生産終了後も高い人気を誇る無骨なオフローダー『ディフェンダー』が限定復活!
『ディフェンダー』は、無骨なデザインと強靭なオフロード性能によってランドローバーの歴史を刻んできた伝統あるモデルだった。
その祖は1948年に登場したランドローバー『シリーズI』。1990年に『ディフェンダー』という名が与えられたが、70年にわたって基本的な構造やスタイリングを変えず、アップデートを繰り返しながら2016年初めまで生産されてきた。同じような歴史を持つクルマに先代のメルセデス・ベンツ『Gクラス』があるが、こちらは「40年」だった。
日本へは2004年以降、正規輸入はされなかったが、並行輸入業者の手によって多くの『ディフェンダー』がオーナーの手に渡っている。それは生産終了後も同じで、エンスージアストなどの間では現在も高い人気を誇る。
その『ディフェンダー』が今回、なぜ限定復活したのか? その理由は『シリーズI』が登場した年にある。2018年は、『シリーズI』のデビューからちょうど70周年にあたるアニバーサリーイヤー。これを記念して製作されたのが限定150台の『ディフェンダー ワークスV8』だ。
また、この限定車は、歴代モデルのなかでも高出力なエンジンを搭載していた1979年型『シリーズIII Stage 1 V8』や、50周年記念モデルの『50th Anniversary Edition』へのオマージュでもあるという。
加速力は最新フラッグシップと同等、ワークスの名にふさわしい『ディフェンダー』
『ディフェンダー ワークスV8』は、単に生産終了したクルマを再生産しただけのものではない。手がけたのはランドローバー車のレストアプロジェクトなどを行うヘリテージ部門の「ランドローバー・クラシック」。パワフルなエンジンはもちろん、現代のクルマにふさわしい豪華さや装備が与えられている。
パワーユニットは、『ディフェンダー』の伝統に従った自然吸気V8ガソリンエンジンで、排気量は5.0L。通常の『ディフェンダー』が最高出力122ps、最大トルク360Nmだったのに対し、『ディフェンダー ワークスV8』は最高出力405ps、最大トルク515Nmと大幅にパワーアップが施されている。
最高速度はリミッターによって106mph(約171km/h)に制限されるが、0-60mph(0-97km/h)が5.6秒という加速力を持つ。最高出力510psの5.0LスーパーチャージドV8エンジンを搭載する最新の『レンジローバー』の0-60mph加速が5.4秒だから、このクラシカルなクルマの加速がいかに強烈なものであるかがわかるだろう。もちろん「史上最速のディフェンダー」だ。
トランスミッションは、スポーツモード付きのZF製8速AT。当然、パワーアップに伴い、ブレーキやスプリング、ダンパー、アンチロールバーといった足回りも強化された。タイヤは265/65 R18のオールテレーンである。
『ディフェンダー ワークスV8』のボディは2種類、スペシャル感を演出する内外装
ボディバリエーションは、3ドアショートボディの「90」と5ドアロングボディの「110」の2種類。ボディカラーは、サテン仕上げの2色を含めた8色から選択が可能だ。
エクステリアには、「サントリーニブラック」のルーフ、ホイールアーチ、フロントグリル、ダイヤモンドターニング加工が施されたアロイホイールが採用され、さらにスペシャル感を高めている。
また、ドアハンドル、燃料キャップ、専用エンブレム、ボンネットの「LAND ROVER」のロゴはアルミニウム製で、最新モデルらしく、ライティングにはBi-LEDヘッドライトが装備された。
インテリアは、シートのみならず、ダッシュボードまでウィンザーレザー仕上げだ。シートはRECARO製のスポーツタイプとなる。
「ランドローバー・クラシック」オリジナルの「クラシック・インフォテインメント・システム」は、『ディフェンダー』が持つ古き良き時代の雰囲気を壊すことなく、最新のインフォテイメント機能を提供してくれるに違いない。
限定150台はすでに完売…しかし新たな『ディフェンダー ワークス』が登場する?
『ディフェンダー ワークスV8』のイギリス本国での販売価格は、「90」が15万ポンド(約2300万円)からと高額だが、にもかかわらず限定150台はすでに完売となっているという。
しかし、ランドローバーのプレスリリースには、「TDCiディーゼル・エンジンやハイパフォーマンス・サスペンション、ブレーキシステムも選択可能とする」との見逃せない記述がある。もしかすると、今後新たな『ディフェンダー ワークス』が発表される可能性もあるかもしれない。
今回は売り切れ以前に日本での販売がなかったが、もし「次のワークス」があるとしたら、そのときは日本のランドローバーファンのためにぜひ正規輸入してほしいものだ。
Text by Muneyoshi Kitani
Photo by (C) Jaguar Land Rover Automotive PLC
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)