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第92回 | 大人のための最新自動車事情

新車と中古車──大人の男が選ぶべき購入法を考える

愛車を手に入れる手段には、大きくふたつある。ひとつは新車で購入、そして、中古車での購入だ。新車派は「誰が乗ったかわからない中古車なんて…」と言うかもしれないし、中古車派は「新車で買うのは経済的に合理的じゃない」と反論するかもしれない。しかし、新車にも中古車にも、それぞれの良さがある。大人の男がほしい車を見つけたとき、新車、中古車のどちらを買うべきか。メリット・デメリットを考えてみよう。

価格は高めだが、新車だからこそ味わえる「自分だけの愛車を手に入れられる悦び」

新車のメリットは、誰も手を触れていない自分だけの愛車を手に入れられることだろう。ひとつは気持ちの問題。やはり、下ろし立ての新しい車は清々しい。もちろん、これまで使われていないので、メカニカルな部分の信頼性が高いのもポイントだ。

また、発売されたばかりの車にいち早く乗れるのも新車ならでは。特にプレミアムな輸入車の場合、街中での注目度も高く、所有欲を十分に満たしてくれる。

ほかには、メーカーオプションが付けられ、自分好みのボディーカラーを選べるといったポイントもある。特に、高級輸入車の場合、インテリアのマテリアルやデザインなどを自分なりにカスタマイズできることが多い。世界に一台だけの愛車を作り上げられるのは、カーガイにとってこの上ない悦びだ。

車を乗り継ぐなら、リセールバリューの高さも考慮しなければならない。やはり、中古車で何度か売買された2オーナー、3オーナー車よりも、新車で購入されて、点検整備記録簿に履歴が明記されたワンオーナー車のほうが、買取り額は高くなる。ブランド価値が高い車なら、極まれだが購入時よりプレミアムがついて売れることもあるだろう。

デメリットを上げるとしたら、中古車に比べると価格が高いことだ。逆に言えば、金銭的な余裕があれば、あえて中古車を選ぶという人は少ないかもしれない。

維持費はかかるが、中古車ならではの「絶版となった憧れの車を手に入れる愉しみ」

では、あえて中古車を選ぶとは、どういった理由なのだろうか。一般的な中古車のメリットでは、やはり新車よりも安価で入手できる点だ。

おすすめは、現行型の中古車を狙うこと。端からみると、その車を中古車で買ったのか、新車で買ったのかは区別がつかない。3年目の車検で売られた車ならば新車保証が残っており、保証継承もできる。また、新車だったら納車まで半年待ちという人気車種をすぐに手に入れられるといったメリットもある。

最も大きいのは、すでに絶版になった憧れの車を手に入れられることだ。これは、エンスーと呼ばれる車好きにとって、これはたまらない魅力に違いない。

ただし、旧車と呼ばれる人気車種は、新車よりも価格が高く、また維持費がかかることも多い。車好きで経済的が余裕のある通人の趣味の領域に入るかもしれない。

最もお得なのは「法律上は中古車、中身は新車」の「未使用車=新古車」を選ぶこと

中古車を狙うなら、未使用車を選ぶのもひとつの手だ。以前は「新古車」という呼ばれ方もされており、40〜50代にはこちらのほうが馴染み深いかもしれない。これは、販売会社が自社名義でナンバーを付けた車のことで、法律上は中古車に区分される。

なぜ、ナンバー登録だけを行うのか。理由はいくつかあるが、たとえば「登録台数が多い=売れている」と見せたかったり、販売店が販売奨励金を目当てに販売増に見えるように登録したり、ノルマを達成したりするために登録するといわれている。

いずれにしろ、法律上は中古車でも、その中身は新車。これはお得といっていいだろう。

正規ディーラーが念入りに整備した「普通の中古車以上、未使用車未満」の認定中古車

「普通の中古車以上、未使用車未満」といった車もある。正規ディーラーの「認定中古車」だ。これは、年式や走行距離、コンディションなどに一定の基準を課して、クリアした中古車をさらに念入りに整備したもの。

たとえば、アウディの場合は(1)アウディ正規輸入車であること、(2)新車登録時からの正規メンテナンスノート(整備記録)があること、(3)初年度登録日から10年以内であること、(4)走行距離10万km以下であること、(5)修復歴車、改造車でないこと──を満たした車に対して、アウディ専門メカニックが、100項目にも及ぶ精密な点検を行っている。

とはいえ、中古車は新車と違い、まったく同じコンディションで売られているということはない。万が一のトラブルの可能性も考えて、有料の延長保証などに入っておくと良いだろう。

新車と中古車、どちらが良いかは、その人のカーライフや考え方による。安い買い物ではないので、後悔しないように熟考することが重要だ。

Text by Tsukasa Sasabayashi

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第130回 | 大人のための最新自動車事情

エモーションEV──バタフライドアの電動スポーツカー

ポルシェ初の量産EVスポーツカーとして話題の『タイカン』は今年生産を開始し、驚異的なスペックを誇るテスラのスーパースポーツカー『ロードスター』も2020年の発売を予定している。EVスポーツカーは、いま旬を迎えつつあるカテゴリだ。そうしたなか、アメリカのフィスカーがCES 2019で初公開した『エモーションEV』が予約受付を開始した。バタフライ4ドアが特徴の高級フルEVスポーツは、いったいどんなクルマなのか。

BMW『Z8』やアストンマーチン『DB9』のデザイナーが手がけた高級スポーツEV

フィスカー『エモーションEV』は、ヘンリック・フィスカー氏の手によるエレガントなデザインの高級EVスポーツカーだ。フィスカー氏はデンマーク出身の著名なカーデザイナー。BMWに在籍していた当時に『Z8』、EVコンセプトモデルの『E1』などを手がけ、アストンマーチンでは『DB9』『DBS』『ヴァンテージ』のデザインを担当した。

その後、独立してメルセデス・ベンツやBMWをベースにしたコンプリートカーやハイブリッドエンジン搭載のオリジナルモデルを製作するが、じつは、テスラで『ロードスター』『モデルS』の2モデルの開発に参加したこともあるようだ。そのせいというわけではないだろうが、『エモーションEV』のデザインはどこかテスラに似た雰囲気もある。

ともあれ、スタイリングは「美しい」のひと言に尽きる。とりわけ特徴的なのは、開くとドア側面が蝶の羽のような形に見える「バタフライ4ドア」だ。同じ上部に向かって開くドアでも、縦方向に開くシザースドアと違い、バタフライドアは外側が斜め前方に、内側が下向きに開く。駐車スペースに苦労する日本ではなかなかお目にかかれないドアだ。

バッテリーはリチウムイオンではなく炭素素材コンデンサ。多くの先端技術を搭載

面白いのは、バッテリーに多くのEVに採用されるリチウムイオンではなく、炭素素材コンデンサのグラフェンスーパーキャパシタを採用したことだ(全個体充電池搭載モデルもラインナップ)。1回の充電あたりの最大走行距離は約640km。急速充電の「UltraCharger」に対応しており、9分間の充電で約205km分の容量までチャージ可能という。

EVパワートレインは最高出力700psを発生し、最高速度は260km/h。このスペックを見ると、テスラ『ロードスター』のようなEVスーパースポーツではなく、あくまでスポーティカーという位置づけなのだろう。全長5085×全幅2015×全高1465mmのボディは軽量のカーボンファイバーとアルミニウムで構成され、駆動方式は四輪駆動だ。

このほか、ADAS(先進運転支援システム)としてクアナジー製LIDARセンサーを5個搭載し、コネクテッドなどのEVスポーツカーらしいさまざまな先端技術を装備する。

『エモーションEV』の価格は1440万円。予約も開始され今年中にデリバリー予定

前述の通り、『エモーションEV』はグラフェンスーパーキャパシタ搭載モデルと全個体充電池搭載モデルの2モデルを設定。価格はグラフェンスーパーキャパシタ搭載モデルが1440万円(税別)、全個体充電池搭載モデルの価格は未定だ。すでに日本でもデロリアン・モーター・カンパニーを正規代理店に予約受付を開始しており、グラフェンスーパーキャパシタは今年中の納車を予定している。ただし、予約金として約24万円が必要だ。

最近では東京都心部などでテスラをよく見かけるようになり、もはやEVは現実的な乗り物になりつつある。たしかに価格は1000万円オーバーと高価。しかし、この美しいルックスなら、他人と違うクルマに乗りたいという欲求を満たすことができるのではないか。

Text by Kenzo Maya
Photo by (C) Fisker, Inc.
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

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