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レクサスUX──都市の生活を愉しむパワーカップルへ

メルセデス・ベンツ『GLA』、BMW『X2』、アウディ『Q2』。ジャーマンスリーが力を入れていることからも分かるように、プレミアムコンパクトSUVは世界中で売れ筋のボディタイプだ。特に、都市部での運転のしやすさが支持されている。ここに満を持して新型車を投入したのが、ジャーマンスリーを仮想敵に据えるレクサスだ。レクサスがこれまで参入していなかったポジションを担う新型車種は、コンセプトに「Creative Urban Explorer(クリエイティブアーバンエクスプローラー)」を据えた。車名は『UX』。コンセプトの頭文字の一部から取られたことは、言うまでもないだろう。

『UX』でのプレミアムコンパクトSUVへの参入は、レクサスの新たな挑戦

「WILD but FORMAL」というキャッチコピーに、タキシードを着たライオン。アラフォーのカーガイならピンとくるだろう。1997年にデビューしたトヨタ『ハリアー』のコマーシャルだ。

今では、いちカテゴリーとして定着している「プレミアムSUV」は、ここから始まった。時は流れ、世界中で支持されているのは、コンパクトサイズのプレミアムSUVだ。しかし、そのポジションにおいて、レクサスは遅れを取っていた。『UX』は、まさに、レクサスの新たな挑戦だ。

都会派コンパクトクロスオーバーを標榜しているだけに、ボディは全長4495mm×全幅1840mm×全高1520mmと、都市部でも快適に走れるサイズだ。特に全高では、立体駐車場に入れる高さを意識したという。

エクステリアは都会的で、タフな力強さと俊敏な走りを想起させる大胆かつ洗練されたものだ。ボディは縦方向に厚みをもたせ、キャビンの中心からタイヤに向かい、前後のフェンダーを張り出させた。

顔つきも精悍だ。三眼LEDヘッドランプの上部にアローヘッド形状のクリアランスランプを配置。スピンドルグリルはブロックメッシュ形状とし、角度によって表情を変える。

日本発の高級ブランドの矜持、和の質感を存分にあしらったレクサス『UX』

インテリアに目を移すと、低いドライビングポジションとステアリングを中心に配置した操作系がドライビングの高揚感を醸し出す。

また、インストルメントパネルの上部からフード・フェンダーへと連続するような造形は開放感があるだけでなく、見晴らしも良く、タイヤ位置を認識しやすい。これは、内と外の境界を曖昧にする日本の建築思想に着想を得たという。

和の思想は、フロントシートにも及ぶ。伝統的な刺繍技法である「刺し子」をモチーフとしたキルティングが施された。インストルメントパネル上部のオーナメントは、和紙のような質感を実現している。

じつは、『UX』のチーフエンジニアである加古慈氏は女性である。ダイバシティーの観点からは「男性だから」「女性だから」と言いたくないが、室内の意匠や使い勝手の良さには、いい意味での性差が生かされている。視界の良さもそうだし、スイッチ類へのアクセスの良さなどもそうだ。つまりは、誰もが使いやすいのである。

レクサス特有の「すっきりと奥深い」走りでドライビングプレジャーを堪能

走りに関しても、都会をキビキビと駆け抜ける。TNGA(トヨタニューグローバルアーキテクチャー)のひとつである「GA-Cプラットフォーム」を採用しつつ、ボディの高剛性化や軽量化による低重心化を追求。徹底的な走り込みとチューニングを重ね、高い操舵応答性と上質な乗り心地を実現している。

心臓部は、新開発の直列4気筒2.0L直噴エンジンと2.0Lハイブリッドシステム。ガソリンエンジンは、優れた動力性能と環境性能を両立するとともに、高回転域まで軽快に回る爽快な加速フィーリングと心地良いエンジンサウンドを実現した。ハイブリッドは、モーターによるアシストとエンジン回転数を最適化し、優れた燃費性能に加え、気持ちの良い加速フィーリングが愉しめる。

いずれも、レクサス特有の「すっきりと奥深い」走りで、減速・操舵・加速がつながりよくリズミカルに操作でき、ライントレース性の高い俊敏な走行性の実現している。

組み合わされるミッションはCVT(無断変速機)だが、従来のものとはひと味違う。「Direct Shift-CVT」と名付けられたそのCVTは、ベルトとプーリーによる駆動に加え、発進用のギヤを追加。ダイレクトな発進・加速フィーリングを実現し、CVT本来のスムーズな走りはそのままに、燃費性能を向上し、走行シーンに応じた気持ちの良い走りが愉しめる。

第2世代の「Lexus Safety System +」を採用し、安全性能も万全の『UX』

『UX』は「セキュア」もキーワードのひとつとしている。インテリアで触れた見晴らしのよさもそのひとつだ。そして、安全面では、第2世代の「Lexus Safety System+」を採用した。先進安全装備の充実度は、クルマ選びに大きな影響を与えるようになったが、そこは高級車ブランドだけに抜かりがない。

具体的には、次のような装備が搭載されている。昼間の自転車や夜間の歩行者も検知可能な「プリクラッシュセーフティ(PCS)」や高速道路などでレーダークルーズコントロール使用すれば、同一車線内中央の走行を支援する「高度運転支援機能Lexus CoDrive(レーダークルーズコントロール、レーントレーシングアシスト)」、ハイビームの照射を制御する「アダプティブハイビームシステム(AHS)」、カメラで主要な道路標識を読み取り、メーターとヘッドアップディスプレイ内に表示する「ロードサインアシスト(RSA)」…などだ。

専用エクステリアと魅力的なサウンドのスポーツグレード「F SPORT」も設定

『UX』には、スポーティなグレードである「F SPORT」もライナップされる。

エクステリアは、フロントとリヤバンパー下部の漆黒メッキ、専用アルミホイールとの組み合わせで、下部をダークトーンにコーディネート。専用のシートやステアリング、メーターを採用するなど、走りの部分が強調されている。

また、サウンドでもスポーティな走りを演出するため、ドライバーとクルマに一体感をもたらすASC(Active Sound Control)を採用した。

もちろん、見た目だけでなく走行性能もチューニングされている。きめ細かい減衰力の制御を行うリニアソレノイド式AVSやフロントにはパフォーマンスロッド、リヤにはパフォーマンスダンパーを採用。優れた操縦安定性と上質な乗り心地を実現している。

日本での『UX』の発売は2018年冬。ジャーマンスリーがラインナップするプレミアムコンパクトSUVのライバルになることは間違いない。都市部の生活を愉しむパワーカップルなどに支持されそうな一台だ。

Text by Tsukasa Sasabayashi
Photo by (C) LEXUS
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

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第53回 | ポルシェの最新車デザイン・性能情報をお届け

ポルシェ カイエンクーペ──SUVクーペに真打ちが参戦

世界の自動車市場を席巻するプレミアムSUVというジャンルは、2002年にポルシェ初のSUVとしてデビューした『カイエン』から始まった。スーパーカー並の性能を有するランボルギーニ『ウルス』やベントレー『ベンテイガ』も、『カイエン』の存在がなければ登場はもっと後だったかもしれない。その高級SUVの祖に、これまでクーペボディをもつ派生車種がラインナップされていなかったのが不思議なくらいだ。今年4月、ポルシェは上海で『カイエン クーペ』を初公開した。まさしく、満を持してのデビューである。

より低くスポーティなルックスになった『カイエン』。ライバルは『GLEクーペ』?

プレミアムSUV市場には、すでにいくつかのSUVクーペが存在する。メルセデス・ベンツなら『GLCクーペ』『GLEクーペ』、BMWなら『X4』『X6』。高級車ブランドがこぞってSUVに注力した結果、市場は多様化し、多くの選択肢をユーザーに用意することが求められるようになった。そうしたなかで、元祖プレミアムSUVである『カイエン』にクーペモデルが加わるのは必然。むしろもっと早く市場に投入してもよかったかもしれない。

『カイエン クーペ』はその名のとおり、ボディ後部にいくほど傾斜していく流麗なルーフラインをもったクーペルックのSUVだ。横から見ると、フロントウィンドウとAピラーが通常モデルよりも低く、寝かされていることがわかる。ルーフエンドには、クーペスタイルを強調するかのようにルーフスポイラーが装着された。ボディサイズは全長4931×全幅1983×全高1676mm。通常モデルと比べて全長が13mm長くなり、全高は20mm低くなった。さらに、新設計の後部ドアとフェンダーにより形状が変わったことで、全幅も18mmワイドになっている。全体として、より低くスポーティになった印象だ。

ルーフは2種類。固定式パノラマガラスルーフが標準で、カーボンルーフをオプションで選択できる。0.92m2のガラスルーフはかつてない開放感を乗員に与え、統合されたローラーブラインドが直射日光や寒さを防いでくれる。カーボンルーフは『911 GT3 RS』と同様に中央に窪みを持つ形状で、いかにもスポーティカーといった雰囲気を醸し出す。

『カイエンターボ クーペ』は最高出力550馬力。0~100km/h加速はなんと3.9秒

クーペ化にともなって室内空間にも変更が加えられた。標準モデルとの大きな違いは、後席がそれぞれ独立して2座になり、4つのスポーツシートを備えるようになったことだ(ベンチシートもオプションで選べる)。とりわけ前席は、インテグレーテッドヘッドレストと8ウェイ電動調節を備えたスポーツシートを採用し、優れた快適性とホールド性でドライバーをサポートする。また、全高は低くなったものの、リアシートの着座位置を標準モデルより30mm低くしたことで、後席のヘッドスペースも十分な広さを確保した。

ラゲッジルームの容量は通常時で625L。後席を畳めば最大1540Lまで拡大することが可能だ(『カイエンターボ クーペ』では通常時600L、最大で1510Lとなる)。

パワーユニットはグレード別に2種類のガソリンエンジンが用意された。『カイエン クーペ』は3.0L V型6気筒ターボエンジンを搭載し、最高出力は340ps(250kW)、最大トルクは450N・m。0~100km/h加速は5.9秒(オプションの「軽量パッケージ」)、最高速度は243km/hだ。『カイエンターボ クーペ』は4.0L V型8気筒ツインターボエンジンを搭載し、最高出力は550ps(404kW)、最大トルクは770N・m。こちらの動力性能はさらに強烈で、0~100km/h加速は3.9秒に短縮し、最高速度は286km/hに達する。

すでに日本国内で予約受注も開始。『ウルス』のエンジンを積む最強グレードも登場?

『カイエン クーペ』『カイエンターボ クーペ』ともに、すでに日本国内での予約受注を開始しているが、国内発売日はまだ未定。一方、ヨーロッパでは、この2台の中間グレードとなる『カイエンS クーペ』が5月15日に発表され、さらにランボルギーニ『ウルス』と同型のエンジンを搭載するハイパフォーマンスモデルが設定されるとの情報もある。実現すれば、最高出力640ps以上の最強モデルがシリーズに加わることになるだろう。

まさに、プレミアムSUVブームを牽引してきた『カイエン』による怒涛のニューモデル攻勢といった趣だ。高級SUV市場が今後ますます活性化していくのは間違いない。1000万円以上の高級SUVを買える裕福な人々にとっては、選択肢が広がるのではないか。

Text by Kenzo Maya
Photo by (C) Porsche AG.
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

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