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【芸能・社会】

ピエール瀧被告初公判 求刑1年6月「ストレス抱え込んだ」 妻の請願書に「二度と薬物に手を出さない」

2019年6月5日 17時52分

ピエール瀧被告

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 コカインを摂取したとして、麻薬取締法違反の罪に問われたミュージシャンで俳優のピエール瀧(本名・瀧正則)被告(52)は5日、東京地裁(小野裕信裁判官)の初公判で起訴内容を認めた。検察側は懲役1年6月を求刑。弁護側は執行猶予付き判決を求めて即日結審した。瀧被告は多忙の中で「(ストレスを)1人で全てを抱え込んだ」と違法薬物に手を染めた理由を証言した。判決は18日。

 瀧被告は黒のスーツに濃紺のネクタイ姿で入廷し、傍聴席に顔見知りを見つけると笑顔で会釈した。裁判官から職業を問われると「ミュージシャンをやっていましたが、事務所を解雇され無職であるといえるかもしれない」と述べた。そして、罪状認否では「(間違い)ありません」ときっぱりと認めた。

 起訴状によると、3月12日に東京都世田谷区のマンションでコカイン若干量を吸引したとしている。被告人質問では違法薬物に手を染めた経緯をしっかりとした口調で語った。近年はNHK大河ドラマ「いだてん」に出演するなどドラマや映画など俳優業で多忙を極めた。

 「ストレスを解消する手段がほかになかったことと、自分の心の甘さ、そしてそういうもの(薬物)を手に入れられる環境にあった」

 裁判官から「ストレスとは」と問われると「心にたまる『澱(おり)』のようなもの」と表現した。早朝に家を出て、深夜に帰宅。家庭内で「家内と子供は学校もあり、学校中心の生活。家族を起こしてまで自分のストレスをぶつけていいものか。できませんでした」ととつとつと話した。

 弁護側は妻の請願書を朗読した。「(夫が)悩みを相談できなかったことに気付きました。すべて1人で抱えてしまわないよう悩みを共有して、注意して監督していきます」。瀧被告は「事務所も解雇され、未来への明るい展望はないに等しい」と述べつつも「(妻と娘の)2人をどうにかしなければという思いが未来に向けての活力となっています」と力を込めた。

 また、「電気グルーヴ」の相方・石野卓球(51)への思いも口にした。「音楽作りは相方が主導権を握っていますが、音楽をつくることはこれからもやっていこうと思います。事件で彼にも迷惑をかけました。まずはこの状況を改善しないといけない。それがまずスタートだと考えています」。そして、最終意見陳述では「二度と薬物に手を出さないと誓います」と言った後に一礼。多忙を極めた俳優による1時間10分間の“法廷ドラマ”となった。

 地裁では朝から報道陣や傍聴券を求める人でごった返した。21席の傍聴券に1266人が並び、倍率は約60倍となった。

 

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