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第4回 | プジョーの最新車デザイン・性能情報をお届け

プジョー ジャンゴ125──ネオレトロにロックオン

フランスのプジョーは、世界最古の量産自動車メーカーとして知られるが、二輪車部門のプジョー・モトシクルも世界で最も古い歴史を持つ。2018年は、そのプジョーのオートバイが生まれてから120周年となるメモリアルイヤー。そんななかで登場したのが、ネオレトロなスクーター『DJANGO(ジャンゴ)125』シリーズの4モデルだ。キーワードは「1950年代のフランス」である。

先進的なデザインからレトロへと舵を切った世界最古のブランド・プジョー

クルマでもバイクでも、「メイド・イン・ジャパン」がなかなかヨーロッパに追いつけない理由があるとすれば、それはデザインだろう。明確な理由はわからないが、工業デザインとしての歴史や伝統の差が大きいのかもしれない。

そういう意味で、東京モーターサイクルショー2018で発表されたプジョーのスクーター、『ジャンゴ125』シリーズはちょっと意外であり、驚きを感じた。

なぜなら──勝手な思い込みだが、プジョーは常に先進的で新しいデザインを追求する、過去を振り向かないメーカーで、レトロな路線には舵を切らないだろうと思っていたのだ。

しかし、がっかりしたわけではない。むしろ実車を見ると購買意欲を刺激された。というのも、デザインが巧みで、美しさと懐かしさが見事に融合していたからである。

50年代のプジョー『S55』のイメージを受け継ぐ『ジャンゴ125エバージョン』

テーマは1950年代のフランス。この時代のヨーロッパは、第二次世界大戦の痛手から立ち直ろうとしていた時代だ。ようやく明るさを取り戻しつつあり、ファッションにも暗さと明るさとが混在していた。

それゆえに、さまざまなジャンルで二面性のあるデザインが見られたが、『ジャンゴ125』シリーズもその二面性が意識されているようで面白い。クラシカルなスタイルのバイクやスクーターは、これまでも各メーカーから発売されてきたが、諸事情や法規制などの問題から中途半端なモデルが多く、もうひとつふたつ「レトロ感」が足りなかったのだ。

『ジャンゴ125』シリーズには4モデルがラインナップされるが、なかでも目を引くのは、アイボリーを基調としたツートーンカラーの『ジャンゴ125 Evasion(エバージョン)』だ。

上部と下部の色の境にはクロムメッキのモールが配され、ボディの後部は流れるように伸びている。シートには白いパイピングが施された。このボディラインとパイピングは、1955年に登場して一世を風靡したプジョーのスクーター『S55』を彷彿とさせるものだ。

また、スモールスクリーンとフロントキャリア、そしてホワイトリボンの入ったタイヤも、レトロ感を演出するうえで非常に効果的になっている。

50年代パリ・モードのエレガンスなイメージを纏う『ジャンゴ125アリュール』

同じツートーンでも『ジャンゴ125 Allure(アリュール)』はグッと渋い配色だ。こちらは1950年代のパリ・モードのエレガンスなイメージ。チョコレートブラウンのメタリックの塗装は、サテンの質感と重なって華麗さを演出する。

リアラゲッジには、淡いブラウンのシートと同色となるバックレストが備えられた。さらに、ミラーを黒くしたところなどにも相当なこだわりが感じられる。

『ジャンゴ125 Heritage(ヘリテイジ)』は、シンプルな美しさを追求している。ヘリテイジという名が示す通り、1950年代のフランス由来となる「かつて」のデザインで、じつは『ジャンゴ125』シリーズのスタンダードモデルだ。

深いブラックで統一されたボディにアイボリーのホイールがアクセントとなっており、シーンを選ばずに気軽に乗れそうだ。それでいてファッショナブルでもある。

『ジャンゴ125 S』は唯一のスポーツモデル。1953年にル・マン24時間を制した『P176』をオマージュし、また2011年のル・マンでタイトルを獲得したプジョー『908 Hybrid-4』への敬意も表しているという。

マットブラック仕上げのボディに同色のホイールを組み合わせることで、シャープな印象となった。シートは、タンデム側を取り外してシングルシートにすることも可能だ。

『ジャンゴ125エバージョン』はボディカラーも豊富、価格は約37万円

カラーバリエーションは、『ジャンゴ125エバージョン』が「ドラゴンレッド」「ビタミンオレンジ」「ディープオーシャンブルー」の3色。『ジャンゴ125アリュール』『ジャンゴ125ヘリテイジ』『ジャンゴ125 S』は、それぞれ「チョコレート」「インクブラック」「マットブラック」の1色展開となっている。

価格は、『ジャンゴ125エバージョン』が37万440円、『ジャンゴ125アリュール』は35万3000円、『ジャンゴ125ヘリテイジ』は35万9640円、『ジャンゴ125 S』が38万1240円だ(すべて税込み)。

それにしても、プジョーファンは『ジャンゴ125』シリーズにどんな感想を抱くのだろうか。自転車やモーターサイクルによって発展してきたプジョーの歴史を思い起こせば、フロントのライオンのエンブレムも違って見えてきそうだ。

Text by Koji Okamura
Photo by (C) Peugeot Scooters,ADIVA
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

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第7回 | プジョーの最新車デザイン・性能情報をお届け

サルーンの概念を覆せ──ファストバックのプジョー508

「大胆不敵なデザインで“サルーンの概念のすべてを変える”」。これは、日本国内での販売を開始した新型『508』の広報資料冒頭にあるコピーだ。この言葉のとおり、プジョーが送り出す新型『508』は クーペのようなルーフラインと4ドアファストバックスタイルを採用した革新的なフラッグシップサルーン。すでに限定60台のファーストエディションが先行上陸していたが、今回、満を持して日本へ正式導入された。デザインだけではなく、パワフルなエンジンと先進運転支援機能を備えたプジョーの自信作の登場である。

新型『508』は日本市場のDセグメントでプジョーのシェアを向上させる役割を担う

プジョーというと、『208』や『308』といったコンパクトなハッチバックモデルのイメージが強いかもしれない。しかし、1989年の『605』に2000年代初めの『607』と、過去にはフラッグシップとなるサルーンも存在していた。2011年に登場した先代『508』はその系譜を受け継ぐセダンで、今回正規導入された新型『508』は第二世代にあたる。

もっとも、先代『508』は、3シーターオープンのコンセプトモデル『SR1』で提案されたデザイン要素を盛り込んでいたものの、セダン(ステーションワゴン)としての実用性が重視され、どちらかといえば保守的なプロポーションだった。プジョーのアイデンティティというべきフローティンググリル(グリルが浮いて見えるようなデザイン)を採用した以外にこれといって大きな特徴がなく、存在感はけっして高いとはいえなかった。

しかし、新たなフラッグシップモデルとなる新型『508』のデザインは、ひと味もふた味も違う。そもそも日本市場のDセグメントは国産車より輸入車が優位とされ、新型『508』はこのカテゴリでのプジョーのシェアを大きく向上させる役目を担っている。ゆえに、このクルマには「サルーンの概念のすべてを変える」との惹句が与えられているのだ。

伝統的な4ドアセダンから、エレガントなラインを描くファストバックスタイルへ

注目は、なんといってもスポーティでアヴァンギャルドなエクステリアデザインだろう。先代は独立したトランクを備える伝統的なセダンボディをもっていたが、新型は4ドアファストバックへとスタイルを一新。プロポーションはより低くワイドになり、ルーフはクーペのようなラインを、リヤエンドにかけてはエレガントなラインを流れるように描く。

さらに、切り立ったフロントグリルと切れ長のフルLEDヘッドライトで構成されるフロントマスクはアグレッシブなデザインに刷新された。フロントバンパーとスポイラーには、そこから垂直に伸びる個性的なLEDデイタイムランニングライトを備える。このフロントマスクは、昨年のパリサロンで発表された『e-Legend Concept』がそうだったように、1960年代に登場した『504クーペ』のデザインテーマを採用したものだ。ボンネットフード先端につく「508」のエンブレムも、往年の『504』『504クーペ』を彷彿とさせる。

リヤセクションでは、近年のプジョー車に共通する「ライオンの三本の爪痕」をモチーフとしたテールライトが印象的。もちろん、こちらもフルLEDライトだ。これらのエクステリアデザインは、2014年の北京モーターショーで発表されたコンセプトモデル『EXALT(イグザルト)』のデザインコンセプトを受け継いだもの。プジョーは「そのスタイリングこそが、じつはNEW 508の予告であり、ベースとなっている」とコメントしている。

PSAグループ(プジョー・シトロエン)の新世代プラットフォーム「EMP2」を採用するボディは、全長4750mm×全幅1860mm×全高1420mm。先代モデルと比べて80mmコンパクトになり、35mm低くなった。ホイールベースは2800mm。ファストバック化により、ラゲッジスペースの容量は487Lから最大1537Lまで拡大可能となっている。

進化した次世代インテリア。先進的で使いやすい室内空間に見る「プジョーの見識」

室内はプジョーの旗艦らしく先進的だ。2012年に『208』で初めて採用された次世代インテリア「Peugeot i-Cockpit」は、さらに完成度が高められている。インストルメントパネル中央には8インチのタッチスクリーンが、コンパクトになったステアリングホイール上方には12.3インチデジタルヘッドアップディスプレイが設置された。

8インチタッチスクリーンの下には、ピアノの鍵盤のような7つのトグルスイッチが配され、ナビゲーションや空調、ラジオといった主要機能にダイレクトにアクセスできる。すべての機能をタッチスクリーンに集約するわけでも、いたずらにスイッチ類を増やすわけでもない。こうしたあたりに室内空間に対するプジョーの見識がうかがえる。サウンドシステムには10スピーカーのFOCAL製「プレミアムHiFiシステム」を採用した。

むろん先進運転支援機能は最新のものが備わる。先代に搭載されていたアクティブセーフティブレーキは第二世代へと進化。二輪車や夜間走行中の検知能力が向上したほか、ストップ&ゴー機能付きのアクティブクルーズコントロール、ドライバーが任意で選んだ左右の車線のどちらかから一定の距離を保ったままの走行が可能となるレーンポジショニングアシストも、プジョーのモデルとして初めて装備した。さらに、前方最大約200mを赤外線カメラが監視し、歩行者や野生動物の映像をインストルメントパネルに投影するナイトビジョンも、オプションとなるが、プジョーのモデルとして初めて採用されたものだ。

エンジンは、最高出力180ps/5500rpm、最大トルク250Nm/1650rpmの1.6Lガソリンターボ「PureTech」と、最高出力177ps/3750rpm、最大トルク400Nm/2000rpmの2.0Lクリーンディーゼル「Blue HDi」の2種類。いずれも8速AT「EAT8」を組み合わせる。

シャシー周りではプジョー初となる電子制御アクティブサスペンションを全グレードに搭載。電子制御アクティブサスペンションは、走行状況や路面に応じてダンパーの減衰力をリアルタイムに制御し、ハンドリングとロードホールディングを両立させてくれる。

新型『508』の価格は417~492万円。2019年夏にはワゴンの『508 SW』も上陸

日本導入モデルは、ガソリンエンジンを搭載する「アリュール」「GTライン」、ディーゼルエンジンの「508 GT」の3グレードを展開する。価格は417万円~492万円。ディーゼルモデルをトップグレードに位置づけているのが、近年のプジョーらしいところだ。

「GTライン」と「508 GT」には、ナッパレザーシート、パノラミックサンルーフ、ナイトビジョンなどがセットされた「フルパッケージ」オプションが65万円で設定される。新型『508』を堪能したいなら、ぜひ選びたいオプションパッケージだろう。ボディカラーはイメージカラーの「アルティメット・レッド」のほか、全7色をラインナップする。

「サルーンの概念のすべてを変える」と謳う新型『508』は、エクステリア、インテリア、メカニズムのすべてにおいて、間違いなく従来のプジョーと異なる革新的な一台だ。ひと味違うサルーンに乗りたいなら、いい選択となるに違いない。なお、2019年夏ごろにはステーションワゴンの『508 SW』の国内発売も予定される。こちらの上陸も楽しみだ。

Text by Muneyoshi Kitani
Photo by (C) Peugeot Citroën, gims.swiss
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

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All-New Peugeot 508 オフィシャル動画
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