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第13回 | フォルクスワーゲンの最新車デザイン・性能情報をお届け

進化したドイツ1位のSUV、新型VW『ティグアン』

輸入車のSUVというと、ポルシェ『カイエン』やアウディ『Q7』といったラグジュアリーなSUVを思い浮かべるかもしれない。しかし、販売台数を見ると、じつはより低価格でコンパクトなSUVのほうが断然上。その代表的なモデルが、フォルクスワーゲン(VW)のコンパクトSUV『ティグアン』だ。『ゴルフ』譲りの堅実さや使い勝手、さらに適度な非日常感を持つスタイリングが人気を集め、世界で280万台以上、ドイツ本国ではSUVカテゴリで9年連続1位に輝いた大ヒットモデルである。この『ティグアン』がフルモデルチェンジを受け、2代目へと進化。あらゆる最新の装備で武装したVWの“本気”を感じる1台となっている。

現代のVWのモダンな意匠を纏い、非日常感の溢れる『ティグアン』のスタイリング

VWは2012年に「MQB」という新世代のシャシーコンセプトを発表した。幅広いモデル間での部品やシャシー構造を共通化することで、コスト削減や生産性を飛躍的に高めるという構想だ。

現行型の『ゴルフ』や『パサート』はMQBで作られており、その走行性能の高さや快適性が世界で高い評価を受けている。新型『ティグアン』は、このMQBで作られた初めてのSUVだ。『ゴルフ』や『パサート』への高い評価が、そのまま当てはまると考えていいだろう。

先代から大きく変化したのはボディだ。サイズは全長4500×全幅1840×全高1675mmと、先代モデルよりも全長70mm、全幅30mmを拡大し、全高は35mm低くすることで、クーペのような美しいプロポーションを実現している。

さらに、水平のラインが強調されたフロントマスクや、テールランプに続くショルダーラインなど、現代のVWのモダンな意匠に整えられているのも新型ティグアンの特徴だろう。都会の街中を颯爽と駆け抜ける様が似合いそうだ(メイン写真と下の写真の一部は本国仕様)。

ボディサイズの拡大により、快適な居住性の実現と積載性が向上した新型ティグアン

ボディサイズの拡大は室内空間にも恩恵をもたらした。先代モデルよりも室内長は26mm、後席のニールームは29mm伸びており、全席で快適な居住性が確保されている。じつは、ボディサイズに加えてホイールベースも70mm延長されているのだが(2675mm)、その分が居住空間に還元されているのだ。

積載性も申し分ない。ラゲッジスペースは615L〜1655Lを確保。後席を立てた状態での615Lは、先代より145Lも向上している。

そして、インテリアデザインにも注目だ。ブラックを基調としたインテリアは精悍な落ち着いた空間を表現。グレードによって選択可能なブラック、もしくはサフラのオレンジカラーのレザーシート(ハイライングレードにオプション)、ファブリックシート(R-ライングレードに標準)が雰囲気に彩りを与えてくれる。家族揃っての休日が、アクティブで楽しいものになるだろう。

新型ティグアンのドライバビリティはクラス以上、最新の先進機能や安全装備を搭載

もちろん、ドライバビリティもより高められている。パワートレインは1.4L直列4気筒ダウンサイジングターボエンジン。VW自慢の6速デュアルクラッチトランスミッション「DSG」を組み合わせ、最高出力110kW(150ps)/5000〜6000rpm、最大トルク250Nm(25.5kgm)/1500〜3500rpmのパワーを余すことなく使い切る。

必要に応じて4気筒のうち2気筒を休止させる機能「ACT」や、アイドリングストップとブレーキエネルギー回生システムを内包した「ブルーモーションテクノロジー」も採用。燃費は先代よりも約10%改善した16.3km/Lを実現した。

日本に導入されたのは、『TSI コンフォートライン』(360万円)、上級の『TSI ハイライン』(433万2000円)、そして、スタイリッシュな専用エクステリアをまとった『TSI R-ライン』(463万2000円)の3グレード。ハイライン以上のグレードには、ボタンひとつでドライブ特性を変えられる「ドライビングプロファイル機能」を標準装備し、電子制御サスペンションもオプションで選択可能だ。先進のドライビングアシスト機能や安全装備、アダプティブクルーズコントロールや駐車支援システムは全モデルに標準装備される。

また、ハイライン以上には、レーンキープアシストや渋滞追従支援システムなどが加わり、半自動運転システムが構築される。そのほか、VWのモバイルオンラインサービスを利用できたり、USB接続でスマホのアプリを楽しめたりと、先進のインフォテイメント機能がドライブの時間をより愉しいものにしてくれる。

新しいティグアンが全方位的に進化したことは間違いないだろう。しかし、ゴルフをベースにしたSUVという適度なサイズと高い実用性、そして高級感と非日常感を纏ったスタイリングという、ティグアンらしさは変わっていない。デイリーユースからアウトドアまで、あらゆるシーンでライフスタイルを彩ってくれる1台になってくれるはずである。

text by Tetsuya Abe
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第29回 | フォルクスワーゲンの最新車デザイン・性能情報をお届け

ゴルフ誕生45周年──史上もっとも成功した欧州車の秘話

フォルクスワーゲンは、アウディやポルシェなどを含めたグループ全体の販売台数がおよそ1083万台に上る世界最大の自動車メーカーだ。「Volkswagen」という社名は、ドイツ語で「国民車」を意味する。その業績を支えているのは、「世界一の小型車」といってもいい『ゴルフ』。デザイン、エンジン、走り、あらゆる部分で完成度が高く、ヨーロッパのCセグメントの頂点に君臨し続けている。その『ゴルフ』が誕生45周年を迎えた。

もっとも成功した欧州車。世界中で誰かが40秒に1台、『ゴルフ』を購入している!

初代『ゴルフ』がドイツ・ヴォルフスブルク工場で量産を開始したのは、1974年3月のことだ。以来、今日までに販売した台数は3500万台以上。この数字を計算すると、世界中で誰かが40秒に一台、『ゴルフ』を購入していることになるという。ゆえに、「史上もっとも成功した欧州車」とされている。日本国内でも依然、高い人気を集めている。

メイン写真が初代の『ゴルフI』。50代以上には、いまだにこの初代モデルのイメージが強い人もいるのではないか。下の写真は1991年に発表された3代目『ゴルフIII』だ。

ナチス政権による「国民車計画」で生まれた『ビートル』の後継モデルとして誕生

フォルクスワーゲンは、戦前にナチス政権による事実上の国策企業として設立された自動車メーカーだ。アドルフ・ヒトラーは「国民車(フォルクスワーゲン)」計画を提唱し、それに従い、かの有名なフェルディナント・ポルシェが先進的なメカニズムをもつ流線型の小型車を開発した。そのクルマがのちの『タイプ1』、つまり『ビートル』である。

『ゴルフ』は、この『ビートル』の後継として開発されたハッチバック型のコンパクトカーだ。デザインを担当したのは、あのジョルジェット・ジウジアーロ。しかし、当時は『ゴルフ』が生産台数で『ビートル』を凌ぐほどの人気モデルになるとは、誰も考えていなかったに違いない。下の写真は、1997年に発表された4代目、『ゴルフIV』だ。

フォルクスワーゲンが明かしたビッグニュース。今年10月に新型『ゴルフ』が登場

フォルクスワーゲンは、5月にドイツで開催した年次株主総会において、ビッグニュースを明らかにした。今年10月に、8代目となる新型『ゴルフ』を初公開すると発表したのだ。同社が公開したティザースケッチを見ると、外観上は現行モデルと大きく変わっていないが、次期モデルは新開発の48Vマイルドハイブリッドシステムが搭載されるという。

『ゴルフ』のキャッチフレーズは、「『ゴルフ』を超えるのは、いつも『ゴルフ』」。モデルチェンジをしても、きっと『ゴルフ』は「世界一の小型車」であり続けることだろう。

Text by Kenzo Maya
Photo by (C) Volkswagen AG
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

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