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第14回 | ボルボの最新車デザイン・性能情報をお届け

ボルボXC40──北欧デザインのお洒落コンパクトSUV

2016年に日本デビューを果たした『XC90』を皮切りに、『S90』『V90』『V90クロスカントリー』と、ニューモデルラッシュが続くボルボ。しかし、そのラインナップには世界的にニーズが増しているプレミアムコンパクトSUVが欠けていたのも確か。2017年9月にミラノで発表された『XC40』は、その激戦区にボルボが投入する初のコンパクトSUVだ。北欧テイストの大胆なデザイン、さらに快適性、安全性と、三拍子が揃ったお洒落SUVの登場である。

ミラノのファッションウィークで発表されたボルボ初のプレミアムコンパクトSUV

ボルボの「四角くて、真面目でつまらないクルマ」というイメージはすでに過去のものだ。近年のボルボは、デザインでも走りの面でも先鋭的かつハイクオリティで、フラッグシップSUVの『XC90』を発表してからはプレミアム感の追求にも余念がない。

伸びやかなスタイリングは、メルセデス・ベンツ、BMW、アウディの“ジャーマン3”と並べても劣らない高級感を放ち、スカンジナビアンテイストの内装は、高級北欧家具でコーディネートされたエグゼクティブの部屋のようでもある。

今回投入された『XC40』は、『XC90』『XC60』からなるボルボのSUVシリーズのボトムエンドを担うコンパクトSUVだ。ワールドプレミアの舞台となったのは、ファッションウィーク期間中のミラノの特設会場。街には「スウェーデンで作られ、ミラノでお披露目する」と書かれたビルボードが掲げられた。

この力の入ったワールドプレミアでもわかるように、『XC40』は世界的に人気を集めるコンパクトSUV市場にボルボが初めて投入するモデルだ。同時に、明らかに従来のターゲットよりもユーザー層を若めに設定した(と思われる)モデルでもある。

『XC90』『XC60』よりポップで大胆なデザインを採用した『XC40』のスタイリング

スタイリングは、エレガントさが強調されていた『XC90』『XC60』と比べ、よりスポーティでカジュアル、ポップで大胆になっている。

まず目につくのは、ルーフがホワイトやブラックにペイントされていること。ボルボがコントラストルーフを採用するのはおそらくこれが初めてだ。また、フロント部分、ボンネット、ボディ側面など、いたるところに入っているキャラクターライン(折れ線)も、大胆なスタイリングをより際立たせている。

すでに発売が開始されている欧州のWebサイトを見ると、『XC90』や『XC60』には採用されていない「アマゾンブルー」のボディカラーがラインナップされていた。このカラーは、1950年代後半から1970年まで生産されたボルボの名車『120』(アマゾン)に使用されたカラーのオマージュだが、『XC40』のポップな印象を際立たせる色である。

ただし、ボディの基本構成や質感は『XC90』『XC60』を継承している。北欧神話に出てくる「トール・ハンマー」をモチーフとしたT字ヘッドライト、上部まで伸びるリアコンビネーションランプの意匠は新世代ボルボに共通するアイコンだ。ノーズの厚み、前後タイヤの位置関係も上級モデルと変わらない。

ボディサイズは全長4425 mm×全幅1863 mm×全高1652 mm。このサイズを考えると、ライバルとなるのはBMW『X1』、アウディ『Q3』、メルセデス・ベンツ『GLA』、そして『MINIクロスオーバー』あたりになるだろう。

スイッチの数を最小限にし、部屋のような快適性を実現した『XC40』のインテリア

航空機を参考にしたというインテリアは、ボルボらしく、上質で快適な空間となっている。

センターに配置された大型のインフォテイメント用のタッチスクリーンに操作を集約し、スイッチの数を最小限にするのは『XC90』と同じ思想。これもボルボのインテリアが「部屋」を思い起こさせる要因のひとつだ。スイッチの少なさやタッチスクリーンへの情報の集約は、よりインフォメイションテクノロジーを重視する世代へのアピールともなるに違いない。

そして、コンパクトSUVながら十分な広さを持つ後席、深さと幅のあるドアポケット、容量460Lと広いラゲッジルームにも機能性の高さが現れている。

現時点で発表されている『XC40』のグレードは、カジュアルな「Momentum(モーメンタム)」とよりデザインに凝った「R-Desgin(Rデザイン)」の2タイプ。エクステリアでは、グリルのデザインやカラー、ホイールサイズが異なるほか、ルーフカラーも「モーメンタム」はボディ同色かホワイト、「Rデザイン」ではブラックとなる

インテリアは、「モーメンタム」がチャコール(黒)、アンバー、ブロンド(アイボリー)、レッドの4色のレザー。「Rデザイン」はチャコールのレザー、またはヌバック/ファインナッパレザーが設定される。「Rデザイン」はインテリアパネルの素材にドット柄のアルミニウムも用いられ、カーペットをレッドにすることも可能だ。

ボルボ『XC40』が日本に上陸するのは2018年の夏前ごろ、価格は400万円から?

パワートレインは、発売当初はガソリンの「T5」とディーゼルの「D4」の2種類からスタート。ともに4気筒2.0Lターボで、8速ATが組み合わされる。駆動方式はAWD(四輪駆動)だ。

ただし、すでにボルボは「2019年以降に発売されるすべてのボルボ車にエレクトリックモーターを搭載する」と発表している。発売後には、新型3気筒のプラグインハイブリッドなどが投入されることが予想される。

ボルボらしい先進的な安全機能も万全だ。安全装備で上級モデルと差をつけないのもボルボの流儀。『XC40』は、部分自動運転機能の「パイロットアシスト」や道路逸脱回避をサポートする「ランオフロードミティゲーション」など、10以上の安全装備を搭載する。

ドアロックをはじめ、スマートフォンで様々な操作ができる「ボルボ・オン・コール」は、若いユーザーの取り込みを狙う『XC』ならではの新機能だ。

日本への上陸時期は2018年の夏前とのこと。北米ではスターティング価格が3万5200ドルとされていることから、おそらく日本での価格は「400万円〜」となるだろう。新世代モデルを続々と発表するボルボが満を持して投入するコンパクトSUV。日本に上陸したら「お洒落な人の新たな選択肢」として注目を集めるに違いない。

Text by Muneyoshi Kitani

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第18回 | ボルボの最新車デザイン・性能情報をお届け

キーワードはクラスレス──ボルボXC40が素晴らしい理由

COTY(日本カー・オブ・ザ・イヤー)は、日本国内で販売される乗用車のなかから、もっともその年を象徴するのにふさわしい車両に与えられる称号だ。ボルボはこのCOTYを2017-2018、そして2018-2019と、2年連続で受賞している。輸入車ブランドが連覇したのは、およそ40年に及ぶCOTYの歴史上初めてのこと。この快挙をなし遂げた立役者のうちの一台が、ボルボ初のコンパクトシティSUV『XC40』である。じつは、『XC40』はCOTYの選考委員のみならず、ユーザーからの評価も高く、納期が最大で1年となるほどの人気となっている。『XC40』はなぜ多くの支持を集めるのだろうか。

9カ月で目標の2.7倍となる4000台を受注した『XC40』。納期は最大で1年待ち!

少し前までのボルボには、「安全だが、どこか垢抜けない」という印象があった。これを払拭したのが、2016年の『XC90』を皮切りに、『V90』『V90クロスカントリー』『XC60』『XC40』『V60』と、立て続けに発表されたニューモデル群だ。なお、ボルボでは、「XC」はSUVを、「V」はステーションワゴンを、数字はボディサイズを表している。

これらの新型車は、スウェーデン車らしい明るい雰囲気の内外装を追求し、メルセデス・ベンツをはじめとするドイツのライバルとは違ったプレミアム性も兼ね備えることで高い評価を得ている。JAJA(日本自動車輸入組合)の2018年度上半期の輸入車新規登録台数でも、メルセデス・ベンツ、フォルクスワーゲン、BMW、アウディ、MINIのドイツ勢に続くのがボルボなのだ。日本国内市場におけるシェアも5%近くに伸びている。

このうち、COTY 2017-2018を受賞したのがミドルクラスSUVの『XC60』。そして2018-2019の受賞でボルボを連覇に導いたのが、ひと回りコンパクトな『XC40』だ。

『XC40』は、ボルボのSUVシリーズのボトムエンドを担うモデル。この『XC40』のヒットからわかるのは、初めてボルボを買う新規ユーザーからの支持も獲得しているという事実だ。なにしろ、2018年3月に販売を開始すると、年内の国内割当て分は即完売。同12月までに目標の2.7倍となる4000台を受注し、納期は最大1年にもなっている。

クラスの枠組みからユーザーを解放。最先端の安全装備を全グレードに標準装備する

なぜ『XC40』は高い評価を得たのか? 最大の理由は「クラスレスの魅力」にある。つまりファミリー層からプレミアム層にまで支持される幅広いバリューを有しているのだ。

ボルボのSUVシリーズは、大きい順に『XC90』『XC60』『XC40』の3モデルをラインナップする。しかし、「90」がもっともエライのかというと、けっしてそうではない。それぞれに異なる個性が与えられえている。ボルボはそれを「VC90はフォーマルな革靴」「XC60は少しライトな印象のスウェード靴」「XC40は軽快なスニーカー」と例えた。

『XC40』は『XC90』の廉価版などではなく、カジュアルSUVとしての魅力を追求している。そのため、エントリーSUVといっても、ボルボの大きな特徴である先進安全装備(インテリセーフと呼ぶ)は上位モデルとほぼ同等だ。一例を挙げると、部分自動運転機能の「パイロットアシスト」、道路逸脱回避をサポートする「ランオフロードミティゲーション」など、その装備は10以上に及ぶ。内外装の装備やマテリアルも見劣りしない。

しかも、『XC40』は、この世界最高レベルの先進安全装備をすべてのグレードに標準装備している。これはコンパクトモデルでは非常にめずらしいケースといえるだろう。

クルマ、とりわけ欧州車は、貴族的な人々の乗り物として誕生した成り立ちもあり、良くも悪くもクラスソサエティ(階級社会)と深い関係にある。そうしたクラスの枠組みから解放してくれた点こそ、『XC40』がユーザーを惹きつける魅力であるように感じる。

ボディカラー、ルーフカラー、内装色。『XC40』は“選ぶ愉しみ”もその魅力のひとつ

サイズも日本向きだ。全長4425mm×全幅1875mm×全高1660mmのボディは、車幅こそ少々大きいものの、全長は十分にコンパクト。日本の都市部でも取り回しに困ることはない。だからこそ、コンパクトシティSUVとして選ばれているのだろう。

2.0L「Drive-E」ガソリンターボエンジンは、「T4」「T5」の2つのチューンが用意されるが、実際に乗ってみると140kW(192ps)の「T4」でも十分にパワフルで軽快だ。乗り心地も、どちらかといえば硬質なドイツ車に対し、どこか優しさを感じる。プレミアムコンパクトSUVの購入を検討している人が候補に入れたくなるのもうなずけるのだ。

しかも、カジュアルな「モメンタム」、スポーティな「Rデザイン」、ラグジュアリーな「インスクリプション」の3タイプから選ぶグレードに始まり、グリルのデザインにボディカラー、それと組み合わせるルーフカラー、内装色に素材選びと、頭を悩ませるくらいに選択肢が多い。これだけ「選ぶ愉しみ」の多いコンパクトSUVもそうそうない。

価格は389万円から。『XC40』はヨーロッパでも、もっとも優秀なクルマに選ばれた

『XC40』のグレードには、「モメンタム」「Rデザイン」「インスクリプション」のほかに価格を抑えたエントリーモデルもあるが、ここにもクラスソサエティは存在しない。好みやユーザーのライフスタイルに合わせて選べるようになっている。価格はエントリーモデルの「T4」が389万円から、「T5 AWD インスクリプション」が549万円からだ。

ちなみに、発売当初のデータでは低価格モデルではなく「Rデザイン」や「インスクリプション」が人気だったというから、価格だけで選ばれているわけではないことがわかる。

『XC40』が獲得したのはCOTYだけではなく、じつは、2018年のECOTY(ヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤー)も受賞している。ECOTYは年間5000台以上という販売台数基準の関係から、伝統的にルノーやフィアットなどの小型車が受賞するケースが多い。言い換えると、それだけ『XC40』がユーザーに広く支持されている証拠でもあるのだ。

Text by Muneyoshi Kitani
Photo by (C) Volvo Car Corporation
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

動画はこちら
The Volvo XC40: City Living Made Simple
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