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第10回 | ベントレーの最新車デザイン・性能情報をお届け

ベントレーの矜持を見よ──新型コンチネンタルGT

創立から98年、ベントレーは英国ロンドンのクリックルウッドで設立されたラグジュアリーカーブランドである。設立当初はル・マン24時間レースで5回の優勝を飾るなど、スーパースポーツメーカーとして名を馳せた。世界中の富裕層は、その卓越した動力性能に魅せられたのだ。そういった意味で、クーペタイプである『コンチネンタルGT』は、ブランドの矜持が詰まった一台である。その矜持は、最新型である第三世代にも色濃く受け継がれた。

斜め後ろから見るとため息が漏れるほど美しい『コンチネンタルGT』のリアライン

新型『コンチネンタルGT』のエクステリアは、キープコンセプト。特徴的なラインやヘッドライトで構成されるクラシカルで優雅な佇まいは、デザインという意味では大きな変化がなく見えるかもしれない。しかし、直感的には「よりスポーティーになった」といった印象を受ける。

それは、新旧モデルを並べるとより顕著だろう。その理由は、長く低くなったスタイルにある。前輪を135mm前方に配置したことで必然的にボンネットが長くなり、ノーズも低くなった。

個人的に目を奪われたのは、斜め後ろから眺めたリアのラインだ。少し離れた位置から見ると、ため息が出るほど美しい。これは、アルミニウムを500度に加熱して正確に成形するスーパーフォーミングにより実現したという。デザイナーの想像力をかき立て、シャープさが際立つ複雑なボディラインと、どっしりとした彫刻のような力強い後ろ姿が生まれた。

印象的な丸目のヘッドライトには、最新のLEDマトリクス技術を採用。デザインは最高級のクリスタルガラスをイメージしており、透明な内側にはシャープなエッジが設けることで、ダイヤモンドのように光を捉える。

豪華な調度品に彩られた高級リビングのようなインテリア

インテリアは車内というより、豪華な調度品に彩られたラグジュアリーなリビングといった雰囲気だ。それも、最高品質の天然レザーから希少なウッドパネルまで、本物だけが持つ上質な素材感だからこそ醸し出せるのだろう。

素材に魂を入れるのが、ハンドクラフトの緻密な職人芸だ。一台の『コンチネンタルGT』に使用される木材は10平方メートル以上。木製のインレイを手作業で製作して装着するには9時間を要するという。

スイッチ一つにもこだわりが詰まっている。従来の機械式ローレット加工(スイッチが滑らないようにする凹凸などの加工)でななく、ピロー式ローレット加工を採用。より柔らかく洗練された手触りとなる一方、ダイヤモンドローレット加工を施した箇所は繊細かつ立体的なカット模様でラグジュアリーさがプラスされた。丁寧に刻まれた模様は視覚的なインパクトだけでなく、滑り止めとしてもしっかりと機能し、コントロール類の確実な操作感をも生み出している。

もし、幸運にもコックピットに着座する機会があれば、是非ローリングディスプレイを試して欲しい。『コンチネンタルGT』は、一見するとダッシュボードの中央に画面がないように見える。しかし、エンジンスタートボタンを押すと、ダッシュボード中央のウッドパネルが静かに前方にスライドして回転。12.3インチのディスプレイが現れる。

このディスプレイはベントレー史上最大のタッチスクリーンで、ナビゲーションとメディア、テレフォンといった具合に、ドライバーが希望の機能を3つ選んで表示することができる。

オーナーとなるセレブリティの体を包み込むシートは、驚くほど優雅だ。「ダイヤモンド・イン・ダイヤモンドキルト」と呼ばれる印象的なキルトは、レザーの海に浮かんでいるように見えるキルティングで、柔らかな極上の手触り。ひとつのダイヤモンド模様を構成するステッチは712個、そのステッチ一つひとつの位置を正確に合わせるといったこだわりがみられる。

新型『コンチネンタルGT』は、ベントレーの歴史に「新たな歴史」を刻む一台となる

ベントレーを語ろうとすると、ついそのラグジュアリーさばかりに目が行ってしまう。しかし、前述した通り、その矜持は「走り」によって保たれている。その一端は、パワートレインに垣間見られる。

エンジンは12気筒である6.0L W12 TSIを搭載。最高出力635ps、最大トルク900 Nmの超弩級のパワーは、クイックで高効率な8速デュアルクラッチトランスミッションと組み合わされることで、0-100km/hまでわずか3.7秒、最高速度は333km/hに達する。

このパワーを路面へと確実に伝える足回りには「BENTLEY DYNAMIC RIDE(ベントレー ダイナミック ライド)」を採用。車がコーナーに進入した際に、このシステムが自動的に働き、車体のロールを最小限に抑える。特に、横方向のロールをコントロールすることで、乗員への不快な挙動が抑えられる。

アクティブ全輪駆動システムの一新もトピックスのひとつだ。従来は前後のトルク配分が40対60の固定だったが、新型『コンチネンタルGT』は走行状況に応じて前後のトルク配分が変化する。

通常は可能な限り後輪駆動状態で走行し、各種条件とドライバーの操作に基づき、必要に応じてフロントアクスルにも駆動力を分配。これにより、アンダーステア傾向が軽減され、ドライバーの操る楽しさを満足させてくれる。

ベントレーモーターズの会長兼CEOのウルフギャング・デュラハイマー氏は「第3世代の新型コンチネンタルGTは、私どものデザインとエンジニアリングの賜であり、Bentleyの歴史に新たな一歩を刻む車です」と語る。

ラグジュアリーカーの世界をリードし、自動車業界におけるラグジュアリーの定義を塗り替えてきたベントレー。新型『コンチネンタルGT』も、ラグジュアリークーペのベンチマークとなることは間違いない。

Text by Tsukasa Sasabayashi

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第16回 | ベントレーの最新車デザイン・性能情報をお届け

ウルス超えの最速SUV──Bentleyベンテイガ スピード

ベントレーの創業者であるウォルター・オーウェン・ベントレーは、1888年生まれだ。「ベントレー・モーターズ」を設立したのは31歳のとき。1919年のことである。今年は、それから100周年のメモリアルイヤー。その記念すべき年に、世界最速、最強の一台が発売される。『ベンテイガ スピード』。「スピード」は、ベントレーのなかでも高性能モデルが冠する名称で、『ベンテイガ スピード』はその名の通り、SUVである『ベンテイガ』の高性能モデルだ。ベントレーいわく「世界最速のSUV」である。

最高速度306km/h。ランボルギーニ『ウルス』を上回る世界屈指のパフォーマンス

燃費や利便性が話題になりがちな、昨今の新車発表。しかし、カーガイにとっての興味は、そこだけに留まらない。世界最速をうたう雲上の一台は、手に入らずとも憧れの的だ。そういった意味で、ベントレーが「ラグジュアリーを極めた世界最速SUV」と自称する『ベンテイガ スピード』は非常に気になるクルマだろう。

『ベンテイガ』は、“超”高級SUVという新しいセグメントを切り拓いた一台。ラグジュアリー性だけでなく、スピードやパワーにも究極的にこだわった。すでに頂きにあるモデルのさらなる高性能モデルとは、どういったポテンシャルを秘めているのか。

その実力を客観的に示すために、パワートレインの数字を述べよう。定評ある6.0L W12ターボエンジンのハイパワーバージョンを搭載し、最高出力635ps、最大トルク900Nm、最高速度306km/h、0–100 km/h加速3.9秒。これらは、標準の『ベンテイガ』よりも最高出力で27ps、最高速度で5km/hのパワーアップ、0-100kmの加速で0.2秒短縮している。いわずもがな、SUVとしては世界屈指のパフォーマンスだ。最高速度にいたっては、世界最速のSUVである、あのランボルギーニ『ウルス』を上回っている。

世界最高速のスピードで走る約2.4トンの車体。そのエネルギーを受け止めるのが、ベントレーのなかで最大・最強、6000 Nmの制動力を発揮するカーボン・セラミック・ブレーキだ。足回りに関しては、『ベンテイガ』と同じく全輪駆動で、エレクトロニック・デファレンシャルロック(左右のタイヤの回転差を固定する機構)を採用している。

オンロードとオフロードを合わせて計8種類のドライブモードを搭載する充実ぶり

走りの性能については、状況に応じて4種類から選択できるオンロード用走行モードも重要な役割をはたす。乗り心地を最優先させた「コンフォート」、走りを重視した「ベントレー」と「スポーツ」、そしてドライバーが好みに応じて設定できる「カスタム」だ。

特に「スポーツ」モードは専用にチューニングされており、W12エンジンと8速ATのレスポンスに加え、サスペンションと電動アクティブスタビライザー「ベントレーダイナミックライド」の応答性も向上。これまで以上にダイナミックで一体感のある走りを実現した。コーナリング時のロールを即座に抑え込み、タイヤの接地性を最大限に高め、クラストップのキャビン安定性と快適な乗り心地、優れた操縦性を実感することができるだろう。

SUVであるだけに、オフロード用の走行モードも準備されており、その場合は「雪道・草道」「土道・砂砂利」「泥道・小道」「砂道」の4種類が選択可能。合わせて計8種類の走行モードは『ベンテイガ』と同じで、ほかのラグジュアリーSUVを圧倒する充実ぶりだ。

専用スティッチングや「Speed」があしらわれたスポーティでラグジュアリーな室内

エクステリアは『ベンテイガ』を踏襲しつつ、専用装備が与えられた。フロントマスクでは、深い色調のダークティントヘッドライトが質の高さを物語る。また、サイドスカートや前後バンパーのスプリッター、テールゲートスポイラーなどをボディと同色でまとめることで統一感を演出。また、新設計の22インチ10本スポークホイール、ダークティントで統一されたラジエターグリルとバンパーグリル、3種類の仕上げに対応する22インチ専用ホイール、ボディにあしらわれた専用バッジもスポーティなデザインを引き立ててくれる。

キャビンは職人の技が光るハンドクラフト。英国モダンデザインが濃縮された空間に仕上がっている。注目のひとつが、『ベンテイガ』シリーズ初となるアルカンターラの採用だ。後席が2人乗りの4シートモデルでは、クッションボルスターやバックレスト上部、ドアパッド、バックボードのダイヤモンドキルトにもコントラストステッチを施すことができる。

専用の意匠では、「Speed」のロゴをブラインド/コントラストステッチのいずれかで入れることが可能だ。コクピットには、イルミネーション付き「Speed」トレッドプレートが、助手席側フェイシアにはメタル製「Speed」バッジが輝きを添える。

発売は2019年後半。価格や日本導入時期は発表されていない。ちなみに、『ミュルザンヌ スピード』は、『ミュルザンヌ』と比較すると約10%高い。『ベンテイガ』は2786万円なので、3000万円程度になるのだろうか。世界最強のSUVにふさわしい価値である。

Text by Tsukasa Sasabayashi
Photo by (C) Bentley Motors
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

動画はこちら
Bentley Bentayga Speed オフィシャル動画
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