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第12回 | ランドローバーの最新車デザイン・性能情報をお届け

王道にして本命の最高級車──レンジローバーSVクーペ

その施設は、イギリス中部、ウェスト・ミッドランズ州コベントリーに本部を構える。「SVO(スペシャル・ビークル・オペレーションズ)」は、ジャガー・ランドローバーグループにおける特別仕様車の製造や車両のパーソナライゼーションなどを手掛けるセクションだ。現行モデルでは、『レンジローバー スポーツSVR』『レンジローバー SVオートバイオグラフィー』などを輩出している。そのSVOが技術の粋を集めて最高級の一台を生み出した。『レンジローバーSV COUPÉ(クーペ)』である。

名門ブランドが送り出す「世界初のフルサイズ・ラグジュアリーSUVクーペ」

「砂漠のロールスロイス」。ランドローバーのフラッグシップモデルである『レンジローバー』を形容するときに多用される言葉だ。『レンジローバーSVクーペ』は、まさにその名に相応しい。

下世話な話になるが、価格からしてこれまでの『レンジローバー』を大きく上回る。その額、24万ポンド(約3529万円)。もちろん、ランドローバーのなかで最高級のモデルだ。

50年前にラクジュアリーSUVという新ジャンルを生み出した『レンジローバー』だが、『レンジローバーSVクーペ』は「世界初のフルサイズ・ラグジュアリーSUVクーペ」を謳っている。ひと昔前までSUVは武骨なイメージだったが、今ではスタイリッシュなクーペスタイルもめずらしくない。

しかし、王道である『レンジローバー』が本気で手がけると、均整のとれた美しさと力強い外観が見事に両立し、単にスタイリッシュなだけではない、気高い雰囲気でオーラとも呼べる存在感を醸し出す。象徴的なフローティングルーフ、途切れのないウエストラインと引き締まったテールといった『レンジローバー』のヘリテージが受け継がれていることも、気高い雰囲気でオーラをまとった理由のひとつだろう。

王室御用達らしい正統派の上質さが散りばめられた贅を尽くしたインテリア

インテリアは“贅”のひと言につきる。パノラミックルーフから車内に注ぎ込む光はゆったりとした上質な空間を演出。手作業で丁寧に仕上げられたウッドパネルはオーセンティックな雰囲気だ。

ステアリングホイール・リム、ドアケース、センターコンソール、インストルメントパネル、ラゲッジコンパートメントフロアは、「ノーティカ」「ノーティカ ブラック アッシュ」「サントス バリサンダー」の3種類から選択できる。なかでも、ウォルナットとシカモアを組み合わせた「ノーティカ」は、『レンジローバー』では初めての採用となる。

シートに使われている革は、柔らかなセミアニリンレザー。1905年から110年以上の歴史を誇るタンナリー(なめし工場)のみで作られており、 グレインと呼ばれる革本来の自然な風合いを活かしつつ、独自のダイヤモンドキルテッドデザインを施している。

王室御用達らしい正統派の上質さを散りばめる一方で、コンテンポラリーな要素も随所に取り入れられた。ロータリーシフターなどに施された細かい凹凸状のローレット加工は、モダンな雰囲気にひと役買っている。

パワーユニットは史上最もパワフルな5.0L V8スーパーチャージャーエンジン

クーペモデルだけに、走りのパフォーマンスも圧巻だ。

最低地上高は、スタンダードモデルより8mm低く、パフォーマンスと美しさを両立させている。ランドローバーは王室御用達ということもあり、「昔は、英国貴族が所領を馬で回っていた。今はそれがレンジローバーに変わった」と例えられることがある。馬に例えるなら、『レンジローバーSVクーペ』はサラブレッドのような走りも期待できそうだ。

パワートレインは、『レンジローバー』史上最もパワフルな5.0L V8スーパーチャージャーガソリンエンジン。組み合わされるトランスミッションは、8速ZFオートマチックだ。最高出力は565PS、最大トルクが700Nm。0-100km/h加速は5.3秒、最高速度は266km/hを誇る。

エアサスペンションは、走行速度が65mph(約106km/h)以上になると、自動的に車高を15mm低くし、走行安定性を高め、燃費を最小限に抑えてくれる。

それ以外にも5つの設定が可能だ。通常の車高より最大で50mm低い「アクセスハイト」、時速80km/hまでなら通常より最大40mm高い「オフロード1ライドハイト」、時速50km/hまでなら通常より最大で75mm高い「オフロード2ライドハイト」、そして、障害物が検知されたときには、自動または手動で車高を30〜40mm高くすることもできる。

もちろん、SUVとしての悪路走行性能も高い。ツインスピード・トランスファー・ボックスを搭載したフルタイム4WDシステムを採用し、アクティブ・ロッキング・リア・ディファレンシャル、さらに「ダイナミック」「エコ」「コンフォート」「草・砂利・雪」「泥・轍」「砂・石・徐行」から選べる走行モードによって、どのような路面でも高い走破性能を発揮してくれる。

価格は約3529万円〜、世界限定999台しか販売されない超プレミアムなモデル

24万ポンド(約3529万円)という金額もさることながら、世界限定999台しか販売されない超プレミアムモデルである点もその価値を高めている。

ロールスロイス、ランボルギーニ、ベントレーなど、名だたる高級車ブランドがしのぎを削るプレミアムSUV市場だが、「フルサイズ・ラグジュアリーSUVクーペ」という新しいジャンルを、王道にして本命の『レンジローバー』が切り拓いていきそうだ。

Text by Tsukasa Sasabayashi
Photo by (C) Jaguar Land Rover Automotive PLC
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

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第16回 | ランドローバーの最新車デザイン・性能情報をお届け

今度の驚きは速さ──最強のレンジローバー ヴェラール

『レンジローバー』シリーズにおいて、「SV オートバイオグラフィー」のバッジはその頂きに立つ最強グレードを意味する。心臓部には圧倒的なパフォーマンスを誇る5.0L V8スーパーチャージャーガソリンエンジン。それでいて、内外装の仕立ては極めてラグジュアリー。まさにすべてを兼ね備えたスーパーSUVである。今年2月、ランドローバーはその特別なグレードを『レンジローバー ヴェラール』に設定。洗練されたスタイリングで驚きをもたらしたミッドサイズSUVに、かつてない速さとスポーティさが加わった。

『レンジローバー ヴェラール』に最強仕様の「SVオートバイオグラフィー」が登場

『レンジローバー』シリーズは、フラッグシップの『レンジローバー』を筆頭に、『レンジローバー スポーツ』『レンジローバー ヴェラール』『レンジローバー イヴォーク』の4モデルが展開される。この並びでわかるとおり、「ヴェラール」は「スポーツ」と「イヴォーク」との間を埋める存在として2017年に登場したシリーズ第4のモデルだ。

その特徴は、とりわけスタイリングを重視した「アヴァンギャルドなレンジローバー」であること。ハンドルを内部に格納するポップアップ式のデプロイアブルドアハンドルも目を引くが、なにより低く絞り込まれたルーフラインが最大のハイライトだ。写真では『レンジローバー スポーツ』に近い印象を抱くかもしれないが、実車を目にすればほかの『レンジローバー』シリーズの角張ったイメージと異なる優美な造形をもっていることがわかるはずだ。なめらかな曲線を描く美しいフォルムは、削り出した卵にも例えられる。

今回新たに登場した『レンジローバー ヴェラール SVオートバイオグラフィー・ダイナミック・エディション』は、このスタイリッシュなミッドサイズSUVの頂点を極める高性能グレード。もちろん、これまででもっとも速くパワフルな「ヴェラール」となる。

開発はカスタマイズ部門の「SVO」。その最高出力は550馬力、最高速度は274km/h

開発を担ったのは「SVO(スペシャル・ビークル・オペレーションズ)」。イギリス中部、ウェスト・ミッドランズ州コベントリーにあるSVOテクニカルセンターを拠点に、特別仕様のリミテッドエディションやパーソナライゼーションなどを手がけ、その技術によりパフォーマンスとラグジュアリーを極めた多くの特別なモデルを生み出してきた。

むろん、『レンジローバー SV オートバイオグラフィー』『レンジローバー SV オートバイオグラフィー・ダイナミック』『レンジローバー スポーツSVR』といった上位車種にラインナップされる高性能グレードも、SVOによって開発された車両たちである。

まず目を引くのは圧倒的なパフォーマンスだ。パワートレインは、ほかの高性能グレードと同じく5.0LのV型8気筒スーパーチャージャーガソリンエンジン。最高出力405kW(550ps)/6000~6500rpm、最大トルク680Nm(69.3kgm)/2500~5500rpmを発揮し、0-100km/h 加速は4.5秒、最高速度は 274km/hに達する。とても車重2トンを超えるミッドサイズのラグジュアリーSUVとは思えないスペックである。

当然、この大パワーを路面に伝えるために足回りやトランスミッションも強化された。アルミ製パドルシフトで操作するトランスミッションはドイツのZF製8速クイックシフトATで、専用チューンが施されている。前395mm、後396mm径のブレーキも強化され、エレクトロニックアクティブディファレンシャルやステアリング、ダンパー、アンチロールバー、スタビリティコントロールなどにも専用チューニングが施されている。

駆動方式はオンデマンド4WDで、インテリジェント・ドライブライン・ダイナミクス・システムが前後で駆動トルクを配分し、後輪駆動にもなる。また、SVヴァリアブルエグゾーストシステムにより、走行状況に応じてV8サウンドを変化させることも可能だ。

最強仕様らしくエクステリアはスポーティで洗練され、インテリアはラグジュアリー

エクステリアは、高性能グレードらしくスポーティに仕上げられた。フロントバンパーとリヤバンパーは専用パーツ。より冷却効果を高めるためにフロントには大きなエアインテークを備え、リヤは4本出しの軽量エグゾーストパイプを収めるためにディフューザー形状に改められた。21インチ鍛造アルミホイール(22インチも選択可)とともに、「SV オートバイオグラフィー・ダイナミック」の名にふさわしいルックスとなっている。

ボディカラーはSVOのプレミアムパレットシリーズのブルーメタリック塗装となり、ブラックルーフを標準装備。リヤには「SV Autobiography」のエンブレムを装着した。

インテリアはシンプルで美しく、ラグジュアリーだ。タッチパネルディスプレイを多用したフラットなインターフェイスは「ヴェラール」全車に共通する先進的でスタイリッシュなもの。そこへキルティング加工が施されたツインステッチ・パーフォレイテッドレザーのシートとスポーツレザーステアリングを装備。20ウェイ電動調整機能、さらにシートヒーター&クーラー、メモリー&マッサージ機能を標準装備する。ローレット加工が施されたダイヤルスイッチ類も特別な一台であること主張するラグジュアリーなパーツである。

イギリス本国での価格はおよそ1273万円。そう遠くないうちに日本にもやって来る?

当然ながら、先進運転支援システム(ADAS)も搭載する。おもな装備を挙げると、自動緊急ブレーキ、車線逸脱警告、360度ビュー&パーキングガイド機能付きサラウンドカメラシステム、ブラインドスポットアシスト、レーンキープアシストといった具合だ。

イギリス本国での価格は8万6120ポンド。日本円に換算するとおよそ1273万円だ。すでに、日本市場には『レンジローバー SV オートバイオグラフィー』『レンジローバー SV オートバイオグラフィー・ダイナミック』『レンジローバー スポーツSVR』が導入されている。新たに「ヴェラール」に加わった「SV オートバイオグラフィー・ダイナミック・エディション」が上陸する日も、そう遠くないうちにやって来るに違いない。

Text by Muneyoshi Kitani
Photo by (C) Jaguar Land Rover Automotive PLC
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

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Range Rover Velar SVAutobiography Dynamic Edition オフィシャル動画
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