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第8回 | ロールスロイスの最新車デザイン・性能情報をお届け

深黒のドーン──若き成功者のためのロールスロイス

超高級車の象徴となっているロールスロイスだが、じつは近年、オーナーの年齢層が若返っているという。その平均年齢は45歳前後。豪華な大型サルーンに加え、クーペスタイルの比較的カジュアルなモデル(あくまでもロールスロイスにとってだが)をラインナップすることで、より広い世代に支持されるブランドへと変わりつつあるようだ。こうした若き成功者の顧客をさらに取り込むべく、ロールスロイスが設定しているのが、内外装にブラックのドレスアップを施したエッジーなスペシャルモデル、「Black Badge(ブラックバッジ)」シリーズである。そして、2017年6月下旬、ロールスロイスは『ゴースト』『レイス』に続く「ブラックバッジ」シリーズの第3弾モデルを発表。ベースとなったのは、2+2シーターのラグジュアリーなコンバーチブル『ドーン』だ。

航空機用の技術を用いたブラックを纏った『ドーン ブラックバッジ』のエクステリア

『ドーン ブラックバッジ』の最大の特徴は、その名の通り、ロールスロイスが「深く、濃く、翳りのある」と表現するブラックの特別塗装にある。これはロールスロイスが航空事業で培った表面処理技術を用いたボディカラーで、直径0.014mmの極細の航空機用アルミニウム糸を互いに織り込んでカーボンファイバーに接着。さらに、表面に6回のラッカー塗装を施し、72時間かけて硬化したのち、手作業による研磨で鏡面仕上げをしたものだという。

ボディそのものだけではなく、ラジエターグリル上部に鎮座するロールスロイスのマスコット、「スピリット・オブ・エクスタシー」までハイグロスブラッククロームで塗装する懲りようだ。また、フロントグリルサラウンド、トランクリッドフィニッシャー、エキゾーストパイプとエアインテークのフィニッシャーも専用のクロームサーフェスで仕上げられた。エンブレムの「ダブルアール」の配色が反転されているのも、ブラックバッジならではの演出だろう。

エクステリア同様に室内も深い黒で統一されている。シートの素材は最上級のブラックレザー。ヘッドレストや座面、キャビンのウエストラインには、鮮やかなオレンジのハイライトがアクセントカラーとして入り、豪華な室内をまるで漆黒の闇に没する前の夕焼けのように演出する。

価格は4270万円、最も贅沢なコンバーチブル『ドーン』に設定されたスペシャルモデル

パワートレインは標準モデルと同じ6.6LのV12ツインターボエンジン。ただし、専用チューニングによって出力が高められ、最高出力は570psから593psへと23psアップ、最大トルクも780Nmから840Nmへと向上した。約2.5トンという巨体にもかかわらず、最高速度は250km/h(リミッター作動)、0-100km/hを4.9秒で加速する。

このパワーアップに伴い、ブレーキディスクの直径を1インチ拡大。エンジンブレーキとともに素早いブレーキングにも貢献するという。さらに、ドライブトレインにも新機能を搭載した。新しく開発されたビスポークのエキゾーストシステムの採用により、「LOW」ボタンを押すことでV12ツインターボエンジンの中低音がさらに強調される。これも心憎い演出といえるだろう。

世界最高峰にして最も贅沢なコンバーチブル『ドーン』。この最高級オープンカーに設定された深く濃い黒を纏うスペシャルモデルは、40代の若き成功者の“ファースト・ロールスロイス”としてだけでなく、裕福な女性たち、さらには複数台を所有する50代も満足する一台になることだろう。『ドーン ブラックバッジ』の価格は4270万円からで、日本では6月末より予約受付が始まっている。

Text by Kenzo Maya

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第13回 | ロールスロイスの最新車デザイン・性能情報をお届け

跳ね馬色のロールス・ロイス──オーナーはGoogle副社長

家とクルマは成功を象徴するものだ。特にIT企業のトップには、数千万円から億単位の高級車を収集する自動車コレクターもめずらしくない。ZOZOTOWNの前澤友作氏はそのひとり。ブガッティ『ヴェイロン』、フェラーリ『エンツォ・フェラーリ』などを所有し、パガーニ『ゾンダ』にも乗っていたこともある。シリコンバレーでいえば、もっとも有名なのはグーグルのベンジャミン・スロス副社長だろう。8月の終わりにも、鮮やかなフェラーリ色のロールス・ロイス『ドーン ブラックバッジ』が納車されて話題となった。

グーグルのスロス副社長はフェラーリ『FXX K』を所有する有名な自動車コレクター

グーグルのベンジャミン・スロス副社長は、世界の自動車メディア関係者の間で広く知られた人物である。高価で希少なクルマを購入してニュースを提供してくれるからだ。

スーパーカーや高級車を何台も所有し、2012年5月に発生したイタリア北部地震では、被災者を支援するためにフェラーリが開催したチャリティオークションでサーキット専用車の『599XX EVO』を落札。ハンマープライスはおよそ1億4000万円だった。

とりわけ驚かされたのは3年前だ。なんと妻の誕生日にフェラーリ『FXX K』をプレゼントしたのである。『FXX K』もハイブリッドスーパーカーの『ラ・フェラーリ』をベースに開発されたサーキット専用車で、ひと握りの上顧客に向けて生産される。しかし、いくら希少なクルマとはいえ、妻の誕生日にレーシングカーを贈る人物はめったにいない。

それだけに、スロス副社長は4シーターのオープンカーに乗るときもありきたりなモデルでは満足できなかったようだ。彼がオーダーしたのは特別にカスタマイズしたロールス・ロイス『ドーン ブラックバッジ』。ボディは鮮やかイエローで塗装されている。

副社長いわく「北イタリアのモデナの旗の色をしたロールス・ロイスが見たかった」

ロールス・ロイス『ドーン ブラックバッジ』は、4シーターのオープンモデル『ドーン』の内外装にブラックのドレスアップを施したエッジーなスペシャルモデル。6.6LのV12ツインターボエンジンは専用チューニングによってパワーアップされている。

スロス副社長に納車されたのは、この『ドーン ブラックバッジ』にさらに特別なカスタマイズを施したビスポークモデルだ。最大の特徴は、「スーパーフレア」と名付けられた鮮やかなイエローのボディカラー。ボンネットやフロントグリルは、それとは対称的な濃いネイビーブルーで仕上げられた。こちらの名称は「パイクスピークブルー」だ。

じつは、スロス副社長が所有する『599XX EVO』や妻にプレゼントした『FXX K』も同じカラーコンビネーションをまとっている。つまり、これはフェラーリカラーの『ドーン ブラックバッジ』なのである。スロス副社長いわく、「所有するレーシングカーは北イタリアのモデナの旗の色。同じカラーのロールス・ロイスを見たかった」という。

もちろん内装も同じカラーだ。シートやトリムはネイビブルーのレザーで、ステアリングホイールやシートのステッチなどにイエローが差し色として添えられている。

フェラーリ色の『ドーン ブラックバッジ』は、スロス副社長の妻の日常の足だった

ちなみに、この『ドーン ブラックバッジ』はもともとスロス副社長の妻が2014年から「日常の足」として使っていたクルマで、すでに13000マイルを走っているそうだ。

しかし残念ながら、スロス副社長自身がどんなクルマを普段遣いしているのかについては情報がない。もしかすると、マクラーレン『P1』などのスーパーカーに乗ってシリコンバレーのマウンテンビューにあるグーグル本社に通勤しているのだろうか?

それにしても、自動運転技術で大手自動車メーカーを圧倒するグーグルの副社長がスーパーカーや高級車のコレクターというのも、なんとも面白い組み合わせである。

Text by Kenzo Maya
Photo by (C) Rolls-Royce Motor Cars
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

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