もちろんあらゆる手段を講じて準備をするわけですが、万が一のリスクに対しては、補償もするし説明もする。「もしも何かが起きたら責任が取れない」というのを行かない理由にしてはいけない。
また、記者に対しても、行きたいのか行きたくないのかをきちんと聞く。それでも行きたい者には行かせる、というような体制づくりをしていく必要があるのかなと思います。何かあったときの責任問題にしないということと、本人の意思確認をしていく。記者は、志願したものが行くということが大前提としてあると思います。
危険だから取材しないではなく、取材はするが、何かあったときにどうフォローするかを考えることが大切なのであって、会社全体が萎縮してしまうのがとにかく一番大きな問題だと思っています。
先ほど、学生からも意見が出ましたが、会社を辞めてフリーランスになるという道もあります。しかし、それは最終手段であって、やはり会社の中から変えていくことが重要です。
フリーランスでやっていくということは、自由でやりたいことを追求しているので、ある意味では研究者みたいなものですが、それを下支えしていくための、例えば普段の生活や、どうやって取材を継続させていくかなど、多くの課題があります。そこまでできるのは本当にごく一部で、裾野が拡がらない。職業として成り立っていかないのが現実なんですよね。
ですから、会社の中にいながら組織をいい方向に変えて行くことが、日本のジャーナリズムにとっては重要なことだなとつくづく思っています。
メディア全体が萎縮しているのは本当に危険なことだと思います。どうしても情報が横並びになってしまう。出てくる情報が同じになってしまうということです。横並びになると、新たな視点がなかなか出てこない。