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第24回 | アウディの最新車デザイン・性能情報をお届け

アウディQ5──フルモデルチェンジした超人気SUV

『Qシリーズ』は、アウディのプレミアムSUVライナップである。そのなかでも、世界的トップセラーとして最も成功したモデルがミッドサイズの『Q5』だ。全世界での累計販売台数は160万台超。発売から8年経った2016年も、1年間に28万台をデリバリーするなど、その人気は衰えない。そんな高い人気を保ったまま、ついに今回、初のフルモデルチェンジを果たした。

新型アウディ『Q5』のエクステリアはキープコンセプト、しかしボディ内部は一新

『Q5』が日本でデビューしたのは2009年。アウディの特徴であるスポーティでエレガントなデザインと卓越した走行性能、そして先進テクノロジーを融合したSUVは、瞬く間に同セグメントでのベンチマークとなった。もちろん、新型も指針となることは間違いないだろう。

エクステリアデザインはキープコンセプトだが、フェイス周りに変化がみられる。今回は、6角形のフレームを介して左右のヘッドライトと接しているシングルフレームグリルを採用した。

それ以外では、クーペのようなルーフライン、アウディの代名詞である4WDシステム「quattro(クワトロ)」を象徴する広がりのあるホイールアーチ、ボンネットとテールゲートの周囲まで包み込み、ボディパネルのつなぎ目を目立たないようにするラップラウンドデザインなどが特徴だ。

一方、ボディの中身は一新されている。新プラットフォーム「MLB Evo(モジュラーロンギチューディナルマトリックスエボ)」の採用である。これにより、ボディは全長4680×全幅1900×全高1665mm、ホイールベース2825mmへと拡大。従来モデルと比較すると、全幅は同じながら、全長が50mm、ホイールベースが15mm長く、全高が5mm高くなっているのだが、重量は60kg削減することに成功している。

新型『Q5』に搭載された進化版「quattro」システムは状況を先読みする優れもの

室内は従来型よりもあらゆる面で広く感じる。その理由のひとつが、計算されたデザインだろう。水平基調で開放感があり、進歩的かつエレガントな雰囲気が演出されている。

もちろん、実際の数値も向上した。ショルダールームとエルボールームはクラストップの余裕。また、ラゲージ容量も5人乗りで550Lと、従来よりも10L増加し、後席を折りたためば1550Lまで拡大できる。

動力部には2.0TFSIエンジンを採用。最高出力は185kW(252ps)/5000-6000rpm、最大トルクは370Nm/1600-4500rpm。これは、従来型よりも出力とトルクがそれぞれ22ps、20Nmアップしている。

軽量化したボディと7速Sトロニックのギアを合わせることで、運動性能を大幅に高めつつ、燃費はJC08モードで13.9km/Lと、従来型よりも11%改善した。

さらに、お家芸の「quattro」システムも最新形態に進化。4WD走行の必要性が低いときはFF(前輪駆動)で走行し、ステアリング角、前後左右の加速度、エンジントルクなど数多くのセンサーで車体を監視、常に状況を先読み。4WDが必要になると判断したら、必要な状況が訪れる「直前」に切り替えることができる。必要になってから切り替わるのではないところに、アウディの技術力の高さが見てとれるだろう。

最新技術の安全性能でドライバーと歩行者の安全を守る4WDシステム「quattro」

4WDシステム「quattro」は高い動力性能を実現するだけでなく、安全走行へも大きく寄与している。この安全性能の高さも『Q5』の特徴だ。

フロントレーダーとカメラにより、アクセルとブレーキをコントロールして車間を維持する「ACC(アダプティブクルーズコントロール)」を全車に搭載。2017年12月以降に販売されるモデルには、加減速だけでなく、同一車線内でのステアリング操作まで行う「トラフィックジャムアシスト」も装備される。

同じく標準装備の「アウディプレセンスシティ」は、約10〜85km/hで走行中にカメラで前方のクルマや歩行者をモニタリング。接触の可能性があれば、ドライバーに警告を送り、必要であればブレーキも発動させる。

また、反対車線に向かう形で右折のウインカーを操作すると、「ターンアシスト」がスタンバイ。2〜10km/hの速度になると、対向車を監視し、危険な状況のときにはブレーキをかける。

『Q5』シリーズのトップモデルでスポーツバージョンである『SQ5』も全面刷新

今回は『Q5』に加えて、トップモデルでスポーツバージョンである『SQ5』も併せて発表された(メイン写真と下の写真)。初代は2013年のデビュー。高い運動性能だけでなく、内外装にも特別な意匠を凝らした、すべての面でハイグレードなプレミアムモデルは、『Q5』全体の販売台数の20%以上を占める人気車種であった。

今回のフルモデルチェンジでは『Q5』と同じく、新プラットフォーム「MLBevo」を採用。車両重量は従来型より70kgも軽量化された。

このボディに搭載されるのは、新設計の3.9TFSIエンジンだ。従来の機械式スーパーチャージャーからツインスクロールタイプのターボチャージャーへと変更し、最高出力は260kW(354ps)/5400-6400rpm、最大トルクは500Nm/1370-4500rpmを実現。0〜100km/hを5.4秒で加速する。

その他、エクステリアでは、専用のシングルフレームグリルや20インチ5ツインスポークのアルミホイールなどがスポーティさを強調。インテリアでは、ステアリングホイールやシートに施された対照色の飾りステッチや、カーボン仕上げのデコラティブパネルなどにより、ダイナミックな雰囲気が演出されている。

価格は『Q5』が657万円、『SQ5』は887万円(いずれも税込み)。人気の高いプレミアムミッドサイズSUVカテゴリーは、メルセデス・ベンツ、BMW、レクサスなどもライナップを展開している。そのなかでも、2018年にかけて注目の一台になることは間違いないだろう。

Text by Tsukasa Sasabayashi

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第38回 | アウディの最新車デザイン・性能情報をお届け

アウディe-tron GT concept──怪物GTは市販されるのか

「電動化攻勢」。これは、これからのアウディが示した今後の進むべき方向性だ。簡単に言えば、電気自動車やプラグインハイブリッド車を増やしていくということ。具体的には、全世界の主要な市場において、2025年までに12の電気自動車を発売し、電動化モデルの販売台数を全体の約3分の1にすることを目指すという。その第一弾が2018年9月に生産が開始された『e-tron SUV』、第二弾が2019年に登場予定の『e-tron Sportback』。そして、第三弾がLAオートショーで華々しくデビューした『e-tron GT コンセプト』だ。

低い重心のグランツーリスモ。エクステリアに見て取れる次世代のアウディデザイン

『e-tron GTコンセプト』は、4ドアクーペのEV(電動自動車)である。全長4960mm×全幅1960mm×全高1380mmm。フラットでワイドなボディ、そして長いホイールベースといった特徴を備えた、典型的なグランツーリスモデザイン。EVにはめずしいフラットなフロアや低い重心も相まって、全体から受ける印象はアグレッシブでスポーティーだ。加えて、ホイールアーチとショルダー部分には立体的な造形が施され、ダイナミックなポテンシャルを強調している。

もちろん、アウディらしさはしっかりと踏襲。グリルの上部には、『RS』モデルのグリルに採用されたハニカムパターンを想起させるカバーをボディカラーに併せた塗装を施して装着。リヤエンドまで流れるような弧を描くルーフラインは、まごうことなきアウディのデザイン言語だ。

ただし、このアウディのデザイン言語を、次世代へと進化させたと感じさせる部分もある。ひとつは、リヤに向かってキャビンが大きく絞り込まれた意匠だ。そして、アウディデザインを象徴するシングルフレームグリルだ。これまでに発表された『e-tron』シリーズのシングルフレームグリルと比べると、そのアーキテクチャーは、より水平基調で躍動感を漂わせている。

フロントマスクは、矢印形状のマトリクスLEDヘッドライトが印象的だ。ライトにはアニメーション機能が組み込まれ、水平方向に広がる波をイメージした短い点滅がドライバーを出迎える。これは、将来的には市販モデルに搭載される予定だという。

リヤスタイルでは、車幅全体を横切って延びるライトストリップが目につく。外側に向かうにつれてリヤライトユニットへと融合されるこの意匠は、『e-tron』シリーズ共通のもの。視覚的にアウディのEVであることを認識させる。

動物由来の素材を排除。植物由来にこだわったサスティナビリティ重視のインテリア

インテリアは、エクステリアの近未来的でスポーティーな雰囲気と打って変わり、上質さが印象的。そして、日常の使い勝手にも配慮がなされている。

車内水平基調のインテリアが強調された、広々として落ち着いた空間だ。コックピットを中心として、センターコンソール、トップセクションの大型タッチスクリーン、ドアレールとコックピットのラインがドライバーを取り囲むように設置されている。各種機能やインフォテインメントをはじめとする操作系は、人間工学的に最適化された。

インストルメントパネル中央のディスプレイとセンターコンソール上部のタッチスクリーンは、ブラックパネル調仕上げ。一見すると宙に浮いているような印象だ。バーチャルアナログ表示にしたり、航続距離とともにナビゲーションのマップを拡大したり、インフォテインメント機能のメニューを表示させたり、さまざまなレイアウトに変化させることが可能だ。

次世代を感じさせる試みは、目に見える部分だけではない。サスピナビリティ(持続可能性)を重視し、インテリアからは動物由来の素材をいっさい排除。シート地やトリム地には、合成皮革を使用するなど、すべて植物由来を貫いている。

フラッグシップスポーツの『R8』を凌駕する最高出力により暴力的な加速性能を実現

気になる走行性能だが、前後のアスクルに設置されたモーターの最高出力は434kW(590hp)。アウディのフラッグシップスポーツ『R8』が397kW(540hp)なので、どれほどのモンスターマシンかは想像に難くないだろう。数値で表すと、0〜100km/hの加速は約3.5秒、200km/hにはわずか12秒で到達する。ただし、最高速度は航続距離を最大化するために240km/hに制限されているという。

もちろんアウディ伝統の4輪駆動システム「quattro」も健在だ。モーターが発生したトルクは、4つのホイールを介して路面へと伝達。前後のアクスル間だけでなく、左右のホイール間の駆動力も調整する電子制御システムによって、最適なトラクションが得られる。

気になる走行可能距離は、容量90kWh以上のリチウムイオンバッテリーと最大30%以航続距離伸ばすことができる回生システムを採用することで、400kmオーバー(WLTPモード)を達成した。また、充電時間は800Vの充電システムに対応することで、最速20分でバッテリーを80%まで充電可能だ。80%の充電でも320km以上を走行できるという。

夏には映画『アベンジャーズ4』に登場。どこまで市販モデルに性能が継承されるか

『e-tron GT concept』のテクノロジーは、同じフォルクスワーゲン・グループに属するポルシェと密接に協力して開発されている。ポルシェは、開発を進めていた『ミッションE』をブランド初となるEVスポーツカーの『タイカン』として、2019年後半〜2020年に発売する予定だが、『e-tron GT concept』と同じプラットフォームを採用し、出力も『e-tron GT concept』を上回るといわれている。

『e-tron GT concept』はいわゆるショーモデル。今年夏公開予定の映画『アベンジャーズ4』に登場するとアナウンスされているが、このままの状態で市販化はされない。

現在はアウディスポーツによって量産化への移行作業が行われており、量産モデルは2020年後半に登場する予定とされている。デリバリー開始は2021年初頭。このポテンシャルがどこまで市販モデルに引き継がれるか、興味深いところだ。

Text by Tsukasa Sasabayashi
Photo by (C) AUDI AG.
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

動画はこちら
Audi e-tron GT concept オフィシャル動画
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