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第42回 | BMWの最新車デザイン・性能情報をお届け

進化したBMW i3──コンパクトEVを操るのは愉しいぞ

EV(電気自動車)は、もはや「遠い未来のクルマ」ではない。内外の自動車メーカーは今、続々とEVの新型車を市場に投入している。では、そのようにEVを身近にしたクルマはなにか? プレミアムブランドでいえば、それはBMW『i3』だろう。同社の次世代車ブランド「BMW i」のボトムエンドを担い、EVドライブの愉しさを知らしめたコンパクトEVである。その『i3』がマイナーチェンジを実施し、『i3』らしさはそのままにスタイリングをアップデートした。

従来のクルマとは異なる未来的なスタイリングの『i3』がより魅力的なデザインへ

量産車初となるCFRP(カーボン・ファイバー強化樹脂)素材を基本骨格に採用した完全新設計のボディ。そこに、あきらかに“これまでのクルマ”とは異なる未来的なスタイリングを載せたのが、ピュアEVのBMW『i3』だ。

プレミアムセグメントのコンパクトEVとはどうあるべきか? それを提案する形で生まれた『i3』は、ファッショナブルなスタイリングとEVならではの新しい“ドライビングファン”によって、先進的なクルマ好きたちを魅了した。

しかし、まったく古さを感じなかったが、気がつけば2013年7月のワールドプレミアから5年近い歳月が経っていたのである。

いくら先進的なスタイリングを持つといっても、発売から4年以上が経過すれば、より魅力的なデザインへのアップデートは必要だ。

新型『i3』のAピラーからルーフに沿って引かれたラインが高級感と低重心化を演出

とはいえ、もともとが完成された世界観を持つクルマである。変更点は、フロント周りのデザインの刷新など、最小限度に抑えられた。

まずフロント周りではバンパーのデザインを刷新し、横長のLEDターン・インジケーターも相まってワイドな印象となった。また、LEDヘッドライトを全モデルに標準装備し、安全性とデザイン性を同時に高めている。

リヤもフロントと同様に、ワイドな印象を与える新デザインのバンパーに変更された。その上部に配された横一直線のマット・クロームのラインが安定感を演出する。

しかし、新しい『i3』を最も特徴づけるのは、Aピラーからルーフに沿って引かれたシルバーのラインだろう。BMWいわく「モダンで洗練されたデザインとなった」とのことだが、これによって高級感が増し、腰高だった印象も払拭された。よりスタイリッシュな外観になったといえるだろう。

「ATELIER」「LODGE」「SUITE」の3つのテイストから選べる『i3』のインテリア

インテリアは従来通り、ダークな色合いの「ATELIER」、ナチュラルカラーの「LODGE」、ダルベルギア・ブラウンのレザーが落ち着いた印象の「SUITE」の3つのテイストから選択できる。ただし、「LODGE」にはソラリック・ブラウンのウール地にナチュラルレザーを組み合わせたシートを新たに採用した。

パワートレインに変更はない。2016年4月から採用されている33kWhの大容量リチウムイオンバッテリーを搭載したモーター駆動のみ。最高出力は125kW/170ps、最大トルクは250Nm。じつは実時速100kmまで7.3秒で走る俊足なのだ。コンパクトEVでも後輪駆動を採用するのがBMWらしい。

1回の充電走行距離は390km。ただし、647ccの発電用エンジンを搭載したレンジ・エクステンダー装備車は、走行中にエンジンが電力を発電することで航続距離が121km延長され、511kmの走行が可能だ。

EVにはバッテリーの耐久性という不安があるが、新車登録から8年、走行距離10万km以内のバッテリー保証が標準装備されるので心配はいらないだろう。

追加された新グレードのスポーツモデル『i3s』、はたして日本に導入されるのか?

価格はインテリアや装備によって異なる。「ATELIER」は538万円、「SUITE」のレンジ・エクステンダー装備車は644万円となっている。

この価格には、前述のバッテリー保証のほか、3年間の主要なメインテナンスなどを無償提供する「BMW iサービス・インクルーシブ」、公共充電サービスを12カ月間無料で利用可能な「ChargeNow(チャージナウ)」も含まれる。

ひとつ気になるのは、新たに追加された新グレード『i3s』(メイン写真)が日本に導入されるかどうかという点だ。

『i3s』の「s」はもちろん、スポーツモデルであることを意味している。モーター出力は通常モデルに比べて14psアップ。車高は10mm低く、トレッドが40mm幅広くなるスポーツサスペンションを備える。それに伴い、ボディにオーバーフェンダーが装着され、そこに20インチの大径ホイールが収まるのだ。

BMWは古くから「駆け抜ける喜び」を謳ってきたメーカーである。次世代型EVの『i3』にもスポーティな走りを求めるファンは確実に存在する。『i3』の日本導入に期待しているユーザーは多いのではないだろうか。

Text by Muneyoshi Kitani

Photo by (C) BMW AG

Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

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第62回 | BMWの最新車デザイン・性能情報をお届け

最上級で贅沢なオープン──BMW 8シリーズ カブリオレ

初夏になると、クルマのルーフを開けてオープンエアを愉しみたくなる。しかし、この新型オープンモデルが似合う場所は、蒸し暑い日本の夏ではなく、地中海やマイアミの高級リゾート地なのかもしれない。それほどまでに、贅沢でエレガントなのである。昨年、じつに20年ぶりとなる復活を遂げたBMW『8シリーズ』。このフラッグシップクーペに今回、カブリオレが追加された。「最上級」という言葉がふさわしいオープントップモデルだ。

クーペの美しさと運動性能、オープンモデルならではの開放感や優雅さを兼ね備える

ヨーロッパの人々は太陽を浴びることが大好きだ。ほとんどのラグジュアリークーペには、当然のようにオープントップモデルが設定されている。昨年6月、ル・マン24時間レースにおいて、およそ20年ぶりに復活したBMW『8シリーズ』が発表されたときから、多くの自動車ファンはカブリオレの登場を予感していたことだろう。そもそも、BMWには開発当初からオープンモデルをラインナップに追加する前提があったに違いない。

BMW『8シリーズ カブリオレ』は、『6シリーズ カブリオレ』の実質的な後継となるオープントップモデルである。むろん、ベースは最上級クーペの『8シリーズ クーペ』。低く伸びやかなシルエット、美しいルーフライン、艶麗なリヤフェンダーの造形が醸し出す優雅さ。そうした官能的な個性が際立つ『8シリーズ クーペ』の美しいデザインと運動性能をそのまま受け継ぎながら、オープンモデルならではの開放感や優雅さを備える。

エクステリアでは、リヤホイールへの力感を表現するボディサイドのキャラクターラインが目を引く。さらに、キドニーグリルやデッキを取り囲むモールディングなどにクローム加飾をアクセントとして採用。専用の20インチ・マルチスポークホイールの繊細なデザインと相まって、クーペ以上に洗練されたラグジュアリーさを強く感じさせる佇まいだ。

滑らかな流線形を描く電動式ソフトトップ。シフトノブはなんとクリスタル仕立て!

ルーフは電動式のソフトトップで、エレガントなボディ造形にふさわしく、滑らかな流線形を描くように丸みを帯びたデザインとなっている。ルーフを閉じた状態でも、上質さや優雅さはまったく損なわれない。ルーフは時速50km/h以下なら走行中でも約15秒で開閉することが可能だ。ルーフオープン時もラゲッジルームは250Lの容量を確保する。

室内は、エクステリアと見事に調和した高級感をまといつつ、前後方向への意識を強調するように設計されているのが特徴だ。具体的には、乗員の視線が自然と前方へ向かい、走りへの期待感を煽るようなデザインとなっている。また、高い操作性を確保するためにスイッチ類をグループ分けし、ドライビングを妨げないポジションにわかりやすく配置した。

注目は非常に高い透明度のクリスタルで作られたシフトノブ。クラフテッド・クリスタル・フィニッシュを採用し、なかから数字の「8」が浮かび上がる仕様となっている。シートはベンチレーション付きの上質なメリノレザー。アンビエント・ライトを標準装備しているので、ラグジュアリーオープンモデルであることを乗るたびに感じさせてくれるだろう。

『8シリーズ カブリオレ』の加速性能はピュアスポーツカー並。価格は1838万円

搭載されるパワーユニットは、『8シリーズ クーペ』と同様の4.4L V型8気筒ガソリンエンジン。最高出力530ps/5500-6000rpm、最大トルク750Nm/1800-4600rpmを発生し、8速スポーツAT(ステップトロニック付き)を組み合わせる。0-100km/h加速は「8」の名にふさわしく、3.9秒を実現。これはピュアスポーツカーに匹敵する動力性能だ。

なお、ドイツ本国やヨーロッパでは上記のエンジンを積む「M850i xDrive」のほかに、経済的な3.0L直列6気筒ターボディーゼルエンジンを搭載する「840d xDrive Mスポーツ」も選べるが、日本国内で販売されるのは現時点で「M850i xDrive」のみとなっている。

価格は『8シリーズ クーペ』より124万円アップとなる1838万円。高価なうえに、これだけのラグジュアリーオープンが似合うロケーションは国内ではなかなか見当たらない。とはいえ、オープンエアの季節だけに、所有欲を強く刺激するのはたしかだろう。

Text by Kenzo Maya
Photo by (C) BMW AG
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

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