editeur

検索
サービス終了のお知らせ
第6回 | Jeepの最新車デザイン・性能情報をお届け

普遍的という正義──4代目“ザ・ジープ”ラングラー

ロレックスのダイバーズウォッチやモンブランの万年筆がそうであるように、完成されたデザインと機能を持つ製品は、形を変えることなく長きにわたって愛され続ける。“ザ・ジープ”と呼ばれる『ラングラー』も、そうした普遍的な魅力を放つ製品のひとつだ。しかし、自動車の場合、安全性能や環境性能など、要求される性能が年々高まっていく。そこでジープが送り出したのが、時代に合わせて進化させた4代目『ラングラー』である。一見なにも変わっていないように見えるが、これは10年ぶりにフルモデルチェンジされたまったく新しい『ラングラー』なのだ。

アメ車として異例の人気を誇るジープ『ラングラー』が10年ぶりフルモデルチェンジ

日本では「アメ車は売れない」というのが定説となっているが、このクルマだけは例外だろう。

1940年代に生まれた軍用車両の面影を残し、ひと際タフなオフロード性能を持つプリミティブなモデルの『ラングラー』は、人々が「Jeep」の名を聞くと真っ先に形を思い浮かべるクルマだ。アウトドアを愉しむためのタフな相棒として、あるいはライフスタイルを表現するファッションアイコンとして、日本でも高い人気を誇るアメ車のオフローダーである。

人気の理由のひとつは、昔から大きく変わらない普遍的なスタイリングにある。それだけに、『ラングラー』には「フルモデルチェンジ」という言葉は似合わないかもしれない。

しかし、じつは1987年のデビュー以来、1996年に2代目(TJ型)、2007年には3代目(JK型)へと進化するなど、時代に合わせて幾度もモデルチェンジが施されてきたのだ。

今回フルモデルチェンジを受けた新型『ラングラー』は4代目にあたる。ワールドプレミアされた2017年11月のLAオートショーでは、この新型『ラングラー』の登場が最も話題となったほどで、その注目度の高さがうかがえるだろう。

ジープ伝統のセブンスロットグリルが「ジープCJ」を想起させるデザインに変更

デザインは、一見しただけでは先代JK型との大きな違いは見て取れない。しかし、細部に目を凝らせば、ボリュームが増したボンネット、ワイド感を強調したバンパー、フロントフェンダーなど、先代モデルから進化を遂げていることがわかるはずである。

また、ジープ伝統のセブンスロットグリルは、『ラングラー』の前身である「ジープCJ」を想起させるデザインに改められた。「CJ」とは、軍用のミリタリージープから派生した民生仕様の「シビリアンジープ」を表す略称である。

しかし、今回のモデルチェンジはデザインの変更がメインではなく、注目すべきはむしろクルマの“中身”だ。

基本構造は継承しつつ、軽量化と省燃費化を図るため、ドアやボンネット、フェンダー、ウィンドウフレームなどに高張力アルミニウム素材を採用し、リヤのスインゲートはマグネシウム製に変更された。その結果、およそ90kgの軽量化を実現したという。

さらに、オフロード性能を犠牲にすることなくオンロードハンドリングと快適な乗り心地を実現するために、4輪コイルスプリングのサスペンションもチューニングして最適化が図られた。

もちろん、パワートレインも刷新されている。現時点では3.6LのV型6気筒ガソリンエンジン(6速MT/8速AT)のみの設定だが、LAショーでの発表時には、マイルドハイブリッドシステムの「eトルク」を搭載する2.0L 4気筒ガソリンターボエンジンの存在も明らかにされている。今後は3.0LのV型6気筒ディーゼルエンジンも投入される予定だという。

新型『ラングラー』の室内は質感や機能が大幅に向上…しかし走行後に丸洗いも可能

インテリアの質感や機能が大幅に向上している点も新型『ラングラー』の大きな魅力のひとつだろう。

ボディカラーと同色のパネルの採用し、ステアリングに金属調のパーツが装着されるなど、質実剛健だった先代モデルと雰囲気を一変。インパネに5インチ(7インチ、8.4インチも選択可能)のインフォテイメント用タッチスクリーンやコネクティングデバイスが装備され、ユーザビリティが高められた点も新しい。

このインフォテイメントシステムには第4世代の「Uconnectシステム」が搭載され、ナビゲーションやオーディオなどの操作が可能。オフロード走行時にはここに表示される各種の情報が役立つはずだ。当然、USBポートや12V電源も備えており、Apple CarPlay、Android Autoに対応する。

ちなみに、生粋のオフローダーらしく、車載システムやスピーカーはすべて防水仕様。山や川を駆け巡った後に丸洗いすることもできるわけだ。

新型『ラングラー』のボディは2ドアと4ドアの2種類、4グレードをラインナップ

ボディバリエーションは、先代モデルと同じく2ドアと4ドアがあり、それぞれに初めて電動となるソフトトップと「フリーダムトップ」と呼ばれるハードトップが設定された。

グレードは、2ドアが「スポーツ」「スポーツS」、よりオフロード性能を高めた「ルビコン」の3タイプ。4ドアは「スポーツ」「スポーツS」「ルビコン」に加え、4ドアのみに設定される上級仕様「サハラ」(下の写真)の4タイプをラインナップ。「ルビコン」「サハラ」はLEDヘッドランプを備える。

ボディカラーは9色が用意され、ソフトトップのカラーはブラックとタン(ベージュ)、ハードトップはブラックとボディ同色から選択可能だ。

さらに、「MOPAR」ブランドから販売される「ジープ・パフォーマンス・パーツ」をはじめ、200点以上の純正アクセサリーも用意されるというから、“自分だけの一台”を作り上げる愉しみもありそうだ。


価格は日本円でおよそ300万円~450万円、北米市場では2018年1月から販売開始

新型『ラングラー』は本国アメリカでは2018年1月から販売が開始され、価格は日本円でおよそ300万円~450万円。先代モデルよりも20~30万円程度高くなった形だ。

2017年モデルの日本仕様では、4ドアの上級モデル「アンリミテッド サハラ」が427万6800円だったので、新型が導入された際には450万円程度になるのではないだろうか。

しかし、内容を見ればわかるように、これはいたずらに値上げしたものではなく、根拠のあるプライスアップだ。国内販売が開始されたら、きっとまた人気となるに違いない。

普遍的な魅力をさらに高めた“ザ・ジープ”。日本に上陸する日が今から待ち遠しい。

Text by Muneyoshi Kitani

Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

ピックアップ
第11回 | Jeepの最新車デザイン・性能情報をお届け

Jeepウェイアウト──グラディエーターがキャンパーに!

4月にアメリカ・ユタ州グランド郡のモアブ国立公園で開催された「イースター・ジープ・サファリ」は、今年で53回目となるJeepファンに向けた恒例のイベントだ。Jeep各モデルの優れたオフロード性能を体験できるのと同時に、Jeepのコンセプトカーが発表される場としても注目を集める。今回もユニークな6台のコンセプトモデルが登場。ベースとなったのは、すべてピックアップトラックの『グラディエーター』である。

荷台上部に格納式テントとハシゴ。スタック脱出用ウインチも備える『ウェイアウト』

『グラディエーター』は、Jeepにとって数十年ぶりとなるピックアップトラックだ。見てわかるように、ベースは軍用車両の面影を色濃く残す本格クロスカントリーの『ラングラー』。しかし、フレームは専用設計で、全長もホイールベースもかなりストレッチされている。実車を目にすれば、その想像以上に巨大なボディに驚くことだろう。なにより軍用車にも似たルックスが男心を非常にくすぐるのだ。昨年11月にロサンゼルスでお披露目されると、各国の自動車メディアやジャーナリストがこぞって絶賛したくらいである。

今年の「イースター・ジープ・サファリ」では、この『グラディエーター』をベースにした6タイプのユニークなコンセプトモデルがファンに披露された。そのうちの一台の『ウェイアウト』は、なんとキャンピングカーにカスタマイズしたコンセプトモデルだ。

荷台上部に設けたフレームに格納式テントとハシゴを装備し、スタック(雪やぬかるみに車輪を取られて動けなくなる状態)した際の脱出用ウインチと川をわたるときに安定した吸気を可能にするシュノーケルも備える。カスタマイズのテーマは「冒険」だ。

モトクロスがテーマの『フラットビル』。レトロな雰囲気の『CJ8スクランブラー』

『フラットビル』のテーマはモトクロス。モトクロスバイクをイメージしたモデルで、荷台を取り囲んでいるあおりのうち、後部を取り除き大型モトクロスバイク2台の積載を可能にした。スキッドプレートを装着し、車両のオフロードの走破性も引き上げられている。

鮮やかなブルーメタリックのボディカラーが目を引く『J6』は、1970年代後半の2ドアのピックアップトラックをテーマにしている。4ドア・ダブルキャブの『グラディエーター』を2ドア・シングルキャブにカスタマイズすることで、往時の雰囲気を再現した。

『JTスクランブラー』もレトロな雰囲気だ。こちらは、1980年代のJeepのモデルのひとつ、『CJ8スクランブラー』を『グラディエーター』のボディを使って再現したもの。17インチのスロットホイールを装着し、リフトキットで車高を引き上げて大型の37インチタイヤの装着を可能にした。ボディのストライプと同色仕上げのホイールがクールだ。

6台のJeepコンセプトモデルを手がけたのはFCAのチューンナップ部門「Mopar」

6台のコンセプトモデルのカスタマイズを手がけたのは、FCA(フィアット・クライスラー・オートモービルズ)のチューンナップパーツ部門であるMopar(モパー)。これらのカスタマイズには、すべてMoparブランドの「ジープパフォーマンスパーツ」を使用した。

Moparは、3月に『ラングラー』ベースの『Jeepラングラー ルビコン1941』というカスタムモデルを発表し、このクルマは今年夏ごろに正式リリースされる予定だ。もしかすると、このコンセプトモデルのなかから市販化されるモデルが登場するかもしれない。

Text by Kenzo Maya
Photo by (C) Fiat Chrysler Automobiles
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

ピックアップ

editeur

検索