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熟成された後期型──新型メルセデス・ベンツCクラス

『Sクラス』『Eクラス』『Cクラス』。メルセデス・ベンツの根幹を担うセダン3車種のうち、最もコンパクトな『Cクラス』のマイナーチェンジモデルがジュネーブモーターショー2018で発表された。フロントとリヤのデザインを一新し、『Sクラス』ゆずりのエレガントなフォルムはより高級感がアップ。先進技術も最新バージョンにアップデートされ、パワートレインには48Vマイルドハイブリッドシステムが採用された。“熟成の進んだ後期型Cクラス”の誕生だ。

メルセデス・ベンツのマイナーチェンジは単なる「販売のテコ入れ」ではない

それまでにないコンパクトなボディサイズのメルセデス・ベンツとして、1982年に登場した『190E』の系譜を受け継ぐのが『Cクラス』だ。

ボディはコンパクトながら、メルセデス・ベンツらしい走行性能や安全性能、そして高級感をも備える。400万円台から手に入る手頃な価格も相まって、日本でも高い人気を誇るシリーズである。

現行モデルは『Cクラス』として4代目。『Sクラス』をそのままダウンサイズしたかのようなエレガントなフォルムとアジリティ(敏捷性)の高い走りが特徴のメルセデス・ベンツのトップセラーだ。2017年だけでも41万5000台が世界中に届けられている。

マイナーチェンジは「販売のテコ入れ」の要素も強いが、メルセデス・ベンツの場合、パワートレインを次世代型に一新するなど、見た目の変更以上に中身を大きく変えてくるのが通例となっている。発売から4年が経過して実施された今回のマイナーチェンジは、モデルチェンジに近い大幅なアップデートが施された。

ブラッシュアップされた『Cクラス』のエクステリアとインテリアデザイン

新しい『Cクラス』は、フロントとリヤ周りのデザイン変更、パワートレインの刷新、さらに運転支援システムやコネクテッドシステムのアップデートが行われた。とはいえ、デザイン変更については、世界的に好評なスタイリングなので最小限にとどめられている。

フロントとリヤはバンパーとライト類のデザインが新しくなったが、注目は『Cクラス』では初となるウルトラレンジハイビーム機能付きマルチビームLEDヘッドライトの採用だ。84個のLEDを独立制御することで、配光を自動で最適化。対向車や歩行者に眩しい思いをさせることなく、明るい視界を確保する。

フロントグリルは、標準車が2本のシルバー、「アヴァンギャルド」が2本のクローム、「エクスクルーシブ」が3本のクローム(ボンネットに伝統的なスリーポインテッド・スターのマスコットがつく)。さらにAMGラインでは「ダイヤモンドグリル」が装着され、モデルごとの個性が強調された形となった。

インテリアもキープコンセプト。しかし、センターディスプレイがより大きくなり、フルデジタル液晶のメーターが採用され、ステアリングホイールも刷新された。これまでレバーで行っていた「ディストロニック」などの操作は、ステアリングのタッチスイッチで行う方式に改められた。

そのディストロニックは「アクティブ・ディスタンス・アシスト・ディストロニック」に進化し、ナビゲーション連動となった。地図情報に基づき、カーブや交差点に近づいたときなどに速度を予測して調整する。

また、「アクティブ・ブラインド・スポット・アシスト」「アクティブ・ステアリング・アシスト」などのドライビングアシスタント機能との連携により、一定条件下で「半自動運転」が可能となった。

インテリアの仕様は、オープンポアフィニッシュのウォールナットやアンスラサイトオークのパネルが用意され、インテリアカラーに「マグナグレイ/ブラック」「サドルブラウン(AMGライン専用)」の2色が追加されている。

オプションの「ENERGIZINGコンフォートコントロール」は、フレグランスを含めた空調、シート(ヒーター、ベンチレーター、マッサージ機能)、照明、音楽などを統合的に制御するオプションだ。

注目は『C200』に搭載の48Vマイルドハイブリッドシステム「EQブースト」

パワートレインは、V6以外がすべて新設計のものに一新された。なかでも注目すべきは、メルセデス・ベンツが「EQブースト」と呼ぶ48Vマイルドハイブリッドシステムが『C200』に採用されたことだ。

2.0Lから1.5Lへとダウンサイジングされた4気筒ガソリンターボエンジンは、発進加速などをモーターがアシストして、走行性能と燃費性能をアップ。減速時にはエネルギー再生も行われるほか、巡航時にはエンジンを休止して燃費向上を図るコースティング機能も備える。

メルセデス・ベンツによると、燃費は欧州複合モードで16.7km/L、CO2排出量は136g/km。「EQブースト」は2.0Lエンジンとの組み合わせも予定されているようだから、こちらも楽しみだ。

ニューヨークモーターショーでは2ドアのクーペとカブリオレもデビュー

ボディタイプはセダンとステーションワゴンの2タイプ。ニューヨークモーターショーでは2ドアのクーペとカブリオレが登場し、その後の北京モーターショー2018では『Cクラス ロングホイール』の改良新型モデルも発表された。

新型『Cクラス』のヨーロッパでのベース価格は3万9948ユーロ、日本円換算でおよそ528万円からと公表されている。

メルセデス・ベンツのマイナーチェンジモデルは、“熟成の進んだ後期型”として高い評価を受けている。新型『Cクラス』も期待を裏切らない、いや期待を上回る完成度を持っているに違いない。日本上陸の時期は未定だが、今からその日が楽しみだ。

Text by Muneyoshi Kitani
Photo by (C) Daimler AG
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

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第53回 | ポルシェの最新車デザイン・性能情報をお届け

ポルシェ カイエンクーペ──SUVクーペに真打ちが参戦

世界の自動車市場を席巻するプレミアムSUVというジャンルは、2002年にポルシェ初のSUVとしてデビューした『カイエン』から始まった。スーパーカー並の性能を有するランボルギーニ『ウルス』やベントレー『ベンテイガ』も、『カイエン』の存在がなければ登場はもっと後だったかもしれない。その高級SUVの祖に、これまでクーペボディをもつ派生車種がラインナップされていなかったのが不思議なくらいだ。今年4月、ポルシェは上海で『カイエン クーペ』を初公開した。まさしく、満を持してのデビューである。

より低くスポーティなルックスになった『カイエン』。ライバルは『GLEクーペ』?

プレミアムSUV市場には、すでにいくつかのSUVクーペが存在する。メルセデス・ベンツなら『GLCクーペ』『GLEクーペ』、BMWなら『X4』『X6』。高級車ブランドがこぞってSUVに注力した結果、市場は多様化し、多くの選択肢をユーザーに用意することが求められるようになった。そうしたなかで、元祖プレミアムSUVである『カイエン』にクーペモデルが加わるのは必然。むしろもっと早く市場に投入してもよかったかもしれない。

『カイエン クーペ』はその名のとおり、ボディ後部にいくほど傾斜していく流麗なルーフラインをもったクーペルックのSUVだ。横から見ると、フロントウィンドウとAピラーが通常モデルよりも低く、寝かされていることがわかる。ルーフエンドには、クーペスタイルを強調するかのようにルーフスポイラーが装着された。ボディサイズは全長4931×全幅1983×全高1676mm。通常モデルと比べて全長が13mm長くなり、全高は20mm低くなった。さらに、新設計の後部ドアとフェンダーにより形状が変わったことで、全幅も18mmワイドになっている。全体として、より低くスポーティになった印象だ。

ルーフは2種類。固定式パノラマガラスルーフが標準で、カーボンルーフをオプションで選択できる。0.92m2のガラスルーフはかつてない開放感を乗員に与え、統合されたローラーブラインドが直射日光や寒さを防いでくれる。カーボンルーフは『911 GT3 RS』と同様に中央に窪みを持つ形状で、いかにもスポーティカーといった雰囲気を醸し出す。

『カイエンターボ クーペ』は最高出力550馬力。0~100km/h加速はなんと3.9秒

クーペ化にともなって室内空間にも変更が加えられた。標準モデルとの大きな違いは、後席がそれぞれ独立して2座になり、4つのスポーツシートを備えるようになったことだ(ベンチシートもオプションで選べる)。とりわけ前席は、インテグレーテッドヘッドレストと8ウェイ電動調節を備えたスポーツシートを採用し、優れた快適性とホールド性でドライバーをサポートする。また、全高は低くなったものの、リアシートの着座位置を標準モデルより30mm低くしたことで、後席のヘッドスペースも十分な広さを確保した。

ラゲッジルームの容量は通常時で625L。後席を畳めば最大1540Lまで拡大することが可能だ(『カイエンターボ クーペ』では通常時600L、最大で1510Lとなる)。

パワーユニットはグレード別に2種類のガソリンエンジンが用意された。『カイエン クーペ』は3.0L V型6気筒ターボエンジンを搭載し、最高出力は340ps(250kW)、最大トルクは450N・m。0~100km/h加速は5.9秒(オプションの「軽量パッケージ」)、最高速度は243km/hだ。『カイエンターボ クーペ』は4.0L V型8気筒ツインターボエンジンを搭載し、最高出力は550ps(404kW)、最大トルクは770N・m。こちらの動力性能はさらに強烈で、0~100km/h加速は3.9秒に短縮し、最高速度は286km/hに達する。

すでに日本国内で予約受注も開始。『ウルス』のエンジンを積む最強グレードも登場?

『カイエン クーペ』『カイエンターボ クーペ』ともに、すでに日本国内での予約受注を開始しているが、国内発売日はまだ未定。一方、ヨーロッパでは、この2台の中間グレードとなる『カイエンS クーペ』が5月15日に発表され、さらにランボルギーニ『ウルス』と同型のエンジンを搭載するハイパフォーマンスモデルが設定されるとの情報もある。実現すれば、最高出力640ps以上の最強モデルがシリーズに加わることになるだろう。

まさに、プレミアムSUVブームを牽引してきた『カイエン』による怒涛のニューモデル攻勢といった趣だ。高級SUV市場が今後ますます活性化していくのは間違いない。1000万円以上の高級SUVを買える裕福な人々にとっては、選択肢が広がるのではないか。

Text by Kenzo Maya
Photo by (C) Porsche AG.
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

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