穏やかなるかなカルネ村   作:ドロップ&キック
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サブタイ、迷走しとります(^^
というか今回、難産だった迷いがサブタイに出まくりです。

ただ、微妙にエンリの神官服の話が出てくるので、間違いじゃないかも?




第56話:”迷探偵ダークウォリアー ~女神官服の謎を追えっ!?~ ”

 

 

 

興味や好奇心と言うのは、人間をはじめ多くの知的生命体の行動原理になりうる。

未知とは基本的に恐怖であり脅威である。知らないということはそれが害をなしたとき、手の打ち様がないことを意味するのだから。

もしかしたら未知への探究心とか好奇心は、その根源は未知の恐怖に対する払拭なのかもしれない。知らないことが怖いという気持ちを、知ることが楽しいという気持ちに置き換え、知らない事象を知っているに書き換え知識と経験となし、知らない土地を歩き生存圏を広げてきた。

 

「ズーラーノーンとは、また随分と懐かしい名を聞いたな」

 

まあ、この正体がお骨な暗黒戦士(ダークウォリアー)に、この世にどれほど怖いものが残ってるかは定かではないが。

 

 

 

「「お館様っ!?」」

 

わざわざ《テレポーテーション/転移》を使っての不意打ち気味の登場に、慌てて頭を下げるエンリ&ブレイン。エンリなぞ今にも椅子から床に降り、反射的に跪きそうだ。

勿論、モモン……ダークウォリアーは、そんな畏まり過ぎた態度はちょっと勘弁して欲しい。

お骨様モードならともかく、受肉してる状態だと実際に肩が凝るのだ。

という訳でエンリ、立ち上がり椅子を譲るだけに留まるが、

 

(おもて)を上げよ。別にここは畏まった場ではないだろ?」

 

そう制してから、

 

「はじめましてだな? ”疾風走破”」

 

「だ、ダークウォリアー……?」

 

呼び捨てにエンリのみならずブレインの目つきも鋭くなるが、ダークウォリアーは「よい」と目線で示す。

強化された《ドミネート/支配》が掛かってるため虚ろな目であり、また感情が表情に出にくい状態だが緊張か恐怖かはわからぬが、体が小刻みに震えていた。

 

「いかにも俺がダークウォリアーだ。早速で悪いが、」

 

”ひょい”

 

「きゃんっ!?」

 

とダークウォリアー、立っていたエンリの細い腰を両手で抱きかかえ、そのまま膝に乗せてしまう。

 

「”叡者の額冠”というアイテムのこと、聞かせてもらおうか?」

 

 

 

先に言っておく。

ダークウォリアー=モモンガに悪気は欠片もない。

変に緊張してる空気を弛緩させるために、わざわざこういう演出をしたのだ。

それに、相変わらず露出過多の巫女服……もとい神官服着たエンリは可愛いし。

 

せっかくなので、今まで露出過剰/露出過多の神官服としか書いてこなかったエンリの女神官服、公式アイテム名”動く修道院”のイメージを描いておこう。

一言で言えば名前に反し、FGOのロリ・メドゥーサこと”槍使い(LANCER)メドゥーサ”の衣装の色違いに、鎌槍の換わりに”蓮の杖(ロータスワンド)”を持たせたというのが一番近い。

肝心の色だが黒地に銀が基本のオリジナルに対し、白を基調として金の装飾や刺繍を施したものであり、意匠としては「ティーカップに似た印象」と評される某禁書目録(インなんとかさん)の”歩く教会”に近い。

とはいえ、全体のイメージはあくまで白の長頭巾(ウィンプル)と、As版フェ○トちゃんもびっくりな改造スク水(ボディスーツ)(白)の組み合わせときてる。確かにこの世界にある女性用神官服の中では、トップクラスの露出度の高さを誇るだろう。

 

そして白と黒という色の違い(ネガポジ)はあれど、ボディスーツという共通項があるあたり、エンリとネムはやはり姉妹なのだと妙に納得してしまう。

ついでに言えば、エンリは下着はエロいと書いたが、要するに紐やらストラップでないと、衣装からはみ出てしまうというわけだ。ラインも出るしね。

そのうち、妹同様につけなくなるかもしれないが。

 

「ふにゃ……おやかたしゃまぁ~」

 

(一瞬で蕩けたぁーーーっ!?)

 

ただし、威力はエンリにとってもクレマンティーヌにとってもオーバーキル。

さっきまでの凛々しい女尋問官だか女異端審問官だかは異世界(?)へと吹っ飛び、クレマンティーヌは今にも自力で魔法を解きそうだ。

顔を赤らめ目を潤ませ、抱きつきスリスリし、くんかくんかしてるエンリは当分使い物にならないだろう。

とはいえ魔法の掛かりが無くなるわけではなく、何と言うか……上位存在(ダークウォリアー)に術式ごと乗っ取られた感覚だ。

 

「えーと……”叡者の額冠”というのはデスネ」

 

より淡々とした口調となって説明を始めるクレマンティーヌの背中は、何故か少し煤けてる気がした……

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

「なるほどな」

 

クレマンティーヌの口から語られた”叡者の額冠”の特性、「人間の意識と引き換えに位階ブーストアイテムに作り変える」と「ただし相性が厳しく、適合者は100万人に1人くらいしかいない」という大きな二つの特性から、

 

「なら、目当てはンフィーレアに確定だろう」

 

「ふに? んふぃでしゅか?」

 

と撫でられすぎてすっかり身も心も蕩け緩みきったエンリが、焦点の合ってない瞳で問う。

何か上の口からも下の口からも種類の違う液体を色々垂れ流しているような気もするが、当然のように誰もスルー。

ブレインは「大将もお館様の前だけは、牝仔猫になっちまうんだよな~」と苦笑してるだけだし、モモンガは白い衣装の一部を黄色く染める「エンリは相変わらず可愛いなぁ」と思ってるだけだ。

クレマンティーヌ? 見なかったことにしてるらしい。

 

「ンフィーレアは、『あらゆるアイテムを使える』って固有異能(タレント)があったろ? ”叡者の額冠”の性質から考えて、それ以外にカルネ村に来る理由はないだろ? 今回、特に法国はカルネ村に襲撃指示は出してないようだし」

 

「……そうなんですか?」

 

ただ、クレマンティーヌにはその記憶はなく、

 

「”疾風走破”、ンフィーレア・バレアレという名に聞き覚えは?」

 

だから、その質問にも首を横に振るしかなかった。

無論、まだ《ドミネート/支配》が解けてない以上、嘘の可能性は低いだろう。

 

「ということは、そのエ・ランテルに潜伏してるズーラーノーンに聞いたのだろうな。やれやれ、あいつらはいつも何気に面倒ごとを持ってくる」

 

そう溜息をつくダークウォリアーであるが、

 

「お館様、連中のことを知ってるんで?」

 

ダークウォリアーの言い回しに察したブレインが素朴な疑問を投げかけると、

 

「まあな。知己があって嬉しい手合いじゃないが……」

 

彼は苦笑し、

 

「その昔、俺と妻は誘われたことがあるのさ。ズーラーノーンにな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




お読みいただきありがとうございました。

いや~、1日2回アップしといて何言ってやがるとお思いでしょうが、実際難産だったんですよ~。少なくとも精神的には(^^

一番難産だった理由は、今まで具体的な表記を避けてきたエンリの神官服をどうするかだったんですが(^^
実はイメージが二転三転(実は当初、同じ(LANCER)でも清姫ベースだったんですよ)、結局「姉妹のファッションセンスは(露出的な意味も込みで)似てる」という方向性に相成りました。

モモンガ様の膝の上でふにゃふにゃになるエンリが妙に書いてて楽しかったのは、ここだけの話(笑


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