自動車市場は非常に大きいマーケット。やはり最低でも100万円以上する商品が毎年日本だと500万台が売れており、中国の自動車市場はそろそろ年間3000万台にも迫る勢いだとか。
ただ環境規制の声の高まりもあって、自動車開発は莫大な資金が必須に。最近は他にも自動ブレーキといった予防安全技術の開発も求められるなど、そのため自動車業界における再編の歴史は非常に古い。
そこで今回カーギークでは「自動車業界における相関図や関係図」の最新版をまとめてみました。
果たして、どの自動車メーカーとどの自動車メーカーが繋がっているのか?また最近流行りの自動運転技術はどうなっているのか?そして過去に行われたメーカー同士の提携など、自動車業界の再編の歴史なども解説してるので是非ご参考に。
トヨタグループ…自動車業界相関図・関係図
まず最初は「トヨタグループ」。
トヨタ自動車の子会社で有名なのが「ダイハツ(2016年に完全子会社)」と「日野自動車」。日野はトラックなどを製造してる自動車メーカーですが、トヨタが株式の50%ほど出資している模様。
他にも自動車メーカー以外だと「ジェイテクト」や「豊田自動織機」、「アイシン精機」、「デンソー」なども自動車部品メーカーもトヨタグループ。今回の業界関係図では自動車に絞ってますが、住宅メーカーのトヨタホームなんかもトヨタグループ。
ただトヨタは世界に誇る自動車メーカーの割に、傘下に治めてる自動車メーカーはわずか2社とかなり少ない印象。
実際、トヨタ全体の2017年の新車販売台数は1039万台と世界第三位に甘んじてる。2018年も同様にトヨタは世界3位に転落したまま。主な理由は後述する日産三菱連合の躍進ですが、やはり連結子会社の少なさが影響か。
○連結子会社ではないがトヨタと協業している自動車メーカー
一方、トヨタ自動車の連結子会社ではないものの、トヨタと技術面や資本面で協業している自動車メーカーは多数に及ぶ。画像の相関図を見ても分かるように、それが「スバル」「マツダ」「スズキ」の自動車メーカー。
トヨタはスバルの株式を16.8%ほど取得。マツダは5%、逆に、マツダはトヨタ自動車の株式を0.25%ほど持ち合ってる状態。
一方、スズキとは株式を持ち合っておらず、幅広い業務提携を結んでる。今後スズキはトヨタからハイブリッドなど技術提携を受け、トヨタはスズキが市場を開拓したインド事業で提携していく予定。
既にマツダとはEV(電気自動車)の共同開発を行っている最中。ちなみにマツダとフォードは1979年から続いていた資本提携を2015年に終了したものの、中国など一部自動車市場においては合弁事業が続いているっぽい。
他にも、トヨタ自動車はBMWとスポーツカーなどで共同開発を行っており、2019年春に発売される新型スープラなどはBMWの技術がベース。
○トヨタ自動車といすゞは2018年に提携解消済み
過去、トヨタは2006年からいすゞ自動車に6%ほど出資しておりました。
いすゞ自動車はアメリカ・ゼネラルモーターズ(GM)と1971年から2006年まで資本提携を結んでおり、GMの関連会社だった。この関係性が終わったことでトヨタ自動車が近付いてきたカタチ。
しかしながら2018年8月3日、トヨタ自動車といすゞの資本関係が終了。お互いの相乗効果が残せなかったのが理由らしく、トヨタが持つ全株をいすゞに最大800億円で売却。ただし、一部の協業関係は続いていく模様。
その後、いすゞはアメリカのエンジン大手のカミンズと提携。カミンズの主力は大型トラック向けのディーゼルエンジンであるため、中古型トラックのエンジン開発を得意とするいすゞと住み分けできると判断。
○トヨタ自動車×GM(1984年~2009年)
過去、トヨタ自動車は他にも色んな自動車メーカーと提携を行っておりました。
例えば、1984年から2009年にはアメリカのGMと提携。1980年代、日本はバブル真っ只中でしたが、裏ではアメリカと貿易摩擦が勃発。日本車がぶっ壊されたニュース映像は今でもたまにテレビで流れます。
そこでアメリカから高関税をかけられるのを避けるため、半ば政府主導でトヨタ自動車はアメリカ国内で現地生産を行うこと決定。アメリカのGMと合弁会社「NUMMI」を設立して、トヨタ・カローラなどがアメリカで生産されておりました。
ただ2009年にGMは一度経営破綻したため、その時にトヨタ自動車との関係も解消されております。
○トヨタ自動車×テスラ(2010年~2016年)
また2010年にトヨタ自動車は電気自動車で有名なテスラとも提携を行っておりました。トヨタはバッテリーに関するテスラの技術、テスラはトヨタの自動車の製造ラインが欲しかったとか。
だから前述のGMとの合弁会社の製造ラインをそのまま使用。2019年に日本国内で復活する新型RAV4のEV版を共同開発したものの、わずか2年で販売終了。どうやらトヨタとテスラは基本的に反りが合わなかった。
例えば、FCV(水素燃料電池車)の開発に踏み切るトヨタ自動車に対して、EVベンチャーのテスラは猛然と反対。そりゃ折り合うはずもなく、トヨタ自動車とテスラの提携は2016年に解消されました。
トヨタ自動車の関係図を見ると色んな自動車メーカーと手を組んではいるものの、とりわけ海外の自動車メーカーと関係が上手く行かないこともしばしばらしい。
○トヨタ自動車は電気自動車(EV)の開発に躍起
2019年1月22日、トヨタ自動車はパナソニックと共同で「EV用の角形車載バッテリー」の生産会社を2021年までに設立することが決定。お互いの出資比率はトヨタが51%、パナソニックは49%とほぼ対等な関係性。
実は前述の画像には載ってませんが、トヨタ自動車はフォードとはスマートデバイスなどナビ関連、PSAプジョーとはヨーロッパのチェコで小型車をメインに合弁会社を作ってたりします。
やはりトヨタ自動車はテスラとの関係が破綻するなど、やや電気自動車の開発は遅れてるとのこと。トヨタは年間兆円規模で研究開発費を投じてるものの、それでも大変らしい。実際、マツダとEV開発で手を組んでるのも、トヨタ自動車側の事情も大きそう。
トヨタ自動車はパナソニックの既存の生産設備を利用することで、車載電池の価格を抑えて価格競争力を引き上げる狙いがあるらしい。
また【考察】電気自動車普及の課題でも触れましたが、将来的にトヨタ自動車は「全固体電池」の開発もパナソニックと共同で行う予定。
トヨタの提携関係は幅広いため、今後共同開発したバッテリーが他社や子会社の車種に搭載される可能性も高そう。
ルノー日産三菱アライアンス…自動車業界相関図・関係図
続いては「ルノー=日産アライアンス」。日本人の感覚で考えると、日産自動車の名前が先に来ても良さそう。実際、日産自動車の2017年の売上高は1兆2000億円程度に対して、ルノーは7000億円程度。
ただ名前が表すように両者の主従関係でいうと、実はルノーが日産よりも立場が上。
かつて日産自動車がバブルの煽りを食って経営破綻寸前になった1999年に、ルノーの傘下に入ったことが大きな話題になりましたが、その時に社長に君臨したのがカルロス・ゴーン。自動車好き以外でも知っているはず。
そして、2006年にはルノーが日産株の44%(現在は43.4%)を保有するカタチで、日産自動車を連結子会社化した。一方、日産自動車はルノー株を持ち合うものの、2019年現在でも取得してるのはわずか15%。
しかも、ルノーの筆頭株主はまさかのフランス政府(19.74%)。日産自動車の経営幹部にはフランス政府の息がかかったルノー出身者が大量に送り込まれるなど、日産の発言力は小さいままとされます。
○三菱を傘下に治めた以降、新車販売では世界2位に躍進
その後、2017年には日産自動車が三菱自動車株の34%を取得し、三菱自動車も日産ルノー連合の傘下に入ったことは記憶に新しい。だから現状は「ルノー日産三菱アライアンス」という関係性で表記するのが正解。
そして、この三菱自動車を傘下に収めたことで、2017年以降の新車販売台数ランキングではルノー日産三菱がトヨタ自動車グループを追い抜き、フォルクスワーゲンに次いで2019年以降も世界2位を維持しております。
他にもルノーは日産自動車以外にも、ロシアの「アフトバス」や韓国の「ルノー三星」、ルーマニアの「ダチア」などもを傘下に収めてる。他にもドイツのダイムラーとも株を持ち合っているとか。
例えば、日産・スカイラインなどに搭載されているターボエンジンがダイムラー製であることは結構有名な話。不思議に思った方も多そうですが、日産自動車の取り巻く相関図がまさに関係してる。
○将来的に日産自動車はルノーの完全子会社となるのか?
ただし、2018年11月に当時会長だったカルロス・ゴーンが金融商品取引法などの容疑で逮捕。その後、日産はゴーンを会長職から即座に解任し、ルノーも遅ればせながら2019年1月に解任するなど世界中が大騒ぎ。
そこで気になるのが「ルノーが日産自動車を完全子会社化するのか?」という点。
現状は日産とルノーの不公平な関係性が続いているものの、自動車開発においては両者の関係性は深化してる。共同で開発したプラットフォームを採用した次期ノートや次期マーチなどが好例。
また三菱自動車と日産自動車も、軽自動車を開発製造する「NMKV」と呼ばれる会社も設立して早5年6年が経過。日産が最も規模が大きい自動車メーカーではあるものの、新型車を開発する上で関係性が完全に破綻することは全員にとってデメリット。
だからルノー日産三菱アライアンスが良好な関係を続けていく上では、日産自動車のルノー株の持ち株比率を上げること以外に道はない。ただルノー株の約20%がフランス政府が取得している状態。
そのためカルロス・ゴーンが消えたものの、実質的にフランスの大統領に日産自動車の命運を握ってる状況は変わらず。ヨーロッパの自動車メーカーは意外と国策企業的ですが、今後フランス政府が強引に日産自動車を完全子会社化しようとしてもおかしくない。
でも、フランス政府はフランス国内のことしか考えてない。とにかくフランス国内で自動車製造を強要したがるため、日産自動車からしたら邪魔な存在でしかない。そのためスズキとVWのように、ルノーとの関係性が破綻する可能性も十分有り得そう。
【考察】カルロス・ゴーン逮捕で日産自動車はどうなる?などもご参照。
三菱自動車再編の歴史まとめ…自動車業界関係図
続いては三菱自動車の歴史。
三菱自動車は日産自動車の傘下に入る前にも、他の色んな自動車メーカーと提携を繰り返しておりました。もっと言うと、そもそも三菱自動車が生まれたキッカケそのものが「とある自動車メーカー」との合併が始まり。
実は三菱自動車は「もともと三菱重工業の一部門」に過ぎなかった。
でも1970年に三菱重工業がクライスラーグループと提携し、その一環として合弁事業として独立したのが何を隠そう「三菱自動車」というブランド。当時はトラックの生産などを行う「三菱ふそう」なども入っておりました。
1985年にはマレーシアのプロトンと提携を結び、合弁会社を設立(2004年に資本提携は解消)。1991年にはボルボと提携を結んでオランダで合弁事業を行い、1999年には大型車の分野で資本提携を締結。
○三菱ふそうだけは何故か未だにダイムラー傘下
ただ三菱自動車はちょくちょく不祥事を起こすメーカーでして、今から20年ほど前は「リコール隠し」で瀕死の状態まで追い込まれた。そこで三菱自動車を救うためにダイムラーが資本提携を結んでくれた。
ダイムラーは三菱自動車にデザイン本部長(オリビエ・ブーレイ)などを送り込むなど、新型車開発にも積極的に関与。三菱・ランサーエボリューションなどが、ダイムラー顔に変化したのは懐かしい思い出という方も?
しかしながら結局両者の相乗効果は乏しく、2005年に三菱自動車とダイムラーの提携は完全に解消。ただし、現在も三菱ふそうだけはダイムラー傘下に入っており、「まんまと三菱ブランドを手に入れた」と評価する自動車評論家も。
他にもプジョーシトロエンにアウトランダーをOEM供給するなど、規模が小さい割に波乱の人生を歩んだ自動車メーカーと言えそう。三菱自動車の歴史を見ると、つくづく弱肉強食の世界だなぁと((((;゚Д゚))))ガクブル
ホンダ(本田技研工業)…自動車業界相関図・関係図
続いては「本田技研工業(ホンダ)」。ホンダは自動車以外にもバイクなど二輪車も発売しており、その販売台数はなんと世界一。他にも船外機や航空機なども発売している総合メーカー。
ただ現在ホンダが業務提携してるのは、アメリカのGMのみ。しかもFCVと呼ばれる水素燃料電池車といった一部の分野。ガソリンエンジンやハイブリッドシステムは全部ホンダが自前で開発中。
そのため「グループ」と表現することはできないほど、良くも悪くもホンダは孤立主義を貫いている自動車メーカー。まさに「MM思想」を筆頭とするホンダイズムが脈々と流れている裏返しなのか。
ホンダはあくまで一社のみの累計になるため、2017年の新車販売台数は519万台とトヨタグループの約半分程度に留まっております。
○ホンダ×ローバーグループ(1979年~1994年)
ただ、孤高の一匹狼を貫くホンダにも、かつて提携していた自動車メーカーが存在しました。それがランドローバー車などを発売しているイギリスの「ローバーグループ(ブリティッシュ・レイランドの前身)」。
ホンダはローバーグループに自家エンジンを供給したり、逆にアコードのOEM車をローバーブランドで発売するなど、さながら幅広い技術提携が行われておりました。
あくまでホンダ的にはヨーロッパへの足がかりとして提携したものの、日本国内でもランドローバー・ディスカバリーを「クロスロード」という車名で1993年から1998年まで発売しておりました。
1994年にローバーの提携を解消して以降、ホンダは前述の通り、一貫して孤高のメーカーとして貫いております。ちなみにローバーグループはその後、BMWに買収。
そして2005年に解散し、その後は傘下に収めていたブランドの「MINI」などはBMWなどに分割。他にも後述するランドローバーやジャガーなどはインドのタタに流れるなど、まさに「草刈場」としての散々な最後を迎えております。
フォルクスワーゲングループ…自動車業界相関図・関係図
国産自動車メーカーの相関図を解説したので、続いては海外の自動車メーカーの関係図をチェックしてみようと思います。あの高級車メーカーも実は意外と傘下だった!?なんてことも。
まず最初の海外の自動車メーカーは「フォルクスワーゲングループ」。ここ数年、トヨタ自動車を抜いて世界一の販売台数を誇る自動車メーカー。すっかり新車販売ランキングでは同構図が定着した感すらあります。
このフォルクスワーゲンはあらゆる自動車メーカーを完全に子会社化。しかもランボルギーニやブガッティ、アウディ、ポルシェなどそうそうたる高級車ブランドを実はフォルクスワーゲンが手中に収めてる。
厳密には、ランボルギーニはアウディ傘下に入っております。ただ2019年1月からランボルギーニはポルシェ傘下に入ることが確定。それまでランボルギーニなどはアウディのプラットフォームを流用していたんですが、今後スーパーカーブランドは全てポルシェ製プラットフォームに統一する予定。
とにかくフォルクスワーゲンは穿った見方をすればめちゃくちゃ独占欲が強そうに見えますが、このことが他社の自動車メーカーとの提携に影を落とすことも。
○フォルクスワーゲン×国産自動車メーカー提携の歴史
このフォルクスワーゲンは様々な国産自動車メーカーと提携を行っていたのは有名な話。
1981年から1991年までは日産自動車と提携しておりました。日産の狙いはヨーロッパ市場への足がかり。一方、フォルクスワーゲンは日本国内でノックダウン生産を行い、アジア市場への足がかりを目的としていたそう。
ただ日産自動車はバブル以降、業績が悪化。その後、前述のように日産はルノーと1999年にガッチリと提携するんですが、一方フォルクスワーゲンはトヨタ自動車と提携。
トヨタディーラーの中には「DUO店」と呼ばれるフォルクスワーゲン車を扱うディーラーが存在し、いわゆるディストリビューター契約。逆にフォルクスワーゲンのディーラーではトヨタのハイラックスがOEM供給されていたそう。
DUO店はフォルクスワーゲン拡販に貢献したと言われております。その後、フォルクスワーゲンは2010年12月とトヨタとの契約が終了。そして、フォルクスワーゲンは次のターゲットに「スズキ」を選びます。
○フォルクスワーゲン×スズキ(2009年~2015年)
ただし、スズキとフォルクスワーゲンの提携は大失敗。まさに自動車業界でも歴史を残すほどの泥沼の展開が待っております。
前述のように、フォルクスワーゲンはポルシェやアウディなどを完全子会社化してる。この状態からも分かるように、どうやらフォルクスワーゲンはとにかく完全に手中に収めないと気がすまない自動車メーカーらしい。
一方、スズキは対等な提携関係だと思っていたものの、フォルクスワーゲン的には完全に「傘下」が視野に入っていた。このすれ違いは提携を結んだ2009年から目立っており、最初から協業関係が上手くは進みませんでした。
そのためスズキは提携解消を求めるものの、フォルクスワーゲン側は頑なに拒否。業を煮やしたスズキは国際仲裁裁判所に提訴し、約1年あまりの期間を経て、正式にフォルクスワーゲンとスズキの提携が解消されます。
まさに泥沼の歴史でした。現在となってみたら、どっちにしても結果オーライ?フォルクスワーゲングループ全体の2017年の新車販売台数は1974万台。
FCAグループ…自動車業界相関図・関係図
続いては「FCA(フィアット・クライスラー・オートモービルズ)」。社名を見ても分かるように、フィアットやクライスラーが寄り集まって2014年に作られた新しい自動車の持株会社になります。
当初2009年のリーマンショックでに経営不振であえいでいたクライスラーに対して、フィアットが資本提携を持ちかけた。その後、2014年にフィアットがクライスラーを完全子会社化したことでFCAが誕生した。
FCA傘下にはフィアットやクライスラーだけではなく、アルファロメオやジープやマセラティなど幅広い自動車ブランドが存在。ただし、当初フィアットの傘下だったフェラーリは2016年にFCAから分離独立しております。
またフィアットは2013年にマツダと業務提携し、2015年にはロードスターのOEM車である124スパイダーをフィアットが国内で投入しております。ただ今後両者の関係が業界再編に繋がるほど深化することはないか。
ちなみにFCA全体では2017年の販売台数は474万台ほど。
○自動車サプライヤー業界も再編が起きてる
ちなみにサプライヤー分野では、2018年10月、FCA傘下だった自動車部品メーカー「マニエッティ・マレリ」がカルソニックカンセイによって2019年6月をめどに買収されることが発表されております。
カルソニックカンセイによる買収額は8000億円規模に上り、カルソニックカンセイは業界世界7位の売上高にまでジャンプアップする予定。マニエッティ・マレリはIT部門が強く、今回の買収でカルソニックカンセイは不得手な自動運転システムなどの部分に力を入れる予定。
ちなみに、カルソニックカンセイの本社は埼玉県にある日系企業。元々は日産自動車の傘下だったものの、最近はアメリカの投資ファンドの傘下に入っており、厳密には日本企業とは言いにくいか。
自動車のサプライヤー業界でも「離合集散」が頻繁に起きております。
グループPSA…自動車業界相関図
続いては「グループPSA」。ざっくり言うと、プジョーやシトロエンなどが寄り集まった企業体。主にフランス車のブランドが多く、他だとDSやボクスター、オペルの自動車ブランドを抱えております。
オペルは聞き馴染みがないですが、ドイツなどを拠点に展開しているドイツの自動車メーカー。海外サッカーなどを見ていると、試合のスポンサーにオペルの名前を見た経験がある人も少なくないか。
プジョーとシトロエンはもともと協業関係にあったらしい。2012年にGMと資本提携を行い、2014年に中国の東風汽車と資本提携。2016年4月に社名から「プジョーシトロエン」の名前が消えて、PSAグループに改名。。
その後、2017年8月にはGMから前述のオペルとボクスホールを買収。その買収効果も相まって、PSAグループ全体では2017年の新車販売台数は363万台。ヨーロッパではフォルクスワーゲンに次ぐ、販売シェアを誇るとのこと。
そのためPSAグループのラインナップには、「お安い外車SUVおすすめランキング」でもチラホラと確認される人気車種も少なくない。
吉利汽車グループ…自動車業界相関図・関係図
ここからは更に日本ではもっとマイナーな自動車メーカーの関係図を見ていこうと思います。すぐ終わりますが、興味がない方はスルー推奨。
まずは中国の自動車メーカーの「吉利汽車」。ちなみに吉利の読み方は「ジーリー」。また汽車は中国語で「自動車」などを意味するそう。つまり日本の自動業界的には「○○自動車」といったノリ。
吉利汽車は元々は家電メーカーだったんですが、1997年から自動車の製造を開始。そして、2010年にはフォードからボルボ(乗用車部門)を買収。その後、2018年2月にはダイムラーの株式も約10%ほど取得しているそう。
中国は言わずと知れた世界一の新車販売大国ですので、今後、世界中の自動車業界でブイブイと言わせそうな雰囲気。中国国内では環境規制も非常に厳しくなっており、それに付いてこれない国産自動車メーカーも存在します。
具体的には重慶長安汽車と1993年から合弁会社を作ったものの、2018年9月にスズキは解消。2018年6月には江西昌河汽車との合弁会社も株式の譲渡で解消するなど、スズキは中国国内から完全に撤退せざるを得ない展開に。
タタグループ…自動車業界相関図
一方、インドの自動車メーカーが「タタ」。日本だと非常に小さい小型車を販売しているイメージですが、イギリスの高級車ブランドである「ジャガー」や「ランドローバー」を完全子会社化してるのは有名な話。
他にも韓国の現代自動車グループは「起亜」という自動車メーカーを傘下に収めており、2017年の新車販売台数は725万台。韓国系自動車メーカーはフリート販売を強みとしているようですが、フォードの661万台を80万台ほど上回っており、日本人が思ってる以上に売れてる。
【最新】自動運転技術などの提携関係はどうなってんの?
そして、最後は自動運転システムなどの「次世代技術」に関する提携関係をチェックして終わります。まだまだ自動車業界との関係は流動的であるものの、わかりやすく別項目でまとめてみました。
2018年10月4日、「トヨタ自動車」が「ソフトバンク」と提携関係。2019年3月にはホンダ技研も加わり、自動運転車を利用したサービスの「モネテクノロジーズ」に共同出資。持株比率はソフトバンクが約40%、トヨタが約39.8%、ホンダと日野自動車がそれぞれ約9.9%。
ホンダは軽自動車事業からの撤退も囁かれておりますが、これまでの孤軍奮闘の姿勢とは一転、徐々に他の自動車メーカーと連携しつつあるらしい。モネテクノロジーズでは移動コンビニやカーシェアリングなどのサービス拡充を目指す予定。
また「ソフトバンク」は「ホンダ」とAI技術に関する技術提携も結ぶ関係。また国内企業系だとパクリメディアでおなじみの「DeNA」は、2016年頃から「日産自動車」と自動運転システムやカーシェアリングで提携関係。日産はプロ野球・横浜DeNAのスポンサーをやるほど。
「Google」は「日産自動車」や「ホンダ」と提携関係。一方、「ホンダ」は前述の「GM」とは自動運転システムに関しても技術提携を結んでおり、「日産自動車」も既にエンジン供給を受けている「ダイムラー」と今後の提携を模索中。
また「マイクロソフト」は「トヨタ自動車」とDCMなど通信系の技術提携を結んでおり、配車サービスの世界的大手の「ウーバー」も「トヨタ自動車」と提携関係にある。「ソフトバンク」は「ウーバー」に多額の出資していることも、前述の背後関係にあるのは想像に難くない。
「安全デバイス」は各自動車メーカー同士が連携!!
そのため自動運転技術など「安全デバイス」に関しては、各自動車メーカー同士が連携しあっている感じ。研究開発費や人的リソースが膨大なので、自動車業界全体が一致団結してると言ってもいい。
例えば、自動運転技術には正確な道路状況を把握する必要があるため、高精度3次元地図データは「ダイナミックマップ基盤」と呼ばれる会社がリード。トヨタからスズキまで国内自動車メーカー全社が出資し、他にもゼンリンといった地図メーカーまで勢揃い。
今後、大量の走行データや地図データを各企業が共有し、自動運転システムの精度を高めていく予定。トヨタですら一社だけでは土台無理な話なので、今後安全デバイスは「全社共闘」という感じが進みそう。
また最近ダイナミックマップ基盤はアメリカの「アッシャー」を買収。同じく三次元地図データを作成している企業。GMも出資しており、既にアメリカでは自動運転の実用化を達成してるとか。
まさに自動車業界における日米同盟みたいなものか。アメリカではグーグルも自動運転技術の開発を取り組んでおり、ルノー日産は車載OSで提携しております。
○自動運転技術はヨーロッパの自動車メーカーが有利?
でも、ヨーロッパではBMWやAudiなどが共同出資している「ヒア」がどうやら世界的にはリード。既に中東アジアなどにも食い込むなど、やはりサプライヤー関係は欧州勢が強いこともあってか日本の自動車メーカーはこれでも遅れを取ってるとのこと。
自動地図に関しては、あくまでそれぞれの地域や国家に強みがあるメーカーが率先的に製図していくんだと予想されますが、そういう意味で既にグローバルに展開できてるGoogle(グーグルマップ)あたりも強そう。
既に「Uber」や「リフト」など配車サービスはアメリカや海外では大ヒットしているため、今後日本の自動車業界もそういった分野の企業とも提携していく可能性が高そうです。
だから、今後自動車メーカーは「クルマ本体を売る」だけではなく、クルマに関連するサービス分野にもどんどん参入してくる方向性なのではないかと思われます。
以上、最新の自動車業界の関係図まとめでした。これまで自動車業界の再編には様々な歴史があって面白い。また提携関係が本格的に切れた後も、地味に資本関係が続くなど複雑に絡み合ってる業界だなぁ…と改めて痛感しました。