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第5回 | シボレーの最新車デザイン・性能情報をお届け

歴代最強の“鬼すごいアメ車”──新型コルベットZR1

中東屈指の世界都市で金融センターでもあるUAEの首都ドバイで開催されるドバイモーターショーは、数多の自動車ショーのなかでも、とりわけ派手で特別なクルマが展示される。11月に行われたドバイモーターショー2017にも様々な超弩級モデルが登場した。そのうちの一台が、凶暴なルックスと桁外れの性能で会場をどよめかせたシボレーの新型『コルベットZR1』である。いわく「コルベット史上、最も早く、最も強力」という“鬼すごい”アメリカンスーパーカーだ。

コルベット史上最も速く、最も強力なエンジンスペックを持つ『コルベットZR1』

アメリカ本国では「コーベットゥ ズィーアールワン」とでも呼ばれるのだろうか。ドバイモーターショー2017でついに『コルベットZR1』が正式発表された。

この『コルベットZR1』、とにかく“鬼すごいクルマ”なので、車種名だけでも覚えておいてほしい。「今ほしいクルマは?」と問われて『コルベットZR1』と答えれば、あなたを見る周囲の目が必ず変わるに違いない。

シボレーによる英文リリースの見出しには、「RETURN OF THE KING(王者の帰還)──コルベット史上、最も速く、最も強力で、最先端のパフォーマンスを実現するスーパーカー」とある。

一見すると大げさな表現だが、『コルベットZR1』の中身を知ると、この言葉でさえ控え目であることがよくわかった。いったい『コルベットZR1』の何がすごいのか? それはこのクルマの途轍もないエンジンスペックにある。

ポルシェ911ターボSやV12フェラーリをも凌駕する『コルベットZR1』のパワー

『コルベットZR1』に搭載されるパワーユニットは、熟練のエンジニアによって手作業で組み立てられた特別仕様の「LT5」型6.2L V8エンジン。新開発のスーパーチャージャーは、究極のロードゴーイングマシンといわれる『コルベットZ06』より52%も大容量化された。

このスペシャルなエンジンによって、最高出力755hp(563kw)、最大トルク969Nmという、まさしく鬼のようなパワーを発揮する。もちろん、シボレー車として史上最強の数値である。

実際、755英馬力という最高出力は、ポルシェ『911ターボS』のそれを軽く上回り、V12エンジンを搭載するフェラーリの最新フラッグシップモデル『812スーパーファスト』にもわずかに劣るだけにすぎない。最大トルク969Nmはあらゆるスーパースポーツのなかでも抜きん出ている。

トランスミッションには『コルベットZR1』として初のオートマチックとなるパドルシフト付き8速ATが設定された。それにより、アクセルをグイッと踏み込めば、 0~96km/hが3秒以下という驚異の加速力、最高速度338km/h (『コルベットZR1コンバーチブル』は341km/h)という異次元の世界に突入する。

筆者は以前、あるレーシングドライバーに「最高速300km/hの世界とはどういうものか?」を聞いたことがあるが、それはまさに「ワープの瞬間」だという。前方視界が丸くすぼまって点のようになり、左右の景色が線のように流れる…。『コルベットZR1』のアクセルは“ワープレバー”でもあるのだ。

ボディカラーは名車『コルベット スティングレイ』を代表する鮮やかなオレンジ色

『コルベットZR1』のアイコンモデルは、燃え立つようなオレンジを用いた「セブリングオレンジデザインパッケージ」。ボディ全体はもちろん、ブレーキキャリパー、シートベルト、ステッチなど、各所にオレンジが施されている。

この鮮やかなオレンジ色は、クルマ好きならご存じのとおり、名車『コルベット スティングレイ』を代表するカラーだ。

これだけの突出したパフォーマンスを持つマシンだけに、レーサーも当然用意されている。サーキット走行向けの「ZTKパフォーマンスパッケージ」は、強力なダウンフォースを生む大型のハイウイングと、高いグリップ性能を持つタイヤ、さらにチューンナップ済みのサスペンションが組み込まれている。きっとこのマシンはワンメイクレースの花形になるだろう。

ドバイモーターショー2017で正式にお披露目となった2019モデルの『コルベットZR1』。当然、中東の石油王やその王族をターゲットとしているに違いない。見渡す限り広がる砂漠の一本道を300km/hオーバーのオレンジ玉が砂煙を巻き上げ疾走する様を、ぜひ見てみたいものである。

Text by Katsutoshi Miyamoto

Photo by (C)General Motors

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第8回 | シボレーの最新車デザイン・性能情報をお届け

C8はミッドシップ──新型コルベット、まもなくデビュー

発表前のニューモデルがカモフラージュ模様をまとい、公道でテスト走行を行うのはよく見られる光景だ。それらは自動車メディアのスクープ、あるいはメーカーが発表した写真によって目にすることが多い。しかし、世界有数の大都市、ニューヨークのど真ん中にカモフラージュ模様のプロトタイプが登場するのは、わりとレアケースではないか。GM(ゼネラルモーターズ)は4月初旬、デジタルカモフラージュ加工を施したシボレー『コルベット』の次期モデルをニューヨークの街で走らせるデモンストレーションを行った。

アメリカンスーパースポーツの代表車種『コルベット』が6年半ぶりモデルチェンジ

1960〜70年代のマッスルカー全盛の時代から、アメリカには数多のスポーツカーが存在してきた。シボレー『コルベット』は、間違いなくその代表車種のひとつだろう。モータースポーツの世界でも輝かしい成績を残し、世界中で多くのファンに愛されている。

初代モデルの登場は1953年。「アメリカ独自のスポーツカーを生み出す」との思いから誕生し、以来60余年、7世代にわたって系譜を紡いできた。とりわけ1966年デビューの第3世代、通称「C3」は、光岡自動車のヒットモデル『ロックスター』のモチーフとなるなど、今も『コルベット』の象徴として高い人気を誇る。現行モデルは第7世代だ。

その『コルベット』が6年半ぶりにモデルチェンジを行い、第8世代、つまり「C8」へと進化する。シボレーブランドを展開するGMは、今年7月18日に新型『コルベット』を公開することを発表。そしてニューヨーク国際モーターショーを翌週に控えた4月11日、ニューヨークのど真ん中で新型『コルベット』のプロトタイプを走らせたのである。

ショートノーズのスタイリングにミッドシップ。大きく変わる8代目『コルベット』

カモフラージュ模様のプロトタイプが現れたのは、ニューヨーク市マンハッタン区のウェストサイドを南北に走る7番街。タイムズスクエアに近い地区だ。ハンドルを握るのは新型『コルベット』のチーフエンジニアをつとめるタッジ・ジェクター氏、助手席に座るのは大手自動車メーカーで初の女性CEOとなったGMのメアリー・バーラ氏である。

アメ車に詳しい人なら、左右のドアに公開日を予告する「07.18.19」のバナーを貼ったこのプロトタイプを見て「おや?」と思ったに違いない。『コルベット』といえば、初代からFR(フロントエンジン・リアドライブ)レイアウトをもつロングノーズ・ショートデッキのフォルムが伝統。ところが、「C8」は対照的に、フロントノーズが短くリア部分が長い。キャブフォワード(運転席が車体中央から少し前方に位置)スタイルとなっている。

このフォルムは、「C8」のエンジンがミッドに搭載されることを意味する。つまり『コルベット』史上初となるミッドシップ・エンジンレイアウトを採用するということだ。

ハイブリッドモデルも登場? まったく新しいアメリカンスーパースポーツに進化する

しかも、驚くべきことに、ミッドシップのみならず、ハイブリッドモデルのラインナップまで噂されている。少なくとも、ダウンサイジングによって効率化をはかり、大排気量のV8エンジンを搭載するモダンマッスルカーに別れを告げることが予想される。「C8」は、これまでに例のない、まったく新しいアメリカンスーパースポーツとなりそうだ。

いずれにせよ、新型の全容はまもなく明らかになる。前述のとおり、GMは今年7月18日に「C8」をお披露目することを公式に発表済みだ。おそらく、アメリカの自動車業界だけではなく、世界中のスポーツカーファンにとって胸が躍る一大イベントとなることだろう。その日まで残り2カ月足らず。新型『コルベット』のデビューを刮目して待ちたい。

Text by Kenzo Maya
Photo by (C) General Motors
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

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