@chablis777
シャブリ

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(仲)君を もう一度試験しようと思っている。
それに受かったら君を アニメーターにする。
(なつ)やります。
やらせて下さい!
ただし 条件は 6月に入った者と同じだ。
条件?
普通は 6か月の養成期間の中で2か月ごとに 能力審査を行ってそれに合格した者から動画を任せることにしてるんだ。
君の場合は特別だから 今 うちにいるそういう養成中の者と比べて君の能力を測ろうということになったんだ。
次の試験は 12月だ。
もう あと1か月ぐらいしかない。
受けさせてもらえるだけでありがたいです。
うれしいです。 ありがとうございます。
やってみるか。
やってみます!
よかったな なつ。
まずは 口を拭け。
♪~
♪「重い扉を押し開けたら暗い道が続いてて」
♪「めげずに歩いたその先に知らなかった世界」
♪「氷を散らす風すら味方にもできるんだなあ」
♪「切り取られることのない丸い大空の色を」
♪「優しいあの子にも教えたい」
♪「ルルル…」
ただいま。(雪次郎)あ お帰り。(亜矢美)お帰り。
雪次郎君! 何してんの?客だべさ。
あらららららら なっちゃん随分あか抜けたもな。
そ言ってくれんのは 雪次郎君だけだ。
(亜矢美)せっかくだからさ なっちゃんもここで 一緒に ごはん食べたら?
いや~ 雪次郎君とのんびりしてる時間はないんだわ。
(亜矢美)あらら…。あらららららら…。
また試験受けんの?今回は特別なんです。
特別に許されたんです。
てことはチャンスをつかんだってわけね?
そう チャンスです!
チャンスか… いいな。
なっちゃんが羨ましい。なしてよ?
俺は 一人息子だ。
跡取りだべ…。
いつか帰るしかないもね。
帰りたくないの?
チャンスか…。
(咲太郎)ただいま。あっ 来た! 待ってました!
ドサ回りの役者か 俺は。
よっ 咲太郎! 名前が ぴったりだ。いい名前ですよね 役者として。
雪次郎に言われたくねえよ。雪次郎 咲太郎よっ ご両人! 旅回りの看板役者。
今の俺は新劇だ。
あっ 雪次郎 いいところに来た。
来年の春公演のポスターが出来たんだ。
えっ!
これだ!「人形の家」!
イプセンの名作ですよね!初演は明治なんですよね!
お前 すごいな。 よく勉強してるな。
ねえ 人形の家って ちっちゃい家なの?
そういう意味じゃないわ なっちゃん。芝居の大きなテーマだ。
母ちゃん 貼っていいか?母ちゃんが貼ってあげようかい…。
俺 絶対見に行きます!
おう。 チケットは任せろ。
30枚は売らせてやるよ。えっ?えっ?
えっ?えっ?えっ… ん?あっ びっくりした30回 見に行くのかと…。
それから なつは試験に向けて寝る間を惜しんで勉強をしました。
♪~
やる気の余波なのか 不思議と彩色の仕事も上達していくようでした。
試験の教材集めにも 余念がありません。
♪~
(麻子)アニメーターになりたかったのね。
あ… はい。
早く言ってよ。 恥かいたじゃない。
えっ?
あなたに…恥ずかしいこと言ったでしょ ここで。
男の人に会いたい気持ちがにじみ出てんのよとか何とか…。
けど 私の白娘にもおんなじこと言ってくれました。
にじみ出てるって。
あん時は うれしかったです。
そんな おしゃれなんかしてるからいけないのよ。
いや マコさんだって十分おしゃれじゃないですか!
あなたのおしゃれと 一緒にしないで。
あ… そうですよね。美大出てるんですもね。
十勝農業高校の私とは違いますもね。
ハハハハ…。
ハッ… 自慢してるみたい。えっ?
あなた 自分が田舎者だってことに自信持ってるでしょ。
どんな自信ですか?それって。ハハハハ…。
うちの試験 受けんだって?
はい。あ それも マコさんのおかげです。
あの絵で?
あなたには無理よ。
何だべ…。
油断大敵…。
(陽平)なっちゃん!あ 陽平さん。
どう? 順調?はい…。
とにかく もう やるしかないしょ!
天陽も やったよ。えっ?
天陽が 帯広の展覧会に絵を出品して賞をもらったって。
ええっ!
(拍手)
(天陽)え~ ありがとうございます。山田天陽です。
え~ 僕は 絵を描きながら 畑を耕しジャガイモを作ったりそばを作ったりしています。
え~ 牛飼いもして 牛乳も売っています。
今日も早く帰って搾乳をしなくちゃなりません。
(笑い声)
え~ 生きるために必要なことをやっています。
絵を描くことも おんなじです。
ただ 畑で作る作物や牛乳はその時々で 値段が違います。
それを受け入れなくちゃなりません。
でも…僕の絵だけは 何も変わらないつもりです。
これからも社会の価値観とは全く関係ないただの絵を描いていきたいと思っています。
え~ 本日は ありがとうございました。
(拍手)
<天陽君 おめでとう。私も とてもうれしいです。やっぱり 受賞したのは馬の絵だと聞きました。天陽君が ベニヤに描いた馬の絵それは 今の私にとっても大きな憧れ 大きな目標になっています>
(タミ)なっちゃんから手紙来てたわ。ん?
そう。
(タミ)読まねえの?うん 後でいい。
(正治)なっちゃん 正月も帰らんのかな。
漫画映画の仕事が忙しいから陽平も帰れんて 今年も また。
俺たちが東京行くか 3人で。
牛を連れてけねえべ。一日でも うちを空けんのは無理だ。
(正治)そりゃそうだわ。
もう 私たちは ここから動けんのよ。分かってる? 天陽。
分かってるって…。(タミ)牛のことじゃなくてなっちゃんのこと。ん?
十勝に戻らない覚悟をしてなっちゃんは行ったんでないの。
あんたの気持ちも分かっていながら捨てたんでしょや。
おい…。
それなのに あんたが一人で待つことないからね。
待ってねえべ…。
(タミ)本当かい?そんな心配すんなや。
だったら お前も早く見つけろ。
えっ?
この土地で 絵を描くにしても一人で生きていく覚悟はできねえべ。
それは つらすぎる。
俺や母さんは お前らがいたからなんとか やってこられたんだ。
お前も 早く お前の家族を作れ。
母さんが言いたいのはそういうことだべ。
天陽 なっちゃんのことはもう忘れてちょうだい。
♪~
<なっちゃん ありがとう。こっちでは もう初雪が降って畑も真っ白くなり絵を描く時間も増えました。人に認めてもらうために描いているわけではないけど人から認められることはやっぱり大きな喜びですね>
<私の描く絵は人から認めてもらわなければ何の価値もありません。だけど それは おいしい牛乳を飲んでもらいたいという気持ちと少しも変わらないような気がします。私は 単純すぎるのかな>
<俺も 単純に 好きな絵を描きたいと思ってるだけだよ なっちゃん。だけど それは世の中で一番難しいことかもしれない。泰樹さんのようにただ 荒れ地を切り開くために俺は ベニヤに向かいたいと思ってる。なっちゃんも 試験頑張って>
(井戸原)はい お疲れさまで~す。
え~ 6か月の養成期間の中でこれが 最後の試験になります。課題は これまでと同じです。今日一日8時間でどこまでの動画が描けるか。
いろんな動きを描いてもらいそのデッサン力や線のきれいさを採点します。
枚数も 15枚以上描かなければ合格できません。
君たちは既に6か月を費やしてるんだからね。
まあ 1人を除いて アッハハハハハ…。
(仲)奥原さんは 今 仕上にいますが今回は 特別に 皆さんと同じ条件で試験を受けることになりました。
あ… よろしくお願いします。よろしくお願いします。
それでは 始めて下さい。
♪~
なつよ 頑張れ。
だけど 丁寧にな。


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