08年6月27日のフジテレビ株主総会に向けてのアピール
フジテレビは持株会社計画を白紙撤回せよ!
日枝久会長(トップ在任20年!)は業績悪化・株価低迷の責任を取れ!
フジテレビは、10月1日に認定放送持株会社「フジ・メディア・ホールディングス」に移行し、地上波放送事業を分割して新設する「フジテレビジョン」、ニッポン放送などを傘下に置く計画で、本日の株主総会での承認を求めています。しかし、この計画はひとえにトップ在任20年(!)にも及ぶ日枝久会長の超長期独裁体制の強化を狙いとしたものであり、多くの株主、視聴者たちが反対しています。3月の計画発表後、株価は低迷し、市場もこの計画を全く評価していないことが明白となっています。フジテレビの3月期決算は大幅な減収減益で、なかでも本業の儲けを示す営業利益の減益幅は民放キー5社の中で最大の42.4%減という惨状を呈しています。日枝久会長は、収益改善・株価向上につながらない持株会社計画を白紙撤回したうえで引責辞任し、異常な超長期独裁政権による暴走経営に終止符を打つことが、何よりも求められています。
総務省への要請を無視して、持株会社計画を強行!
私たち株主は4月、総務省の増田寛也総務大臣あての文書を提出し、フジテレビに対して①「認定放送持株会社移行計画」を断念し、株主総会への計画上程をやめる②ライブドア株による345億円もの巨額損失や、「発掘!あるある大事典Ⅱ」の番組捏造事件などに関する経営責任を明らかにし、日枝久会長が引責辞任して企業風土を全面的に改善する③報道被害・スキャンダル・不祥事を根絶する施策を講じ、報道被害者に謝罪する⑤社員株主、ガードマンらの暴力に支えられた「八百長総会」をやめ、適法・適正な株主総会運営を行う⑥労組潰しを狙った反リストラ産経労・松沢弘委員長の不当解雇を撤回し、14年余にもおよぶ長期争議を話合いで解決する―などについての指導を要請しました。その場に出席した総務省・大臣官房、情報通信政策局の役職者らは、真摯な対応を約束しました。ところが、フジテレビはこれを無視し、今総会で計画の承認を求めて、持株会社移行を強行しようとしています。
暴力支配、「八百長・やらせ」の違法・無法総会を許さないぞ!
フジテレビは、株式上場以来、社員株主、ガードマンらの暴力で株主の入場を阻止したり、会場で株主に暴行するなど、日枝久議長の下で違法・無効な総会運営を繰り返してきました。ニッポン放送の支配権を巡るライブドアとの抗争で2600億円も費やした件で注目された05年総会については、『月刊現代』(06年4月号)が「悪質なヤラセ」であったと暴露しました。にもかかわらず、日枝議長は、06年総会でも「偽計総会」に終始、ライブドア株の345億円の巨額損失などについて説明義務を果たしませんでした。07年総会では「ヤラセ・八百長」に加えて、修正案を取り上げず、日枝議長が勝手に質疑打切りを宣告するなど、全くの違法・無法状態となりました。総会終了を待っていたかのように、その翌日、「東京国税局に、2億円の所得隠し、7億1000万円の申告漏れを指摘され、重加算税を含めて約2億3000万円が追徴された。経費の私的流用が発覚した前報道局長を懲戒解雇した」と発表。総会での答弁が虚偽であり、株主を欺くものであったことが明らかになりました。こうした違法・無効の暴力・偽計総会の再演を許すことはできません。
日枝会長は業績悪化、電波法・放送法違反の不祥事・虚偽放送の責任を取れ!
フジテレビは、また、「発掘!あるある大事典Ⅱ」のウソ放送など電波法、放送法に違反する不祥事を毎年のようにひき起こしてきました。07年7月放送の霊視番組「27時間テレビ『ハッピー筋斗雲』」では、「放送倫理・番組向上機構」(BPO)から「裏付けに欠ける情報の作為」があって、「著しく配慮に欠ける」と、厳しく指弾されています。さらに、07年8月27日に東京地方裁判所で、女児の心臓手術後の死亡事件に関する同社の報道が、東京女子医大病院の医師の名誉を毀損したとの判決が出されました。
こうしたフジテレビの企業活動の反社会性は、NHKや他の民放各社と比べて際立っており、企業業績も悪化の一途を辿っています。3月期決算では、前期に比べ、売上高1.2%減、営業利益42.4%減、経常利益41.2%減、当期利益36.5%減と、すべての項目でマイナスとなっており、この一点をとっても、現経営陣の失態は明らかです。「公的な企業にあるまじき暴走経営」とまで指弾される責任は、88年の社長就任以来、実に20年間の超長期にわたって経営トップの座にある独裁者・日枝会長が一身に負わなければなりません。にもかかわらず、日枝会長は、独裁体制の総仕上げを狙って、今回の持株会社計画を強行しようとしています。私たち株主は絶対に、これを認めません。
株主の皆さん、「日枝独裁体制にNO!」を突きつけましょう!
私たちは、フジサンケイグループに働く記者らで結成した労働組合の組合員と一般株主で、報道被害者も加わっています。日枝会長らによる暴力的な総会運営を許さず、法に則った株主本位の総会にするよう求めています。強権的な議事運営や、株主無視の議案に疑問を持ち、反対しようと考えている株主の皆さんは、私たちと手を携えて行動しましょう。ご意見等のある株主の方々はメールやFAX等で下記までご連絡ください。株主代表訴訟などのあらゆる手段を駆使して、日枝会長らに対抗してゆきましょう!
反リストラ産経労(労働組合・反リストラ・マスコミ労働者会議・産経委員会)=
ホームページ「フジテレビ・産経新聞の真相」=http://www006.upp.so-net.ne.jp/fujisankei/
反リストラ産経労は、東京地裁、中央労働委員会で労組法上の適格性が認定されている労組です。
08年6月27日のフジテレビ株主総会に対する質問状を一挙公開!
株主の皆さんは、この質問状を参考にして、トップの座に20年間も居座る日枝久会長(総会議長)が、質問状や、会場からの質問にまともに答えず、説明義務に違反した事実を確認し、しかるべき対抗措置をとりましょう。
株式会社フジテレビジョン
代表取締役会長 日枝 久殿
2008年6月25日
株主 松沢 弘
株主 山口俊明
株式会社フジテレビジョン第67回定時株主総会に対する
質 問 状
6月27日に開催される当社の第67回提示株主総会に対して、以下の諸点について通知し、株主総会での説明並びに回答を求める。法に即して、誠実かつ詳細に説明、回答されるよう強く要請する。
1 第66回総会に関する重大な疑義、抗議、及び要求
第66回総会では、例年とおり、100名以上の社員株主が、前列を占拠するとともに、フジテレビOB株主も数多く動員され、社員株主と連携して、一般株主を恫喝し続けた。会場の両サイドには、100名近くの背広姿に変装したガードマンを配し、一般株主の行動を力づくで抑え込む体制を強化していた。しかも、経営側では清原武彦・産経新聞社会長、出馬迪男・関西テレビ会長ら多くの社外取締役が欠席し、総会無視、株主軽視の経営姿勢をとり続けた。議長の日枝久会長は、社員株主やOB株主の怒声と拍手をテコに、「一括審議・一括採決」方式をとるなど、いつもどおりの非民主的、独断的な総会運営に終始し、「八百長・やらせ」の違法・無効総会を演じ、株主から厳しい批判を浴びた。日枝議長は自分に向けられた質問にも答えず、重要課題のほとんどを、この総会で相談役に退く村上光一社長に回答させた。
この総会には、フジサンケイグループの労組委員長、書記長の質問状のほか、他の株主も質問状と修正動議を文書で提出していた。しかし、フジテレビ側は、これらの質問状を勝手に自分たちに都合よくまとめてしまい、太田英昭常務らに一括して、おざなりな「回答」をさせただけで、会社法に規定された説明義務に真っ向から違反した。とくに修正動議については、昨年同様、文書での提出は違法・無効だとして、内容の説明さえ拒んで、無視した。嘉納修治常務は、「脱税、粉飾決算、使途不明金はない」と居直ったが、これは、総会終了直後の翌29日にフジテレビが「2億円の所得隠し、報道局長の交際費の私的流用による懲戒解雇処分」の公表に追い込まれたことで、会社法違反の虚偽説明であることが暴露された。
質疑では、例年通り社員株主、OB株主、関係会社OB株主らの「八百長・やらせ質問」が横行した。そうした中でも、一般株主たちから、「株主総会の集中日開催を避けて休日に開け」、「株価低迷の責任は?」、「『発掘!あるある大事典Ⅱ』の捏造・ウソ放送を制作したフジテレビ関連会社・日本テレワークなどに対する管理責任」、「8年前の都知事選挙に立候補した際、フジテレビの公開討論会に顔を出したらつまみ出されたが、事実関係をはっきりさせるため話合え」、「あるある大事典問題の責任はフジテレビの日枝久会長にある。責任をとって辞任せよ」、「あるある事件で地に落ちた信用をどうするのか」、「フジテレビによる報道被害の実態と対処方針を説明せよ」、「フジサンケイグループの労組の争議を責任をもって解決すべきだ。株主としてもこうした事件が残っているのは問題だ」、「フジサンケイグループの労働争議では、会社側代理人の弁護士が日枝会長が陣頭指揮していると明言している。フジテレビは道義的立場に立って解決すべきだ。それによって、番組偽造などの不祥事を断ち切る根幹ともなる。経営をチェックする機能をもつ労組を弾圧しているのでは経営はよくならない。ミートホープ社の食肉偽造と、フジテレビの不祥事の根っこは同じだ」、「日枝会長が答えるべきことを他の役員に振り当てるな」などの厳しい質問が相次いだ。
これに対して、日枝議長は自ら答えず、その多くを村上社長に振り当てたが、村上社長も「捏造事件で、非常に迷惑、心配をかけたことを心からお詫びする」というばかりで、経営責任の所在を明らかにしなかった。多くの株主から質問が出た反リストラ産経労の労働争議については、「フジテレビは産経新聞社の株主だ。争議は、今、中央労働委員会に行っているが、株主としては慎んでいる」と太田常務が答弁しただけで、経営側の頑(かたく)なな和解拒否の姿勢を隠蔽する態度をとり続けた。
こうした日枝議長の無法な議事運営を批判して、一般株主から「議長解任動議」が提出されたが、日枝議長は「議長不信任案が出たが、私はこの動議に反対だ」と叫んで、社員株主らの拍手と怒声で、動議を自ら「否決」したと称して、議長席に居座り続けた。議事運営の常識を無視した。これまでと最も異なった点は、質疑の一方的な打ち切りの方法だった。05年総会までは、動員・指名された社員株主が質疑打切り動議を出していたが、講談社発行の総合雑誌『月刊 現代』06年4月号で、その実態が暴露されてしまった。そこで、06年総会ではOB株主を使って打切り動議を出させていたが、その事実も露見してしまった。そのため今回は、まだ多くの株主が挙手しているにもかかわらず、日枝議長が自ら「審議は尽くされた」と勝手に宣言して質疑を打切り、あとは、いつものように一瀉千里の勢いで、採決に移り、わずか数分で「採決された」と自ら叫んで閉会を宣言した。新取締役の紹介もそこそこに、会場から脱兎のごとく逃出してしまった。会場の一般株主からは「修正動議」が提起され、議案修正案の提出・説明の機会を与えるよう繰り返し要求していたが、日枝議長は、完全にこれを黙殺した。
総会で追及される事態から逃れるため、フジテレビは総会翌日の29日、「東京国税局から、06年3月期までの3年間で約2億円の所得隠しを指摘され、税務調査をきっかけに経費の私的流用も発覚した」として、「鈴木哲夫・前報道局長を同日付で懲戒解雇した」と発表した。それによると、申告漏れ総額は約7億1000万円にのぼり、重加算税を含め約2億3000万円が追徴された。フジテレビは、05年のライブドアとの抗争でニッポン放送株を買い取って完全子会社化した際、株価の算定料やアドバイザー料などの一部を経費として計上していた。しかし、同国税局はこれらの株購入に付随する費用はすべて資産計上すべきだとして申告漏れを指摘した。
以上の事実から、第66回定時株主総会は、違法、無効なものであったことが明白であり、厳重に抗議する。同総会決議は、全て無効である。同総会のやり直しを強く要求する。
2 第66回総会に関するマスメディアの批判報道
マスメディアでも、当社の「懲りない、やらせ総会」への批判報道が相次いだ。『東京新聞』の6月29日朝刊は「不祥事に揺れたTV局総会」との見出しを掲げた記事で「フジは捏造問題に質問相次ぐ」との見出しで、フジテレビ株主総会の内実を報じた。月刊誌『サイゾー』8月号は、「減益でも役員賞与は上昇、フジテレビ株主総会の軽薄度」と題する記事で「フジテレビは暴力総会をやめろ!」のプラカードを掲げた株主の姿を大きく掲載。フジテレビのナンセンス経営を厳しく批判した。
3 第67回株主総会の運営について
①今回の総会は、情報に携わるマスコミ企業として、率先して情報公開を行
うため、総会を株主以外の視聴者等にも公開し、さらには他のマスコミ各社の取材にも総会を公開して対応すべきだ。
②株主の発言中はマイクを切るような物理的な妨害は行わないこと。
③総会では、十分な時間を確保し、挙手者の発言を全て保証、それに対して誠実に回答すること。回答に対する当該質問者の再質問、関連質問を認めること。
④議案の括提案方式をとることなく、個別議案ごとに審理すること。
⑤質問、意見、提案などについての発言時間を十分に保証するとともに、討論打ち切りなどの強行採決は、絶対に行わないこと。
⑥採決に当たっては、各議案ごとに採決することとし、拍手によらず、株数による採決法を採用し、その株数の実数を明示すること。
⑦これまでの総会で、当社は多数の社員株主やOB株主らを動員して、総会の前列を占拠させ、一般株主の発言を妨害し、さらには威嚇のうえ、株主に暴行を加えるなどの不法行為を働いたが、今回はこうした不法行為のないよう、証券民主主義の精神に基づいた総会の運営・進行に留意すること。企業社会の歪みを批判するマスコミ企業として、他の企業の模範となるような「開かれた総会」の実現につとめること。総会に出席する社員株主の総数と、全員の氏名、所属、役職を明かにし、当日の休暇申請、勤務状況の詳細等を一覧表にして明示されたい。
⑧質疑、意見の表示は、報告事項のみならず、各号議案について個別に十分な審議時間を保障し、採決も民主的に実施すること。
⑨これまでの総会に続いて、今回も株主総会の集中日の6月27日に、あえて総会を開催した理由について明らかにされたい。次回は、集中日をはずして開催し、株主が出席しやすい土曜の午後や日曜日、祝日などに開催するよう強く要求する。
⑩警備会社のガードマンを背広に変装させて「フジテレビスタッフ」として会場にもぐりこませ、株主に暴力を振るうことのないよう、ガードマンを1名たりとも入場させないこと。警備会社との契約内容、契約人員を明らかにし、その氏名を公表するよう求める。
⑪質問状への回答は、回答者が勝手に項目をまとめて、説明義務違反を犯すことのないようにすること。質問状の全ての項目について、ひとつづつ丁寧に回答すること。
⑫事前に文書で提出された修正動議、会場から口頭で提起された修正動議については、法に則してこれを全て審議し、株主の実数で採決すること。
4 認定持株会社移行等について
第2号議案、3号議案で、当社は、10月1日に認定放送持株会社「フジ・メディア・ホールディングス」に移行し、地上波放送事業を分割して新設する「フジテレビジョン」、ニッポン放送などを傘下に置く計画で、本日の株主総会での承認を求めている。しかし、この計画はひとえにトップ在任20年(!)にも及ぶ日枝久会長の超長期独裁体制の強化を狙いとしたものであり、多くの株主、視聴者たちが反対しています。3月の計画発表後、株価は低迷し、市場もこの計画を全く評価していないことが明白となっている。当社の3月期決算は大幅な減収減益で、なかでも本業の儲けを示す営業利益の減益幅は民放キー5社の中で最大の42・4%減という惨状を呈している。日枝久会長(議長)は、収益改善・株価向上につながらない持株会社計画を白紙撤回したうえで引責辞任し、異常な超長期独裁政権による暴走経営に終止符を打つことが、何よりも求められている。
私たち株主は4月、総務省の増田寛也総務大臣あての文書を提出し、フジテレビに対して①「認定放送持株会社移行計画」を断念し、株主総会への計画上程をやめる②ライブドア株による345億円もの巨額損失や、「発掘!あるある大事典Ⅱ」の番組捏造事件などに関する経営責任を明らかにし、日枝久会長が引責辞任して企業風土を全面的に改善する③報道被害・スキャンダル・不祥事を根絶する施策を講じ、報道被害者に謝罪する⑤社員株主、ガードマンらの暴力に支えられた「八百長総会」をやめ、適法・適正な株主総会運営を行う⑥労組潰しを狙った反リストラ産経労・松沢弘委員長の不当解雇を撤回し、14年余にもおよぶ長期争議を話合いで解決する―などについての指導を要請した。その場に出席した総務省・大臣官房、情報通信政策局の役職者らは、真摯な対応を約束した。ところが、当社はこれを無視し、今総会で計画の承認を求めて、持株会社移行を強行しようとしている。
しかも、新設分割される「フジテレビジョン」の経営陣は、全て、現・フジテレビジョン(「フジ・メディア・ホールディングス」に移行を計画)と同一の者らであり、名目として掲げられている、「メディア・コングロマリット(企業複合体)」を目指して①経営の意思決定の迅速化②事業執行の機動性強化③グループ・ガバナンスの適正化―を実現することは到底不可能である。「第二の創業期」どころか、企業価値を大きく毀損することは必至だ。
実際は、日枝久会長(70歳。88年代表取締役社長就任以来、20年間、トップの座にある。92年に、鹿内宏明会長を追放してから一貫して、フジサンケイグループの最高支配者として君臨)による独裁体制の永久化・強化が狙いだ。
当社の3月期連結決算は、対前期比で大幅な減収・減益となっている。売上高5754億円、1・2%減。営業利益243億円、42・4%減。経常利益270億円、41・2%減。当期利益157億円、36・5%減と、全ての項目で前期比マイナスという惨状だ。営業減益の率は、民放きー局5社の中で、当社が最大となっている。TBSは大株主・楽天の反対で、持ち株会社移行計画の6月株主総会上程を見送っている。業績悪化の責任も不問にしたままでの、当社の突出ぶりは、今回の計画が、日枝会長の独裁体制強化のみにあることを明示している。
この計画は、企業価値を毀損するばかりでなく、株主、従業員、視聴者にとっても百害あって一利なしの愚行である。直ちに撤回するよう強く求める。
また、当社が40%の株式を保有する産経新聞社については、持株会社の傘下に収めるつもりなのかどうか、明確に回答されたい。
5 扶桑社の教科書問題について
当社の完全子会社・扶桑社の歴史教科書問題について、月刊誌『自由』(自
由社)の08年2月号で、日枝会長にからむ重大な疑惑が指摘されている。藤岡信勝・拓殖大学教授は、同誌掲載の座談会「『自由』五十年の歩み 言論の自由を守った闘い」の中で、以下のように明らかにしている。
屋山氏が安倍総理に電話して、「扶桑社が教科書をやめるということになった。これは大変困る。何とかしてくれないか」と頼んだ。安倍総理から、「誰に言えばいいのか、誰がポイントなのか」と聞かれたので、「それはフジサンケイグループ会長の日枝さんだ」と答えた。それで、安倍総理が、日枝さんに働きかけた。屋山氏が安倍総理に電話して一夜明けた翌日には返事が来て、日枝さんが三億円出すことになった。扶桑社の子会社として育鵬社というのをつくって、すぐに社名が決まったがどうかは分かりませんが、それで出すという話が決まった。そういうことを私は屋山さんから直接聞きました。安倍さんは、「つくる会」の教科書を念頭において、扶桑社がもう採算が合わないからという口実で出さないというふうに理解していたはずです。安倍さんは、自民党若手の教科書議連の中心メンバーでしたし、安倍内閣時代に「つくる会」の教科書がなくなるという事態を危惧して動かれたのだと思います。(同誌44、45頁)。
以上の記述は事実か?事実だとすると、安倍晋三首相から、どうような働きかけがあったのか?それに対して日枝会長は、どう答えたのか?育鵬社(2007年8月1日設立。扶桑社全額出資。資本金=3億円)の資本金3億円と、「日枝会長が出すことになった」とされている3億円は符合するが、安倍首相の要請で、そうしたのか?事実でないとすると、当社または日枝会長は、自由社に抗議して、訂正、謝罪等を要求したか?これらの件について、当事者とされた日枝久会長自身の答弁を求める。
そもそも、当社の子会社・扶桑社が「新しい歴史教科書」「新しい公民教
科書」を刊行し、その採用を画策したことで、中国、韓国から激しい反発
を招き、国際問題にまで発展してきたことは事実である。扶桑社は、文部科学省の指導にも従わず、事前に教科書を提示するなどの無法な販売作戦を展開していた。公共の電波を借りて、政府の許可を得て営業しているテレビ局の事業として、こうした扶桑社の行為がふさわしかったのかどうか、見解を示されたい。
しかも、扶桑社は07年2月「次回の教科書は、これまで以上に広範な各層からの支持を得られるものにしなくてはならない」(朝日新聞6月1日付)として、これまでの教科書の内容を自己批判し「新しい歴史教科書をつくる会」と断絶する状態となった。これまでの同社の教科書のどこが問題であったのかあきらかにされたい。また、こうした問題の教科書を出版してきた経営責任についてもあきらかにされたい。
さらに、扶桑社全額出資の育鵬社で、教科書事業を継続することが、当社にとっていかなる経営上のメリットをもたらすのかについても、日枝会長の見解を求める。
6 業績悪化の経営責任について
前日の如く、当社の3月期連結決算は、対前期比で大幅な減収・減益となっている。売上高5754億円、1・2%減。営業利益243億円、42・4%減。経常利益270億円、41・2%減。当期利益157億円、36・5%減と、全ての項目で前期比マイナスという惨状だ。営業減益の率は、民放きー局5社の中で、当社が最大となっている。この経営責任をどう取るのか、明らかにされたい。とくに、通信販売のディノスは、極端な経営不振に陥っていり、24億円もの営業赤字をとなっているが、この経営責任を誰がとるのか、明らかにされたい。ディノスの再建策についても明示されたい。
7 当社の実質子会社・関西テレビの「あるある大事典Ⅱ」の捏造・ウソ放送に関する経営責任について
2007年、当社が筆頭株主として支配下に置く、実質子会社・関西テレビ制作の番組「発掘!あるある大事典Ⅱ」で8件の捏造・データ改竄を含め16件もの問題放送を行ったという、電波法、放送法に違反する大不祥事が発覚した。事件の最大の責任が実質親会社の当社にあることを明示しており、日枝久会長の責任は免れない。関西テレビを実質的に支配し、捏造番組を平然と放映しつづけてきた当社の経営責任も極めて重大だ。
最高責任者の日枝久会長は、村上光一前社長のクビを差出すことで「トカゲのシッポ切り」を図り、トップのポストに居座り続けている。こうした居直りは、当社の信用、企業価値を著しく毀損するばかりでなく、民間放送界全体の存立基盤を危うくするものだといえる。日枝久会長の取締役退任を強く要求する。また、ようやく今年になってから関西テレビ会長を辞任した、出馬迪男氏の当社取締役の再任に強く反対する。同氏は、当然、自ら、辞任すべきであると考えるが、同氏および、日枝会長の回答を求める。
8 ライブドア株で生じた345億円の損失等について
ライブドアとの間で繰り広げたニッポン放送株主総会争奪戦は、当社が当初予定を890億円も上回る2600億円もの巨費を投じることによってライブドアと和解したが、その過程で、新株予約権発行が裁判所から3度にわたって差し止められるなど、当社のイメージはもとより、企業価値も資産も大きく毀損される結末となった。日枝会長は、自分たちの支配権を守るだけの目的で、あたかも自分たちの財布でもあるかのように、当社の資産を無駄遣いし、株主に大損害を与える結果となった。経営者として公私混同もここに極まったというほかなく、その責任は極めて重大だ。しかも、当社が440億円を投じて出資したライブドア株式は、堀江氏の逮捕、起訴により価格が暴落し、最終的にUSENの宇野康秀社長に売却した結果、345億円もの売却損を計上する結果となった。
上記事案について、日枝会長は株主に謝罪したうえ、経営責任をとって取締役を辞任すべきである。この辞任要求について日枝会長の見解を示されたい。また、上記345億円の損失は、日枝会長、村上前社長ら、当時の全役員の経営失敗によって生じたものであり、この全額について、07年度中に全役員が連帯して当社に弁済するよう強く要求する。この要求について、日枝会長の見解及び、全監査役の見解を示されたい。
当社は、ライブドアに対して損害賠償請求訴訟を起こしたが、345億円が弁済される可能性は極めて少ないとされている。訴訟の経過、相手方の反論の趣旨、今後の見通しについて、詳細に説明されたい。
ニッポン放送の完全子会社化による当社のメリットについても詳細に明らかにされたい。
9 当社、日枝久会長と大和証券SMBCとの関係について
朝日新聞社発行の月刊誌「論座」の06年3月号は、「堀江貴文という鏡が
映すフジテレビの危うさ」と題する記事で、当社によるニッポン放送株TOB
に関して代理人となった大和証券SMBCについて、鹿内宏明氏保有の同社株を信託受益権として入手していたことから「インサイダーにあたる」と指摘した。
さらに「当初、鹿内株購入の交渉にあたっていたのは日枝自身だった。昨
春、日枝は鹿内から持ち株のほぼ全ての8%を手放すという言質を得た」、「フ
ジテレビと大和証券SMBCの行為は、正しい情報を開示せず、投資家保護
を目的とする証取法から明らかに逸脱」と記している。
上記記事の内容は、真実なのか。真実であるとすれば、当社及び日枝会長と、大和証券SMBCの関係は極めて不明朗なものであったことになり、日枝会長は、この一件を以ってしても、引責辞任すべきである。
また、もし、上記記事が真実でないのなら、当社は、朝日新聞社に対して如何なる対応をおこなったのか。同社に抗議した事実はあるのか。その日時、内容を開示されたい。抗議していないのなら、上記記事の内容は真実と見なされてもやむをえなくなるが、何故、抗議していないのか、その理由を説明されたい。
10 村上ファンドと日枝久会長、及び当社の関係について
いわゆる「村上ファンド」の村上世彰代表が、ニッポン放送株を巡る、当社とライブドアとの株式争奪戦にからんで、インサイダー取引で逮捕、起訴された。ところが、各メディアの報道によれば、ニッポン放送株に関して、村上代表と、日枝久会長、及び当社幹部が密接な関係にあったことをうかがわせる記事が頻出している。「村上前代表は(中略)フジテレビがTOB実施を発表した際、日枝久会長に電話をかけて謝意を伝えた」(06年6月7日付け朝日新聞)。「フジテレビは村上代表の意向通り、05年1月17日、ニッポン放送の子会社化に向け同放送株のTOBを実施すると発表」(6月6日付け朝日新聞)。「村上容疑者は(中略)同月(04年11月)10日ごろ、フジテレビ幹部から『ニッポン放送のTOBを近く実施した場合、応じるつもりはあるか』と打診を受けました。同容疑者はこれに協力を約束し、直後から同放送株の取得を加速させました。(中略)。ニッポン放送関係者によるとフジテレビは約1年前の03年12月ごろにも、同放送株のTOBを計画。大株主だった村上容疑者は、この時もフジ側の打診に対し、応じる姿勢を見せたといいます。しかし、このTOB計画は結局、ニッポン放送側の反対で実現しませんでした」(6月11日付け、赤旗)。
上記の各記事からも、当社幹部、日枝会長と、村上前代表との間柄は、極めて親密であった事実が看取される。日枝会長、及び、当社幹部と村上前代表とは、如何なる関係にあったのか、村上前代表もしくは村上ファンドとの間に何らかの契約関係があったのかどうか、その全容を明らかにされたい。
また、ライブドアの堀江社長ら同社経営陣、村上前代表の逮捕・起訴に関連して、当社幹部、日枝会長らが、東京地検特捜部等、司直の事情聴取を受けた事実があるのかどうか明らかにされたい。受けたとすれば、その日時、場所も開示されたい。
11 格闘技番組「PRIDE」の放映中止について
当社は06年6月初旬、格闘技番組「PRIDE」の放映中止を発表したが、その真相は闇に包まれたままとなっている。「週刊現代」が、今年3月25日号から7月1日号まで10回にわたって繰広げているキャンペーン記事では、暴力団と「PRIDE」主催会社とのつながりが指摘され、フジテレビ側の幹部社員も司直の事情聴取を受けたと報じられている。しかも、この幹部社員は6月9日付け「日刊ゲンダイ」によれば、清原武彦産経新聞社会長の極めて近い親族であることが示唆されている。産経新聞社には「広告費」などの名目でフジテレビから年間20億円を上回る資金がタレ流されており、しかも清原会長はフジテレビの取締役でもある。日枝会長は、当社と闇社会との深い繋がりを推認させる、この事件について株主に真相を明らかにする責任がある。担当の当社部長・清原邦夫氏が、司直の事情聴取をうけた事実はあるか。受けたとすれば、その日時、場所を開示されたい。清原邦夫氏の入社の経緯、清原武彦・当社取締役(産経新聞社会長)と、同氏の続柄を明らかにされたい。第67回総会の招集通知に、清原取締役は「当社使用人の三親等内の親族」との記載があるが、これは清原邦夫氏のことを指すのか、明らかにされたい。清原邦夫氏の現在の処遇について明示されたい。「PRIDE」放映中止に関わる、当社役員の責任を明らかにされたい。「PRIDE」と暴力団との関係について知りえている全ての情報を開示されたい。もし、暴力団との関係が事実であるとするなら、そうした番組を放映してきた日枝会長らの経営責任は免れない。この一件をもってしても、日枝会長は引責辞任すべきである。会長の取締役退任を求める。
12 「豪邸疑惑、右翼への詫状、納税者名簿」など日枝会長のスキャンダル報道について
ライブドアとの抗争の渦中で、マスコミ各社の報道によって、日枝久会長らに関する様々なスキャンダルが表面化した。『週刊朝日』05年4月8日号によれば、97年5月、フジテレビ(日枝久社長、当時)は、大株主・赤尾一夫取締役にまつわる疑惑で、右翼団体に街宣行動をかけられ、それを収束させるために、総務局長名の「詫び状」を手渡した。その現場には、日枝社長が出てくることになっていたが、代わりに尾上規喜・現常勤監査役(当時、常務)が同席したとされている。
また、『週刊現代』05年4月9日号によれば、日枝会長は、96年度(95年分)まで高額納税者名簿(所得税1000万円以上が対象)に掲載され、同年度の推定所得額は約1億1300万円とみられていましたが、97年度からは、この名簿から消えてしまった。日枝会長は、96年5月に、「とんでもない豪邸」(同誌)を新築しており、かねてから、週刊誌や月刊誌などで、「お台場の本社建設にからむリベートだったのではないか」との疑惑が指摘されていた。同誌はさらに「96年にはニッポン放送が上場をはたし、翌年にはフジテレビも上場した。偶然というのか、不思議な符号だ」と、疑惑の連鎖を示唆している。
以上の報道が事実だとすれば、こんな人物が、88年の社長就任、01年の会長昇格と、実に20年間にわたって、トップの座に在って、全ての権力を握ってきたのは由々しき事態といわざるをえない。日枝会長が、今総会で再任されれば、さらに永久政権となって、株主の利益を踏みにじり続けるのは必至だ。上記の報道について、日枝会長自身が、その事実関係などについて釈明することを強く求める。事実でないとすれば、上記報道機関にどう対応したのかについての見解を明らかにされたい。
13 フジサンケイグループの労働争議に関する日枝会長の責任を問う
当社の実質的な子会社(持分法適用の関連会社)である産経新聞社と、その経済紙部門の日本工業新聞社(現紙名=フジサンケイビジネス。産経新聞社の完全子会社)で経済記者として働き、産経労組内の良心的反対派として抵抗を続けてきた松沢委員長は、産経グループのリストラ攻撃と闘うため、企業の壁を越えて94年1月10日、マスコミ界初の合同労組・反リストラ産経労を結成。スト権、団交権もない超御用の産経労組に代わる「真っ当な労働運動」を展開しようとした。ところが産経は、新組合の存在さえ認めようとせず、同年2月1日、論説委員だった同委員長を、専任支局長がおらず、支局員も1人しかいない日工千葉支局に不当配転して組合活動を妨害。配転を拒否させて懲戒解雇しようと企んだ。処分攻撃を避けるために赴任した同委員長は、神奈川県・金沢文庫の自宅から千葉まで往復5時間もの超長時間通勤を強制された。
反リストラ産経労は、同年2月4日、不当配転の撤回と団交の開催を要求して都労委に不当労働行為の救済を申し立てた。産経側は、20回以上に及んだ団交要求を全て拒否したあげく、都労委が「解雇は絶対に避ける」として急遽提示した和解案をも無視し、何の理由も示さずに94年9月22日、松沢委員長の懲戒解雇を強行した。都労委で審査している最中の懲戒解雇という、ほとんど前例のない暴挙だった。94年12月には、新井直之・東京女子大教授、桂敬一・東大教授、佐藤毅・一橋大教授ら著名なジャーナリズム学者14氏を発起人とし、本多勝一、佐高信、家永三郎氏らジャーナリストや知識人37氏を賛同者とする共同声明が発表され「産経残酷物語の再現を許してはならない」と訴えた。
東京地裁では、96年5月に解雇無効の本訴が提起され、02年3月25日に結審した。結審前に和解が勧告されたが、ここでも産経側はかたくなに和解を拒否、そのあげく、03年5月31日に「松沢委員長の懲戒解雇は解雇権の濫用にあたるので無効」との、産経側の完全敗訴という結末を迎えた。
産経側は、不当にも、この判決に服せず、東京高裁に控訴。高裁第8民事部の村上敬一裁判長は、準備書面も読まず、証人調べもせずに、わずか3回の公判で、地裁判決を覆し、最高裁も、書面を読むことさえせずに、それを盲目的に追認したが、この不当判決・決定は、世間の広範な怒りを呼び起こし、反動化する高裁の象徴的な事件として、厳しく糾弾されている。
都労委は、裁判の動向に引きずられて、06年12月に不当命令を出し、中央労働委員会も08年5月に、都労委命令をなぞったような不当命令を出した。この中労委の場で、産経側代理人は、「この事件は、フジテレビの日枝久会長が、陣頭指揮している。日枝会長から妥協せずに闘えといわれている」と明言し、この事件の経営側の張本人が当社の日枝会長であることを明示した。反リストラ産経労は、中労委を相手取った行政訴訟を提起することにしている。
松沢株主、山口株主は、反リストラ産経労とともに、多くの争議団が加わる「東京総行動」、「けんり総行動」などで、産経新聞はもとより、その親会社で、産経新聞の実質赤字経営を支えている当社に対しても要請行動を展開している。しかし、当社は、94年以降、56回にもわたって、話合いをすべて拒否し、大勢のガードマンを並べ立てて、ともに要請に訪れた株主、労組員、視聴者、市民を脅しつける有様だった。
また、当社に対しては、松沢委員長らが株主総会に株主として出席し、争議の早期解決を図るなどの要請を行うとともに、報道被害者と連携してその経営責任を追及してきた。当社は、暴力的な違法総会の実情を報道した、反リストラ産経労のホームページの全面削除を強要するなど、報道機関にとって自殺行為にも等しい言論弾圧を画策するという醜態を演じている。
フジサンケイグループの盟主である当社は、グループ内の労働争議に対しても、経営責任を有していることは明白であり、早期解決をはかるべきだと考えるが、これについての当社の見解を明かにされたい。また、上記の産経側代理人の発言の内容が真実であるとすれば、この事件に関する全責任は当社の日枝会長にあることを意味する。この事件に対する日枝会長の見解を明らかにされたい。
14 報道被害事件について
油座紀一氏(フジテレビ株主)の報道被害事件について、以下の諸点につ
いて日枝久会長からの直接の回答を求める。
①1998年11月29日夜放映された当社情報番組「スーパーナイ
ト」で取り上げられた隣人紛争事件で、福島県いわき市に住む石材業・油座紀一氏が一方的に悪者扱いされ、ために油座氏の会社は倒産状態に追い込まれ、家庭は崩壊した。地方都市でこうした番組が放映されると、当事者にどんな報道被害をもたらすか、当社は十分認識した上で放送したと思われるが、油座氏の一生をめちゃめちゃにしても、なおかつ放送する意味のある番組であったと考えるのか。
② 上記番組が紛争の一方の当事者の話を中心に取り上げ、著しく公正、公平さに欠ける番組であったことは、BRC(放送と人権等権利に関する委員会)決定でも「情報を提供した紛争当事者の一方に、取材、放送の軸足が置かれ過ぎたため、…公正、公平さを欠いたと判断する」と断罪されていることからでも明らかだ。直ちに油座氏に謝罪し、損害賠償すべきだと考えるが、どうか。
③ この報道被害事件は訴訟となり、訴訟の過程で、現地入りした当社取材陣が当初紛争の一方の当事者宅に寝泊まりし、取材最終日になってアリバイ工作的に油座氏を取材したことが明らかになっている。当社ではアリバイ工作的な取材でも、公正、公平な取材と主張するのか。
④ 番組では隣人が以前に撮ったビデオを適当に編集し、スタッフが現地取材中に油座氏が隣人宅を何度も訪問したかのようにしている。これは明らかに事実の捏造であり、放送倫理に反するものだ。プロデューサーをはじめ番組制作責任者の処分は無論のこと、最高責任者である日枝久会長は責任を取って取締役を辞任すべきだと考える。日枝久会長は責任者を処分し、会長自身も取締役を辞任する考えはあるか。ない場合はその理由を開示されたい。
⑤ 国民の財産である公共の電波を使って業務を行っている以上、当社をはじめ民放各社が取り上げる放送テーマは公共性、公益性のあるものに限られ、一私人同士の紛争はよほど特異な社会性がない限り、放送すべきではない。また仮に私人間の紛争でも公共性、公益性があり、番組で取り上げると決めた場合には、公正、公平に取材、放送することは勿論のこと、放送が当事者に与える影響や人権に細心の注意を払い、かりそめにも興味本位に走るようなことはあってはならないはずだ。然るにこの番組は視聴率を上げるためか、興味本位に番組が作られたことは歴然としており、BRC決定でも「人権への配慮が不十分で、放送倫理上問題があった」とされた。しかも「本件報道には公共性、公益性が認められず、権利侵害に当たる」との少数意見も付記されている。このBRC決定に対して当社ではどう反省し、報道姿勢、取材体制の在り方を見直したのか。
⑥ 油座氏は、当社を相手取って、慰謝料を請求する訴訟を提起したが、先ごろ、最高裁で不当判決が出された。当社は、訴訟の過程で、地裁、高裁での裁判官による和解を不当にも拒否してきた。慰謝料に関する司法の場での判断はともかくとして、報道被害が生じたこと事実であり、こうした報道被害を繰り返さないためにも、当社が、総会の場で正式に謝罪し、油座氏との話し合いに応ずるよう求める。
15 反リストラ産経労のHP(ホームページ)に対する言論弾圧事件について
以下の諸点について日枝久会長及び村上光一社長の回答を求める。
① フジサンケイグループの労働者を中心に組織されたマスコミ合同労
組である労働組合・反リストラ・マスコミ労働者会議・産経委員会(反リストラ産経労)は、2000年12月11日にインターネット上のホームページ(HP)に、松沢委員長と山口俊明書記長らが株主として出席した00年6月29日の当社株主総会の実情を伝える記事と、99年6月29日の同社株主総会での写真を掲載した。この記事と写真は、マスコミ企業の総会の驚くべき実態を初めて明らかにしたものとして反響を呼び、HPへのアクセスも急増した。
② これに慌てたのか、当社は00年12月21日付で、代理人弁護士6人の名を連ねた内容証明便を松沢委員長の自宅宛に送りつけ、反リストラ産経労のHPの全面削除(事実上の閉鎖)と「正式な謝罪」を強要してきた。さらには、プロバイダのウェブオンラインネットワークス(株)に対しても、同様の内容証明便を送りつけてHPの削除を強要するとともに、01年1月15日には、同社代理人あてのファックスで、HP掲載の写真の削除を強要した。その理屈は・株主総会の記事が同社の名誉を毀損・写真が肖像権を侵害ーというもので、当社の要求に従わなければ法的措置を検討するとの脅しまでかけてきた。
③ 反リストラ産経労は01年1月23日付で、当社の日枝久社長(当時)宛に回答書を送付し、HPは①憲法28条の団結権、同21条の言論表現の自由に基づくもので、労組法、商法にも則っている②総会に出席した組合員が現認した事実のみを報道した③写真は、社員株主の暴力行為を記録して証拠保全を図るとともに、正当防衛権行使もかねて撮影したものだーなどと反論。逆に当社が放映しているニュースでは被写体の同意を得ているのかとも問いただした。当社の行為は、憲法上の権利を侵害するばかりでなく、商法で保障された株主の権利をも侵す不法行為だとして、抗議した。その上で「話し合いで双方の了解点に達することができればと願っております。つきましては、当社のご都合のよい日時、場所、出席者名等を、早急に、当組合までお知らせ下さいますようお願いもうしあげます」として話し合いでの解決を申し入れた。
④ しかし、当社は、この回答書を無視して何の返事も寄越さなかったため、反リストラ産経労と松沢、山口両株主は、何度も当社本社を訪ね、日枝久社長(現会長)ら責任者との会談を求めた。当社はこの要請を拒否し、今日に至るまでまったく話し合いに応じようとはしていない。反リストラ産経労と両株主は、この事件以前の分も合わせてこれまで38回にわたって当社との話し合いを要請してきたが、当社は、すべて拒否してきた。当社は国民の共有財産である公共の電波を借り受け、政府の許可を得て営業している企業で、株式上場によりその社会的責任は一段と増しているはずだ。言論・報道機関として、何よりも憲法と法律を遵守する義務を負っているのであり、言論弾圧を画策したり、話し合いを一切拒否することは絶対に許されるものではない。話し合いを拒否している理由を示されたい。
付言すれば、反リストラ産経労はプロバイダ側と話し合い、「当社の削除要求には正当な理由がない」との当方の主張に理解を求めた。現時点でHPは健在であり、アクセス数も労組系のHPとしては異例の多さとなっている。
当社はまた、この言論弾圧事件を01年3月号で報じた月刊誌「噂の真相」にたいしても、6人の弁護士の連名で文書を送りつけて表現の自由の侵害につながりかねない行為を働いたとされている。こうした行為は当社の評価を落とすばかりでなく、ひいては業績の悪化にもつながる愚行と言わざるを得ないが、当社の見解を示されたい。
⑤ 当社が問題とする写真を撮影したカメラは、総会議長の日枝久社長(当時)が、総会終了後にもかかわらず「カメラを取りあげろ!」と社員株主、フジテレビスタッフらに命令し、その時点でカメラを保持していた山口株主の手から暴力的に強奪されたという事実がある。山口、松沢両株主の厳重な抗議でカメラは戻されたが、両株主らは、当社の総会で両株主に暴力を振るった犯人、カメラを強奪した犯人を、捜索してきた。当社は、「一部株主の肖像権を侵害」と主張しているが、上記の事情で撮影された写真は、何ら肖像権の侵害には該当しないのは言うまでもない。肖像権なる概念は、法律上も明確とされていないものだが、当然、当社は、「一部株主」を代理して主張しているものと思われる。それら株主は、松沢、山口両株主にたいして暴力行為を働いた犯人に該当する可能性が極めて高いと推認されるので、「一部株主」の氏名、所属等を開示されたい。それら株主が当社の代理人との間で代理人契約を締結しているのであれば、その文書も開示されたい。当方が検討している、それら社員株主の刑事告訴に協力をするよう要請する。
また、日常的に放映されている当社のニュース映像などでは、被写体となった人々すべてに、撮影と映像公開の了承を得ているのか。表現・報道の自由との関係から、当社の見解を教示下されたい。当社は、また、例年の株主総会で、株主の了承を得ずに、4、5台のテレビカメラで場内をくまなく撮影しているが、これらの映像はどのように使用しているのか。当社は、さらに、反リストラ産経労らの情報宣伝活動に対して、該当者の了解を得ずに、その参加者らを克明にビデオで撮影しているが、これらの映像も、どう使われているのか教示されたい。
⑥ 当社は、常日頃、報道・言論機関として上場企業に対して「開かれた株主総会」を求めている。まして、当社は、国民の共有財産である公共の電波を借り受け、政府の許可を受けて営業しているマスコミ企業であり、他の上場企業にもまして、経営内容の透明性、総会の公開が求められている。「ホームページそのものの削除」を求める、今回の当社の要求は、情報公開を経営の根幹に据えるマスコミ企業としては、重大な自己矛盾、自己否定にもつながりかねない「自殺行為」となるが、当社の見解を示されたい。
⑦ 上記の事件に関して、当社が契約した代理人6人に支払った弁護士費用は総額いかほどか、その額を明らかにされたい。こうした憲法違反の言論弾圧事件に要した費用は、当社としては定款外の事業に対する不当な支出にあたるのは明白であることから、日枝久会長以下取締役全員による弁済を求める。
上記の事件について、当社のHP削除要求の撤回と、当社会長及び社長名義での正式な謝罪を求める。その際、反リストラ産経労、松沢、山口両株主あての文書にその旨を明記し、日枝久会長及び村上光一社長が署名捺印すること。また、かかる言論弾圧事件を引き起こした責任者の処罰を要求する。さらに憲法21条及び同28条を遵守する考えがあるのかどうか、当社の見解を表明されたい。
16 業績について
①貸借対照表の全項目について、前期と対比したうえでの増減率を示し、そ
の理由を詳細に説明されたい。前期比で、子会社に対する金銭債権、債務の増減率を示し、その理由と、内容について詳細に説明されたい。
②損益計算書の全項目について、前期と対比したうえでの増減率を示し、そ
の理由を詳細に説明されたい。投資有価証券評価損については、その銘柄、企業名と、対応する金額を明示されたい。関係会社との取引で営業費用、営業収益、営業以外の取引高の各項目について、対前期比増減率を示し、その内容、理由を説明されたい。
③役員賞与金の個人別の内訳を明らかにされたい。また、監査役賞与金の個人別内訳についても説明されたい。
④連結子会社、持分法適用会社の全ての企業名と、業績(売上高、営業利益、経常利益、当期利益等)、当社の出資比率、役員派遣の状況、当社との取引関係を、詳細に説明されたい。
17 清原武彦・産経新聞社代表取締役会長の取締役就任について
清原武彦氏は、「広告出稿等の取引関係」がある持分法適用関連会社・産経新聞社の代表者となっている。産経新聞社に対しては、年間20億円を上回る巨額の広告料が支払われているばかりでなく、全面的な支配・従属関係にある。こうした実質子会社の代表者は当社の取締役に相応しくない。しかも、同氏の三親等内の親族であるとされる当社部長・清原邦夫氏は、暴力団がらみと指摘された格闘技番組「PRIDE」の放映中止という事態を招いた。清原武彦氏は取締役再任を辞退すべきだと考えるが、清原氏自身と、日枝会長の見解を明かにされたい。
18 産経新聞社、日本工業新聞社への資金援助・取引等について
①当社は産経新聞社の筆頭株主であり、日枝久社長名義の株式を含めると、
その支配力は極めて大きなものとなっている。まず、産経新聞社にたいする現時点での出資比率の実態を明らかにされたい。そのうえ、日枝久社長が取締役に就任しているなど、産経新聞社は当社の実質的な子会社となっている。当社がこれまで、長期間にわたって、産経新聞社に対して毎年巨額の資金援助を行ってきたのは、周知の事実である。
②当社は、これまで、産経新聞社に対して、年間50億円―100億円の資金援助を行っているとされていた。株式上場で経理の透明性が要求されることから、97年度に、その一部を打ち切ったとみられていたが、当社は99年度でも20億円を越える巨額の資金を、媒体価値の乏しい産経新聞に広告料の名目でタレ流していることが判明した。当社は新聞広告以外にも、産経新聞社主催のイベントへの協力などで不明朗な資金援助を行っているのは確実とされている。産経への資金供与は当社の株主の利益を損なっていると言うほかないが、これに関する当社の見解を明らかにされたい。
③これまでに実施してきた産経新聞社に対する資金援助及び取引の方法、内容、性格、目的、理由等を明らかにし、年度ごとの援助額、その累計額を明らかにされたい。07年度の産経新聞社との取引の実績、08年度の予定を明らかにされたい。同時に、産経新聞社に対する07年度の取引及び援助の実績、08度の取引及び援助の予定について明かにされたい。
④上記の産経新聞社に対する援助が、当社の経営にとって如何なる利益または損失をもたらしたのか、援助の各項目に沿ってその得失を明らかにされたい。
⑤産経新聞社のカラー印刷輪転機の導入に当たっては、600億円もの巨費が当社から支出されたとされているが、その理由をあきらかにしたうえで、現時点で輪転機の所有関係はどうなっているのかを明示されたい。
⑥産経新聞社への資金援助は、当社の経営にとっていささかのプラスにもならなかったが故に、97年度末をもって援助の一部打ち切りが行われたと推認される。こうした援助を長年にわたって続けてきたことで、当社の経営は重大な損害を被ったはずだが、その責任をどう追及するのか、当社の方針を明らかにされたい。産経新聞社への援助は税法上、重大な疑義が生じており、長年にわたる援助は背任に当たるとの意見もあるが、それについての見解を示されたい。
⑦産経新聞社及び、その系列会社との関係を、今後どうしてゆくのかについて、当社の方針を明らかにされたい。とくに、認定持株会社と、産経新聞社の関係について、その展望を示されたい。
⑧当社は、産経新聞社代表取締役会長・清原武彦氏を、取締役に選任しようとしている。巨額の広告料を支払っている相手企業の代表権を有する人物を自社の取締役に選任する以上、産経新聞社との取引関係の内実について、販売・購入の両面で詳細に説明するのは当然の義務である。当社と産経新聞社との取引関係が援助であれば、税法上の問題が生ずる。もし、援助でないとするなら、産経新聞社は当社にとって重要な関係会社であることは事実なのであるから、取引の総額及び、何の対価としての支払いであったのかなどを開示されたい。また、産経新聞社を含めた、日本工業新聞社など産経新聞グループとの取引の内容についても開示されたい。
⑨日本工業新聞社は、産経新聞社が株式を出資企業から買い戻すかたちで、産経新聞社の完全子会社となり、紙名も「フジサンケイビジネス・アイ」に変更した。この株式買戻し、紙面刷新等に要した資金は、当社が、事実上、援助したとの見方もでている。上記の件に関して、当社がどう関与したのかについて、詳細に説明されたい。なお、「フジサンケイビジネス・アイ」は、著しい販売不振に陥っているとされるが、産経新聞社の実質親会社として、この失敗の責任をどう追及するのか、当社の見解をあきらかにされたい。
19 その他
① 07年度決算で減収、営業減益、経常減益、当期減益となったが、これらは何期ぶりのことか。テレビ朝日は増収、TBSは当期増益となっているが、当社は何故、、減収、減益となったのか、両社と対比させて説明されたいこうした経営不振について、どう経営責任をとるのか明らかにされたい。
② 消費者金融の広告出稿額を、この5年間にさかのぼって詳細に明示されたい。
③ 通信販売事業の営業赤字の経営責任をどうとるのかについて明らかにされたい。
④ 扶桑社の2期連続の営業赤字の額を明らかにされたい。歴史教科書と赤字の関係についての明らかにされたい。この経営責任をどうとるのかについて明らかにされたい。
⑤ 「あるある大事典Ⅱ」の捏造で社会問題化した、番組制作費の配分について、下請け、孫請けなど各段階ごとの実態を明らかにされたい。
⑥ 取締役、監査役の報酬等の額について、各人別の内訳を明らかにされたい。
⑦ 松岡功取締役は、13回の取締役会に僅か4回しか出席していない。これでは取締役としての責務を果たしていないが、欠席の理由について明らかにされたい。松岡氏は、また、関西テレビの取締役として番組捏造の責任があった。同氏の責任について明らかにされたい。再任に反対する。
⑧ 茂木友三郎監査役は9回の監査役会に僅か2回しか出席していない。これでは監査役としての責務を果たしていないが、欠席の理由について明らかにされたい。再任に反対する。
⑨ 石黒大山取締役は、同氏が代表取締役会長を務める東海テレビが総務省から警告を受けている。再任に反対する。
⑩ 当社は社員のスキャンダルが多発しており、日枝会長独裁体制の下、社内の腐敗も加速度的に進行し、従業員のスキャンダルが相次いで、NHKと並ぶ「伏魔殿」と揶揄される有様だ。最近でも、有名番組の演出家の醜聞(週刊文春07年5月24日号)、器物損壊の現行犯での副部長の逮捕などが相次いで報道されている。こうした末期症状を根本的に改善するには、「諸悪の根源」とされる独裁者・日枝会長の引責辞任が不可欠だとされているが、こうしたスキャンダルについての経営責任を明らかにされたい。
⑪ 当社の子会社・スカイパーフクト・コミュニケ-ションズが訴えられている巨大アンテナ群の設置差止め訴訟の現状、見通し、対応策、経営責任について明らかにされたい。
⑫ 当社は、「発掘!あるある大事典Ⅱ」のウソ放送ばかりでなく、電波法、放送法に違反する不祥事を毎年のようにひき起こしてきた。07年7月放送の霊視番組「27時間テレビ『ハッピー筋斗雲』」では、「放送倫理・番組向上機構」(BPO)から「裏付けに欠ける情報の作為」があって、「著しく配慮に欠ける」と、厳しく指弾されている。さらに、07年8月27日に東京地方裁判所で、女児の心臓手術後の死亡事件に関する同社の報道が、東京女子医大病院の医師の名誉を毀損したとの判決が出された。こうした当社の企業活動の反社会性は、NHKや他の民放各社と比べて際立っている。これらの事件に関する経営責任について明らかにされたい。
⑬ 第6号議案の役員退職慰労金制度の廃止に伴う打ち切り支給については、制度廃止の趣旨と背反する。何故、今総会終結時までの退職慰労金を支給するのかについて、合理的な説明を求める。支給する場合、その総額、個人別支給予定額を明らかにされたい。
以上