUVを“ブーム”から“定番”へと引き上げた立役者といってもいいだろう。人気はとどまるところを知らず、いまだ憧れのクルマとして君臨し続け、ポルシェの稼ぎ頭となっている。その理由のひとつが、絶え間ない進化だ。先代『カイエン』はほかのプレミアムSUVに先駆けてPHV(プラグインハイブリッド)を設定。次世代のプレミアムSUVの方向性を示唆した。2017年にデビューした3代目モデルにも『カイエンE-ハイブリッド』の設定が噂されていたが、今回、ついに正式発表となった。

『カイエンS』よりも速い3L V6ターボエンジン+モーターのパワートレイン

最新のポルシェが最良のポルシェ──。『カイエンE-ハイブリッド』は、その言葉を地でいく一台だ。なにより、動力性能の進化が著しい。パワートレインは、ベースモデルである『カイエン』と同じ3.0L V型6気筒ガソリンツインターボにモーターが組み合わされる。

ガソリンエンジンの最高出力は340ps(250kW)、最大トルクは450Nm(332 lb-ft)。モーターは最高出力136ps、最大トルク400Nm(295 lb-ft)。パワートレイン全体では、最高出力462ps(339kW)、最大トルク71.4kgmとなる。

ちなみに、先代の『カイエンS E-ハイブリッド』は、最高出力が416ps、最大トルクが490Nmだった。

トランスミッションには、新開発の8速AT(ティプトロニックS)が組み合わされ、0ー100km/h加速は5秒、最高速は253km/hに達する。これは、先代の0-100km/h加速5.9秒、最高速度243km/hはもちろんのこと、現行型『カイエンS』の0-100km/h加速5.2秒、最高速度265km/hをも上回る数字だ。

EVとして44kmを走行可能、『カイエンE-ハイブリッド』の驚きの燃費性能

PHVの魅力は、動力性能だけではない。EV(電気自動車)としての走行が可能で、燃費が向上することもメリットのひとつだ。

『カイエンE-ハイブリッド』は、先代から3割近く増量した14.1kWhのバッテリーを搭載。EVとして最長44.1kmの走行が可能となった。EVとしての最高速度は135km/hなので、高速走行も可能である。

燃費は装着するタイヤによって異なるが、NEDO(新欧州ドライブサイクル)では約29.4〜31.3km/L(EVとしては4.8〜4.9km/kWh)を達成している。

気になる充電時間だが、標準の3.6kW充電器を使って230V10Aの電源から充電すると7.8時間。オプションの7.2kW充電器で230V32Aの電源から充電すれば2.3時間でフル充電が可能だ。

この充電プロセスは、先進のインフォテイメントシステム「PCM(ポルシェ・コミュニケーション・マネジメントシステム)」を介して管理ができ、スマートフォンの「ポルシェ・コネクト」アプリを使えば、リモートでも操作できる。

E-ハイブリッドのエコロジーさを象徴するアシッド・グリーンのエンブレム

エクステリアに関しては、ほぼ『カイエン』『カイエンS』を踏襲している。全体の印象は、エレガントな流線形。大型のフロントのエアインテークはスポーティさを、水平のライトエッジはワイドで堂々とした佇まいを演出している。

PHVとわかるのは、エコを感じさせるアシッド・グリーンのブレーキ・キャリパーや、同色で縁取られたエンブレムくらいだろう。

インテリアにもほぼ変化はない。ただしオプションとして、ポルシェのモデルとしては初めて「ヘッドマウントディスプレイ」を採用。また、22インチ軽量合金製ホイールやオハイブリッド・システムを最適制御する「インノドライブ」なども準備された。

先代の『カイエンS』に「E-ハイブリッド」が存在するように、もしかすると、いずれは新型の『カイエンS E-ハイブリッド』も発表されるかもしれない。日本上陸はアナウンスされていないが、今からさらなる進化を期待してしまう。

Text by Tsukasa Sasabayashi
Photo by (C) Porsche AG
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

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Porsche Cayenne E-Hybrid オフィシャル動画
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第53回 | ポルシェの最新車デザイン・性能情報をお届け

ポルシェ カイエンクーペ──SUVクーペに真打ちが参戦

世界の自動車市場を席巻するプレミアムSUVというジャンルは、2002年にポルシェ初のSUVとしてデビューした『カイエン』から始まった。スーパーカー並の性能を有するランボルギーニ『ウルス』やベントレー『ベンテイガ』も、『カイエン』の存在がなければ登場はもっと後だったかもしれない。その高級SUVの祖に、これまでクーペボディをもつ派生車種がラインナップされていなかったのが不思議なくらいだ。今年4月、ポルシェは上海で『カイエン クーペ』を初公開した。まさしく、満を持してのデビューである。

より低くスポーティなルックスになった『カイエン』。ライバルは『GLEクーペ』?

プレミアムSUV市場には、すでにいくつかのSUVクーペが存在する。メルセデス・ベンツなら『GLCクーペ』『GLEクーペ』、BMWなら『X4』『X6』。高級車ブランドがこぞってSUVに注力した結果、市場は多様化し、多くの選択肢をユーザーに用意することが求められるようになった。そうしたなかで、元祖プレミアムSUVである『カイエン』にクーペモデルが加わるのは必然。むしろもっと早く市場に投入してもよかったかもしれない。

『カイエン クーペ』はその名のとおり、ボディ後部にいくほど傾斜していく流麗なルーフラインをもったクーペルックのSUVだ。横から見ると、フロントウィンドウとAピラーが通常モデルよりも低く、寝かされていることがわかる。ルーフエンドには、クーペスタイルを強調するかのようにルーフスポイラーが装着された。ボディサイズは全長4931×全幅1983×全高1676mm。通常モデルと比べて全長が13mm長くなり、全高は20mm低くなった。さらに、新設計の後部ドアとフェンダーにより形状が変わったことで、全幅も18mmワイドになっている。全体として、より低くスポーティになった印象だ。

ルーフは2種類。固定式パノラマガラスルーフが標準で、カーボンルーフをオプションで選択できる。0.92m2のガラスルーフはかつてない開放感を乗員に与え、統合されたローラーブラインドが直射日光や寒さを防いでくれる。カーボンルーフは『911 GT3 RS』と同様に中央に窪みを持つ形状で、いかにもスポーティカーといった雰囲気を醸し出す。

『カイエンターボ クーペ』は最高出力550馬力。0~100km/h加速はなんと3.9秒

クーペ化にともなって室内空間にも変更が加えられた。標準モデルとの大きな違いは、後席がそれぞれ独立して2座になり、4つのスポーツシートを備えるようになったことだ(ベンチシートもオプションで選べる)。とりわけ前席は、インテグレーテッドヘッドレストと8ウェイ電動調節を備えたスポーツシートを採用し、優れた快適性とホールド性でドライバーをサポートする。また、全高は低くなったものの、リアシートの着座位置を標準モデルより30mm低くしたことで、後席のヘッドスペースも十分な広さを確保した。

ラゲッジルームの容量は通常時で625L。後席を畳めば最大1540Lまで拡大することが可能だ(『カイエンターボ クーペ』では通常時600L、最大で1510Lとなる)。

パワーユニットはグレード別に2種類のガソリンエンジンが用意された。『カイエン クーペ』は3.0L V型6気筒ターボエンジンを搭載し、最高出力は340ps(250kW)、最大トルクは450N・m。0~100km/h加速は5.9秒(オプションの「軽量パッケージ」)、最高速度は243km/hだ。『カイエンターボ クーペ』は4.0L V型8気筒ツインターボエンジンを搭載し、最高出力は550ps(404kW)、最大トルクは770N・m。こちらの動力性能はさらに強烈で、0~100km/h加速は3.9秒に短縮し、最高速度は286km/hに達する。

すでに日本国内で予約受注も開始。『ウルス』のエンジンを積む最強グレードも登場?

『カイエン クーペ』『カイエンターボ クーペ』ともに、すでに日本国内での予約受注を開始しているが、国内発売日はまだ未定。一方、ヨーロッパでは、この2台の中間グレードとなる『カイエンS クーペ』が5月15日に発表され、さらにランボルギーニ『ウルス』と同型のエンジンを搭載するハイパフォーマンスモデルが設定されるとの情報もある。実現すれば、最高出力640ps以上の最強モデルがシリーズに加わることになるだろう。

まさに、プレミアムSUVブームを牽引してきた『カイエン』による怒涛のニューモデル攻勢といった趣だ。高級SUV市場が今後ますます活性化していくのは間違いない。1000万円以上の高級SUVを買える裕福な人々にとっては、選択肢が広がるのではないか。

Text by Kenzo Maya
Photo by (C) Porsche AG.
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

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