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第13回 | アストンマーチンの最新車デザイン・性能情報をお届け

最速のオープン──アストンマーチンDB11ヴォランテ

「ヴォランテ」は、代々、アストンマーチンのGTコンバーチブルに冠される名称である。意味はイタリア語で「飛ぶ」。風を感じながら軽快に疾走するコンバーチブルにぴったりの名称だ。その伝統的な名が「DB史上最速かつ最強」と謳われる『DB11』にも登場した。

アストンマーチン『DB11』に加わったV8エンジン搭載の最速最強コンバーチブル

以前からその存在がメディアにリークされ続け、デビューが待ち望まれていた『DB11 ヴォランテ』が、ついにそのベールを脱いで正式発表された。

ベースモデルは『DB9』の後継にあたる『DB11』だ。もちろん、『DB9』にも「ヴォランテ」は設定されていた。

『DB11』には、V12エンジンのモデルとV8エンジンのモデルがライナップされているが、『DB11 ヴィオランテ』はV8エンジンのみの設定である。このV8エンジンは、メルセデス・ベンツのハイパフォーマンスカー部門であるメルセデスAMG製で、最大馬力503ps、最大トルク70.9kg・mを発揮する。

このエンジンの潜在能力は、パワートレイン&シャシーモードが余すことなく引き出す。パドルシフトを備えた8速AT、電動パワーステアリング、ダイナミック・トルク・ベクタリングの機能を備えたLSD(リミテッドスリップデフ)も連動してプログラムを調整し、アストンマーチンらしい躍動感ある乗り味となっている。

贅沢な天然素材を用いた『DB11 ヴォランテ』の見せつけたくなる上質インテリア

コンバーチブルにとって、インテリアはエクステリアの一部といっても過言ではない。そういった意味で、『DB11 ヴォランテ』は贅沢な天然素材、最高レベルのクラフトマンシップに溢れ、見せつけたくなるインテリアだ。

使い勝手では、『DB9』と比べてドアの開口部が広くなり、フロントシートではヘッドルームが10mmほど拡大。後部座席はヘッドルームが54mm、レッグルームが87mmも広くなり、実用性のある2+2となっている。トランクも、ソフトトップ自体のコンパクト化に成功したことで、容量が20%アップした。

特別な天候実験室で10万回以上の耐久試験をクリアした『ヴォランテ』ソフトトップ

エクステリアは、『DB11』に準じる。印象的なグリルやクラムシェルボンネットがアストンマーチンらしい流麗な上品なフロントマスクを生み出している。

リアスタイルでは、リアスポイラーの排除が特徴的だ。これは、エアフローを抑制して安定性を強化した「アストンマーティン・アエロブレード」によるもの。まさに「機能が美を作り上げる」といったところだろう。

コンバーチブルモデルの肝でもあるルーフに採用されたのは、流行のメタルトップではなくソフトトップ。これは、ルーフを閉じている状態でも洒落た印象を与えるためだという。

素材はファブリック。乱暴に言えば布地だ。といっても、そこはただの布であるわけがない。吸音性や遮音性に優れた8層構造のソフトトップは、特別な天候実験室で10万回以上に渡たって開閉させる耐久試験をクリアした逸品だ。

ちなみに、この天候実験室は現実世界で10年分に相当する経年変化を1カ月に短縮して再現することができる。その結果、アメリカのデスバレーや北極圏などでのテストでも、高い性能と信頼性を立証できたそうだ。

『DB11ヴォランテ』のデリバリーは2018年前半、日本での価格は2500万円前後?

ソフトトップのカラーは、「ボルドーレッド」「ブラックシルバー」「グレーシルバー」の3色。オープンに要する時間は14秒、クローズドは16秒ほどで完了し、50km/h以下であれば走行中でも操作可能だ。また、リモートでも開閉できる。

価格は、イギリスでは15万9900ポンド(約2385万円)、ドイツでは19万9000ユーロ(約2636万円)、アメリカでは21万6495ドル(約2468万円)となっている。

最初のデリバリーは2018年の第1四半期に始まる予定とのことだ。日本でのデビューは未定だが、各国での価格と『DB11』の価格から考えると、2500万円前後になるのではないだろうか。

Text by Tsukasa Sasabayashi

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第20回 | アストンマーチンの最新車デザイン・性能情報をお届け

名門ラゴンダ復活──これがアストンの超高級電動SUVだ

アストンマーティンのEV(電気自動車)といえば、真っ先に思い浮かぶのは『ラピードE』だろう。2018年9月、ブランド初のEVとして発表された。これは、4ドアクーペのスポーツカー『ラピードS』のEVバージョンである。そして、アストンマーティンの動向に詳しい人なら、2018年のジュネーブモーターショーで発表された4人乗りリムジンのEV『ラゴンダ・ビジョン・コンセプト』も思い出すはずだ。あれから1年。今回のジュネーブではSUVのEVである『ラゴンダ・オールテレイン・コンセプト』が発表された。

かつての超高級車メーカー「ラゴンダ」が超ラグジュアリーな電動SUVとして復活

アストンマーティン『ラゴンダ』と聞いて、すぐにそのクルマを思い出せるのは、なかなかのカーマニアだ。同名で複数の車種がリリースされているが、最も有名なのは1974年から1990年まで製造されていた大型ラグジュアリーサルーンの『ラゴンダ』である。製造台数は1000台に満たず、日本で実車を目にした機会はかなり限定されたはずだ。

もともと『ラゴンダ』は、1906年に設立された超高級車メーカーだった。ル・マン24時間耐久レースで部門優勝した経験をもつ名門。戦前はベントレーに比肩するほどの存在として名を馳せた。アストンマーティン傘下となったのは1947年。その後、『ラゴンダ』の名は、アストンマーティンのモデルとして、『ラゴンダ ラピード』『ラゴンダ』など高級4ドアサルーンに採用された。近年では、2014年に限定150台で販売された『ラゴンダ タラフ』に約1億1500万円(現在の価格換算)という超高級価格がつけられ、話題となった。

それから4年。昨年のジュネーブモーターショーで、『ラゴンダ』はEVに特化した新しい超ラグジュアリーブランドとして復活した。そのときに発表されたのが、4人乗りのリムジン『ラゴンダ・ビジョン・コンセプト』だ。当時、「今後はクーペやSUVの構想もある」と報じられたが、今年3月に開催されたジュネーブモーターショー2019で、さっそくSUVタイプの『ラゴンダ・オールテレイン・コンセプト』がお披露目となった。

フロントシートが回転して後部座席と対面になる! 近未来的な室内は一見の価値あり

『ラゴンダ・オールテレイン・コンセプト』のデザインは、「スーパーヨットの世界から初期デザイン言語の一部を取り入れた」という。一見すると『ラゴンダ・ビジョン・コンセプト』の背を高くしたようにも見える。ボディラインはリアに向かって流れるような曲線を描き、優雅でありながら力強い。まさに、超ラグジュアリーSUVだ。

バッテリーを搭載したフロアは、高い剛性を実現するために車両後方にヒンジを備えたリアドアを採用。ドアは観音開きだ。またルーフが上に開き、乗降性を高めている。リアにはさらなる驚きがある。幅広いクラムシェルを持つリアハッチには、光源を隠した薄型のライトストリップを装備。LED光源が直接見えないように、下からの反射を利用した。

インテリアは落ち着いたダークカラー。シートは4座独立のキャプテンシートだ。自動運転中にはフロントシートをリアシート側に向けて回転させることが可能だという。室内はかなりすっきりとした印象で、ベントグリルやスピーカーなどは見当たらない。

次なる100年を見据えた7モデルのうちの一台。早ければ2020年に生産開始予定

2013年に創立100周年の節目を迎えたアストンマーティンは、現在、次なる100年のための「セカンドセンチュリープラン」を進めている。この計画にもとづき、今後7年で毎年一台ずつの新型車を登場させて7モデルの基本ラインナップを構築するという。

『ラゴンダ・オールテレイン・コンセプト』は、その第6モデルだ。今回はあくまでコンセプトカーとして発表されたが、すでに量産が視野に入っており、早ければ2022年にも生産が開始される。製造を担うのは、セント・アサン工場。英国ウェールズにあるアストンマーティン第二の生産拠点で、電動車両をメインとする工場だ。少し先の未来を示唆するアストンマーティンの超高級SUVのEV。市販されるとき、どのような仕上がりになっているかが楽しみである。

Text by Tsukasa Sasabayashi
Photo by (C) ASTON MARTIN
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

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