17年ぶりのフルモデルチェンジを受けたプレミアムツアラー『ゴールドウイング』
『ゴールドウイング』は、メーカーが生産するバイクとして唯一の水平対向6気筒1800ccエンジンを搭載する大型バイクだ。1975年、北米向けの『ゴールドウイングGL 1000』として発売されて以来、40年以上の長きにわたってホンダのフラッグシップモデルとして君臨してきた。
この『ゴールドウイング』に17年ぶりのフルモデルチェンジが施され、大型プレミアムツアラーとして生まれ変わった。その詳細を見ると、驚かされることばかり。ホンダの意地がここにある。
モデル構成は、サドルバッグのみを標準装備し、低いウインドシールドのバガースタイルを採用した『Gold Wing(ゴールドウイング)』、リアトランクとサドルバッグを標準装備した『Gold Wing Tour(ゴールドウイング ツアー)』の2ライン。
ただし、『ゴールドウイング ツアー』にはDCT(デュアルクラッチトランスミッション)搭載車も存在し、より正確にいえば計3モデルの構成だ。
新型『ゴールドウイング』はまるでアスリートの背筋を思わせるスタイルへと変貌
ここでは、DCTを採用する最上位機種『ゴールドウイング ツアー』について紹介しよう。
スタイリングは全モデルを通じ、車体とエンジンを見直して新開発された。フロントカウルをコンパクト化し、サドルバッグを含めてシャープでエッジーなデザインに仕上げている。従来の『ゴールドウイング』には豊満な印象があったが、ずいぶんと贅肉が削り落とされ、まるでアスリートの背筋を思わせるようなスタイルになっている。
それに伴い、リアトランクは従来モデルに比べて55mm短くなった。といっても、リアトランクとサドルバッグのラゲッジスペースは、3泊4日2人分相当の荷物量を目安に合計110Lの容量が確保されている。この点は開発に苦労したのではないか。
また、タンデムシートの背もたれと一体化したリアトランクは、これまでに増して秀逸のデザインとなった。
さらに賢くなった3世代目「7速DCT」を搭載した『ゴールドウイング ツアー』
装備面の最大の特徴は、ホンダ独自の二輪車用ダブルウィッシュボーンフロントサスペンションを全モデル採用したことだ。これはレーシングカーやスポーツカーに採用されている懸架方式で、タイヤのグリップ力の変化を抑制するメリットがある。
つまり、高速走行においては路面の変化に対する追従性が高まり、コーナリングにおいても、フロントタイヤが滑りづらくなるのだ。これは自慢の装備といえよう。
注目のDCTは、さらなる知能化を図った3世代目となるホンダ独自の7速デュアルクラッチトランスミッション。より賢くなったことで、切り返しや駐車場で低速の取り回しができる「微速前後進機能(ウォーキングスピードモード)」が加えられた。
従来よりも車体がコンパクトになったとはいえ、383kgという車重だ。シート高こそ745mmと低めだが、両足をついての取り回しはきつい。この「微速前後進機能」を使えば、後ろに彼女を乗せていてもスマートに、前方にバックに切り返せてカッコよく駐車できるに違いない。
加えて、「ツアー」「スポーツ」「エコノ」「レイン」の4種類の走りのキャラクターが選べるライディングモードを搭載。さらに、Apple CarPlayに対応したインフォテインメントシステムなど、その装備は安心の走りと快適性を追求したプレミアムツアラーに恥じない充実ぶりだ。
大人の男たちに人気沸騰、発表後10日で年間販売計画台数を上回る予約受注を獲得
ボディカラーは、『ゴールド ウイング』が「マットマジェスティックシルバーメタリック」「キャンディーアーダントレッド」「パールスタリオンブラウン」の3色、『ゴールドウイングツアー』は「キャンディーアーダントレッド」「パールグレアホワイト」「パールホークスアイブルー」の3色。そして、7速DCTモデルの『ゴールドウイング ツアー』は、「キャンディーアーダントレッド」と漆黒のブラックメタリックの2トーンカラーだ。
価格は『ゴールドウイング』が273万2400円、『ゴールドウイング ツアー』は295万9200円〜301万3200円(ボディカラーによって異なる)、DCTモデルの『ゴールドウイング ツアー』が331万5600円となっている(いずれも税込み)。
デリバリーは2018年4月2日からだが、ホンダによると、発表後10日の1月22日時点で、すでに年間販売計画台数の500台を上回る540台を受注したという。
17年ぶりに全面刷新された頂点に立つプレミアムツアラー。彼女や奥様をタンデムシートに乗せて長距離ツーリングという非日常へと誘うなら、この特別な一台を選ばない手はない。
Text by Katsutoshi Miyamoto
Photo by (C) Honda Motor
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)