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第23回 | 大人ライダー向けのバイク

ハーレー2018年モデル──CVOは人生最後のバイクだ

ハーレーダビッドソンの2108年全33モデルのなかでも、ハーレー史上最大となる排気量1923ccを誇る「ミルウォーキーエイト117」が搭載され、とりわけプレミアム感が高いのが限定版となる「CVO」ファミリーだ。ラインナップされたのは『CVO STREET GLIDE(ストリートグライド)』『CVO ROAD GLIDE(ロードグライド)』『CVO LIMITED(リミテッド)』の3機種。そのなかから『CVOロードグライド』にフォーカスして紹介しよう。

ハーレーダビッドソンの頂きを担う限定版のワークスカスタム「CVO」ファミリー

「CVO」ファミリーのCVOとは、「Custom Vehicle Operation(カスタム・ヴィークル・オペレーション)」の頭文字をとった略称だ。

よりブラッシュアップさせたスタイリングに、ハーレー純正のカスタムパーツで充実させた装備、さらに「CVO」のみに搭載されるパワーユニット…と、すべてのハーレーのトップに位置付けられるモデル群である。

「CVO」は、ハーレーダビッドソンの技術者が既存のファミリーのなかから「これは…」と思うモデルをピックアップ。そこに意匠を凝らしたカスタムパーツや新技術を惜しみなく投入し、他にないカスタムカラーで仕上げる。つまり、「CVO」とはハーレーによるワークスカスタム、限定生産モデルなのだ。

当然、価格は通常モデルより3割から5割ほど高い設定となっており、ディーラーでもあまり見ることができない。

筆者は2年ほど前、たまに顔を出すディーラーで偶然、2010年式の『CVOストリートグライド』を下取りに出していたライダーを見かけたことがある。新車のストリートグライドの契約に来た別のライダーは、それを見て新車の契約を急遽取りやめ、下取り車の「CVO」をアワアワ言いながら購入したのだ。

ハーレーダビッドソンを知る者にとって、「CVO」はそれほどまでに希少なモデルで、件のライダーは一生に一度の幸運が舞い降りたほどの興奮ぶりだった。

ほかのハーレー乗りが横に並べることを躊躇する『CVOロードグライド』の存在感

『CVOロードグライド』は、ご覧のように“バガーカスタム”が特徴のロードツアラーで、明るいうちのロングツーリングから、暗くなってからの街乗りまでこなせる二面性を持ったスタイルとカラーリングが特徴だ。

そして、ハーレーダビッドソン初となるフロント21インチホイールは、工場にて調整済みで搭載されており、高い走破性を誇る。

注目してほしいのは、メーカーが選択するカラーでは見たことがない独特のカラーリングだ。「ガンシップグレー/ビビッドブラック」と呼ばれるカラーリングは、その名のとおり、US.NAVY(アメリカ海軍)の上級士官が飛びつきそうな色合い。所有しているハーレーを、このカラーリングに変更するライダーも多いに違いない。

また、日本のライダーにとってうれしいスペックは、シート高が680mmと低めの設定なこと。足つきの良さや取り回しのしやすさもさることながら、まだまだ現役でありたい男たちにとって足が長く見えるのも魅力だ。

なによりもの特徴は、ハーレーダビッドソン史上最大となる排気量1923ccのエンジン「ミルウォーキーエイト117」は、最大トルク166Nm / 3500rpmを発揮。ひとたび跨がれば、異次元の領域にあるパワフルな走りを披露することだろう。ちなみに車両重量は401 kg。ライダーにはそれなり以上の体力が必要だ。

『CVOロードグライド』の他車を圧倒するような雰囲気を見たら、高速道路のバイク用パーキングなどでは、ほかのハーレーのライダーが横に並べるのを躊躇するに違いない。これを“人生最後のバイク”に選んだとしても、きっと後悔することはないだろう。価格は445万8000円(カスタムカラー、税込み)。

Text by Katsutoshi Miyamoto

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第69回 | 大人ライダー向けのバイク

ドゥカティ ディアベル1260──悪役感溢れるクルーザー

クルーザーとは、平坦で長い直線道路を巡航(クルーズ)することに重点をおいたオートバイのスタイルのことだ。ハーレーダビッドソンやインディアンをイメージするとわかりやすいだろう。広大な北米大陸で発達したことから、日本ではアメリカンバイクとも呼ばれている。それをイタリア流のセンスによって味つけしたのが、ドゥカティ『ディアベル』である。従来のクルーザーと一線を画す独創的なデザインをもつ『ディアベル』は、2011年にデビューするや世界中で大ヒット。そして今回、第二世代へと進化した。

クルーザーでも「走りはやっぱりドゥカティ」。ファンの期待に応えるキャラクター

2010年にEICMA(ミラノモーターサイクルショー)で発表された初代『Diavel(ディアベル)』は、斬新なデザインだけではなく、従来のドゥカティのイメージと異なるクルーザージャンルに挑戦したモデルとして話題を集めた。じつは、ドゥカティは2014年にフォルクスワーゲングループに属するアウディに買収され、その傘下となっている。レース由来のスポーツモデルというブランドのアイデンティティを脇に置き、経営戦略を優先した結果の新型車と見る者が多かったことも、注目された理由のひとつだったのだろう。

しかし、初代『ディアベル』は見た目以上にスポーティで、実際にライディングを味わった人々からは「やっぱり走りはドゥカティ」との評価を得ることが多い。そうしたユーザーの声は、期待どおりのキャラクターに仕上げられていることを証明するものだ。

その『ディアベル』が第二世代へと進化した。ドゥカティは3月に開催されたジュネーブモーターショーで2019年モデルの発表を行ったが、そこで専用スペースを与えられ、ショーのアイコンモデルとしてお披露目されたのが『ディアベル1260』だ。しかも、2014年のようなマイナーチェンジではなく、すべてを見直した2代目としての登場である。

低回転域でもパワフルな排気量1262ccの「テスタストレッタDVT」エンジンを搭載

アイコニックな外観は、シルエット自体に大きな変化はない。しかし、全体にボリュームアップしており、重量感も増していると感じる。トレリス(格子状)フレームもまったく新しくなり、ぱっと見た印象としては、よりヒール(悪役)感が演出されているようだ。短いシートエンドとスラッシュカットで跳ね上がるサイレンサーエンドは、リアまわりをすっきりとさせた。同時にマスが凝縮されているようで、鍛えられた筋肉を連想させる。

その細部への作り込みによる質感の高さが評価されたのか、『ディアベル1260』は第二世代であるにもかかわらず、ドイツの権威あるプロダクトデザイン賞「Red Dot Award 2019:Best of the Best(レッド・ドット・デザイン賞)」にも輝いているくらいだ。

エンジンは、初代から継承されてきた排気量1198ccの水冷L型ツインからスープアップされ、1262ccの強力な「テスタストレッタDVT」エンジンを搭載。それにより、最高出力は従来の152hp/9000rpmから159hp/9000rpmへ、最大トルクは12.5kgm/8000rpmから13.2kgm/7500rpmへとそれぞれ高められている。車体重量はドライウエイトで218kgもあるが、これだけのトルクがあれば低速域でも軽快に扱えるはずだ。

ドゥカティ自身も新エンジンについて、「息を呑む加速とスムーズな低回転域のパワー特性を備え、日常ユースにも長距離ツアーにも対応する」としている。そのパワーを受け止めるのは、『ディアベル』のトレードマークである極太のリアタイヤだ。クルマ並の240mmという超ワイドタイヤを装着し、ボッシュ製のコーナリングABSも標準装備された。

特別なコンポーネントを与えられたスポーティ仕様車『ディアベル1260 S』も設定

新型には標準仕様に加えてスポーティな「S」バージョンも設定された。こちらには、専用のシートとホイールが与えられるほか、ブレンボ製M50ラジアルマウント・モノブロック・ブレーキ・キャリパー、オーリンズ製サスペンションなどを装備。さらに、クラッチ操作をせずに変速できる「クイックシフトアップ&ダウンエボ」も標準装備される。

『ディアベル1260』は、すでに1月半ばからボローニャにあるドゥカティの本社工場で生産が始まっており、ヨーロッパでは3月から販売が開始された。日本での発売は7月ごろを予定している。4月13日には大阪で「Ducati Diavel Meeting」が開催されたが、なんとこのミーティングの参加者は現行『ディアベル』のオーナー限定だった。新型のオーナーになれば、こうした特別なイベントへの招待状がドゥカティから届くかもしれない。

Text by Koji Okamura
Photo by (C) Ducati Motor Holding S.p.A
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

動画はこちら
Ducati Diavel 1260 オフィシャル動画
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