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第44回 | メルセデス・ベンツの最新車デザイン・性能情報をお届け

最も贅沢なトラック──メルセデス・ベンツXクラス

ピックアップトラックはアメリカで生まれた自動車のカテゴリだ。当然、「ピックアップトラック=アメ車」のイメージが強い。しかし、近年は新興国や途上国でニーズが高まり、欧州でもピックアップトラックの販売台数が伸びつつある。日本でも、トヨタのロングセラーモデル『ハイラックス』がタイからの逆輸入により、この秋から13年ぶりに国内販売されることになった。こうしたなかで、2017年7月にブランド初となるピックアップトラックの市販モデルを発表し、11月から販売を開始するのがメルセデス・ベンツである。モデル名は『Xクラス』。最も贅沢で高級なピックアップトラックの登場だ。

日本のクルマ作りとメルセデス・ベンツのデザインが融合したピックアップトラック

『Xクラス』は、日本の技術力を駆使した強靭なボディと機能性、そこにメルセデス・ベンツのデザインを融合させたピックアップトラックだ。

じつは、『Xクラス』は純粋なメルセデス・ベンツ製のクルマではない。メルセデス・ベンツを擁するダイムラーとルノー日産アライアンスの協力関係を生かして開発され、日産『フロンティア』の後継モデル、新型『NP300ナバラ』とプラットフォームなどの基本構造を共有する。

つまり、すでに評価が確立されている日本製のピックアップトラックをベースに、メルセデス・ベンツがデザイン面で徹底的にカスタマイズを施したのが『Xクラス』ということになるだろう。

そのため、『Xクラス』は日産『NP300ナバラ』やルノー『アラスカン』とともに、アルゼンチン・コルドバにあるルノー工場とスペイン・バルセロナの日産工場で生産され、設計とデザインのみをメルセデス・ベンツが担当する。

メルセデス・ベンツらしさと機能性を併せ持つ『Xクラス』のエクステリアデザイン

ボディサイズは全長5340mm×全幅1920mm×全高1819mmで、ホイールベース3150mm、荷室の長さは1587mm。フォードのFトラックやダッジのラムトラックといったフルサイズのアメ車よりもやや小さいので、最大積載量1トンクラスのミドルサイズピックアップトラックという位置付けとなる。

エクステリアには、ツインルーバーのラジエーターグリルの中央にスリーポインテッドスターを配置したフロントマスクをはじめ、メルセデス・ベンツのSUVモデルのスタイリングが随所に採り入れられている。簡単にいえば、メルセデス・ベンツのデザインを纏った『NP300ナバラ』という印象だ。高く細いテールランプが印象的なリアパネルの中央にも、もうひとつのスリーポインテッドスターのエンブレムがあしらわれている。

とはいえ、このエクステリアはメルセデス・ベンツらしさを表現しただけのものではなく、ピックアップトラックならではの機能性も併せ持つ。リアのバンパーは荷室にアクセスする際のステップの役割を担い、その上のテールゲートは90度に開く。リアバンパーを取り外すオプションを選べば、リアゲートを180度まで開くことが可能だ。

荷台には、運転席後部の高い位置に設置されたハイマウントストップランプの下に荷台全体を照らすライトを装備。さらに、このライトが装着された大きなバーにもLEDの作業ライトなどを取り付けることができる。おそらくオプションとなるだろうが、荷室の目隠しとなるトノカバーも装備されるようだ。

ボディカラーは9色が用意され、グレードによってフロントとリアのバンパーの塗装デザインが異なる。

最上級グレード『X350d』は最高出力258psのV6ターボディーゼルエンジンを搭載

パワートレインはグレードによって異なり、4種類のエンジンと2種類のトランスミッションが用意された。

『X220d』と『X250d』は2.3Lの4気筒ディーゼルエンジンを搭載し、前者はシングルターボで163ps、後者はツインターボで190psを発揮。ドバイやモロッコといった一部の市場では、165psの4気筒ガソリンエンジンを積む『X200』も販売される。トランスミッションは6速MTか7速AT、駆動方式はFR(後輪駆動)と4WDから選ぶことができる。

さらに、2018年中期には、最高出力258ps、最大トルク550Nmを発生するV6ターボディーゼルを搭載した最上級グレードの『X350d』が導入される予定だ。

駆動方式はメルセデス・ベンツのフルタイム4WD「4MATIC(4マチック)」で、リアのデフロックシステムもオプションで選べる。トランスミッションは、これもメルセデス・ベンツ製となる7速ATの「7G-TRONIC PLUS」を標準装備。また、『X350d』はピックアップトラックにはめずらしく、「Comfort(コンフォート)」「ECO(エコ)」「Sport(スポーツ)」「Manual(マニュアル)」「Off-road(オフロード)」の5つからなるドライブモードも搭載する。

『Xクラス』の内装はどこを取ってもメルセデス・ベンツ、快適性や安全性能も充実

インテリアは、どこを取っても「これぞメルセデス・ベンツ」といった上質なデザインに仕立てられている。

スイッチ類は、『NP300ナバラ』のものからすべてメルセデス・ベンツ製のパーツに一新された。ステアリングホイール、インストゥルメントパネル、インフォテインメントスクリーンなどは、メルセデス・ベンツのSUVモデルや『Vクラス』と共通と思われ、『NP300ナバラ』よりも格段にラグジュアリーになった。

もうひとつメルセデス・ベンツらしいのは、ほかのモデルと同様に、先進機能や安全性能も充実しているところだろう。8.4インチディスプレイはCOMAND Onlineマルチメディアシステムと連動し、最新のインフォテイメントシステムにも対応。安全面では、アクティブブレーキアシスト、レーンキーピングアシスト、トラフィックサインアシスト、牽引時のスタビリティアシストなどを備える。

『Xクラス』のドイツでのベース価格は3万7294ユーロ(約480万円)。ただし、残念ながら、この素晴らしいピックアップトラックが販売されるのは、欧州、南アフリカ、オーストラリア、そしてブラジルやアルゼンチンといった地域のみ。いまのところ、日本やピックアップトラックが人気を集めるアメリカでも販売される予定はないという。

もっとも、日本でも1980年代終わりから1990年代前半にかけての四駆ブームの際、リフトアップしたピックアップトラックが若者の間で流行ったことがあった。人気と需要いかんでは『Xクラス』の日本導入もあるかもしれない。

Text by Kenzo Maya

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第75回 | メルセデス・ベンツの最新車デザイン・性能情報をお届け

メルセデス・ベンツGLCクーペ──流麗なSUVが進化した

プレミアムミッドサイズSUVの代表格であるメルセデス・ベンツ『GLC』。その改良新型が披露されたのは、3月のジュネーブモーターショーでのことである。それから、わずか数週間後。今度は『GLCクーペ』が発表された。極めて美しい外観をもつ、クーペのようなフォルムのスタイリッシュSUVだ。さて、どのような進化を遂げたのだろうか。

スタイリッシュなフォルムのミッドクラスSUVが内外装とエンジンをアップデート

『GLCクーペ』はメルセデス・ベンツにとって7番目のSUVモデルだ。ブランド初のSUVクーペとなったのは、発売直後から世界中で高い人気を集め、日本でも昨年8月にデリバリーが始まった『GLEクーペ』。弟分の『GLCクーペ』はその流れに乗るように、ミッドサイズSUV『GLC』の派生車種として登場した。クーペとしてのスタイリッシュなフォルムを加えつつ、『GLC』と同等の走行性能、快適性、利便性を実現したモデルだ。

今回の刷新は、デビューから3年が経過したことによるモデルライフ中盤でのマイナーチェンジ。基本的な変更内容は、ジュネーブモーターショーで披露された改良新型『GLC』に準じている。内外装のアップデートと新しいパワーユニットがおもな改良点だ。

エクステリアは現行を継承。しかしフロントマスクの迫力が増して室内の装備も刷新

SUVクーペである以上は、まず最大の魅力であるスタイリングに触れておかなければならないが、エクステリアの改良は最小限に抑えられている。目立つのは、シングルプレートを組み合わせたダイヤモンドパターンのフロントグリル周辺がややなめらかなになり、ヘッドライトが新意匠のデイタイムランニングライト付きのLEDハイパフォーマンスヘッドランプに変更されたことぐらいだ。しかし、グリル下のバンパーに採用されたAウイングとその左右のエアインテークが大型化されたことで、面構えの迫力がより増している。

リアでは、LEDリアコンビネーションランプやディフューザーの形状などが改良され、エグゾーストエンドを組み込んだリアバンパーやクロームスキッドプレートも新しい。

インテリアは、流麗な線を描くダッシュボードとセンターコンソールを採用した最新のメルセデス・ベンツのもの。メーターパネルのデザインは現行モデルと同じだが、12.3インチのLCDパネルに変更され、センターに配されたインフォテインメントシステムのタッチディスプレイも10.25インチに大型化されている(グレードによっては7インチ)。

2.0Lガソリンターボエンジンにマイルドハイブリッドを組み合わせたパワーユニット

心臓部には、ベーシック仕様の「GLC 200 4マチック」に、新開発の2.0L直列4気筒ガソリンターボエンジンと「BSG」と呼ばれる48Vマイルドハイブリッドを組み合わせたパワーユニットが搭載される。「BSG」はベルトドリブン・スターター・ジェネレーターの略。簡単にいうと、48V(ボルト)電気システムとエンジンを組み合わせたものだ。

回生ブレーキなどによって発電した48Vの電気を、蓄電容量1kWhのリチウムイオンバッテリーに蓄え、必要なときにこの電力で最大出力14hp、最大トルク16.3kgmのモーターを回してエンジンをアシストするのだ。システム全体のスペックは、最高出力197hp、最大トルク32.6kgm。ローンチ時はこのパワーユニットのみが用意されるという。

この「GLC 200 4マチック」のほか、先に発表された『GLC』と同様に、やはりマイルドハイブリッドシステムを採用する「GLC 300 4マチック」、ディーゼルエンジンモデルの「GLC 200d 4マチック」「GLC 300d マチック」といったグレードも設定される。

「Hey メルセデス!」と呼びかけて操作する音声インターフェイス「MBUX」も搭載

インフォテイメントシステムには、メルセデス・ベンツの代名詞となりつつある「MBUX」の最新バージョンを搭載。「Hey メルセデス!」と呼びかけて操作する音声インターフェイスで、AI(人工知能)の学習機能によって特定のユーザーに適応する個別対応能力をもつ。さらに、12.3インチのメーターパネルと10.25インチのタッチパネルディスプレイで構成されるデジタルコックピットを装備するのも最新のメルセデス・ベンツならではだ。

価格についてはアナウンスがないが、ヨーロッパでは今年後半の販売開始が予定されている。想定するターゲットは、都市部に住む40前後の若い層といったところか。スタイリッシュでありながら利便性の高いSUVは、彼らのライフスタイルにぴったりだからだ。いずれ日本にも上陸するだろうから、大人の男の新たな選択肢になるのではないか。

Text by Kenzo Maya
Photo by (C) Daimler AG
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

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