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第22回 | 大人ライダー向けのバイク

ハーレー2018年モデル──新生ソフテイルに刮目せよ

2017年8月、ハーレーダビッドソンの2018年全33モデルが発表された。なかでも、ファンを驚かせたのは、ツインショックの「ダイナ」ファミリーをフルモデルチェンジしてフレームとエンジンを一新、モノショックの「ソフテイル(SOFTAIL)」ファミリーに一本化したことだ。ハーレーダビッドソンにとって歴史的変革となるに違いない、新生ソフテイルの詳細を紹介しよう。

多くのハーレーファンを驚かせた「ダイナ」ファミリーの「ソフテイル」への統合

ハーレーダビッドソンのファミリーのなかでも高い人気を誇り、ビッグツイン系を代表するファミリーだった「ダイナ」のフルモデルチェンジ、そして「ソフテイル(SOFTAIL)」シリーズへの統合は、耳の早いハーレーユーザーにとっては承知のことだったが、多くのファンは衝撃を受けたことだろう。

もちろん、メーカーもそういった反応があるのは折り込み済みだ。それでも統合したのは、生産や経営上の問題もあるだろうが、もっとも大きいのは新エンジンを生かしたフレームとのマッチングを考えた合理的判断だったに違いない(ただし、ダイナシリーズの復活があり得ないとはいえないが…)。

新たに誕生した「ソフテイル」8モデルは、ひとことで言えば “スタイリッシュ&ハイパフォーマンス”をコンセプトとしたファミリーと受け取れる。

2017年秋に発表された新エンジン「ミルウォーキーエイト」は、4バルブヘッドにツインプラグ、ツインインジェクターを採用し、ピークトルクを約10%向上、バランサーの装備で一次振動の75%を相殺している。

その結果、ハーレーらしいトルク感を得ながら、快適性を飛躍的に向上させることに成功。パワーユニットは107ci(1745cc)と114ci(1868cc)の2タイプを選択でき、さらに17kgもの軽量化を実現した新設計フレームと各モデルに適したサスペンションとセッティングが選ばれていることなどは、これまでのハーレーダビッドソンとは違った新たな開発の方向性を示唆している(下の写真は『ストリートボブ』)。

カスタムへの自由度が向上した『ストリートボブ』『ファットボブ』のボブ系モデル

新生「ソフテイル」の内訳は以下のとおりだ。まず、ハーレースタンダードな印象の『HERITAGE CLASSIC(ヘリテイジ クラシック)』、近未来を感じさせるディッシュホイールの『FAT BOY(ファットボーイ)』、クラシカルでゴージャスな『DELUXE(デラックス)』。

そして、既存モデルのイメージをそのままにした『LOW RIDER(ローライダー)』、ロー&ロングで人気車となった『BREAKOUT(ブレイクアウト)』、"The bomber" こと、前後16インチの『SOFTAIL SLIM(ソフテイルスリム)』。

さらに、新機軸として大胆な変身を遂げた『STREET BOB(ストリートボブ)』と『FAT BOB(ファットボブ)』(メイン写真と下の写真)。以上の8モデルである。

このボブ系2モデルは、十分にストリートカスタムを意識したデザインになっているだけでなく、ソフテイルフレームとなったことでカスタム化への自由度を増している。きっと“イジり屋たち”にとってはもっともおいしい存在になるはずだ。

ハーレーダビッドソンの歴史に新たな1ページを加えた新生「ソフテイル」8モデル

そのボブ系のなかでも、フロントサスに倒立フォークを採用した『ファットボブ』は異色だ。

倒立フォークは、正立フォークと比べてステアリング周辺の剛性を格段に高めることができるが、一方、それを支えるフレームに十分な剛性がないと、かえってハンドリングが不安定なものになりかねない。

いわば、『ファットボブ』は新設計のフレームの高剛性を生かしたシャープなハンドリングを持つ、“ボブスポーツ”とも呼べる位置に立ったわけだ。

さらに、専用設計の2-1-2デュアルサイドエキゾースト、スクエア型LEDヘッドライト、フォワードコントロールステップなどの装備も、そのキャラクターをアピールしている。

ほかにも、ヘッドライトのLED化とオイルクーラーを全車種に標準採用したたこともハーレーダビッドソンとしては新しい試みだ。ユーザーの反応がどうなるか慎重に見極めたいところだが、いずれにしてもハーレー史に新しい一ページが加わったのは間違いない。

車両価格は、『ヘリテイジ クラシック』が251万8000円〜、『ファットボーイ』が233万8000円〜、『デラックス』が243万8000円〜、『ソフテイルスリム』が226万8000〜。『ブレイクアウト』が245万9000円〜、『ローライダー』が199万9000円〜。そして、『ストリートボブ』は179万9000円〜、『ファットボブ』は218万8000〜。いずれも税込みだ。

Text by Koji Okamura

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第69回 | 大人ライダー向けのバイク

ドゥカティ ディアベル1260──悪役感溢れるクルーザー

クルーザーとは、平坦で長い直線道路を巡航(クルーズ)することに重点をおいたオートバイのスタイルのことだ。ハーレーダビッドソンやインディアンをイメージするとわかりやすいだろう。広大な北米大陸で発達したことから、日本ではアメリカンバイクとも呼ばれている。それをイタリア流のセンスによって味つけしたのが、ドゥカティ『ディアベル』である。従来のクルーザーと一線を画す独創的なデザインをもつ『ディアベル』は、2011年にデビューするや世界中で大ヒット。そして今回、第二世代へと進化した。

クルーザーでも「走りはやっぱりドゥカティ」。ファンの期待に応えるキャラクター

2010年にEICMA(ミラノモーターサイクルショー)で発表された初代『Diavel(ディアベル)』は、斬新なデザインだけではなく、従来のドゥカティのイメージと異なるクルーザージャンルに挑戦したモデルとして話題を集めた。じつは、ドゥカティは2014年にフォルクスワーゲングループに属するアウディに買収され、その傘下となっている。レース由来のスポーツモデルというブランドのアイデンティティを脇に置き、経営戦略を優先した結果の新型車と見る者が多かったことも、注目された理由のひとつだったのだろう。

しかし、初代『ディアベル』は見た目以上にスポーティで、実際にライディングを味わった人々からは「やっぱり走りはドゥカティ」との評価を得ることが多い。そうしたユーザーの声は、期待どおりのキャラクターに仕上げられていることを証明するものだ。

その『ディアベル』が第二世代へと進化した。ドゥカティは3月に開催されたジュネーブモーターショーで2019年モデルの発表を行ったが、そこで専用スペースを与えられ、ショーのアイコンモデルとしてお披露目されたのが『ディアベル1260』だ。しかも、2014年のようなマイナーチェンジではなく、すべてを見直した2代目としての登場である。

低回転域でもパワフルな排気量1262ccの「テスタストレッタDVT」エンジンを搭載

アイコニックな外観は、シルエット自体に大きな変化はない。しかし、全体にボリュームアップしており、重量感も増していると感じる。トレリス(格子状)フレームもまったく新しくなり、ぱっと見た印象としては、よりヒール(悪役)感が演出されているようだ。短いシートエンドとスラッシュカットで跳ね上がるサイレンサーエンドは、リアまわりをすっきりとさせた。同時にマスが凝縮されているようで、鍛えられた筋肉を連想させる。

その細部への作り込みによる質感の高さが評価されたのか、『ディアベル1260』は第二世代であるにもかかわらず、ドイツの権威あるプロダクトデザイン賞「Red Dot Award 2019:Best of the Best(レッド・ドット・デザイン賞)」にも輝いているくらいだ。

エンジンは、初代から継承されてきた排気量1198ccの水冷L型ツインからスープアップされ、1262ccの強力な「テスタストレッタDVT」エンジンを搭載。それにより、最高出力は従来の152hp/9000rpmから159hp/9000rpmへ、最大トルクは12.5kgm/8000rpmから13.2kgm/7500rpmへとそれぞれ高められている。車体重量はドライウエイトで218kgもあるが、これだけのトルクがあれば低速域でも軽快に扱えるはずだ。

ドゥカティ自身も新エンジンについて、「息を呑む加速とスムーズな低回転域のパワー特性を備え、日常ユースにも長距離ツアーにも対応する」としている。そのパワーを受け止めるのは、『ディアベル』のトレードマークである極太のリアタイヤだ。クルマ並の240mmという超ワイドタイヤを装着し、ボッシュ製のコーナリングABSも標準装備された。

特別なコンポーネントを与えられたスポーティ仕様車『ディアベル1260 S』も設定

新型には標準仕様に加えてスポーティな「S」バージョンも設定された。こちらには、専用のシートとホイールが与えられるほか、ブレンボ製M50ラジアルマウント・モノブロック・ブレーキ・キャリパー、オーリンズ製サスペンションなどを装備。さらに、クラッチ操作をせずに変速できる「クイックシフトアップ&ダウンエボ」も標準装備される。

『ディアベル1260』は、すでに1月半ばからボローニャにあるドゥカティの本社工場で生産が始まっており、ヨーロッパでは3月から販売が開始された。日本での発売は7月ごろを予定している。4月13日には大阪で「Ducati Diavel Meeting」が開催されたが、なんとこのミーティングの参加者は現行『ディアベル』のオーナー限定だった。新型のオーナーになれば、こうした特別なイベントへの招待状がドゥカティから届くかもしれない。

Text by Koji Okamura
Photo by (C) Ducati Motor Holding S.p.A
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

動画はこちら
Ducati Diavel 1260 オフィシャル動画
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