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第21回 | 大人ライダー向けのバイク

BMW K1600 B──“バガースタイル”のロングツアラー

近年のBMWモトラッドは、驚くほどにはっちゃけている。2014年に『R nineT』をデビューさせて以降、メーカーとは思えないようなカスタムを施した機種を次々と登場させ、ファミリーを充実させているからだ。そうしたなかで2017年10月から販売が開始されたのが、ロングツーリング向きのKファミリーに新たに加わえられた『K 1600 B』である。BMWでは禁じ手のはずの“バガースタイル”にチョップした、このニューモデルに、BMW乗りたちが騒然となっている。

ライバル社をリスペクトした“禁じ手”バガースタイルのツアラー、BMW『K 1600 B』

バガースタイルの「バガー」は「バッグ」が語源とされ、車両の後部左右にサドルバッグ(パニアケース)を装着し、高さの低いウインドスクリーンが付いたカウルを装備するバイクを指す。

BMWにとってバガースタイルがなぜ禁じ手かというと、このスタイルの原点がハーレーダビッドソンのツーリングファミリーである『ストリートグライド』にあるからだ。いってみれば、ライバル社のカスタムをリスペクトしたのである。

そう聞いて、かつてBMWが発売して失敗作に終わった、プルバックハンドルを採用したアメリカンテイストの『R1200C』というモデルを思い出すバイク乗りもいるかもしれない。

しかし、その二の舞いになると思いきや、『K 1600 B』が想像以上にかっこいいのである。ひと目見て欲しくなってしまったくらいだ。

LEDインジケーターとブレーキライトが一体化した『K 1600 B』の専用パニアケース

モデル名にある「B」はバガーの頭文字を意味する。その名のとおり、『K 1600 B』の特徴はなんといってもバガースタイル定番の手法で仕上げられていることにある。

カウリングのウインドスクリーンを低くカットし、リアフレームの設計変更によりタンデムシートの位置を下げ、バイク後部両側にパニアケースを装備するというのは、まさにバガースタイルそのもの。漆黒のブラックストーム・メタリックカラーと、様々なブラックトーンを組み合わせたカラーリングには絶妙なハズし感があり、色気さえ感じられる。

また、専用設計のパニアケース(容量37L)も「すごい」のひと言だ。このパニアケースはLEDインジケーターとブレーキライトを一体化させ、これまでにない印象的なリアビューを実現しているのだ。

バイク本体のリアには、ナンバープレート灯と反射灯しかない潔さである。当然、パニアケースは固定式で取り外すことはできない。独自設計のこのパニアケースに“BMWの矜持”を見るのは、筆者だけだろうか。

価格は約345万円、優等生のBMWのツアラーにピンと来なかった人も食指が動く!?

車体と同色のブラックに塗装された直列6気筒エンジンは、最高出力118 kW(160ps)/7750 rpm、最大トルク175 Nm/5250 rpmを発揮。ライダーの意に沿ったアグレッシブな走りを約束してくれる。

また、BMWならではの“うれしい装備”も充実。電動調整式のウインドスクリーン、ダイナミックESA(電子制御サスペンション)を標準装備し、加えてダンピングを自動調整するモード(ロード/クルーズ)やシフトアシスタントプロ(クラッチ操作なしで変速可能)等々、安全性と快適性を高めた装備でライダーを喜ばせてくれる。

優等生然としたBMWのツアラーにピンと来なかったバイク乗りも、この『K 1600 B』なら食指が動くに違いない。価格は344万9000円(税込み)。ぜひ、最寄りのBMW正規ディーラーに行って、実車のかっこよさを感じ取っていただきたい。

Text by Katsutoshi Miyamoto

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第69回 | 大人ライダー向けのバイク

ドゥカティ ディアベル1260──悪役感溢れるクルーザー

クルーザーとは、平坦で長い直線道路を巡航(クルーズ)することに重点をおいたオートバイのスタイルのことだ。ハーレーダビッドソンやインディアンをイメージするとわかりやすいだろう。広大な北米大陸で発達したことから、日本ではアメリカンバイクとも呼ばれている。それをイタリア流のセンスによって味つけしたのが、ドゥカティ『ディアベル』である。従来のクルーザーと一線を画す独創的なデザインをもつ『ディアベル』は、2011年にデビューするや世界中で大ヒット。そして今回、第二世代へと進化した。

クルーザーでも「走りはやっぱりドゥカティ」。ファンの期待に応えるキャラクター

2010年にEICMA(ミラノモーターサイクルショー)で発表された初代『Diavel(ディアベル)』は、斬新なデザインだけではなく、従来のドゥカティのイメージと異なるクルーザージャンルに挑戦したモデルとして話題を集めた。じつは、ドゥカティは2014年にフォルクスワーゲングループに属するアウディに買収され、その傘下となっている。レース由来のスポーツモデルというブランドのアイデンティティを脇に置き、経営戦略を優先した結果の新型車と見る者が多かったことも、注目された理由のひとつだったのだろう。

しかし、初代『ディアベル』は見た目以上にスポーティで、実際にライディングを味わった人々からは「やっぱり走りはドゥカティ」との評価を得ることが多い。そうしたユーザーの声は、期待どおりのキャラクターに仕上げられていることを証明するものだ。

その『ディアベル』が第二世代へと進化した。ドゥカティは3月に開催されたジュネーブモーターショーで2019年モデルの発表を行ったが、そこで専用スペースを与えられ、ショーのアイコンモデルとしてお披露目されたのが『ディアベル1260』だ。しかも、2014年のようなマイナーチェンジではなく、すべてを見直した2代目としての登場である。

低回転域でもパワフルな排気量1262ccの「テスタストレッタDVT」エンジンを搭載

アイコニックな外観は、シルエット自体に大きな変化はない。しかし、全体にボリュームアップしており、重量感も増していると感じる。トレリス(格子状)フレームもまったく新しくなり、ぱっと見た印象としては、よりヒール(悪役)感が演出されているようだ。短いシートエンドとスラッシュカットで跳ね上がるサイレンサーエンドは、リアまわりをすっきりとさせた。同時にマスが凝縮されているようで、鍛えられた筋肉を連想させる。

その細部への作り込みによる質感の高さが評価されたのか、『ディアベル1260』は第二世代であるにもかかわらず、ドイツの権威あるプロダクトデザイン賞「Red Dot Award 2019:Best of the Best(レッド・ドット・デザイン賞)」にも輝いているくらいだ。

エンジンは、初代から継承されてきた排気量1198ccの水冷L型ツインからスープアップされ、1262ccの強力な「テスタストレッタDVT」エンジンを搭載。それにより、最高出力は従来の152hp/9000rpmから159hp/9000rpmへ、最大トルクは12.5kgm/8000rpmから13.2kgm/7500rpmへとそれぞれ高められている。車体重量はドライウエイトで218kgもあるが、これだけのトルクがあれば低速域でも軽快に扱えるはずだ。

ドゥカティ自身も新エンジンについて、「息を呑む加速とスムーズな低回転域のパワー特性を備え、日常ユースにも長距離ツアーにも対応する」としている。そのパワーを受け止めるのは、『ディアベル』のトレードマークである極太のリアタイヤだ。クルマ並の240mmという超ワイドタイヤを装着し、ボッシュ製のコーナリングABSも標準装備された。

特別なコンポーネントを与えられたスポーティ仕様車『ディアベル1260 S』も設定

新型には標準仕様に加えてスポーティな「S」バージョンも設定された。こちらには、専用のシートとホイールが与えられるほか、ブレンボ製M50ラジアルマウント・モノブロック・ブレーキ・キャリパー、オーリンズ製サスペンションなどを装備。さらに、クラッチ操作をせずに変速できる「クイックシフトアップ&ダウンエボ」も標準装備される。

『ディアベル1260』は、すでに1月半ばからボローニャにあるドゥカティの本社工場で生産が始まっており、ヨーロッパでは3月から販売が開始された。日本での発売は7月ごろを予定している。4月13日には大阪で「Ducati Diavel Meeting」が開催されたが、なんとこのミーティングの参加者は現行『ディアベル』のオーナー限定だった。新型のオーナーになれば、こうした特別なイベントへの招待状がドゥカティから届くかもしれない。

Text by Koji Okamura
Photo by (C) Ducati Motor Holding S.p.A
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

動画はこちら
Ducati Diavel 1260 オフィシャル動画
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