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第55回 | メルセデス・ベンツの最新車デザイン・性能情報をお届け

プレミアムな車中泊──メルセデスMarco Polo HORIZON

RVは「Recreational Vehicle(レクリエーショナル ビークル)」の略称で、日本では、海や山でアクティビティを愉しむための車種を意味する。SUVが街乗り、スポーツ、アウトドアまでこなす万能車種だとすれば、RVはバカンスや余暇での利用に特化したクルマだ。特に近年は“車中泊”がブームになるなど、RV人気が再び高まっている。そこで、メルセデス・ベンツが販売を開始したのが、上質な車中泊を愉しむことのできる『Vクラス』の新グレード、『V 220 d Marco Polo HORIZON(マルコ ポーロ ホライゾン)』である。

車中泊ブームを受けて日本に導入されるメルセデスのプレミアムアウドドアミニバン

メルセデス・ベンツ『Vクラス』は、1998年に日本に導入された輸入ミニバンの草分け的な存在だ。ワイドでスクエアなスタイリング、広々とした上質な室内空間、アレンジが自在なシートを備え、プレミアムミニバンというセグメントを生み出した。

『マルコ ポーロ ホライゾン』は、この『Vクラス』のバリエーションモデルとなる。普段使いのプレミアムミニバンにキャンピングカーの要素を加味し、よりアウトドアライフを愉しむための仕様が施されている。

長いバカンスを家族で愉しむ文化が根づいているヨーロッパでは、レクリエーショナル ビークルのニーズが高い。そのため、すでにヨーロッパ市場には、より充実した装備を持つ上級グレードの『マルコ ポーロ』シリーズも設定されていた。

しかし、日本でも近年、ミドルエイジにアウドドア志向が高まり、車中泊ブームがメディアでも取り上げられている。メルセデス・ベンツが日本市場に『マルコ ポーロ ホライゾン』を投入しようと考えたのも当然だろう。

関連記事:「ジャパンキャンピングカーショー2018」の会場から関連記事:5人で寝られる「メルセデス・ベンツV220dマルコ・ポーロ ホライゾン」登場

『マルコ ポーロ ホライゾン』の3列目シートは大人3人が横になれるベッドになる

外観で目を引くのは、なんといっても高くそびえるポップアップルーフだ。ここには大人2人が横になれるフルフラットのベッドスペースを備え、リーディングライトなども用意されている。

室内には2-2-3のシートを装備し、大人7人が乗車可能だ。3列目をフルフラットにすれば、大人3人が寝られるベッドスペースが出現する。

また、車中泊の際にデッドスペースになりやすい前席(運転席、助手席)は最大230度の回転が可能。後席と対面するレイアウトに変更するなど、あらゆるシーンに対応する室内空間を実現した。さらに、アンダーシートボックスも備え、足元には十分な収納スペースが確保されている。

日本に導入される『マルコ ポーロ ホライゾン』は比較的シンプルな装備で、その分価格がリーズナブルになっているが、『マルコ ポーロ』シリーズにはトップ写真や下の写真のように、シンクを備えるモデルもラインナップされる。

メルセデスらしく安全装備も充実、『マルコ ポーロ ホライゾン』の価格は846万円

室内空間だけではなく、安全装備や快適なドライブ性能への配慮も忘れないあたりは、さすがメルセデス・ベンツだ。

レーダー型衝突警告システム「CPA」をはじめ、「ブラインドスポットアシスト」「レーンキーピングアシスト」などの「レーダーセーフティパッケージ」を標準装備するほか、ドライバーの疲労や眠気を70以上のパラメーターで検知して注意力低下を警告してくれる「アテンションアシスト」も備える。

日本仕様の『マルコ ポーロ ホライゾン』は右ハンドルで、2.2L直4直噴ディーゼルターボエンジンを搭載。価格は846万円(税込)だ。

北米メーカーの専用キャンパーは桁外れの装備を持つが、数千万円もするうえに、車両が大きすぎて日本では取り回しに苦労する。その点、家族の送り迎えにも使え、ワンランク上の車中泊が愉しめる『マルコ ポーロ ホライゾン』は日本向きのレクリエーショナル ビークルだ。価格も手頃といえるのではないか。

           

Text by Kenzo Maya

Photo by (C)Daimler AG

Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

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第77回 | メルセデス・ベンツの最新車デザイン・性能情報をお届け

エンスー垂涎の納屋物──メルセデス300SLガルウィング

ヒストリックカーの世界には、「バーン・ファウンド(Barn Found)」と呼ばれるジャンルが存在する。バーンは「納屋」、ファウンドは「見つかった」。つまり、納屋で見つかった古いクルマという意味だ。いわゆる「納屋モノ」。2年前の夏、岐阜県の納屋から発掘された1969年のフェラーリ『365GTB/4“デイトナ”』がオークションで高値落札され、世界中で大きなニュースとなったのは記憶に新しい。そして今年3月、やはり納屋で見つかった古いメルセデス・ベンツが、フロリダ州で開催されたコンクール・デレガンスに登場して注目を集めた。朽ち果てた姿で会場に展示されたそのクルマは、1954年に製造された『300SL“ガルウィング”』。名車中の名車とうたわれる、コレクター垂涎の一台である。

亡き石原裕次郎も愛車にしていたメルセデス・ベンツの名車『300SL“ガルウィング”』

『SLクラス』の「SL」は、ドイツ語でライトウェイトスポーツを意味する「Sport Leicht (シュポルト・ライヒト)」の頭文字からとったものだ。メルセデス・ベンツがラインナップする2シーターオープンカーの最高峰に位置づけられている。その初代モデルとなったのが『300SL』である。1954年のニューヨークモーターショーでデビューした。

通称は“ガルウィング”。特徴のひとつであるガルウィングドアに由来する。『300SL』はワークスレーサーのプロトタイプとして開発されたモデルで、当時のレーシングカーと同じ鋼管スペースフレーム構造をもっていた。それゆえに、ドアの下半分をフレームが通っており、また、開口部の敷居が高いうえに車高が低くて非常に乗り降りがしづらい。こうしたことから、やむを得ずガルウィングが採用されたというエピソードが残っている。

世界初の直噴エンジン搭載車としても知られ、車名の「300」はメルセデス・ベンツの排気量表記で3.0Lを意味する。直列6気筒エンジンは最高出力215psを発生し、最高速度は260km/h。当初は市販予定がなかったが、有力インポーターが北米市場に需要があるとメルセデス・ベンツを説得し、わずか1400台が生産・販売された。そのうちの一台は、あの昭和の大スター、石原裕次郎の愛車となり、現在も北海道小樽市の石原裕次郎記念館に展示されている。その『300SL』が、ご覧のような姿で納屋から発見されたのだ。

半世紀以上もガレージでホコリをかぶっていたが、ほぼオリジナルに近い状態を保持

シャシーナンバー「43」の『300SL』は、2018年末にフロリダ州のとあるガレージで見つかった。発掘したのはドイツ・シュツットガルト郊外に専用施設をもつ「メルセデス・ベンツ クラシックセンター」。同社のヒストリックカーのレストアのほか、レストア済み車両の販売も行う。施設内には真っ赤なボディカラーの『300SL』も展示されている。

この『300SL』は1954年にマイアミ在住のオーナーに出荷された個体で、走行距離計が示しているのは、たったの3万5000kmだ。Englebert社製のCompetition(コンペティション)タイヤにはまだ空気が少し残っていたという。車両自体もほぼ出荷時のままで、ボディパネル、ライト類、ガラスパーツ、グレーのレザーシート、ステアリングホイール、インテリアトリム、パワートレイン、ホイールにいたるまでオリジナルを保持している。

注目してほしいのは、「フロリダ植民400年」を記念した1965年のリアのナンバープレートだ。これを見ると、持ち主は少なくとも1954年から1965年までクルマを所有していたことがわかる。つまり半世紀以上を納屋で過ごしていた可能性が高いのである。

フロリダの国際コンクール・デレガンスには連番シャシーの二台の『300SL』が登場

ボロボロの『300SL』は発見したクラシックセンターの手にわたり、フロリダ州の高級リゾート地、アメリア・アイランドで毎年開催される「アメリア・アイランド・コンクール・デレガンス」(今年は3月7日から10日)にて旧車ファンたちにお披露目された。

その隣に並んでいたのは、見事に修復された鮮やかなブルーの『300SL』。驚いたのは、この個体のシャシーナンバーが「44」だったことだ。そう、納屋で発見された『300SL』の次に生産された個体なのである。『300SL』のような希少なヒストリックカーが連続するシャシーナンバーでコンクール・デレガンスに登場するのはかなりレアな出来事だろう。

『300SL“ガルウィング”』はメルセデス・ベンツのなかでも名車中の名車として知られ、自動車コレクターなら必ず所有したい一台といわれている。その価値は現在も上昇し続けているほどだ。そういう意味では、なんとも貴重で贅沢な光景といえるのではないか。

Text by Kenzo Maya
Photo by (C) Daimler AG
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

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