今回は、アイリッシュウイスキーから、ジェムソンのカスクメイツを飲んでみます。

スタウトビール樽フィニッシュのボトル

カスクメイツは2017年に日本で発売（アメリカなどでは2015年発売）されたボトルで、スタンダードと同じ製法で蒸溜、熟成された原酒を、スタウトビールの樽でフィニッシュ（後熟）させたものになります。

使用する樽は、ジェムソンで一度ウイスキーの熟成に使われた樽を、アイルランドのクラフトビール醸造所、フランシスカンウェルでスタウトの貯蔵、熟成に使用したものになります。

ジェムソン・ミドルトンとフランシスカンウェルは同じ町にある蒸溜所、醸造所で、とあるパブで職人が出会った際に、遊び半分でジェムソンの樽をフランシスカンウェルのスタウトビールの熟成に使ってみたところ、香りのいいビールができあがったそうです。

さらにそのビールに使った樽を再び戻し、リチャーしてフィニッシュに使ったことで、スタウトビールの香りが加わった香ばしいウイスキーに変化した、ということです。


ちなみにウイスキーの樽で熟成させたスタウトビールは、インターナショナルビアチャレンジで金賞を受賞しました。

顔を出すホップの香りと苦味

では、ストレートから飲みます。
グラスに注ぐと、液色は中庸な琥珀色、香りはリンゴが主体的に感じられます。

口に含むと、リンゴの香りが口に広がり、ほのかにエステリー、その後はバニラ、カカオ、ホップの香りが続きます。
味わいは、アルコールからの辛みはそこそこではあるものの、後からほんのりとした酸味と甘さが広がります。しかし後味にはビールに似た苦味も得られます。

ロックでは、リンゴと共にライムの爽やかな香りが続き、カカオやホップが追いかけてきます。
味わいは、苦味が更に強まり、後から酸味が穏やかに広がります。

ハイボールにすると、モルトの後にリンゴ、ホップ、樽香と続きます。
味わいは、苦味が抑え気味となり、酸味が目立ちます。

スタンダードでも、ストレートやロックでは柑橘系を思わせる苦味、酸味が主体で、香りもライム、リンゴがメインに感じられることを考えると、確かにスタウトビールの樽でフィニッシュさせることによるビールっぽい香り、味がプラスされている印象は得られているように思えます。

ただ、それ以上の熟成感や香り、味わいの深みはそれほど期待できません。

700mL、アルコール度数40度、価格は2200円ほど。

なお期間限定で、東京でシカゴピザの店も手がけるクラフトビール醸造所、デビルクラフトで、ジェムソンのウイスキー樽を使って熟成を行った樽を使用した、「カスクメイツ　東京エディション」が発売されています。

＜個人的評価＞

• 香り B: リンゴの後にカカオ、バニラ、ホップが続く。加水でライムが出てくる。
• 味わい C: 全体的に柑橘系やホップの苦味が主体。その後は酸味。甘さはわずか。
• 総評 B: スタンダードにスタウトビールっぽさが加わって、興味深いボトル。

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