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第39回 | 大人ライダー向けのバイク

DUCATIムルティストラーダ1260──凶暴な走りを見よ

群雄割拠の大排気量のアドベンチャーツアラー市場のなかで、その独創的なデザインとアイデアを随所に取り入れ、“違いのわかるライダー”から絶大な支持を集めているバイクがある。それがドゥカティ『MULTISTRADA(ムルティストラーダ)』だ。2018年4月、シリーズの最上位機種『ムルティストラーダ1200』がアップグレードを受けて『ムルティストラーダ1260』に進化し、3つのバリエーションで日本上陸をはたした。

クラス最大のトルクを発生する新型『ムルティストラーダ1260』のエンジン

モデルチェンジした『ムルティストラーダ1260』は3つのバリエーションを展開する。ベーシックな『ムルティストラーダ1260』、その上位モデルの『ムルティストラーダ1260 S』、スポーティな『ムルティストラーダ1260 PIKES PEAK(パイク・スピ-ク)』の3モデルだ。

それぞれ独自の特徴をもっているが、新デザインとなったカウルと、先代に比較して340g軽い5本スポークのアルミホイールは全モデルに採用され、クルーズ・コントロールも標準装備。これは左ハンドルバーのスイッチギアに一体化されたコントローラーで好みの速度に設定可能。また、『1260 S』にはBluetoothモジュールも標準装備される。

エンジンはEUで施行されているユーロ4規制に対応しつつ、排気量がこれまでの1198ccから1262ccへと拡大。それにともない、ドゥカティのアイデンティティともいえるL型2気筒水冷エンジン「テスタストレッタDVT(デスモドロミック・バリアブル・タイミング)」のすべてのパーツが見直され、低回転域でも太くたくましい低中速域トルクが発揮できるようになった。

その動力性能は、最大トルク129.5Nm(13.2kgm)/7500 rpm、最高出力は116.2kW(158ps)/9500rpmというスペック(日本仕様)だ。最大トルクは5500rpmで比べると先代を18%上回り、一般的に使用頻度の高い4000rpmではクラス最大のトルクを発生する。

スポーツモデルの『ムルティストラーダ1260パイクス・ピーク』は鬼スゴイ!

MULTISTRADA(ムルティストラーダ)というモデル名はイタリア語で、「あらゆる道、多様な道」という意味だ。英語に直訳すればMulti Street(マルチストリート)となる。

『ムルティストラーダ』は、2010年のデビュー時から「性格の異なる4タイプのバイクをひとつに」をコンセプトに、スポーツ・高速ツーリング・市街地・悪路のいずれもこなすモデルとして開発されてきた。そうしたことから、新型『ムルティストラーダ1260』は「スポーツ」「ツーリング」「アーバン」「エンデューロ」という4つのライディングモードの切り替えも可能となっている。

日本に上陸した3モデルのなかでも、スポーティな『1260パイクス・ピーク』は鬼スゴイのひと言だ。

パイクス・ピーク(PIKES PEAK)とは、「雲に向かうレース」の別名で知られるアメリカの伝説的ヒルクライムレースのこと。ドゥカティはこのレースで過去に3回勝利しており、そこで『ムルティストラーダ1260』のスポーツキャラクターモデルに「パイクス・ピーク」の名が与えられた。

『1260 S』よりも3 kg軽量なアルミホイールを装着し、フロントにオーリンズ製フルアジャスタブルフォーク、リアにやはりオーリンズ製TTX36ショックを装備。また、テルミニョーニ製カーボンファイバー・ドゥカティ・パフォーマンス・サイレンサーに、レーシングタイプのカーボンファイバー製ロースクリーンも付属するなど、究極のスポーツ性が与えられている。

価格は231万円から…『1260パイクス・ピーク』は初心者ライダーには危険

『1260パイクス・ピーク』は誰でも乗りこなすことのできるバイクではない。安全装備として、ドゥカティ・ウィリー・コントロール、ドゥカティ・セーフティ・パック(ABSとドゥカティ・トラクション・コントロールを統合)を装備するが、その走りは凶暴で、初心者ライダーはけっして手を出してはいけないモデルだ。

逆に腕に覚えのあるライダーが新型『ムルティストラーダ1260』に乗るなら、『1260パイクス・ピーク』の一択だろう。ジビエ料理に出るワインを愉しむように「パイクス・ピーク」をぜひ乗りこなしてほしい。

価格は、『ムルティストラーダ1260』が231万6000円、『ムルティストラーダ1260 S』は262万5000円から、『ムルティストラーダ1260パイクス・ピーク』は306万9000円。すでに全国のドゥカティジャパンネットワーク店で販売中だ。

Text by Katsutoshi Miyamoto
Photo by (C) Ducati Motor Holding S.p.A
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

動画はこちら
DUCATI Multistrada 1260 オフィシャル動画
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第69回 | 大人ライダー向けのバイク

ドゥカティ ディアベル1260──悪役感溢れるクルーザー

クルーザーとは、平坦で長い直線道路を巡航(クルーズ)することに重点をおいたオートバイのスタイルのことだ。ハーレーダビッドソンやインディアンをイメージするとわかりやすいだろう。広大な北米大陸で発達したことから、日本ではアメリカンバイクとも呼ばれている。それをイタリア流のセンスによって味つけしたのが、ドゥカティ『ディアベル』である。従来のクルーザーと一線を画す独創的なデザインをもつ『ディアベル』は、2011年にデビューするや世界中で大ヒット。そして今回、第二世代へと進化した。

クルーザーでも「走りはやっぱりドゥカティ」。ファンの期待に応えるキャラクター

2010年にEICMA(ミラノモーターサイクルショー)で発表された初代『Diavel(ディアベル)』は、斬新なデザインだけではなく、従来のドゥカティのイメージと異なるクルーザージャンルに挑戦したモデルとして話題を集めた。じつは、ドゥカティは2014年にフォルクスワーゲングループに属するアウディに買収され、その傘下となっている。レース由来のスポーツモデルというブランドのアイデンティティを脇に置き、経営戦略を優先した結果の新型車と見る者が多かったことも、注目された理由のひとつだったのだろう。

しかし、初代『ディアベル』は見た目以上にスポーティで、実際にライディングを味わった人々からは「やっぱり走りはドゥカティ」との評価を得ることが多い。そうしたユーザーの声は、期待どおりのキャラクターに仕上げられていることを証明するものだ。

その『ディアベル』が第二世代へと進化した。ドゥカティは3月に開催されたジュネーブモーターショーで2019年モデルの発表を行ったが、そこで専用スペースを与えられ、ショーのアイコンモデルとしてお披露目されたのが『ディアベル1260』だ。しかも、2014年のようなマイナーチェンジではなく、すべてを見直した2代目としての登場である。

低回転域でもパワフルな排気量1262ccの「テスタストレッタDVT」エンジンを搭載

アイコニックな外観は、シルエット自体に大きな変化はない。しかし、全体にボリュームアップしており、重量感も増していると感じる。トレリス(格子状)フレームもまったく新しくなり、ぱっと見た印象としては、よりヒール(悪役)感が演出されているようだ。短いシートエンドとスラッシュカットで跳ね上がるサイレンサーエンドは、リアまわりをすっきりとさせた。同時にマスが凝縮されているようで、鍛えられた筋肉を連想させる。

その細部への作り込みによる質感の高さが評価されたのか、『ディアベル1260』は第二世代であるにもかかわらず、ドイツの権威あるプロダクトデザイン賞「Red Dot Award 2019:Best of the Best(レッド・ドット・デザイン賞)」にも輝いているくらいだ。

エンジンは、初代から継承されてきた排気量1198ccの水冷L型ツインからスープアップされ、1262ccの強力な「テスタストレッタDVT」エンジンを搭載。それにより、最高出力は従来の152hp/9000rpmから159hp/9000rpmへ、最大トルクは12.5kgm/8000rpmから13.2kgm/7500rpmへとそれぞれ高められている。車体重量はドライウエイトで218kgもあるが、これだけのトルクがあれば低速域でも軽快に扱えるはずだ。

ドゥカティ自身も新エンジンについて、「息を呑む加速とスムーズな低回転域のパワー特性を備え、日常ユースにも長距離ツアーにも対応する」としている。そのパワーを受け止めるのは、『ディアベル』のトレードマークである極太のリアタイヤだ。クルマ並の240mmという超ワイドタイヤを装着し、ボッシュ製のコーナリングABSも標準装備された。

特別なコンポーネントを与えられたスポーティ仕様車『ディアベル1260 S』も設定

新型には標準仕様に加えてスポーティな「S」バージョンも設定された。こちらには、専用のシートとホイールが与えられるほか、ブレンボ製M50ラジアルマウント・モノブロック・ブレーキ・キャリパー、オーリンズ製サスペンションなどを装備。さらに、クラッチ操作をせずに変速できる「クイックシフトアップ&ダウンエボ」も標準装備される。

『ディアベル1260』は、すでに1月半ばからボローニャにあるドゥカティの本社工場で生産が始まっており、ヨーロッパでは3月から販売が開始された。日本での発売は7月ごろを予定している。4月13日には大阪で「Ducati Diavel Meeting」が開催されたが、なんとこのミーティングの参加者は現行『ディアベル』のオーナー限定だった。新型のオーナーになれば、こうした特別なイベントへの招待状がドゥカティから届くかもしれない。

Text by Koji Okamura
Photo by (C) Ducati Motor Holding S.p.A
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

動画はこちら
Ducati Diavel 1260 オフィシャル動画
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