ベトナム人”不法就労”逮捕の社長「入管の摘発に協力 逮捕は不当」と訴え
在留資格のないベトナム人を労働者として派遣した疑いで、兵庫県尼崎市にある人材派遣会社の社長の男が逮捕されました。
社長の弁護士は「大阪入国管理局の摘発に協力していた」として、逮捕は不当だと主張しています。
3日、不法就労助長の疑いで逮捕されたのは、尼崎市の人材派遣会社の社長で中国籍の五十嵐一ことソニンバヤル容疑者(35)ら2人です。
ソニンバヤル容疑者は去年4月から9月までの間に、技能実習先から逃げ出して在留資格がない状態になっていたベトナム人7人を、労働者として派遣した疑いが持たれています。
しかし、弁護士は4日、この逮捕が不当だと主張しました。
【荻野数馬弁護士】
「ベトナム人を雇用していたのはその通りだが、それはあくまで入管からの要請に基づいてあえて雇用していたということなので、これが違法行為といえるのか」
弁護士によると、ソニンバヤル容疑者は去年6月、定住資格を持っているとする10人ほどのベトナム人が一度に採用に応募してきたことを不審に思い、大阪入国管理局(現・大阪出入国在留管理局)に相談。
すると、在留カードが偽造されていることが分かり、入国管理局は「一斉に摘発するために雇用を継続して欲しい」と協力を求めてきたということです。
弁護士は、今年3月に、会社の役員と入国管理局の担当者が電話で交わした会話を録音したという音声データも提示しました。
【入管の担当者とみられる音声】
「摘発に協力して欲しいということで。引きとめたり、できれば、ちょっと協力して欲しいという話をさせてもらいました」
入国管理局と兵庫県警は去年9月、ソニンバヤル容疑者が雇用したベトナム人約30人を一斉に摘発しています。
【荻野数馬弁護士】
「入管に協力をして、このように逮捕され、このようなことをしていて一体誰が、入管の捜査に協力するのでしょうか」
兵庫県警は「入管とは必要な連携を図っている。捜査中で内容は答えられない」とコメントしています。
また、兵庫県警はソニンバヤル容疑者の指示のもとで、在留カードの偽造が行われた疑いがあるとみて、捜査しています。
大阪出入国在留管理局は、捜査協力を求めたことなどについて「現時点では回答できないが、回答の準備をしている」とコメントしています。