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第30回 | 大人ライダー向けのバイク

SPORT GLIDE──新型ハーレーで新しい週末を過ごす

ハーレーダビッドソンが2017年に発表した2018年全33モデル。そのうち最も注目を集めたのが、「ダイナファミリー」を刷新し、新「ソフテイルファミリー」に統合したことである。その衝撃が収まらないなか、ソフテイルファミリーに新たなモデル、『SPORT GLIDE(スポーツ グライド)』が追加された。そのスタイルは2000年代初めにダイナファミリーにラインナップされた『FXDXTダイナ スーパーグライドTスポーツ』を彷彿とさせ、街乗りにも長距離ツーリングにも適したファクトリーカスタムクルーザーとなっている。

着脱可能なフェアリングとサドルバッグ、感涙ものの『スポーツ グライド』の装備

ソフテイルファミリーに追加された『スポーツ グライド』の大きな特徴は、着脱可能なミニフェアリングと左右のサドルバッグを装備することだ。こういうギミックが大好きなバイカーは多い。嬉し涙が出る装備といえるだろう。

フロントのミニフェアリングは、工具がなくても簡単に取り外せる。街乗り、ツーリング…と、その日の気分に合わせてスタイルチェンジが可能だ。

ただし、このフェアリングのサイズでは風圧を和らげる効果はあまり期待できそうにない。スタイル重視なら今のままでいいが、高速走行が多く、防風効果を高めたいなら、カスタムパーツに用意されている長めのウインドシールドと交換したほうがいいだろう。

標準装備のロック機構付きリジッドサドルバッグも、工具なしで着脱可能。ハーレーに多い上蓋式ではなく、使い勝手のいいヨーロッパスタイルの横開き式で、その容量は左右合わせて約25.5Lもある。

家族と出かける買い物の収納はもちろん、キャンプツーリングの道具も余裕で収まる。このサドルバッグは、ハンドルを自作すれば、より使い勝手がよくなりそうだ。あれこれ手をかけて自分仕様にする──そんな装備だ。

『スポーツ グライド』に装備された新しい足回りは、今後のハーレーの指標になる

『スポーツ グライド』のもうひとつの特徴は、スポーツタイプのバイクに装備されている倒立フロントフォークを採用し、フロントのホイールサイズを18インチにしている点だ。

これらの組み合わせにより、旋回性能が高められ、コーナリングで素直な寝かしこみが期待できる。従来のハーレーダビッドソンにはなかった装備は、今後のハーレーの指標になりそうだ。

もっとも、ホイールデザインには賛否両論があるだろう。まるでステーキを焼く際に使うフォークのようなデザインで、好き嫌いが分かれるに違いない。

パワーユニットは、新設計のリジッド型ソフテイルフレームに、ブラックアウトされた1745ccの新エンジン「ミルウォーキーエイト107」を搭載。最大トルク145Nmを発揮する。

右出しの2in1マフラーもライダーのスポーツ心をくすぐってくれる。また、ナローなメインシートと形状の見直しを図ったプライマリーカバーにより、シート高は680mmと良好な足つき性能となっている。これなら“立ちゴケ”も無縁だろう。

四半世紀ぶりに“スポーツ グライド”のモデル名が復活、価格は227万5400円から

じつは、ハーレーダビッドソンが“スポーツ グライド”という名のモデルを出すのは今回が初めてではない。1983年に『FXRTスポーツ グライド』というモデルが登場し、以降10年間にわたって販売されていたことがある。

『FXRTスポーツ グライド』も、やはり専用のカウルやサドルバッグを備えていて、その使い勝手の良さから人気を集めた。

『スポーツ グライド』は、この四半世紀前の人気車種の特徴を受け継ぎ、買い物に行けて、2人分の荷物を詰めて旅行も愉しめるハーレーだ。パートナーとの新しい週末を始めたい人には、こんな2つの顔を持つハーレーも悪くない。

カラーは「ビビッドブラック」「トゥイスティッド チェリー」「シルバーフォーチュン」の3色。価格は「ビビッドブラック」が227万5400円から、モノトーンの「トゥイスティッド チェリー」と「「シルバーフォーチュン」が231万7400円からとなっている。

日本導入時期はまだ未定だが、すでにハーレーダビッドソンジャパンの公式サイトにラインナップされているので、上陸するのは時間の問題だ。

Text by Katsutoshi Miyamoto

Photo by (C) Harley-Davidson

Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

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第69回 | 大人ライダー向けのバイク

ドゥカティ ディアベル1260──悪役感溢れるクルーザー

クルーザーとは、平坦で長い直線道路を巡航(クルーズ)することに重点をおいたオートバイのスタイルのことだ。ハーレーダビッドソンやインディアンをイメージするとわかりやすいだろう。広大な北米大陸で発達したことから、日本ではアメリカンバイクとも呼ばれている。それをイタリア流のセンスによって味つけしたのが、ドゥカティ『ディアベル』である。従来のクルーザーと一線を画す独創的なデザインをもつ『ディアベル』は、2011年にデビューするや世界中で大ヒット。そして今回、第二世代へと進化した。

クルーザーでも「走りはやっぱりドゥカティ」。ファンの期待に応えるキャラクター

2010年にEICMA(ミラノモーターサイクルショー)で発表された初代『Diavel(ディアベル)』は、斬新なデザインだけではなく、従来のドゥカティのイメージと異なるクルーザージャンルに挑戦したモデルとして話題を集めた。じつは、ドゥカティは2014年にフォルクスワーゲングループに属するアウディに買収され、その傘下となっている。レース由来のスポーツモデルというブランドのアイデンティティを脇に置き、経営戦略を優先した結果の新型車と見る者が多かったことも、注目された理由のひとつだったのだろう。

しかし、初代『ディアベル』は見た目以上にスポーティで、実際にライディングを味わった人々からは「やっぱり走りはドゥカティ」との評価を得ることが多い。そうしたユーザーの声は、期待どおりのキャラクターに仕上げられていることを証明するものだ。

その『ディアベル』が第二世代へと進化した。ドゥカティは3月に開催されたジュネーブモーターショーで2019年モデルの発表を行ったが、そこで専用スペースを与えられ、ショーのアイコンモデルとしてお披露目されたのが『ディアベル1260』だ。しかも、2014年のようなマイナーチェンジではなく、すべてを見直した2代目としての登場である。

低回転域でもパワフルな排気量1262ccの「テスタストレッタDVT」エンジンを搭載

アイコニックな外観は、シルエット自体に大きな変化はない。しかし、全体にボリュームアップしており、重量感も増していると感じる。トレリス(格子状)フレームもまったく新しくなり、ぱっと見た印象としては、よりヒール(悪役)感が演出されているようだ。短いシートエンドとスラッシュカットで跳ね上がるサイレンサーエンドは、リアまわりをすっきりとさせた。同時にマスが凝縮されているようで、鍛えられた筋肉を連想させる。

その細部への作り込みによる質感の高さが評価されたのか、『ディアベル1260』は第二世代であるにもかかわらず、ドイツの権威あるプロダクトデザイン賞「Red Dot Award 2019:Best of the Best(レッド・ドット・デザイン賞)」にも輝いているくらいだ。

エンジンは、初代から継承されてきた排気量1198ccの水冷L型ツインからスープアップされ、1262ccの強力な「テスタストレッタDVT」エンジンを搭載。それにより、最高出力は従来の152hp/9000rpmから159hp/9000rpmへ、最大トルクは12.5kgm/8000rpmから13.2kgm/7500rpmへとそれぞれ高められている。車体重量はドライウエイトで218kgもあるが、これだけのトルクがあれば低速域でも軽快に扱えるはずだ。

ドゥカティ自身も新エンジンについて、「息を呑む加速とスムーズな低回転域のパワー特性を備え、日常ユースにも長距離ツアーにも対応する」としている。そのパワーを受け止めるのは、『ディアベル』のトレードマークである極太のリアタイヤだ。クルマ並の240mmという超ワイドタイヤを装着し、ボッシュ製のコーナリングABSも標準装備された。

特別なコンポーネントを与えられたスポーティ仕様車『ディアベル1260 S』も設定

新型には標準仕様に加えてスポーティな「S」バージョンも設定された。こちらには、専用のシートとホイールが与えられるほか、ブレンボ製M50ラジアルマウント・モノブロック・ブレーキ・キャリパー、オーリンズ製サスペンションなどを装備。さらに、クラッチ操作をせずに変速できる「クイックシフトアップ&ダウンエボ」も標準装備される。

『ディアベル1260』は、すでに1月半ばからボローニャにあるドゥカティの本社工場で生産が始まっており、ヨーロッパでは3月から販売が開始された。日本での発売は7月ごろを予定している。4月13日には大阪で「Ducati Diavel Meeting」が開催されたが、なんとこのミーティングの参加者は現行『ディアベル』のオーナー限定だった。新型のオーナーになれば、こうした特別なイベントへの招待状がドゥカティから届くかもしれない。

Text by Koji Okamura
Photo by (C) Ducati Motor Holding S.p.A
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

動画はこちら
Ducati Diavel 1260 オフィシャル動画
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