穏やかなるかなカルネ村   作:ドロップ&キック
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ちょっとタイミング的に怖いですが、超久しぶりに一日二度投稿に挑戦です(^^

今回はサブタイ通りにエンリとゼロの新装備のお披露目回っぽい?




第60話:”実は村外用装備ってのもありまして(エンリ&ゼロの場合)。あるいはライトアーマー”

 

 

 

「ゼロ、レガースとガントレットは神聖が前提で光もしくは炎のエンチャントが施されてる物を選べよ?」

 

「はっ!」

 

包拳礼(左掌で右拳を包んで一礼するアレ)で”修道拳闘士(グラップラー)”の二つ名を持つ筋骨隆々の褐色の巨躯、ゼロはモモンガ(ダークウォリアー)に応えた。

 

それにしても動物を象ったタトゥーがいくつも踊る褐色の肌と、なんとなく背中に”亀”の一文字を入れたくなる鮮やかなオレンジの袖なし道着”見習い拳士の道着”が抜群のコントラストを魅せる。

ちなみに背中に描くは亀一文字ではなく通称”ラナー紋”とか”カルネ紋”とか呼ばれる紋章だが、それが『今は無き()()()()()()()のエンブレム』に酷似してるのはきっと偶然か気のせいなのだろう。

 

それにしてもガゼフと同じ方向性の雄臭い色気を感じる漢である。

 

そしてこれに組み合わせるの、ソードブレイカーとして使えそうな突起が鏤められた尖ったデザインの燻し銀のレガース&ガントレット。

レガースの”修行走(しゅぎょうそう)”は神聖属性、蹴撃に炎属性の追加ダメージ、走力/踏力/跳力などの脚力ブーストが、ガントレットの”聖者の鉄拳”には同じく神聖属性、光属性の追加ダメージ、カウンター成功時のクリティカル率上昇、ノックバック効果がそれぞれ付与されている。

ユグドラシル水準ならそれほどハイレベルな装備ではないかもしれないが、少なくともこの世界なら伝説級の装備だろう。

 

対してエンリは……

 

「なんだか久しぶりに着てみましたが……お館様、似合いますか?」

 

とあざとい上目遣いににじり寄る。

元デザインは細部こそ違うが疑う余地も無くRider(ライダー)な某聖女(マルタ)さんの第3再誕だ。

ただし色は普段着ている”動く修道院(槍メドゥーサの白ver)”とは真逆に、白の部分が黒に反転してるカラーリングで尚且つタイツは未装備だ。

一応、露出を抑え(?)てシックな色合いにした余所行き(おでかけ)用の格好らしいが、この女神官ひょっとしては生足を出さないと死ぬ病気にでもかかってるのだろうか?

 

「ああ、そういう清楚な服もエンリにはよく似合ってる。可愛いぞ」

 

とモモンガは相変わらず無自覚に雌の部分を甘く侵食するセリフをのたまうが、オリジナルを知ってる身としてはあえて言わせて欲しい。

どこをどうとったら清楚なんて単語が骨の隙間から出てくるのかはさておき……とりあえず圧倒的に胸部装甲の厚みが足りないと。

FGOマルタの衣装は上乳が露出し前面にきわどいスリットが入ってるので、自然と目がいくその部分のボリュームが足りないと非常に差異が際立つのだ。

 

本来の世界線におけるエンリ・エモットも、登場女性キャラの中では決してグラマーな方ではない。

だが、この世界線においては……何気に薄い。

いや、その分背丈も低いし顔つきもやや幼いので全体的には『原作エンリを幼くしたような』外観にバランス的な違和感はないし、あまけに比較対象は身近にいるのがイビルアイ(キーノ)に妹のネム、遠い場合もなにやら年齢2桁に達して程なく成長を止めたようなラナー姫やら頑として幼女形態から変化しようとしない某竜王国の女王なので相対的に見た目年長組に入ってしまうが……

ぶっちゃけかろうじて膨らんでのが判る感じだ。

 

精密に計測しないと正確にはわからないが……見た感じだと良くて原作のフォーサイト最年少や聖王国の目力オーバーキルな娘といい勝負(ドッコイ)、下手すればそれを下回るかもしれない。

僅差で身長は勝っているのに、だ。

まあ、肝心のモモンガは鳥頭と愛妻のせんn……影響で『ひんぬーは希少価値だっ! ステータスだっ!』を地で逝く(誤字に非ず)お骨様なので問題は無いのだろうが。

むしろエンリ自身は内心、『ちょっと膨らみすぎかしら? でも、モモンガ様との赤ちゃん欲しいし……あんまりおっぱいが小さいのは母乳の出が心配だもんね』と思ってるとか思ってないとか。

この修道女服(コスチューム)の名は、”聖女の誘惑(チャーム・マルタ)”。ツッコミ所満載である。ただしエンリ自体はツッコまれる方だ。ダレのナニがドコにかはあえて言及しないが。

 

それはともかく彼女が手に握る杖は、これまで大活躍の”蓮の杖”(ロータス・ワンド)ではない。別に衣装に合わせた訳ではないだろうが、先端に十字架型のシンボルが埋め込まれた権杖だ。

無論、マルタが手に持つそれが元ネタになってるのだろうが、ただしその十字架の部分(正確には先と左右)はオリジナルと違い、前方にかけて膨らみ先端が二股になり尖ってる”()()()()()”がモチーフになっている。

まあ殴打武器(メイス)として使用した場合、更に殺傷力高そうだよな~という感想はさておき、間違いなくユグドラシルでこれをデザインした人間は、”聖女の誘惑(チャーム・マルタ)”のデザイナーと同一人物だろう。

いやそれとも、元々セット運用が前提なのか?

このワンドの名はまんま”マルタの鋼杖(マルタ・インパクト)”なのでそれが正解なのかもしれない。

 

デザインも名前も立派だが、実は性能的には”動く修道院”と”蓮の杖”ほどには尖っていない。

”聖女の誘惑”は完全に下位互換性能だし、”マルタの鋼杖”は『第9位階を上限に使える魔法の上限を1位階あげる』とんでもスペックな”蓮の杖”ほどのブースト効果は無い。

とはいえ”マルタの鋼杖”は当然のように神聖属性で劣るとはいえ信仰系魔法のブースト効果があり、また殴打武器として使用した場合は打撃威力/クリティカル率上昇効果が付与され、更には”()()()()”が実装されている。

言うならば総合スペックは”蓮の杖”より明らかに落ちるが、よりメイス寄りの性能に磨きをかけたワンドと言える。

 

 

 

ゼロの装備もそうだが、実はエンリも今回あえて装備のグレードを落としている。

相手がアンデッドだとわかりきっているので、特効装備ならある程度装備のグレードを落としても問題ないという判断もあるが、基本的に強敵であるビーストマンとかとやりあうような本気(ガチ)装備をあまり村の外で使いたがらない傾向がエンリ達にはあるようだ。

無論、ブレインのようにあまり気にしてない者もいるが、特に風花聖典が潜んでることが間違いないエ・ランテルではあまり上級の装備を見せびらかしたくは無いのだろう。

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

「ぶー。お姉ちゃんもゼロお兄ちゃんもずーるーいーっ! ネムもリビングデッド・ハンティングやりたーいっ!!」

 

と予想通りぶーたれてるのは、置いてけぼり確定のシールダーというよりロリ・ボンテと呼びたくなる衣装に身を包んだ幼女、村の広場まで見送りに出たネム・エモットだ。

内容は物騒だが、無邪気に駄々をこねるネムに心が痛むモモンガであるが、

 

「まあまあ、ネム殿。今度また拙者と一緒にカッツェ平原でアンデッド狩りと洒落込むでござるよ」

 

と小粋でいなせなフォローを入れるのは侍気質の巨大ジャンガリアン、ハムスケである。

 

「でもでも~。アンデッドと市街戦なんて滅多にできないもん」

 

「ネム、あんまり我が侭言わないの。お館様が決めたことよ?」

 

モモンガはフォローするようにネムの小さな胸……ではなく頭を撫で、

 

「流石に土産を買ってくる余裕は無いと思うが……ネム、いい子でお留守番してたら何かご褒美をあげよう」

 

「びきにあーまー!!」

 

ここぞとばかり幼女は即答だった。まあ、前から狙ってたしね。

モモンガ、痛恨の失言である。

 

「うっ……」

 

「お館様……だめ?」

 

姉妹揃って上目遣いの上級クラスでもとってるのか? 少なくても対モモンガ特効が発動し、効果は抜群だった。

 

「あーもう。わかったわかった。帰ってきたら何か選んでやろう」

 

(せめて大人しめのデザインを選ぼう……)

 

そこには某バードマン・コレクションの中からまともなデザインが見つかることを心から祈る、正体がお骨な黒の戦士がいたという。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




お読みいただきありがとうございました。

装備の話をしていた筈なのに……何故か大部分がエンリのライトアーマー化された乳の話に(滝汗

そして最後の最後であざとく押し切るネムちゃん(^^
結構、このちんまい呂布っ娘は我が強いです。
姉が姉だから仕方ない?


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