editeur

検索
サービス終了のお知らせ
第17回 | 大人ライダー向けのバイク

インディアンScout Bobber──大人のちょい悪ボバー

ハーレー・ダビッドソンのツアラーモデルなどのカスタムに「ストリップ」と呼ばれるスタイルがある。その名の通り、カウルやパニアケースといった大きな外装パーツを脱がせて軽装化するカスタムだ。同時に、ハンドルやシートを換装し、車高も低く落とすのがストリップの定石。この古き良きカスタム・ムーブメントに敬意を捧げたモデルが、アメリカの老舗モーターサイクルメーカー「インディアン」が先ごろ国内販売を開始した『Scout Bobber(スカウト ボバー)』である。

ハーレー・ダビッドソンよりルート66がよく似合うアメリカンバイク「インディアン」

アメリカを代表するモーターサイクルといえば、100年以上の歴史を持ち、世界中で愛されている「ハーレー・ダビッドソン」に間違いはない。

しかし、そのハーレーよりも早い20世紀最初の年にアメリカで創業し、ハーレーと同様に数多くの伝説を生んできたモーターサイクルメーカーがある。そう、それが「INDIAN MOTORCYCLE(インディアン モーターサイクル)」だ。古き良きアメリカをデザインで体現し、ルート66が似合うのはハーレーよりもインディアンと言わしめるほどの絶対的な魅力を持つモーターサイクルである。

このインディアンの伝説のひとつを映画にしたのが、2005年に公開されたニュージーランドとアメリカ合作映画『世界最速のインディアン』だ。これは実話をもとにした物語で、67歳のバート・マンローが1920年型インディアン・スカウトの改造車によって、地上最速記録を成し遂げるまでを描いている。

地を這うようなローダウン化、ストリップカスタムを再現する『スカウト ボバー』

今回、インディアンがラインナップしている「スカウト」に、バイクカスタムの大きな潮流となっている“ボバー・スタイル”が加わった。

何度か紹介しているが、“ボバー・スタイル”とは、簡単にいうと「短い、切り落とす」こと。バイクのフェンダーを短くカットしたり、ロングシートをシングルにしたりして、実用性よりも外観のカッコ良さを追求したカスタムだ。インディアン『スカウト ボバー』の場合、大戦後に起きたストリップ・カスタム・ムーブメントのチョッパーやボバーに敬意を払って仕上げられたモデルだという。

それは地を這うようなローダウン化、あるいは小型エンジンカバー、エグゾースト、フレーム、ハンドルバー、ミラーにいたるまでブラックアウトさせたカラーリングなどに現れている。特に、足回りにはブラックアルミホイールにボバー専用のタイヤを履かせ、よりアグレッシブな印象を与えている。

洗車は無用、インディアン『スカウト ボバー』はキレイに汚して乗るのがかっこいい

さらに、シンプル・イズ・ベストに徹した“質実剛健”をテーマとし、余計な装備を削ぎ落として純粋にライディングを愉しむモデルとして開発されているのも『スカウト ボバー』の特徴だろう。

それを如実に現しているのが、『スカウト ボバー』専用のツートンレザー・シングルシートだ。オプションでパッセンジャーシート&シーシーバーを選べるが、基本的には「ローンライダーを気取れ」というわけだ。

ライディングポジションは、ローライズなトラッカーハンドルバーと、足の上げ下ろしを考慮してフットペグを38mm後退させ、都市部でのスムーズなストップ&ゴーを実現。これらにより、そのライディングフォームは鉄馬のイメージを色濃くさせることにもなった。

心臓部には94馬力を発揮する水冷Vツイン1133ccエンジン94馬力を搭載。街乗りダッシュ、そしてハイウェイ・クルージングでも、ライダーを存分に愉しませてくれるに違いない。

どうよ、この悪さ加減。「ガチコン!」ときた人も多いはずだ。ダメージ・ジーンズを洗わないのと同じく、『スカウト・ボバー』もできるだけ洗車はしたくない。汚いぐらいがちょうどいいバイクだから、きれいに汚すのがカッコいいのである。

価格は199万円(税込み)から。ちなみに、北米仕様に装備されているハンドルバーエンドミラー、及びオフセットナンバープレートは、日本仕様には装備されていない。

Text by Katsutoshi Miyamoto

ピックアップ
第69回 | 大人ライダー向けのバイク

ドゥカティ ディアベル1260──悪役感溢れるクルーザー

クルーザーとは、平坦で長い直線道路を巡航(クルーズ)することに重点をおいたオートバイのスタイルのことだ。ハーレーダビッドソンやインディアンをイメージするとわかりやすいだろう。広大な北米大陸で発達したことから、日本ではアメリカンバイクとも呼ばれている。それをイタリア流のセンスによって味つけしたのが、ドゥカティ『ディアベル』である。従来のクルーザーと一線を画す独創的なデザインをもつ『ディアベル』は、2011年にデビューするや世界中で大ヒット。そして今回、第二世代へと進化した。

クルーザーでも「走りはやっぱりドゥカティ」。ファンの期待に応えるキャラクター

2010年にEICMA(ミラノモーターサイクルショー)で発表された初代『Diavel(ディアベル)』は、斬新なデザインだけではなく、従来のドゥカティのイメージと異なるクルーザージャンルに挑戦したモデルとして話題を集めた。じつは、ドゥカティは2014年にフォルクスワーゲングループに属するアウディに買収され、その傘下となっている。レース由来のスポーツモデルというブランドのアイデンティティを脇に置き、経営戦略を優先した結果の新型車と見る者が多かったことも、注目された理由のひとつだったのだろう。

しかし、初代『ディアベル』は見た目以上にスポーティで、実際にライディングを味わった人々からは「やっぱり走りはドゥカティ」との評価を得ることが多い。そうしたユーザーの声は、期待どおりのキャラクターに仕上げられていることを証明するものだ。

その『ディアベル』が第二世代へと進化した。ドゥカティは3月に開催されたジュネーブモーターショーで2019年モデルの発表を行ったが、そこで専用スペースを与えられ、ショーのアイコンモデルとしてお披露目されたのが『ディアベル1260』だ。しかも、2014年のようなマイナーチェンジではなく、すべてを見直した2代目としての登場である。

低回転域でもパワフルな排気量1262ccの「テスタストレッタDVT」エンジンを搭載

アイコニックな外観は、シルエット自体に大きな変化はない。しかし、全体にボリュームアップしており、重量感も増していると感じる。トレリス(格子状)フレームもまったく新しくなり、ぱっと見た印象としては、よりヒール(悪役)感が演出されているようだ。短いシートエンドとスラッシュカットで跳ね上がるサイレンサーエンドは、リアまわりをすっきりとさせた。同時にマスが凝縮されているようで、鍛えられた筋肉を連想させる。

その細部への作り込みによる質感の高さが評価されたのか、『ディアベル1260』は第二世代であるにもかかわらず、ドイツの権威あるプロダクトデザイン賞「Red Dot Award 2019:Best of the Best(レッド・ドット・デザイン賞)」にも輝いているくらいだ。

エンジンは、初代から継承されてきた排気量1198ccの水冷L型ツインからスープアップされ、1262ccの強力な「テスタストレッタDVT」エンジンを搭載。それにより、最高出力は従来の152hp/9000rpmから159hp/9000rpmへ、最大トルクは12.5kgm/8000rpmから13.2kgm/7500rpmへとそれぞれ高められている。車体重量はドライウエイトで218kgもあるが、これだけのトルクがあれば低速域でも軽快に扱えるはずだ。

ドゥカティ自身も新エンジンについて、「息を呑む加速とスムーズな低回転域のパワー特性を備え、日常ユースにも長距離ツアーにも対応する」としている。そのパワーを受け止めるのは、『ディアベル』のトレードマークである極太のリアタイヤだ。クルマ並の240mmという超ワイドタイヤを装着し、ボッシュ製のコーナリングABSも標準装備された。

特別なコンポーネントを与えられたスポーティ仕様車『ディアベル1260 S』も設定

新型には標準仕様に加えてスポーティな「S」バージョンも設定された。こちらには、専用のシートとホイールが与えられるほか、ブレンボ製M50ラジアルマウント・モノブロック・ブレーキ・キャリパー、オーリンズ製サスペンションなどを装備。さらに、クラッチ操作をせずに変速できる「クイックシフトアップ&ダウンエボ」も標準装備される。

『ディアベル1260』は、すでに1月半ばからボローニャにあるドゥカティの本社工場で生産が始まっており、ヨーロッパでは3月から販売が開始された。日本での発売は7月ごろを予定している。4月13日には大阪で「Ducati Diavel Meeting」が開催されたが、なんとこのミーティングの参加者は現行『ディアベル』のオーナー限定だった。新型のオーナーになれば、こうした特別なイベントへの招待状がドゥカティから届くかもしれない。

Text by Koji Okamura
Photo by (C) Ducati Motor Holding S.p.A
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

動画はこちら
Ducati Diavel 1260 オフィシャル動画
ピックアップ

editeur

検索