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第28回 | 大人ライダー向けのバイク

ホンダGold Wing──非日常へ誘うプレミアムツアラー

ツアラーとは、アメリカ大陸横断のような長距離を快適に移動するためのバイクのことだ。大排気量エンジン、カウリングによる防風性能、高い積載性、楽な着座位置といった特徴がある。こうしたツアラーのなかでも、国内外のメーカーを含め、その頂点に君臨するのがホンダのプレミアムツアラー『Gold Wing(ゴールドウイング)』である。2018年1月、その『ゴールドウイング』がじつに17年ぶりとなるフルモデルチェンジを受けて、販売を開始した。

17年ぶりのフルモデルチェンジを受けたプレミアムツアラー『ゴールドウイング』

『ゴールドウイング』は、メーカーが生産するバイクとして唯一の水平対向6気筒1800ccエンジンを搭載する大型バイクだ。1975年、北米向けの『ゴールドウイングGL 1000』として発売されて以来、40年以上の長きにわたってホンダのフラッグシップモデルとして君臨してきた。

この『ゴールドウイング』に17年ぶりのフルモデルチェンジが施され、大型プレミアムツアラーとして生まれ変わった。その詳細を見ると、驚かされることばかり。ホンダの意地がここにある。

モデル構成は、サドルバッグのみを標準装備し、低いウインドシールドのバガースタイルを採用した『Gold Wing(ゴールドウイング)』、リアトランクとサドルバッグを標準装備した『Gold Wing Tour(ゴールドウイング ツアー)』の2ライン。

ただし、『ゴールドウイング ツアー』にはDCT(デュアルクラッチトランスミッション)搭載車も存在し、より正確にいえば計3モデルの構成だ。

新型『ゴールドウイング』はまるでアスリートの背筋を思わせるスタイルへと変貌

ここでは、DCTを採用する最上位機種『ゴールドウイング ツアー』について紹介しよう。

スタイリングは全モデルを通じ、車体とエンジンを見直して新開発された。フロントカウルをコンパクト化し、サドルバッグを含めてシャープでエッジーなデザインに仕上げている。従来の『ゴールドウイング』には豊満な印象があったが、ずいぶんと贅肉が削り落とされ、まるでアスリートの背筋を思わせるようなスタイルになっている。

それに伴い、リアトランクは従来モデルに比べて55mm短くなった。といっても、リアトランクとサドルバッグのラゲッジスペースは、3泊4日2人分相当の荷物量を目安に合計110Lの容量が確保されている。この点は開発に苦労したのではないか。

また、タンデムシートの背もたれと一体化したリアトランクは、これまでに増して秀逸のデザインとなった。

さらに賢くなった3世代目「7速DCT」を搭載した『ゴールドウイング ツアー』

装備面の最大の特徴は、ホンダ独自の二輪車用ダブルウィッシュボーンフロントサスペンションを全モデル採用したことだ。これはレーシングカーやスポーツカーに採用されている懸架方式で、タイヤのグリップ力の変化を抑制するメリットがある。

つまり、高速走行においては路面の変化に対する追従性が高まり、コーナリングにおいても、フロントタイヤが滑りづらくなるのだ。これは自慢の装備といえよう。

注目のDCTは、さらなる知能化を図った3世代目となるホンダ独自の7速デュアルクラッチトランスミッション。より賢くなったことで、切り返しや駐車場で低速の取り回しができる「微速前後進機能(ウォーキングスピードモード)」が加えられた。

従来よりも車体がコンパクトになったとはいえ、383kgという車重だ。シート高こそ745mmと低めだが、両足をついての取り回しはきつい。この「微速前後進機能」を使えば、後ろに彼女を乗せていてもスマートに、前方にバックに切り返せてカッコよく駐車できるに違いない。

加えて、「ツアー」「スポーツ」「エコノ」「レイン」の4種類の走りのキャラクターが選べるライディングモードを搭載。さらに、Apple CarPlayに対応したインフォテインメントシステムなど、その装備は安心の走りと快適性を追求したプレミアムツアラーに恥じない充実ぶりだ。

大人の男たちに人気沸騰、発表後10日で年間販売計画台数を上回る予約受注を獲得

ボディカラーは、『ゴールド ウイング』が「マットマジェスティックシルバーメタリック」「キャンディーアーダントレッド」「パールスタリオンブラウン」の3色、『ゴールドウイングツアー』は「キャンディーアーダントレッド」「パールグレアホワイト」「パールホークスアイブルー」の3色。そして、7速DCTモデルの『ゴールドウイング ツアー』は、「キャンディーアーダントレッド」と漆黒のブラックメタリックの2トーンカラーだ。

価格は『ゴールドウイング』が273万2400円、『ゴールドウイング ツアー』は295万9200円〜301万3200円(ボディカラーによって異なる)、DCTモデルの『ゴールドウイング ツアー』が331万5600円となっている(いずれも税込み)。

デリバリーは2018年4月2日からだが、ホンダによると、発表後10日の1月22日時点で、すでに年間販売計画台数の500台を上回る540台を受注したという。

17年ぶりに全面刷新された頂点に立つプレミアムツアラー。彼女や奥様をタンデムシートに乗せて長距離ツーリングという非日常へと誘うなら、この特別な一台を選ばない手はない。

Text by Katsutoshi Miyamoto

Photo by (C) Honda Motor

Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

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第69回 | 大人ライダー向けのバイク

ドゥカティ ディアベル1260──悪役感溢れるクルーザー

クルーザーとは、平坦で長い直線道路を巡航(クルーズ)することに重点をおいたオートバイのスタイルのことだ。ハーレーダビッドソンやインディアンをイメージするとわかりやすいだろう。広大な北米大陸で発達したことから、日本ではアメリカンバイクとも呼ばれている。それをイタリア流のセンスによって味つけしたのが、ドゥカティ『ディアベル』である。従来のクルーザーと一線を画す独創的なデザインをもつ『ディアベル』は、2011年にデビューするや世界中で大ヒット。そして今回、第二世代へと進化した。

クルーザーでも「走りはやっぱりドゥカティ」。ファンの期待に応えるキャラクター

2010年にEICMA(ミラノモーターサイクルショー)で発表された初代『Diavel(ディアベル)』は、斬新なデザインだけではなく、従来のドゥカティのイメージと異なるクルーザージャンルに挑戦したモデルとして話題を集めた。じつは、ドゥカティは2014年にフォルクスワーゲングループに属するアウディに買収され、その傘下となっている。レース由来のスポーツモデルというブランドのアイデンティティを脇に置き、経営戦略を優先した結果の新型車と見る者が多かったことも、注目された理由のひとつだったのだろう。

しかし、初代『ディアベル』は見た目以上にスポーティで、実際にライディングを味わった人々からは「やっぱり走りはドゥカティ」との評価を得ることが多い。そうしたユーザーの声は、期待どおりのキャラクターに仕上げられていることを証明するものだ。

その『ディアベル』が第二世代へと進化した。ドゥカティは3月に開催されたジュネーブモーターショーで2019年モデルの発表を行ったが、そこで専用スペースを与えられ、ショーのアイコンモデルとしてお披露目されたのが『ディアベル1260』だ。しかも、2014年のようなマイナーチェンジではなく、すべてを見直した2代目としての登場である。

低回転域でもパワフルな排気量1262ccの「テスタストレッタDVT」エンジンを搭載

アイコニックな外観は、シルエット自体に大きな変化はない。しかし、全体にボリュームアップしており、重量感も増していると感じる。トレリス(格子状)フレームもまったく新しくなり、ぱっと見た印象としては、よりヒール(悪役)感が演出されているようだ。短いシートエンドとスラッシュカットで跳ね上がるサイレンサーエンドは、リアまわりをすっきりとさせた。同時にマスが凝縮されているようで、鍛えられた筋肉を連想させる。

その細部への作り込みによる質感の高さが評価されたのか、『ディアベル1260』は第二世代であるにもかかわらず、ドイツの権威あるプロダクトデザイン賞「Red Dot Award 2019:Best of the Best(レッド・ドット・デザイン賞)」にも輝いているくらいだ。

エンジンは、初代から継承されてきた排気量1198ccの水冷L型ツインからスープアップされ、1262ccの強力な「テスタストレッタDVT」エンジンを搭載。それにより、最高出力は従来の152hp/9000rpmから159hp/9000rpmへ、最大トルクは12.5kgm/8000rpmから13.2kgm/7500rpmへとそれぞれ高められている。車体重量はドライウエイトで218kgもあるが、これだけのトルクがあれば低速域でも軽快に扱えるはずだ。

ドゥカティ自身も新エンジンについて、「息を呑む加速とスムーズな低回転域のパワー特性を備え、日常ユースにも長距離ツアーにも対応する」としている。そのパワーを受け止めるのは、『ディアベル』のトレードマークである極太のリアタイヤだ。クルマ並の240mmという超ワイドタイヤを装着し、ボッシュ製のコーナリングABSも標準装備された。

特別なコンポーネントを与えられたスポーティ仕様車『ディアベル1260 S』も設定

新型には標準仕様に加えてスポーティな「S」バージョンも設定された。こちらには、専用のシートとホイールが与えられるほか、ブレンボ製M50ラジアルマウント・モノブロック・ブレーキ・キャリパー、オーリンズ製サスペンションなどを装備。さらに、クラッチ操作をせずに変速できる「クイックシフトアップ&ダウンエボ」も標準装備される。

『ディアベル1260』は、すでに1月半ばからボローニャにあるドゥカティの本社工場で生産が始まっており、ヨーロッパでは3月から販売が開始された。日本での発売は7月ごろを予定している。4月13日には大阪で「Ducati Diavel Meeting」が開催されたが、なんとこのミーティングの参加者は現行『ディアベル』のオーナー限定だった。新型のオーナーになれば、こうした特別なイベントへの招待状がドゥカティから届くかもしれない。

Text by Koji Okamura
Photo by (C) Ducati Motor Holding S.p.A
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

動画はこちら
Ducati Diavel 1260 オフィシャル動画
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