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【野球】

奥川「完全復活」11K完投 星稜高、北信越大会4連覇

2019年6月5日 紙面から

1失点完投で春4連覇に導いた星稜の奥川恭伸投手=富山市民球場で(麻生和男撮影)

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 高校野球の春季北信越大会は4日、富山市民球場で決勝が行われ、星稜(石川)が敦賀気比(福井)に3-1で逆転勝ちし、4年連続12度目の優勝を決めた。星稜は今秋ドラフト1位候補の奥川恭伸投手(3年)が7安打1失点、11奪三振で完投。最後は5連続三振で締めくくった。

 普段は冷静な最速152キロ右腕が、右手でグラブをポンとたたいた。9回2死。最後の打者を、5者連続となる空振り三振で仕留めると、奥川に思わずうれしさがあふれ出た。「粘り強く投げられた。9イニングを投げ切れて良かった」。チームを春は4年連続、春秋通じて3季連続の北信越王者に導いた。

 大会前から伝えられていたという決勝の先発。4回2死二塁で抜けたフォークを、プロが注目する敦賀気比の4番・木下に左中間へ運ばれ、1点を先制された。その後も毎回のように安打で走者を背負ったが、要所ではギアを入れ替えた。

 特に、0-1の6回2死三塁で再び木下を迎えた場面では、今度は全球直球で3球三振。直後の7回の攻撃は先頭で左前打を放ち、逆転劇の口火を切った。

優勝の瞬間、小さくガッツポーズする奥川

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 「3球三振で終わり、流れが来ると思った。絶対に出塁しようと思っていた」。8回も三たびピンチで迎えた木下には、この日最速の150キロの直球で攻め、最後はスライダーで空振り三振に仕留めた。「(4回に)打たれたのが悔しくて、倍にして返してやろうと思った」。かつての人気ドラマ「半沢直樹」ばりの「倍返し」で雪辱した。

 4月中旬に右肩の張りを訴え、1カ月以上も実戦から離れた。その間はブルペン投球も極力控え「とにかく我慢でした」と振り返る。センバツ以来、約2カ月ぶりの公式戦復帰となった1日の1回戦・砺波工(富山)戦で6イニング2安打無失点と好投。この日は中2日で完投した。不安だったスタミナも問題がないことを証明。「完全復活できた」と言い切った。

 センバツの2回戦・習志野(千葉)戦で相手のサイン盗み疑惑を指摘した一連の騒動で、林和成監督(43)が学校から今大会終了まで指導禁止処分を受けた。選手間でもミーティングを重ね、奥川も「監督が戻るまで踏ん張ってやりたい」と話していた。難局を乗り越えチームは成長し、結果も出した。勝負の夏も、隙はなさそうだ。 (麻生和男)

▽決勝

星  稜(石川) 000000300―3

敦賀気比(福井) 000100000―1

(星)奥川-山瀬

(敦)笠島、松村-御簗

(星稜は4年連続12度目の優勝)

 

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