editeur

検索
サービス終了のお知らせ
第43回 | メルセデス・ベンツの最新車デザイン・性能情報をお届け

熟成された旗艦──メルセデス・ベンツ新型Sクラス

『Sクラス』は、いわずと知れたメルセデス・ベンツのフラッグシップモデルだ。源流は1951年にデビューしたW187型まで遡るが、「スペシャリティー」の頭文字である「S」の名を正式に冠したのは、1972年のW116型からとなる。W116型の特徴は、徹底した安全性。世界初となるABSの搭載や事故の衝撃をボディで吸収するセーフティーセル構造を採用したり、万が一の事故時に乗員を守るためにインテリアから突起をなくしたりと、最新技術による徹底した安全対策が採られた。メルセデス・ベンツいわく「車を発明した責任があるからこそ、安全を最大限優先する」。初代『Sクラス』のデビューから45年、2017年8月9日に発表された最新の『Sクラス』も、この哲学を踏襲した一台だ。

これまでの常識を覆す最先端技術を搭載したメルセデス・ベンツ新型『Sクラス』

今回発表された最新の『Sクラス』は、2013年にデビューしたW222型のマイナーチェンジとなる。とはいえ、新型パワートレインの採用やエクステリアの刷新により、これまでとは印象が異なる仕上がりとなった。なかでも力を入れたのが、安全性能を含めた最先端技術の充実だ。

メルセデス・ベンツの安全性能といえば、安全性と快適性、効率性を高次元で融合する「インテリジェントドライブ」に代表される。「インテリジェントドライブ」を簡単に説明すると、レーダーセンサーやステレオマルチパーパスカメラ、超音波センサーによって自車の周囲を常に監視する複合的なセンサーシステムといったところだ。

このセンサーシステムで、先行車両、横切る車両、後方車両、対向車、歩行者などを検出して状況を判断し、アクセル、ブレーキ、ステアリングを自動でアシストすることでドライバーの負担を軽減し安全性と快適性を向上させる。

安全性では、先行車との車間距離を維持する「アクティブディスタンスアシスト・ディストロニック(自動再発進機能付)」に、自動再発進機能を新搭載。停止後30秒以内であればドライバーはアクセルを踏まなくても自動的に発進できる。「アクティブステアリングアシスト」も強化され、車線が不明瞭な場合や検知できない場合でも周囲の車両やガード゙レール等を検知できるようになった。

ほかには、緊急時のステアリング操作をアシストする「緊急回避補助システム」、衝突時の衝撃音から乗員の耳を保護する「PRE-SAFEサウンド」などの新機能を採用。さらに、歩行者に加えて交差点での車両飛び出しにも自動緊急ブレーキが作動する「アクティブブレーキアシスト(歩行者/飛出し検知機能付)」も備わり、全方位の安全性を高い次元で実現している。

下は2017年4月の上海モーターショーでワールドプレミアされた際のひとコマだ。

フラッグシップサルーンらしく新型『Sクラス』は快適な走りを実現する新技術も満載

パワートレインの刷新も、大きなトピックスだ。搭載されるエンジンは、ライナップによって異なる。

ノーマルホイールベースの『S 400』には3.0L V型6気筒直噴ツインターボエンジン、『S 560ロング』『S560 4MATIC ロング』には新型の4.0L V型8気筒直噴ツインターボエンジン、『S600 long』には6.0L V12ツインターボが搭載される。ちなみに、4MATIC(4マチック)とは、可変トルク配分を行うことで、エンジンのパワーを四輪に配分するシステムのことだ。

また、これらの車種に加えて、AMGモデルも3車種がラインナップ。合計7車種から構成されている。

エンジンが紡ぎ出すパワーをより効率的に快適な走りへと昇華させる新技術も満載だ。メルセデス・ベンツにとって初の技術となる「ダイナミックセレクト/AMG ダイナミックセレクト」は、“Comfort(コンフォート)”、“ECO(エコ)”、“Sport(スポーツ)”、“Sport+(スポーツプラス)”、“Individual(インディビジュアル)”から選んだモードに応じて、エンジン、トランスミッションのシフトポイント、ステアリング特性、アクセルレスポンス、サスペンション特性などの様々なパラメーターを変化させることができる。特に、“インディビジュアル”モードでは、ドライバーの好みで自由に設定できるオリジナルのモードがカスタマイズ可能だ。

「マジックボディコントロール(ダイナミックカーブ機能付)」は、約180km/h まで路面スキャンが可能となり、さらに機能が強化された。前方15mの路面の詳細な凹凸をカメラで捉え、その路面状況に応じて瞬時にサスペンションのダンピングを制御。それによってボディに伝わる衝撃を最小限にし、フラットで極上の乗り心地を実現する。

そして、「ダイナミックカーブ機能」は、コーナリング時にバイクのライダーやスキーヤーのように車体を内側に傾けることで、コーナリング時に乗員に働く横加速度を軽減、より安定した爽快なコーナリングを実現してくれる。

新型『Sクラス』の「クリスタルルック」は、満天の星空の輝きを想起させる美しさ

エクステリアはフロントとリアを刷新。フロントでは、3本のラインが特徴的なヘッドライトを採用し、ツインルーバーとなったフロントグリルやワイドなエアインテークと相まって、精悍でダイナミックな印象を与えている。

もちろん、このヘッドライトの売りは見た目の秀麗さだけではない。カメラと4つのコントロールユニットにより、理想的な配光パターンを毎秒100回の頻度で解析。片側84個の LED を高精度で正確に配光し、道路標識の反射が起こらないように前方を照射したり、雨天時に路面からの反射を抑えドライバーに見やすい視界を提供したりできるようになった。

また、40km/h 以上では、約650m以上にわたり十分な明るさで照射して視認性を高め、安全性に寄与する「ウルトハイビーム」が備わった。

リアのLEDコンビネーションランプは、被視認性を確保しながらも、状況によって発光量を調整することで目が眩むことを防ぐ「クリスタルルック」。安全性への寄与もさることながら、満天の星空の輝きを想起させる美しさは、メルセデス・ベンツのフラッグシップに相応しい佇まいだ。

全世界のセレブリティにさらに愛されるラグジュアリーサルーン、新型『Sクラス』

インテリアは、エレガントでありながら高級感に溢れる。これまでの『Sクラス』同様に、美しいカーブを描くダッシュボードから、ドア、シートまで流れるような一体感のあるデザインが継承された。

変化がみられるのは、装備面だ。大型の「コックピットディスプレイ」や「タッチコントロールボタン付きマルチファンクションステアリング」、カラーがゆっくりと変化し続ける「64色アンビエントライト」は、より快適なドライビングの助けになることだろう。

快適装備では、スマートフォンとの連携が話題となった。「リモートパーキングアシスト」は、スマートフォンを使って車外から狭い駐車スペースや車庫への駐車操作が可能。縦列・並列駐車スペースへの駐車操作だけではなく、前進、後退もできる。また、スマートフォンで車両ドアのロック、アンロックができる「リモートドアロック&アンロック」、車両の走行距離、燃料計、平均燃費等の状態をアプリ等で確認できる「リモート(車両)ステータス確認」、駐車した車両の位置をアプリの地図上に表示「駐車位置検索」なども備える。

W222型の『Sクラス』は、“新時代のプレステージカー”として登場し、いまや全世界で累計販売台数が30万台を超える、最も選ばれたラグジュアリーセダンのひとつとなった。今回のマイナーチェンジを受けて、より熟成が進んだ『Sクラス』。さらに全世界のセレブに愛されることは間違いないだろう。

Text by Tsukasa Sasabayashi

ピックアップ
第75回 | メルセデス・ベンツの最新車デザイン・性能情報をお届け

メルセデス・ベンツGLCクーペ──流麗なSUVが進化した

プレミアムミッドサイズSUVの代表格であるメルセデス・ベンツ『GLC』。その改良新型が披露されたのは、3月のジュネーブモーターショーでのことである。それから、わずか数週間後。今度は『GLCクーペ』が発表された。極めて美しい外観をもつ、クーペのようなフォルムのスタイリッシュSUVだ。さて、どのような進化を遂げたのだろうか。

スタイリッシュなフォルムのミッドクラスSUVが内外装とエンジンをアップデート

『GLCクーペ』はメルセデス・ベンツにとって7番目のSUVモデルだ。ブランド初のSUVクーペとなったのは、発売直後から世界中で高い人気を集め、日本でも昨年8月にデリバリーが始まった『GLEクーペ』。弟分の『GLCクーペ』はその流れに乗るように、ミッドサイズSUV『GLC』の派生車種として登場した。クーペとしてのスタイリッシュなフォルムを加えつつ、『GLC』と同等の走行性能、快適性、利便性を実現したモデルだ。

今回の刷新は、デビューから3年が経過したことによるモデルライフ中盤でのマイナーチェンジ。基本的な変更内容は、ジュネーブモーターショーで披露された改良新型『GLC』に準じている。内外装のアップデートと新しいパワーユニットがおもな改良点だ。

エクステリアは現行を継承。しかしフロントマスクの迫力が増して室内の装備も刷新

SUVクーペである以上は、まず最大の魅力であるスタイリングに触れておかなければならないが、エクステリアの改良は最小限に抑えられている。目立つのは、シングルプレートを組み合わせたダイヤモンドパターンのフロントグリル周辺がややなめらかなになり、ヘッドライトが新意匠のデイタイムランニングライト付きのLEDハイパフォーマンスヘッドランプに変更されたことぐらいだ。しかし、グリル下のバンパーに採用されたAウイングとその左右のエアインテークが大型化されたことで、面構えの迫力がより増している。

リアでは、LEDリアコンビネーションランプやディフューザーの形状などが改良され、エグゾーストエンドを組み込んだリアバンパーやクロームスキッドプレートも新しい。

インテリアは、流麗な線を描くダッシュボードとセンターコンソールを採用した最新のメルセデス・ベンツのもの。メーターパネルのデザインは現行モデルと同じだが、12.3インチのLCDパネルに変更され、センターに配されたインフォテインメントシステムのタッチディスプレイも10.25インチに大型化されている(グレードによっては7インチ)。

2.0Lガソリンターボエンジンにマイルドハイブリッドを組み合わせたパワーユニット

心臓部には、ベーシック仕様の「GLC 200 4マチック」に、新開発の2.0L直列4気筒ガソリンターボエンジンと「BSG」と呼ばれる48Vマイルドハイブリッドを組み合わせたパワーユニットが搭載される。「BSG」はベルトドリブン・スターター・ジェネレーターの略。簡単にいうと、48V(ボルト)電気システムとエンジンを組み合わせたものだ。

回生ブレーキなどによって発電した48Vの電気を、蓄電容量1kWhのリチウムイオンバッテリーに蓄え、必要なときにこの電力で最大出力14hp、最大トルク16.3kgmのモーターを回してエンジンをアシストするのだ。システム全体のスペックは、最高出力197hp、最大トルク32.6kgm。ローンチ時はこのパワーユニットのみが用意されるという。

この「GLC 200 4マチック」のほか、先に発表された『GLC』と同様に、やはりマイルドハイブリッドシステムを採用する「GLC 300 4マチック」、ディーゼルエンジンモデルの「GLC 200d 4マチック」「GLC 300d マチック」といったグレードも設定される。

「Hey メルセデス!」と呼びかけて操作する音声インターフェイス「MBUX」も搭載

インフォテイメントシステムには、メルセデス・ベンツの代名詞となりつつある「MBUX」の最新バージョンを搭載。「Hey メルセデス!」と呼びかけて操作する音声インターフェイスで、AI(人工知能)の学習機能によって特定のユーザーに適応する個別対応能力をもつ。さらに、12.3インチのメーターパネルと10.25インチのタッチパネルディスプレイで構成されるデジタルコックピットを装備するのも最新のメルセデス・ベンツならではだ。

価格についてはアナウンスがないが、ヨーロッパでは今年後半の販売開始が予定されている。想定するターゲットは、都市部に住む40前後の若い層といったところか。スタイリッシュでありながら利便性の高いSUVは、彼らのライフスタイルにぴったりだからだ。いずれ日本にも上陸するだろうから、大人の男の新たな選択肢になるのではないか。

Text by Kenzo Maya
Photo by (C) Daimler AG
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

ピックアップ

editeur

検索