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第7回 | アルファロメオの最新車デザイン・性能情報をお届け

現役でいたい男たちへ──アルファロメオ ジュリア

創業以来まで107年の歴史を重ねてきたアルファロメオ。時代を彩った名車は枚挙に暇がない。『ジュリア』もそんななかの一台だ。デビューは1962年。当時としては珍しかった空気力学を取り入れたボディに、最先端のDOHCエンジンを搭載。その優れた走行性能は高く評価され、欧州車のベンチマークとなった。その血統を受け継いだのが、新型『Giulia(ジュリア)』だ。欧州や北米ではひと足早くデビューしていたが、9月6日、ついに日本上陸を果たした。

ニュルブルクリンクでセダン最速の記録を打ち立てたアルファロメオ『ジュリア』

『ジュリア』は、4ドアセダンながら走りの愉しみを味わえるスポーツサルーンに分類される。次世代を見据えたFRアーキテクチャーを一から設計。50:50 の理想的な重量配分と、FR(フロントエンジン・リアドライブ)らしい上質な操縦感覚、そして、クラストップレベルのパワーウェイトレシオによって、アルファロメオらしい人車一体のフィーリングを実現した。

このボディに搭載される心臓部は、フェラーリ出身のエンジニアがチューンしたV型6気筒ガソリンツインターボエンジン(最上級グレード「クアドリフォリオ」に搭載)。最高出力510ps、0-100km/加速3.9秒という動力性能に加え、軽量化による3kg/ps以下のパワーウェイトレシオも相まって、ドイツのニュルブルクリンク北コースで7分32秒というセダン最速のタイムを叩き出した。

軽量化の秘密はそのマテリアルにある。ボンネット、ルーフ、プロペラシャフトにはカーボンを、ドアやフェンダー、サスペンションにはアルミニウムを採用カーボンセラミックディスクブレーキやカーボンファイバー製のシートフレームのオプションを採用するなど、全体にわたる徹底した重量削減が行われた。

「人が車を操る」という哲学のもと、電子制御はすべて「運転を愉しむ」ために搭載

『ジュリア』はドライビングプレジャーを堪能させてくれる車だが、それはただ速いからではない。そこには、ある哲学がある。

それは、「人が車を操る」という大原則だ。だからこそ、電子制御の採用はドライビングエクスペリエンスの向上に寄与する場合に限定しているという。逆にいえば、『ジュリア』に搭載された電子制御は、すべて運転を愉しむためにあるといってもいい。

たとえば、「電子制御トルクベクタリング機構」は、後側の左右輪に対して個別にトルクを伝える制御により、滑りやすい路面でもスタビリティコントロールに頼ることなく、優れたトラクション性能を発揮。安全にファントゥドライブを実現する。

また「電子制御インテグレーテッド・ブレーキシステム」は、ブレーキレスポンスの向上と大幅な制動力の短縮のほか、軽量化にも寄与し、ドライビングダイナミクスを向上させている。

『ジュリア』のデザインは、いつまでも現役でいたい40〜50代の男たちにこそ似合う

エクステリアは、エンジンが縦置きとなるFRアーキテクチャーによって実現したフロントの短いオーバーハングが、ダイナミックさを強調している。それでいて流麗さも感じさせるところは、まさにイタリアンデザインの妙といったところ。

チーフデザイナーのアレッサンドロ・マッコリーニは、「ジュリアのデザインは独創的でありながらシンプル」と表現する。個人的には、いつまでも現役でいたい40〜50代の男たちにピッタリという印象だ。

イタリアならではの美的センスは、インテリアにも見てとれる。構成するのは、上質でしなやかなプレミアムレザー、天然のウォールナットウッドやオークウッド、磨き上げられたアルミニウムなど、選りすぐりのマテリアルだ。初代ジュリアから流れる伝統と現代的なセンスがが融合した美しさで、大人にこそ似合う仕上がりとなっている。

ライバルのアウディ『A4』やBMW『3シリーズ』に劣らない魅力を持ったイタリア車

安全性能では、夜間走行の視認性を大きく向上させるバイキセノンヘッドライトやレーダーセンサー、カメラなどによるアクティブセーフティ機能、電子制御による衝突被害軽減自動ブレーキシステムを搭載している。欧州の安全基準である「ユーロNCAP」では、最高の五つ星を獲得した。

価格はアナウンスされていないが、車格を考えると、新型『ジュリア』のライバルはアウディ『A4』やBMW『3シリーズ』、メルセデス・ベンツ『Cクラス』といったところだろう。いずれも評価が高い欧州車だが、個性といった意味では『ジュリア』もまったく引けを取らない。スポーツサルーンとしては、どの車とも被らない唯一無二の存在感がある。こだわりの一台を探す伊達男にオススメしたいイタリア車だ。

Text by Tsukasa Sasabayashi

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第10回 | アルファロメオの最新車デザイン・性能情報をお届け

赤白のジュリアとステルヴィオ──F1本格復帰に注目せよ

今シーズンのF1開幕戦となったオーストラリアGPは、レッドブル・ホンダが3位表彰台を獲得したことで日本でも大きな注目を集めた。しかし、このレースで首位から1ラップ遅れの8位でゴールしたマシンのことを覚えている人は少ないかもしれない。その白と赤のカラーリングのマシンは、コクピット後方に「Alfa Romeo」のエンブレムが大きく描かれていた。そう、昨シーズンに33年ぶりのF1復帰をはたしたアルファロメオである。昨年は「アルファロメオ・ザウバーF1チーム」としての復帰だったが、今年は「アルファロメオ・レーシング」にチーム名を改めて参戦。それを祝して発表された特別仕様の限定モデルが、F1マシンと同じカラーをまとった『ジュリア』と『ステルヴィオ』だ。

初代チャンピオンのアルファロメオがF1本格復帰。じつはモータースポーツの名門

アルファロメオは現在、FCA(フィアット・クライスラー・オートモービルズ)の一員としてプレミアムかつスポーティなセダンやハッチバックを生産・販売している。モータースポーツ好きでなければ、そのアルファロメオが「なぜF1に?」と思うかもしれない。

しかし、1910年にミラノで創業したアルファロメオの長い歴史は、つねにレースとともにあった。F1グランプリが誕生したのは1950年のことで、その最初のレースとなったのはイギリスGP。この記念すべきレースで優勝したのが、じつはアルファロメオなのだ。同年に7戦中6戦で勝利を収める快挙を成し遂げ、初代チャンピオンにも輝いている。

フェラーリを創業したエンツォ・フェラーリがモータースポーツの世界に入ったのも、アルファロメオのテストドライバーになったのがきっかけだ。エンツォはその後、自らのレーシングチーム「スクーデリア・フェラーリ」を設立し、F1を舞台に古巣のアルファロメオのマシンを打ち破る。それにより世界的な名声を得たことで、フェラーリの市販車の認知度も高まった。アルファロメオの存在抜きにフェラーリを語ることはできないのである。

もっとも、アルファロメオのF1復帰は当初、コンストラクターとしてでなければパワーユニット供給でもなく、スイスのF1チーム「ザウバー」との技術的パートナーシップという形にすぎなかった。しかし、今シーズンからはアルファロメオとザウバーの提携関係がさらに進み、「アルファロメオ・レーシング」として参戦。それにともない、メディアの報道やリザルトなどでチーム名が「Alfa Romeo」と表記されるようになった。

これを記念してアッパーミドルセダンの『ジュリア』とSUVの『ステルヴィオ』に設定されたのが、限定モデルの「アルファロメオ・レーシング・リミテッドエディション」だ。「今シーズンこそが本格的なF1復帰」という意気込みが伝わってくるようでもある。

アルファロメオ・レーシングのF1マシンと同じカラーリングをまとった限定モデル

「アルファロメオ・レーシング・リミテッドエディション」の最大の特徴は、トロフェオホワイト&コンペティツィオーネレッドのカラーリングだ。アルファロメオ・レーシングのF1マシン『C38』のカラーは、ホワイトを基調にアルファロメオ伝統のロッソ・コルサ(レーシング・レッド)を組み合わせたもの。これと同じカラーリングをまとっている。

ボンネットに描かれたアイコニックな蛇のデザインは、むろん「ヴィスコンティ家」の紋章だ。アルファロメオのなんとも特徴的なエンブレムは、創業の地であるミラノの紋章「聖ゲオルギウス十字」と、ミラノと北イタリアを支配していたイタリア貴族、ヴィスコンティ家の紋章を組み合わせている。そのエンブレムはリアサイドに赤白反転で描かれた。

足回りもF1マシンのようだ。ブラックのホイールに組み合わされるピレリ製タイヤはイエローのレタリングが入り、ブレーキキャリパーはレッドにペイント。ドアミラーやサイドスカートインサートにはカーボンファイバーが用いられ、『ジュリア』はルーフもカーボンファイバー製となる。よく見ればフロントバンパーにカナード(スラストスポイラー)が装着されていることがわかるだろう。『ジュリア』『ステルヴィオ』ともに、特別仕様車のベースとなったのはラインナップの頂点に立つハイパフォーマンスグレードの「クアドリフォリオ」。それを示す四つ葉のクローバーをあしらったシンボルマークも装着される。

「アルファロメオ・レーシング・リミテッドエディション」の発売時期や価格は未定

エンジンやメカニズムに変更はない。両モデルともに、最高出力510ps、最大トルク600Nmを発生する2.9L V6ツインターボエンジンを搭載し、8速ATを組み合わせる。しかし、ドライバーの足元にカーボンセラミック製ブレーキ、リアにアクラポビッチ製チタンエキゾーストが装着され、カラーリングと同じく“よりレーシー”に仕上げられている。

そのほかの専用装備としては、赤いステッチが入ったカーボンファイバー・シェルのスパルコ製レーシングシート、やはりカーボンファイバーのインサートが入るステアリングホイールとシフトノブなどを備える。これらも、見るからにレーシーな雰囲気だ。

「アルファロメオ・レーシング・リミテッドエディション」の発売時期や価格は発表されておらず、日本に導入されるかどうかも未定。とはいえ、F1ファンならずとも魅力的なモデルであることは間違いない。なお、アルファロメオ・レーシングは第2戦のバーレーンGPでもファーストドライバーのキミ・ライコネンが7位に入り、入賞まであと一歩に迫った。レッドブル・ホンダだけではなく、アルファロメオ・レーシングも要注目である。

Text by Muneyoshi Kitani
Photo by (C) Alfa Romeo Automobiles S.p.A.
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

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