入江慎也 「人気芸人式」一瞬で距離を縮める人間関係の裏ワザ

PHP Biz Online 衆知2019年05月21日17時10分

入江慎也 「人気芸人式」一瞬で距離を縮める人間関係の裏ワザ

「タクシーを拾う」ことも武器になり得る

 最近は職場でも、「仕事さえちゃんとこなしていれば、上司や同僚と必要以上に親しくしなくていい」と考えるドライな人も増えている。そんな風潮を入江氏はどう感じているのか。

「その人に才能があるなら、それでいいと思います。与えられたノルマを120%こなして会社に貢献していれば、どんなに性格が嫌なヤツだったとしても、周囲はぐうの音も出ません。

 だからあなたに才能があるなら、人づきあいを捨てて目の前の仕事だけに集中すればいい。でもそれだけの自信を持てるほどの才能がないなら、人づきあいを大事にして、自分の居場所を作る努力をすべきです。

 そう言えるのは、まさに僕自身が才能のない芸人だったからです。だって僕、売れてませんから(笑)。冠番組を持ったこともないし、ずっとテレビに出続けているわけでもない。

 だからこそ、先輩やスタッフとの人づきあいを大事にして、『僕は自分にできることをやろう』と考えた。そして他の若手芸人たちが寝ている間も、誘われればどこにでも出かけて行ったし、先輩のために合コンをセッティングしてきた。それだけなんです。

 ビジネスパーソンでも、『自分は今、何ができるか』という役割を常に考えられる人は、周囲とうまくやっていけると思います。

 例えば飲み会の場なら、上司のために帰りのタクシーを素早く拾うとか、終電の時刻を正確に覚えておいて皆に伝えるとか、スマホの充電器を持ち歩いて充電が切れそうな人がいたらサッと差し出すとか。

 なんでもいいから、自分ができることをやればいい。すると周囲は『あいつがいるとタクシーがすぐ拾えて助かる』と思って、色々な場に呼んでくれるようになる。

 タクシーを拾うのも、終電を覚えるのも、充電器を持つのも、それが自分の武器になるんです。そして武器が一つあれば、自分の居場所を作れます。

 皆さんの会社でも、仕事の能力は低いのに、偉い人に気に入られて出世する人がいると思うんです。それは、ヨイショとか太鼓持ちをしているからじゃない。その人にしかできないことを見つけて、自分の役割を果たしているからです」

部下指導に悩む上司は日頃からメシをおごれ!

 ビジネスパーソンの中には、「そもそも人との会話が苦手」と悩んでいる人もいるだろう。そんな人には、「とにかくリアクションを大きくしてみて」と入江氏はアドバイスする。

「リアクションは小さいより大きいほうが、相手に与える印象は絶対に良くなります。相手の言うことに『ほお〜』と大げさに相づちを打ってみたり、大笑いしてみたり。そうやって自分の話に反応してくれたら、相手も気持ちいいじゃないですか。

『俺、車買ったんだよ』と言ったときに、『へえ、いいですね』と低いテンションで返す人と、『うっわ、これ僕がすごく乗りたかった車ですよ! いいな〜、乗りたいなあ〜』と大げさに羨うらやましがる人なら、間違いなく後者のほうが相手に可愛がられますよね。

 別に面白いことを言おうとしなくていいから、まずはいつものセリフをリアクション大きめに言ってみるように心がければ、それだけで相手は会話を気持ちよく楽しんでくれますよ」

 管理職世代の中には、部下との関係に悩む人もいるだろう。「どうも部下から距離を置かれている気がする」と思うなら、このアドバイスに従ってみよう。

「距離を置かれているということは、部下に怖がられていると
いうこと。僕はいつも企業の講演会で、管理職の方たちに『怖いと思われていることを自覚してください』と伝えています。

 あなたはオフィスでずっと眉間にしわを寄せて、不機嫌そうにしていませんか? 自分は優しい上司のつもりでも、ちょっとした表情や振る舞いで、部下たちは怖いと感じるもの。だからあなたが上司の立場なら、必要以上にニコニコしてください」

 とはいえ、仕事をしていれば部下を叱らなくてはいけない場面もある。上手に叱るための入江氏からの助言は、「日頃から部下にメシをおごれ」だ。

「全額が大変なら、半額でもいいから自分が一番多く出す。あるいはジュース1本おごるだけでもいい。自分のためにしてくれたことを部下は覚えているので、仕事で叱られても『いつもお世話になっているから、ちゃんと話を聞こう』と思ってくれます。

 反対に、いつも割り勘のケチな上司だったら、『普段は全然自分たちの面倒見てくれないのに、こんなときだけ怒るのか』と部下は反発して当然です。

 別にお金を使うことが重要なのではなく、相手のために時間を使うことが大事なんです。『仕事で失敗して落ち込んでいたときに、ラーメンを食べに連れて行ってくれた』といった経験が、やがて『この上司のために頑張ろう』という思いに変わる。

 僕もよしもとの先輩にそうやって時間を使ってもらったし、そんな兄さんたちを尊敬しています。

 だから上司の皆さんも、部下のことを気にかけて、面倒をみてあげてほしい。そのラーメン1杯、ジュース1本が、いつか必ず自分に返ってくるし、部下との距離を縮めてくれますよ」

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