さて皆さんにお聞きしたいことがあります。イラク戦争のとき、日本の新聞・テレビ各社は安全面に配慮して現地から社員を撤収しました。ではもしあなたが当事者だったらどうするか、ということを考えてみてほしいと思います。現場にいた場合でもいいですし、これから行ってくれと言われた場合でもいいです。どうしますか?
学生1: 僕はやはり、戦争下で現地の人がどういう生活をしているのかということを世界に発信したいので残ると思います。
山本: では会社から、死んだら困るから行くな、と業務命令があったらどうしますか?
学生1: 業務命令であった場合、自分が今後どういう風に生活していくかという収入面の問題もあると思うので、そこは時と場合によると思いますが、会社の命令に従います。
学生2: もし私が記者だとしたら、現場で何が起こっているのかということをこの目で確かめたいので、戦場であっても取材にいきたいと思います。
山本: 国民の知る権利や報道の使命ということは皆さんもよくわかっていると思うのですが、こういったことを全うするためには周辺の国や攻撃国側の取材ももちろん重要です。多角的な取材をすべきでしょう。その上で、現場の取材というのは必要不可欠です。
学生3: 僕もおそらくは取材をすることになるだろうと思います。しかし業務命令で帰れと言われたときに、誰かが報道をするとか、きちんと日本のジャーナリズムの歴史の中にこの戦争があったということを残すのは、他の人との兼ね合いがあると思います。だれかはいなきゃいけない。だけれどもそれが自分である必要があるのかどうかってことを考えるのが大事かなと思うんです。