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第99回 | 大人のための最新自動車事情

英数字の意味は?──ジャーマン3の車名法則を知る

メルセデス・ベンツ、BMW、アウディは、ジャーマンスリーと称される3大ブランドだ。世界の高級車市場を牽引し、日本市場でも高い存在感と実積を誇る。フラッグシップは2000万円超だが、エントリーモデルは国産高級車と同価格帯で購入可能。様々なセグメントを揃えているのも特徴だ。とはいえ、その多種多様なモデルの表記は、基本的に算用数字とアルファベットを組み合わせた英数字のみ。車名だけではどんなクルマかわからない人も多いに違いない。しかし、この車名には一定の法則があり、それを知れば、名前だけでどんな車種かを想像することができるのだ。

アウディは「アルファベット=クルマの位置付け」+「数字=車格」と覚えておく

アウディは、基本的に「アルファベット+数字」で表される。アルファベットはそのクルマの位置付け、数字は車格と覚えておけばいいだろう。

アルファベットと数字の関係は以下の通りだ。

「A」…アウディの根幹をなすベーシックモデル。「2」を除く「1」〜「8」が存在し、数字が上がるごとに車格も上がる。

「S」…「A」をベースにしたスポーツモデル。たとえば、『A5』のスポーツモデルなら『S5』となる。

「RS」…「S」をベースにさらに走行性能を高めたレーシングモデル。『S5』のレーシングモデルは『RS5』となる。

「Q」…SUVモデル。「2」〜「7」が存在し、数字があがるごとに車格も上がる。

「TT」…純粋なスポーツカーモデル。クーペとオープンの2タイプがあり、クーペは2+2、オープンは2シーターである。数字は付かない。

「R」…フラッグシップであるレーシングモデル。「8」のみが存在し、クーペとオープンの2タイプがある。いずれも2シーターである。

さらに、アウディでは、「アルファベット+数字」の後に「ボディタイプ」が記されることがある。そのボディタイプは、下記の通りだ。

「Sportsback(スポーツバック)」…4ドアクーペ
「Avant(アヴァント)」…ステーションワゴン
「Coupe(クーペ)」…2ドアクーペ
「Cabriolet(カブリオレ)/Spider(スパイダー)」…オープン

つまり、『RS4 Avant』なら、車格的には中程度だが、走行性能は最高峰のワゴンタイプのクルマ、と想像できるわけだ。

関連リンク:カーセンサーでアウディの中古車情報をチェック関連記事:アウディが「A6アバント」の新型を発表

BMWは「1」〜「7」の数字で車種を分け、数字が大きくなるほど車格が高くなる

BMWは比較的わかりやすく、車格による数字分けとなる。それぞれ「シリーズ」と呼ばれ、現時点で「1」〜「7」までが存在。数字が上がるたびに車格も上がる。

ベースとなる車種は、“「1」…ハッチバック、「2」…クーペ、「3」…セダン、「4」…クーペ、「5」…セダン、「6」…クーペ、「7」…セダン”となる。

加えて、『7シリーズ』を除いて、それぞれのシリーズに「カブリオレ(オープン)」や「ツーリング(ワゴン)」といったボディタイプが存在する。基本的に、カブリオレはクーペに、ツーリングはセダンに設定されている。

数字によるシリーズに加えて、「X」「M」「i」のアルファベットを冠するシリーズも存在する。

「X」はSUV、「M」は走りに特化したスポーツモデル、「i」はEV及び電動化モデルと覚えておこう。

いずれも「X」「M」「i」の前後には数字が付く。この数字は前述したシリーズの数字とリンクしており、つまり、『X1』は『1シリーズ』のSUV、『X6 M』は『6シリーズ』のSUVで、走行性能が高いモデルとなる。

関連記事:BMW初の3列シート大型SUV「X7」を発表関連記事:走りに磨きをかけた高性能モデル BMW「M2コンペティション」登場

メルセデス・ベンツはジャーマンスリーのなかで最も車名の法則が複雑なブランド

最後はメルセデス・ベンツだ。ライナップも多く、ジャーマンスリーのなかで最も法則が複雑なブランドである。

基本はアルファベットの「A」「B」「C」「E」「S」で車格が表される。それぞれ「クラス」と呼ばれ、順序が後ろになればなるほど、車格が高い。

このアルファベットに、ボディタイプが付け足される。『Cクラス セダン』や『Eクラス ステーションワゴン』『Sクラス カブリオレ』といった具合だ。その後ろに付く数字はエンジンの排気量で、『C200』なら2000ccとなる。

これ以外にも、「SL」「CL」「GL」というアルファベットが存在する。

「SL」は、『Sクラス』をベースにした2シータースポーツモデル。この「SL」に「C」が付いて「SLC」になると、『Cクラス』をベースにした2シータースポーツモデルとなる。

「CL」は4ドアクーペを意味し、「CLS」と「CLA」が存在する。「CLS」の車格は『Sクラス』だが、ベースは『Eクラス』となる。「CLA」はその名の通り、『Aクラス』の4ドアクーペと考えていいだろう。

「GL」はSUVモデルを意味する。4ドアでは、「GLA」「GLC」「GLE」「GLS」が存在し、2ドアでは『GLCクーペ』と『GLEクーペ』が存在する。基本的には、「GL」の後に付く「A」「C」「E」がベース車両となる。「GLA」は『Aクラス』のSUVモデルだ。

ただし、「GLS」だけは「S」の名前が付いていても、ベースは『Eクラス』。装備などは『Sクラス』に準じており、『GLクラス』の最高峰ということで「S」を与えられている。

関連記事:ニューヨークショー2018(メルセデス・ベンツ)

「AMG」はアウディの「RS」、BMWの「M」に相当するハイパフォーマンスブランド

もう少しメルセデス・ベンツの法則を説明しよう。このほかにも、さらに「G」「V」というアルファベットが存在する。

「G」は『Gクラス』にのみ使われるアルファベット。ドイツ語でオフロード車を意味する「ゲレンデ・ヴァーゲン」の頭文字だ。1979年に軍用車を民生用にアレンジしたことから始まり、36年間にわたって基本的なスタイリングを保ちながら細かく進化を重ねてきた車種で、ある意味、メルセデス・ベンツにとって特別な一台だ。

「V」は『Vクラス』のみに使われる。これはメルセデス・ベンツ唯一のミニバンである。

メルセデス・ベンツでアウディの「RS」、BMWの「M」に相当するのは、「AMG(エーエムジー)」だ。レース系のブランドで、ハイパフォーマンスを誇る。

クルマに興味があるなら知っておきたいジャーマンスリーの車名法則。これだけ押さえておけば、車名だけ聞いてもどんなクルマかを想像できるはずだ。周囲にクルマが好きな友人・知人が多く、クルマ関連の会話が多い人なら、覚えておいて損はないだろう。

関連リンク:カーセンサーで輸入車の中古車情報をチェック
           

Text by Tsukasa Sasabayashi

Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

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第130回 | 大人のための最新自動車事情

エモーションEV──バタフライドアの電動スポーツカー

ポルシェ初の量産EVスポーツカーとして話題の『タイカン』は今年生産を開始し、驚異的なスペックを誇るテスラのスーパースポーツカー『ロードスター』も2020年の発売を予定している。EVスポーツカーは、いま旬を迎えつつあるカテゴリだ。そうしたなか、アメリカのフィスカーがCES 2019で初公開した『エモーションEV』が予約受付を開始した。バタフライ4ドアが特徴の高級フルEVスポーツは、いったいどんなクルマなのか。

BMW『Z8』やアストンマーチン『DB9』のデザイナーが手がけた高級スポーツEV

フィスカー『エモーションEV』は、ヘンリック・フィスカー氏の手によるエレガントなデザインの高級EVスポーツカーだ。フィスカー氏はデンマーク出身の著名なカーデザイナー。BMWに在籍していた当時に『Z8』、EVコンセプトモデルの『E1』などを手がけ、アストンマーチンでは『DB9』『DBS』『ヴァンテージ』のデザインを担当した。

その後、独立してメルセデス・ベンツやBMWをベースにしたコンプリートカーやハイブリッドエンジン搭載のオリジナルモデルを製作するが、じつは、テスラで『ロードスター』『モデルS』の2モデルの開発に参加したこともあるようだ。そのせいというわけではないだろうが、『エモーションEV』のデザインはどこかテスラに似た雰囲気もある。

ともあれ、スタイリングは「美しい」のひと言に尽きる。とりわけ特徴的なのは、開くとドア側面が蝶の羽のような形に見える「バタフライ4ドア」だ。同じ上部に向かって開くドアでも、縦方向に開くシザースドアと違い、バタフライドアは外側が斜め前方に、内側が下向きに開く。駐車スペースに苦労する日本ではなかなかお目にかかれないドアだ。

バッテリーはリチウムイオンではなく炭素素材コンデンサ。多くの先端技術を搭載

面白いのは、バッテリーに多くのEVに採用されるリチウムイオンではなく、炭素素材コンデンサのグラフェンスーパーキャパシタを採用したことだ(全個体充電池搭載モデルもラインナップ)。1回の充電あたりの最大走行距離は約640km。急速充電の「UltraCharger」に対応しており、9分間の充電で約205km分の容量までチャージ可能という。

EVパワートレインは最高出力700psを発生し、最高速度は260km/h。このスペックを見ると、テスラ『ロードスター』のようなEVスーパースポーツではなく、あくまでスポーティカーという位置づけなのだろう。全長5085×全幅2015×全高1465mmのボディは軽量のカーボンファイバーとアルミニウムで構成され、駆動方式は四輪駆動だ。

このほか、ADAS(先進運転支援システム)としてクアナジー製LIDARセンサーを5個搭載し、コネクテッドなどのEVスポーツカーらしいさまざまな先端技術を装備する。

『エモーションEV』の価格は1440万円。予約も開始され今年中にデリバリー予定

前述の通り、『エモーションEV』はグラフェンスーパーキャパシタ搭載モデルと全個体充電池搭載モデルの2モデルを設定。価格はグラフェンスーパーキャパシタ搭載モデルが1440万円(税別)、全個体充電池搭載モデルの価格は未定だ。すでに日本でもデロリアン・モーター・カンパニーを正規代理店に予約受付を開始しており、グラフェンスーパーキャパシタは今年中の納車を予定している。ただし、予約金として約24万円が必要だ。

最近では東京都心部などでテスラをよく見かけるようになり、もはやEVは現実的な乗り物になりつつある。たしかに価格は1000万円オーバーと高価。しかし、この美しいルックスなら、他人と違うクルマに乗りたいという欲求を満たすことができるのではないか。

Text by Kenzo Maya
Photo by (C) Fisker, Inc.
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

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