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第51回 | メルセデス・ベンツの最新車デザイン・性能情報をお届け

マイバッハ Sクラス──世界最高峰の贅沢サルーン

「マイバッハ」は、1920年代から美しいスタイルと贅を尽くした高級感で人々を魅了した伝説のプレミアムブランドだ。元来、メルセデス・ベンツからは独立したブランドだったが、現在は『Sクラス』の一角として、その頂きに君臨している。メルセデス・ベンツのなかでも、最高峰の存在感を示す孤高の存在である。そして今回、新型の『メルセデス・マイバッハSクラス』が発表された。

成功者のみが着座を許されるファーストクラスのような『マイバッハSクラス』の後席

『Sクラス』の名を冠しているが、明らかに一線を画す。『マイバッハSクラス』にとって注目すべきは、「Sクラス」ではなく「マイバッハ」という響きだ。マイバッハは「ショーファードリブンカー」の代名詞でもある。

ショーファードリブンカーとは、「ショーファー(運転手)」にハンドル操作を任せるクルマを指す。日本車ならトヨタ『センチュリー』、イギリス車ならロールスロイス『ファントム』などがこれにあたる。なかでも、『マイバッハSクラス』は、「究極のエクスクルーシブ性」を追求する威厳と風格を備えた一台だ。

普通のカーインプレッションなら、動力性能やエクステリアから触れていくべきかもしれない。しかし、ここはやはり、後席について述べるべきだろう。

圧巻なのは、『Sクラス ロング』よりも、さらにホイールベースを約200mm延長したことで得られた余裕だ。さらに、リアシートをドアの開口部より後方に配置し、外からの視線を遮りプライバシーに配慮。Cピラーには小さなウインドウを設置した6ライトを採用することで心地よい居住性を確保している。

後席両側に設置されたフットレスト付エグゼクティブリアシートは、スイッチ操作でバックレストが最大43.5度リクライニング。座面の下からせり出すレッグレスト、フットレストと併せ、飛行機のファーストクラスのようにくつろぐことができる。

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ロールスロイスと肩を並べるプレミアムな歴史を感じさせる威風堂々とした佇まい

エクステリアは超ロングボディで威風堂々とした佇まい。そのなかにも、フロントバンパー開口部から、Bピラーやリアバンパーまで、全身にふんだんにあしらわれたクロームや重厚な輝きを放つ20インチ鍛造アルミホイールが上質さを感じさせる。

また、フロントグリルには「MAYBACHバッジ」、Cピラーには「MAYBACHエンブレム」が施され、ロールスロイスと肩を並べるプレミアムな歴史を静かに物語っている。そして、アクセルを踏むと、その姿はまた違った一面を見せる。駆け抜ける姿には躍動感が溢れている。

躍動感を生み出す動力部には、メルセデス・ベンツ最高峰のエンジンが積まれた。最上級グレードの『マイバッハ S650』に採用されたのは、6.0L V型12気筒ツインターボエンジン。最高出力は630ps/5000rpm、最大トルクが102kg・m/2300〜4200rpmと、まさにモンスターエンジンだ。

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最新テクノロジーによって世界最高峰の乗り心地を実現した『マイバッハSクラス』

このV型12気筒のパワーから発せられる動力性能をして、ファーストクラスのような乗り心地を実現した要素のひとつが、最新のテクノロジーである。

「マジックボディコントロール」は、カメラが路面の凹凸を検知。ドライビング状況と合わせて、油圧ユニットのオイル量を正確にコントロールし、常に滑らかな道路を走行しているかのようなフラットな乗り心地を実現している。

『マイバッハ S650』では、「マジックボディコントロール」にコーナリング時に車両がコーナー内側に傾くダイナミックカーブ機能が加わり、より安定した後部座席となっている。

クラフトマンシップによる上質な室内空間という伝統を継承しながら、走りでは最新のテクノロジーで世界最高峰のラグジュアリーさを実現する『メルセデス・ベンツ マイバッハ Sクラス』。価格も桁違いで、ベースグレードである『マイバッハ S560』が2253万円、『メルセデス・ベンツ マイバッハ S650』は2761万円。まさに選ばれた人間だけが所有を許される至高の一台だ。

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Text by Tsukasa Sasabayashi

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第77回 | メルセデス・ベンツの最新車デザイン・性能情報をお届け

エンスー垂涎の納屋物──メルセデス300SLガルウィング

ヒストリックカーの世界には、「バーン・ファウンド(Barn Found)」と呼ばれるジャンルが存在する。バーンは「納屋」、ファウンドは「見つかった」。つまり、納屋で見つかった古いクルマという意味だ。いわゆる「納屋モノ」。2年前の夏、岐阜県の納屋から発掘された1969年のフェラーリ『365GTB/4“デイトナ”』がオークションで高値落札され、世界中で大きなニュースとなったのは記憶に新しい。そして今年3月、やはり納屋で見つかった古いメルセデス・ベンツが、フロリダ州で開催されたコンクール・デレガンスに登場して注目を集めた。朽ち果てた姿で会場に展示されたそのクルマは、1954年に製造された『300SL“ガルウィング”』。名車中の名車とうたわれる、コレクター垂涎の一台である。

亡き石原裕次郎も愛車にしていたメルセデス・ベンツの名車『300SL“ガルウィング”』

『SLクラス』の「SL」は、ドイツ語でライトウェイトスポーツを意味する「Sport Leicht (シュポルト・ライヒト)」の頭文字からとったものだ。メルセデス・ベンツがラインナップする2シーターオープンカーの最高峰に位置づけられている。その初代モデルとなったのが『300SL』である。1954年のニューヨークモーターショーでデビューした。

通称は“ガルウィング”。特徴のひとつであるガルウィングドアに由来する。『300SL』はワークスレーサーのプロトタイプとして開発されたモデルで、当時のレーシングカーと同じ鋼管スペースフレーム構造をもっていた。それゆえに、ドアの下半分をフレームが通っており、また、開口部の敷居が高いうえに車高が低くて非常に乗り降りがしづらい。こうしたことから、やむを得ずガルウィングが採用されたというエピソードが残っている。

世界初の直噴エンジン搭載車としても知られ、車名の「300」はメルセデス・ベンツの排気量表記で3.0Lを意味する。直列6気筒エンジンは最高出力215psを発生し、最高速度は260km/h。当初は市販予定がなかったが、有力インポーターが北米市場に需要があるとメルセデス・ベンツを説得し、わずか1400台が生産・販売された。そのうちの一台は、あの昭和の大スター、石原裕次郎の愛車となり、現在も北海道小樽市の石原裕次郎記念館に展示されている。その『300SL』が、ご覧のような姿で納屋から発見されたのだ。

半世紀以上もガレージでホコリをかぶっていたが、ほぼオリジナルに近い状態を保持

シャシーナンバー「43」の『300SL』は、2018年末にフロリダ州のとあるガレージで見つかった。発掘したのはドイツ・シュツットガルト郊外に専用施設をもつ「メルセデス・ベンツ クラシックセンター」。同社のヒストリックカーのレストアのほか、レストア済み車両の販売も行う。施設内には真っ赤なボディカラーの『300SL』も展示されている。

この『300SL』は1954年にマイアミ在住のオーナーに出荷された個体で、走行距離計が示しているのは、たったの3万5000kmだ。Englebert社製のCompetition(コンペティション)タイヤにはまだ空気が少し残っていたという。車両自体もほぼ出荷時のままで、ボディパネル、ライト類、ガラスパーツ、グレーのレザーシート、ステアリングホイール、インテリアトリム、パワートレイン、ホイールにいたるまでオリジナルを保持している。

注目してほしいのは、「フロリダ植民400年」を記念した1965年のリアのナンバープレートだ。これを見ると、持ち主は少なくとも1954年から1965年までクルマを所有していたことがわかる。つまり半世紀以上を納屋で過ごしていた可能性が高いのである。

フロリダの国際コンクール・デレガンスには連番シャシーの二台の『300SL』が登場

ボロボロの『300SL』は発見したクラシックセンターの手にわたり、フロリダ州の高級リゾート地、アメリア・アイランドで毎年開催される「アメリア・アイランド・コンクール・デレガンス」(今年は3月7日から10日)にて旧車ファンたちにお披露目された。

その隣に並んでいたのは、見事に修復された鮮やかなブルーの『300SL』。驚いたのは、この個体のシャシーナンバーが「44」だったことだ。そう、納屋で発見された『300SL』の次に生産された個体なのである。『300SL』のような希少なヒストリックカーが連続するシャシーナンバーでコンクール・デレガンスに登場するのはかなりレアな出来事だろう。

『300SL“ガルウィング”』はメルセデス・ベンツのなかでも名車中の名車として知られ、自動車コレクターなら必ず所有したい一台といわれている。その価値は現在も上昇し続けているほどだ。そういう意味では、なんとも貴重で贅沢な光景といえるのではないか。

Text by Kenzo Maya
Photo by (C) Daimler AG
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

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