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第15回 | 大人ライダー向けのバイク

BMW K1600 GTL──彼女が二度惚れする豪華ツアラー

フランスやドイツなど、ヨーロッパの大人たちにとって、1年で最大の愉しみとなっているのがバカンスだ。2週間ぐらいなら当たり前。3週間から1カ月余りの休暇を取る年もあるという。このバカンスで重要となるのは、渋滞を回避しつつ、いかに快適に早く目的地に到着できるか。このときに40代以上のライダーが選ぶのが、高速移動の瞬間そのものがバカンスとなる「大型カウルを備えたツアラー」である。なかでも、今、彼らが注目しているのが、2017年7月にBMWモトラッドが発売した新型『K1600 GTL』だ。なぜなら、1カ月分の荷物が余裕で収まるパニアケースとトップケースを装備し、その頂点に君臨するラグジュアリーツアラーだからだ。

アウトバーンを猛スピードで走ることを想定して作られた『K1600 GTL』の大型カウル

『K1600 GTL』は、BMWモトラッドのツアラーグループの頂きを担うモデルだ。車名に「Luxury(ラグジュアリー)」の頭文字である「L」が付与されているように、フラッグシップモデルたるパフォーマンスと、上質で快適なライディングをライダーに約束してくれる。

心臓部には、BMWモトラッドの「Kシリーズ」にしか搭載されていない、水冷直列6気筒1648ccエンジンを搭載。このパワーユニットは、「Rシリーズ」のフラットツインエンジンと同様に多くの伝説を持つ信頼性の高いエンジンで、ヨーロッパの新排出ガス規制「ユーロ4」に対応。その最高出力は118kW(160ps)/7750rpm、最大トルクは175Nm/5250rpmと、排気量2000ccクラスの自動車と変わらないエンジンパフォーマンスを発揮する。

目を見張るのは、ミラーやウインドスクリーンなど、デザインを一新した大型カウルの「スリップ・ストリーム・ディフレクター」だ。

これは速度無制限制区間のあるアウトバーンを疾走することを想定して作られた大型カウルで、その真価は高速道路で発揮される。異次元のスピードのなかで、ヘルメットが吹き飛びそうな風圧を効率的に逃がしてライダーを疲労から守ってくれるのだ。

リアシートの女性がライダーに二度惚れする『K1600 GTL』の豪華装備と快適な乗り心地

もちろん、そのほかの装備も抜かりはない。「Road(ロード)」「Rain(レイン)」「Dynamic(ダイナミック)」の3つが用意された走行モードは、「DTC(ダイナミック・トラクション・コントロール)」によりボタンにタッチするだけで切り替えることが可能だ。

安全面では、高度なアクティブ・セイフティを実現して雨中でも安心してブレーキングできる「ABS pro」、夜間走行の安全性を向上させる「アダプティブ・ヘッドライト」、あらゆる路面条件に応じて走行快適性、安定性、運動性能を可能とする「ESA II(電子調整式サスペンション)」などを装備。フラッグシップモデルらしい安全な走りと快適性を実現している。

また、電気制御で高さが変えられるウインドシールド、クラッチを操作せずにシフト・アップとシフト・ダウンが可能な「シフト・アシスト・プロ」の標準装備は、山間部を縫って走る日本の高速道路で大活躍するに違いない。

さらに、比較的小柄な日本人ライダーにとってうれしいのは、取り回しを容易にするリバース・アシストが装備されていることだろう。これにより、人の目が集まる高速道路のサービスエリアでも、スムーズかつ華麗にバイクの出し入れができるのだ。これは別の意味で自尊心がくすぐられる瞬間だ。

このラグジュアリーツアラーは、できればパートナーの女性とタンデムで愉しみたい。2人でバカンスやツーリングに出かければ、彼女もリアシートの快適性やそのどっしりした走りに驚き、それを操るライダーに二度惚れ、三度惚れするに違いないからだ。

『K1600 GTL』の価格は323万2000円(税込み)から。北海道一周、九州一周、日本一周、そして、ユーラシア大陸を駆け巡るバイク旅…。このツーリングバイクなら、ついついためがちな有給休暇をパートナーと一緒に消化するときに、これまでにない刺激と悦びを与えてくれるはずである。

Text by Katsutoshi Miyamoto

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第69回 | 大人ライダー向けのバイク

ドゥカティ ディアベル1260──悪役感溢れるクルーザー

クルーザーとは、平坦で長い直線道路を巡航(クルーズ)することに重点をおいたオートバイのスタイルのことだ。ハーレーダビッドソンやインディアンをイメージするとわかりやすいだろう。広大な北米大陸で発達したことから、日本ではアメリカンバイクとも呼ばれている。それをイタリア流のセンスによって味つけしたのが、ドゥカティ『ディアベル』である。従来のクルーザーと一線を画す独創的なデザインをもつ『ディアベル』は、2011年にデビューするや世界中で大ヒット。そして今回、第二世代へと進化した。

クルーザーでも「走りはやっぱりドゥカティ」。ファンの期待に応えるキャラクター

2010年にEICMA(ミラノモーターサイクルショー)で発表された初代『Diavel(ディアベル)』は、斬新なデザインだけではなく、従来のドゥカティのイメージと異なるクルーザージャンルに挑戦したモデルとして話題を集めた。じつは、ドゥカティは2014年にフォルクスワーゲングループに属するアウディに買収され、その傘下となっている。レース由来のスポーツモデルというブランドのアイデンティティを脇に置き、経営戦略を優先した結果の新型車と見る者が多かったことも、注目された理由のひとつだったのだろう。

しかし、初代『ディアベル』は見た目以上にスポーティで、実際にライディングを味わった人々からは「やっぱり走りはドゥカティ」との評価を得ることが多い。そうしたユーザーの声は、期待どおりのキャラクターに仕上げられていることを証明するものだ。

その『ディアベル』が第二世代へと進化した。ドゥカティは3月に開催されたジュネーブモーターショーで2019年モデルの発表を行ったが、そこで専用スペースを与えられ、ショーのアイコンモデルとしてお披露目されたのが『ディアベル1260』だ。しかも、2014年のようなマイナーチェンジではなく、すべてを見直した2代目としての登場である。

低回転域でもパワフルな排気量1262ccの「テスタストレッタDVT」エンジンを搭載

アイコニックな外観は、シルエット自体に大きな変化はない。しかし、全体にボリュームアップしており、重量感も増していると感じる。トレリス(格子状)フレームもまったく新しくなり、ぱっと見た印象としては、よりヒール(悪役)感が演出されているようだ。短いシートエンドとスラッシュカットで跳ね上がるサイレンサーエンドは、リアまわりをすっきりとさせた。同時にマスが凝縮されているようで、鍛えられた筋肉を連想させる。

その細部への作り込みによる質感の高さが評価されたのか、『ディアベル1260』は第二世代であるにもかかわらず、ドイツの権威あるプロダクトデザイン賞「Red Dot Award 2019:Best of the Best(レッド・ドット・デザイン賞)」にも輝いているくらいだ。

エンジンは、初代から継承されてきた排気量1198ccの水冷L型ツインからスープアップされ、1262ccの強力な「テスタストレッタDVT」エンジンを搭載。それにより、最高出力は従来の152hp/9000rpmから159hp/9000rpmへ、最大トルクは12.5kgm/8000rpmから13.2kgm/7500rpmへとそれぞれ高められている。車体重量はドライウエイトで218kgもあるが、これだけのトルクがあれば低速域でも軽快に扱えるはずだ。

ドゥカティ自身も新エンジンについて、「息を呑む加速とスムーズな低回転域のパワー特性を備え、日常ユースにも長距離ツアーにも対応する」としている。そのパワーを受け止めるのは、『ディアベル』のトレードマークである極太のリアタイヤだ。クルマ並の240mmという超ワイドタイヤを装着し、ボッシュ製のコーナリングABSも標準装備された。

特別なコンポーネントを与えられたスポーティ仕様車『ディアベル1260 S』も設定

新型には標準仕様に加えてスポーティな「S」バージョンも設定された。こちらには、専用のシートとホイールが与えられるほか、ブレンボ製M50ラジアルマウント・モノブロック・ブレーキ・キャリパー、オーリンズ製サスペンションなどを装備。さらに、クラッチ操作をせずに変速できる「クイックシフトアップ&ダウンエボ」も標準装備される。

『ディアベル1260』は、すでに1月半ばからボローニャにあるドゥカティの本社工場で生産が始まっており、ヨーロッパでは3月から販売が開始された。日本での発売は7月ごろを予定している。4月13日には大阪で「Ducati Diavel Meeting」が開催されたが、なんとこのミーティングの参加者は現行『ディアベル』のオーナー限定だった。新型のオーナーになれば、こうした特別なイベントへの招待状がドゥカティから届くかもしれない。

Text by Koji Okamura
Photo by (C) Ducati Motor Holding S.p.A
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

動画はこちら
Ducati Diavel 1260 オフィシャル動画
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