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第12回 | フォルクスワーゲンの最新車デザイン・性能情報をお届け

フォルクスワーゲンT-Roc──さらに小さな新型SUV

好むと好まざるにかかわらず、現在の自動車メーカーはSUVに力を入れざるをえない。2016年に世界で販売された8424万台のうち、じつに29%、2440万台がSUVだったのだ。あのロールスロイスやランボルギーニですらSUVの発売が秒読み段階にある。その流れはコンパクトカーでも変わらない。2017年9月、フォルクスワーゲンはコンパクトSUV『ティグアン』よりさらに小さな新型SUV『T-Roc』をフランクフルトモーターショー(IAA)で公開した。VWらしい実直さと良い意味でVWらしくないスタイルを併せ持つ、同社最小のSUVである。

アウディ『Q2』やメルセデス・ベンツ『GLA』に挑むフォルクスワーゲン『T-Roc』

フォルクスワーゲンのSUVといえば、長らくポルシェ『カイエン』やアウディ『Q7』と基本設計を共有するフラッグシップSUV『トゥアレグ』と、『ゴルフ』と同じMQBプラットフォームで作られる『ティグアン』の2モデルであった。

全長4500mmの『ティグアン』もSUVとしてはコンパクトな部類に入るが、欧州ではアウディ『Q2』、メルセデス・ベンツ『GLA』、プジョー『2008』など、さらにコンパクトなモデルが続々と登場して人気を集めている。

そして、このクラスのSUVは、デザインもそれぞれ個性的だ。『T-Roc』はコンパクトSUV市場に投入された“新しい個性”というわけである。

正式なスペックの発表はまだないが、全長×全幅×全高のスリーサイズは、ライバルと同等の4200mm×1830mm×1500mmほど。1500mmの全高なら立体駐車場にも対応するから、日本の都市部での使い勝手も良さそうだ。

フォルクスワーゲン初となる2トーンルーフを採用する『T-Roc』のエクステリア

注目すべきは、そのスタイリングだ。顔つきこそ兄貴分の『ティグアン』に似ているが、より張り出しが大きく筋肉質になったフェンダー周りと、フォルクスワーゲン初採用となる2トーンルーフに目が行く。Aピラーからウィンドウを囲み、Cピラー後端へと落ちていくクロームのモールも新しい。

このディテールによって、『T-Roc』はクーペを連想させるルーフラインを手に入れることに成功した。さらに、オフロードモデルではボディ下端が保護用のダークカラーの樹脂製パーツで囲まれる。

インテリアは、先ごろフルモデルチェンジされた新型『ポロ』と同様に、ボディカラーなどとコーディネートされるインテリアパネルが特徴的。ステアリングホイールやシフトレバーは、『ゴルフ』や『パサート』などの上級車種と共通のものが採用され、高い質感を実現している。

フォルクスワーゲン『T-Roc』の価格は約260万円、日本上陸は2018年の初頭か?

パワーユニットは、欧州では3つの「TSI」ガソリンエンジンと3つの「TDI」ディーゼルエンジンが用意され、FF(前輪駆動)と四輪駆動の「4Motion(4モーション)」が組み合わされる。

日本に導入されるなら、ガソリンエンジン+FFの仕様となるだろう。もちろん、レーンキープアシストシステム「レーン アシスト」やプリクラッシュブレーキシステム「フロント アシスト」、渋滞時追従支援システム「トラフィック アシスト」をはじめとした先進のドライバーアシスタンスシステムも装備される。

価格はおよそ2万ユーロというから、日本円に換算すると約260万円。日本導入の際のスタート価格は300万円を切るに違いない。『ティグアン』が360万円からなので、価格の面でも魅力的なクルマとなりそうだ。

発売時期はヨーロッパが11月。日本国内デビューは年明けだろうか?

Text by Muneyoshi Kitani

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第29回 | フォルクスワーゲンの最新車デザイン・性能情報をお届け

ゴルフ誕生45周年──史上もっとも成功した欧州車の秘話

フォルクスワーゲンは、アウディやポルシェなどを含めたグループ全体の販売台数がおよそ1083万台に上る世界最大の自動車メーカーだ。「Volkswagen」という社名は、ドイツ語で「国民車」を意味する。その業績を支えているのは、「世界一の小型車」といってもいい『ゴルフ』。デザイン、エンジン、走り、あらゆる部分で完成度が高く、ヨーロッパのCセグメントの頂点に君臨し続けている。その『ゴルフ』が誕生45周年を迎えた。

もっとも成功した欧州車。世界中で誰かが40秒に1台、『ゴルフ』を購入している!

初代『ゴルフ』がドイツ・ヴォルフスブルク工場で量産を開始したのは、1974年3月のことだ。以来、今日までに販売した台数は3500万台以上。この数字を計算すると、世界中で誰かが40秒に一台、『ゴルフ』を購入していることになるという。ゆえに、「史上もっとも成功した欧州車」とされている。日本国内でも依然、高い人気を集めている。

メイン写真が初代の『ゴルフI』。50代以上には、いまだにこの初代モデルのイメージが強い人もいるのではないか。下の写真は1991年に発表された3代目『ゴルフIII』だ。

ナチス政権による「国民車計画」で生まれた『ビートル』の後継モデルとして誕生

フォルクスワーゲンは、戦前にナチス政権による事実上の国策企業として設立された自動車メーカーだ。アドルフ・ヒトラーは「国民車(フォルクスワーゲン)」計画を提唱し、それに従い、かの有名なフェルディナント・ポルシェが先進的なメカニズムをもつ流線型の小型車を開発した。そのクルマがのちの『タイプ1』、つまり『ビートル』である。

『ゴルフ』は、この『ビートル』の後継として開発されたハッチバック型のコンパクトカーだ。デザインを担当したのは、あのジョルジェット・ジウジアーロ。しかし、当時は『ゴルフ』が生産台数で『ビートル』を凌ぐほどの人気モデルになるとは、誰も考えていなかったに違いない。下の写真は、1997年に発表された4代目、『ゴルフIV』だ。

フォルクスワーゲンが明かしたビッグニュース。今年10月に新型『ゴルフ』が登場

フォルクスワーゲンは、5月にドイツで開催した年次株主総会において、ビッグニュースを明らかにした。今年10月に、8代目となる新型『ゴルフ』を初公開すると発表したのだ。同社が公開したティザースケッチを見ると、外観上は現行モデルと大きく変わっていないが、次期モデルは新開発の48Vマイルドハイブリッドシステムが搭載されるという。

『ゴルフ』のキャッチフレーズは、「『ゴルフ』を超えるのは、いつも『ゴルフ』」。モデルチェンジをしても、きっと『ゴルフ』は「世界一の小型車」であり続けることだろう。

Text by Kenzo Maya
Photo by (C) Volkswagen AG
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

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